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再びの連休がやって来た。
その日、少年は朝から布団を干し、洗濯をし、掃除をし、昼に買い出しを済ませ、取り込み、食事の仕度をし、日の暮れる前から早々と風呂に入った。
少年は、自分が大人になってからやってみるだろうアレを今日試してやろうとしていた。
それは風呂上がりの一杯もとい晩酌である。
一本目は何も考えずに飲み干しただけだったが、二本目はきちんとしてから飲んでやろうと試みたのだった。
それにしても、どぶろくのガス抜きは、見ている分にはおもしろいがすぐに飲みたい分にはめんどくさいように思えた。まるで、飲む前の下ごしらえの必要だった。
父ちゃんも言っていたが、「このガス抜きをどうにかしないと本物人気に火は付かないだろう‥」と、その言葉の意味が、この時にして少年にはようやく分かったのだった。
少年は目の前にある刺身を突っつきながら、ゴクゴクと始めると、「これが大人の極楽か‥」と、今回はどこか平凡に思いつつ、酔いが回るのを堪能しながら食べきり、飲み終えると、後片付けもそこそこになんとか布団に流れ込んだ。
今にして思えば、父ちゃんがこないだの自分のように、だらしなく酔いつぶれていた姿を見たことが無かった。部屋の天井を見ながら、少年はそう思うばかりだった。
父ちゃんはただの飲んべえなんかじゃなかったと‥そう思うか思わないか、少年は再び夢の中だった。
追記