2017年02月08日

【勝手句帳】078 29-2-3 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2017/02/08

|初雪にくっきりつきし我が靴あとこの冬無事を心に祈る        富士市・富士川短歌会

|初雪くっきり足跡お楽しみ 一時あがる今ぞ突撃!


 ‥たかが初雪で「無事を祈る」とか、ちっとも初雪らしくなーい。
 (というのは、ググった先の写真を見つつ思ったことだが)

 初雪のその印象を余所に、
 どことなく「どか雪ぽっさ」に見えてくるように、心配そうに詠んでしまっては


> 初雪に申し訳がないと思わないのだろうか?
> 初雪ぐらい、ワクワクして詠むべきかと‥




|沈みゆく太陽背にしてこぐペダル燃える赤なり我をはげます      袋井市・浅羽短歌会


 ‥このネタの句の整いはとにかくヒドい。着目がはっきりしないのです。

 まず、語順が悪い。
 沈みゆく夕日は、すでに薄明かり。
 ‥そこの印象から始めては、背中に太陽が力強くあるかどうかは怪しいのです。
 ‥それゆえ、「燃える赤」が必ずしも夕日を連想するかは不明です。
 ‥語順が悪いゆえの交錯が生じかねません
 ‥そこをカバーするかのように、取って付けた「我をはげます」に同感なんぞ湧かないかと。

 さらに、「太陽背にしてこぐペダル」が判然としません。

 コーチがチャリを漕いで、学生がそれに従って走り込んでいるようにも映るのです。
 ‥まぁその辺、自転車のトレーニング中とも、どちらにも解釈ができてしまうと。


|夕日濃き影を伸ばして励み差すペダルを追いつ弱音しずみつ


 <手直し解釈1>
 夕方、自転車のトレーニングをしており、へたりそうになっているところ‥
 頑張れと言わんばかりに、夕日に照らされた自分の影がライバルのようにも見えた
 その影に映るペダルをおぼろに追いかけていると、いつの間にか、弱音もなくなり漕げていたなぁ

 <手直し解釈2>
 夕方のトレーニングで外のランニングに出た。コーチが漕ぐ自転車に夕日が射して影が濃い
 コーチが喝を入れてくるそのペダルを追いかけていると、
 自然と弱音なんか吹き飛んでしまうのです。(コーチ、どこまでも付いてきます♪)

 

 (あ☆、バイクだったか‥)35秒あたり




|月冴えて庭の白砂利光りおり心洗わる思いして見ゆ          袋井市・浅羽短歌会

|月晴れて庭の白砂利光りたる洗わる思い届くこの筋


 ‥着眼が新鮮に思えまして、整っているようにもありますが
 じっくり味わうこと‥「冴えて」は、やはり強すぎる印象です。
 あと、ぼんやりと眺めていてだんだんと白砂利に注目していく印象は、演出として勿体ない‥


> ここは、「さっ」と光りが射しきて、「はっ」と思うテンポの方が味わいがより伝わりやすいかと。
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posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:24 | Comment(0) | 名句にポン/2017前半 | 更新情報をチェックする