向宜詠吟.2016/07/28
> ‥要するに静岡新聞に掲載されてる投稿分を手直ししちまおうってコーナーである
そこには選者の顔がある‥でもまぁそんなこったぁ知ったこっちゃない
もう一押しするとぐっと良くなるのに、誰も直さないというのもなんとも勿体ない
見事なのも乗せちゃうけどね‥(名前までは載せません、あしからず)
ちなみに、全部に目をとおすことはない。(気分次第、目が止まった奴次第、だって趣味だもん)
|あれやこれ鏡に選ぶ夏帽子 牧之原市静波
|あれやこれ鏡
と選ぶ夏帽子 (手直し)
※ 鏡と相談しながら選ぶわけだから、どうしたって、それは相談相手に喩えた方がしっくり来る。
|わが生をうづめ果てむと希ふまで梔子の香の白く漂う 吉田町住吉
|わが生をうづめ果てむと希ふ
かと梔子の香の白く漂う (手直し)
※ 梔子(くちなし)
願うまでなんて言ってみたって、所詮は長生きしたいのが本音だろう。
梔子の香りが漂っている様なんてまさにそこの気持ちなんだからさ
「まで」じゃなくて「かと」になる
‥俺には、梔子が読めなかったので、線香の残り香が名残たらしく漂うイメージに思えた。
|麦秋も死語となりしか黄に実り波打つ畑も消えて久しき 富士宮市沼久保
※ 好いですね。こういうの好きっす。消えちゃうのはほんと残念。
|ブーメラン思はす月の反り具合戻りて来よとしばし佇む 焼津市大村
|ブーメラン
思わす月の反り具合
戻ってこいとしばし佇む (手直し)
※ 比喩だろうとブーメランなどと言う海外文化と歴史的仮名遣いは似合わない。
|きのふ晴れけふは雨なるわが身体慰めおだてテレビ体操 磐田市上新屋
※ 一方の同じ横文字でも
テレビは日本発の技術なんで(しかも静岡)、歴史的仮名遣いでも全然OK。
|木々深し青葉繁りゆくさわさわとひと葉ひと葉の育み重ねて 富士市吉原
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日々歩き青葉繁りゆくさわさわとひと葉ひと葉の育み重ねて (手直し)
※ どう考えたって、木々深しは余計だし、字数としても勿体ない。
そこで、日々歩きなんて感じに付け替えてみた。
‥こちらの方が「育み重ねて」の意に掛かり、より深みが増すと思うところだが。
|梅雨に濡れ庭を彩る紫陽花のうす紫に思ひを宿す 島田市金谷清水
|梅雨に濡れ庭を彩る紫陽花の
青と赤の宴を花ビンに (手直し)
※ 思いを宿すって、誰が?何に?‥
どう見たって下の句はやっつけだ。もっと具体的にせなあかん。
そこで手直しのようにしてみた。
|富士山は雲より上ぞ頂上に立ちて短歌を作って喜ぶ 沼津市下川原町
|富士山は雲より上ぞ頂き
の遂に来たりや遂に立ちたり (手直し)
※ こちらなんて、さらにやっつけすぎる。
「何がどんな気持ちなんだよ、おいおい、行動を事細かくしたためてる文字数なんかないん!」
‥とまぁお陰で手直しにも名句が詠めましたん。こうはなかなか詠めんね。
|富士山は雲より上ぞ頂きの遂に来たりや遂に立ちたり
|確かに聞いた老大国の割ける音 【選者】英国、国民投票でEU離脱にて詠んだらしい。
|
かつて世界を股にせり若輩国の割ける音 (手直し)
※ 全然なってねぇ、英国なんて日本と比べたらひよっこの歴史しかないん!
英国なんざ、ただの鼻っ柱の強かっただけの若輩国だろうが、その時点で歴史認識がわかってねぇ。
‥ここはどうしてたって、聖徳太子のメンタン切った風に詠んでみたい。
‥それこそが字余りにもメンタン切ったの勢いだ。
しかしなんだ、どうぜならもっとハッキリ詠めば良いだろう。
|英国や若輩国の割ける音
> ↓あまりにも見事すぎてて驚いた詩
目玉のある大きなおむすび 沼津市香貫樋ノ口
見た前 あの目玉のある
大きなおむすびを
長い脚で闊歩していた
気高いタカアシガニがいまは
ごろんと転がっているだけだ
これはいかなるものの
尾羽打ち枯らした姿なのか
彼の甲羅の身も寄る年波には勝てず
八本の脚と両腕に 点々と
黒い斑が浮き出てきて拡がると
付け根から次々と捥(も)げていったのだ
まだ目玉と口を動かしている
螯(はさみ)がなくては餌がとれない
そう 達磨大師にあやかって
断食の上 入滅を図ろうとする
達磨おむすびになったのだ
嗤いと苦悩を一緒くたにした面構え
透明の鋭い両眼は遠くを睨んでいる
あの目玉は惨憺(さんたん)とか哀れさとか
いうものから さらに壮絶な
実存の覚悟といったものだ
ぼくのなかのやわな形而上学を
少しでも塗り替えなくては と
思うもののただ畏れ入るばかりで
※ 年齢不詳なのがかなり気になった。
> うた詠み終わります、ありがとうがございました。