↓7)向宜詠吟.2016/11/07
|有り明けの月刻々薄れゆくを西の小窓に佇(た)ちては眺む 静岡市・登呂短歌会
‥有明の月ですが、ググっている内にふとした点に気がつきました。
有明の月【ありあけのつき】
@夜が明けかけても、空に残っている月。(西の空)
A夜明けの空(有明の空)に昇る月。(東の空)
有明【ありあけ】
@月がまだありながら、夜が明けてくる頃。また、その月。ありあけづくよ。
A(後世、月に関係なく)夜明け方。
> おいおい勘弁してくれよ、西も東も有りだぁ‥解釈が随分と変わるぞ(後世っていつ頃からだよ)
> ‥後世の学者も悩む程に、その境も曖昧と云うことでしょうか?
‥ということで、なんだよ、敢えて「西の空」を強調してるのか??
これはこれは、なかなかに面白そうな展開じゃないか、
有明の歌は百人一首でもなじみが深い‥双方からの注釈を求めて然るべきだな。
‥現代注釈を確認してみたところ、概ね半分正解程度の注釈しかされていない。「痛アァァァ」
‥では、こちらから正しき注釈を入れておくとしようかなと。 (国文学者や現代詩人らの思い込み&スルーには、うんざりよ)
|朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪 坂上是則
‥よく晴れて空気鎮まった夜明け頃
有明の月と見間違うほどに吉野山の頂きに降り積もった雪が仄かに明るく見える。
吉野の里から見るこの白雪の光景にふれる一時が、また実に素晴らしい。
(これは初冬頃の吉野山の様子を有明の月に例えているだけなので、東も西も関係ありません)
|ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
‥夜明け頃の立ち小便がてら
夏の頃にほととぎすの鳴き声がよく聞こえていた山の方角を眺めてみれば
なんともまぁ有明けの月が空に見えていたよ。秋になってからの早醒めも悪くない。
さぁて、それじゃ、もう一眠りするとするかな。
(まぁどちらかというと西の空かと思われます)
|今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな 素性法師
「おやおや、そろそろか」‥待ちに待った長月の有明けの月が拝めるぞ。
‥こんなことを何遍呟いたかのう、ほんと待ち遠しい。
人は皆、月と云えば照る方を好むのだろうが、私はそうでは無い。
あの微かにも、陰日向なく偲びつつある姿こそが一番だと思うよ。
(東も西も両方来いって感じのようですね)
|有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし 壬生忠岑
明け方が来て、女につれなく帰りをせかされてしまう次第よりも
この暁の一時ばかりは、どうにも納得が行かないものだなぁ。
‥まぁね、毎晩のように行き来するのも悪くはないんだけどさ
夜明けなんぞなければ、ずっと夢見のままに居られように‥
まったく世の中の大抵の次第にそう思っちゃうよね。
「あんただってその口だろう?」
(どうにも、西も東も関係なさそうです。そもそも月が前提にありません)
|朝ぼらけ傍に添いたる妻が顔 有明の月さえ起きたればと
‥朝に眠りこけてる女なんて全然だよね、どうせなら起こしてくれないと
とてもじゃないけど、吾が心の月とは呼べないさ。
「あんた、その手のダメな女のどこが好いてんだい。寝言を言うのも程ほどにしときな」
> 傾向として、東も西も関係なく、器用に詠み込まれているようです。チーン。
> ちなみに、下に据え置いたのは著生の妄想詠みになります。あしからず。
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