↓3)改稿.2016/05/04...20160328...
|バス停の野ざらし腰掛け振り返る夕べのあれ・・朝令暮改
歓迎会の翌日の朝、今日も好い陽気になりそうな春の空だった。
凸激は、時間の30分も前にバス停に来て、野ざらしのベンチの真ん中に腰掛けて考えていた。
そうだった。ずっと考えていたのだ。
それは、夕べの歓迎会の際に、宮内先生から渡された高検紹介のプリントを読んでからだった。
食事も進んだ途中、先生の方からプリントを読んだ感想を聞いてきたので、
「あ、あれ?、俺、さっきの読んでから高校に行く意味ってのがわからなくなった‥」
そう凸激は、思ったままを率直に答えた。
‥それは何というか、今日一日の凸激の様子と比べれば、まったく冴えのない返事だった。
そんな、ぶっきらな気持ちの中で、一穂とのやり取りが始まろうとした矢先に
れんげが、横からツッコンで来たのだった。
「なんなーそれ?、とっつん、朝言っていたのと全然違うのーん
朝は高校に行ったら楽しむようなこと言てたんに、今は高校には行かないって言ってるん
そういうのは、朝令暮改って言うん‥」
確かにそうだった。第三者視点から見れば、そういうことになる。
それはそれで、とにかく格好が付かないのだ。どう見たって格好が悪い。
‥そう思ったら、その話はもう良いということで、お終いにしてしまえと思ったら
こんどは楓が、興味ありげに
「なんの話だ?せっかくなんだから聞かせろよ」という次第になった。
高検紹介のプリントがその場にあったこともあり、
結局、宮内一穂は、凸激の学力状況をすっかり話さざるを得なくなった。
居合わせた一同は改めて驚いたものの
‥ここ旭丘分校の立場からすれば、高検があろうとそんな選択支は有り得ない
全員揃ってその存在に疑問を抱きつつ、不思議で一杯になるのが当然だった。
だから、どうしてそこで凸激が高校進学に疑問を抱いて止まったかは、誰にも解らなかった。
一穂にしてみれば、教育の難しさを改めって実感した‥そんな面持ちだった。
(‥でもまぁ、押さえるところは押さえた、成るようになれ)それが一穂でもあった。
そんな感じで、夕べの歓迎会は過ぎたのだった。
凸激にしてみれば、自分の学習事情の点については却って都合が良かったことから、
一穂に対する信頼はさらに上がっていた。無論‥それを一穂が知る由など無かった。
凸激が思い引っかかっていたのは、言うもない‥れんげのツッコミにあった。
あれから、なんだか、自分がひどく半端に思えて癪だったのだ。
‥自分の中の何かが揺らいでいる感じが、とにかくみっともなく思えて癪だった。
それはそれで、まずは、第一目標をクリアーしないことにはどうしようもないのだと、
気持ちを切り替えて、凸激は、マイ電子辞書にスイッチを入れたのだった。
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posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:02
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