2017年02月06日

【勝手句帳】077 29-1-31 静岡新聞掲載分から

↓9)向宜詠吟.2017/02/06

外壁のレンガの学舎冬紅葉         静岡市清水区草薙
|哲学やレンガの学舎冬紅葉         参考



 ‥この「冬紅葉」の放り込みが気に入りました。
 時期外れの漂いが、如何にも赤レンガと重なり合って、時代を遡らせる趣です。

 ‥着眼は宜しいのですが、完成度はまだまだです。
 「レンガの学舎」と来たら赤レンガの外壁が普通です。
 木造屋敷の暖炉を連想比較してそうな「外壁の」は、まったくの不用です。

 ただし、参考のように軽く手直ししただけでは、どうにも三段切れです。


|仰ぎ見るレンガの学舎冬紅葉 君よ問わね列強の壁




|駅弁のぬくみを膝に冬の旅         静岡市葵区南沼上

|駅弁のぬくみを膝に冬の旅 出会う真心開ける楽しみ


 ‥そう来たか!と唸らせる盲点です。
 (あれだけ散々プレバトで鉄道を詠んでいながら己の見逃し加減が痛くもありました‥)
 (まぁ旅もしねぇし駅弁も口にしねぇし‥見落としていても不適任相応と)




手鏡に枯葉の匂ひ冬はじめ         島田市中河町
|サイドミラー枯葉の匂ひ山路ゐる      参考



 ‥「手鏡」から枯葉の匂いがすると
 着眼は面白いのだが、「手鏡」から、さらに発想を飛ばそうという遊びがなさすぎる。
 ネタは、中途にも季重ねなんだし、そこの解消に貪欲になってもいい筈だ。

 参考は、どうにも三段切れ気味である。
 (‥よくよく考えると、このタイプの三段切れはちょくちょくありそうな気配だな)


|山に沿ひミラーに匂ふ枯葉かな 奥まる空に鼻歌ひろげ


 ‥まぁ三段切れを嫌って斯様に直してしまえば
 どうにもツーリングの気配が一気に失せて、
 歩いて来た山沿いの道にカーブミラーでも見つけたかのような趣になる。


> そのカーブミラーに、振り返ってみるような枯葉の坂道が見えていたと‥


 ‥まぁ是は是として
 スピード感の演出に、三段切れを敢えて使い込むのは技法として有りなのでは‥
 じゃないとツーリング表現には、ほど遠くなっちまうわな。
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posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:08 | Comment(0) | 名句にポン/2017前半 | 更新情報をチェックする