記稿.2023/12/16
> かつて異世界には、呪いを上手に用いて罰を与える希有な王様がいました
‥例えば
・着服した大臣の両手を金と銀に変えて
お前達も欲しくば、この者の手を切り落とすが良い、さすれば金の手・銀の手に生え替わるぞ
尤も、この呪いは伝染し続けるがな‥とか‥
・捕まえた泥棒の足音が大きくなるようにしてみせたり
・嘘の証文を書いた者の耳元には、嘘を思いつく度に「嘘つき」と罵るようにしたり
禍々しい呪いと云うよりは、反省を促すような呪いで以てユニークに裁いていました
人々はその王様のユーモアな呪いを賞賛して「魔王」と呼んでいました
> ところが世代を経ると、考え方も随分と様変わりするものでした
王族や貴族の中には、呪いをもっと効率的に誰にでも簡単に扱える方法はないだろうか?
そういう風に段々と考える風潮が濃くなっていったのです
なぜなら、巷では曽ての「魔王」の偉業に憧れたイタズラ半分な呪いが後を絶たなかったからです
貴族も庶民も、その手の余興を遊び半分に楽しむ風潮にありました
そしてとうとう、「奴隷の首輪」が登場しました
最初人々は、奴隷の首輪についてもイタズラ半分な呪いと同じにしか捉えていませんでした
ところが、奴隷の首輪が登場してからしばらくすると戦争が起こり
大量の捕虜が出ると、なんと、奴隷の首輪の本質に誰しもが気が付き出します
一度‥奴隷に落ちると、あれよあれよと売買の対象にまで及んだからです
始めこそ、奴隷の首輪にこそ所有権ありを主張して
それの首輪の売買をするという形式を合法化していたものです
(所有者の居る奴隷の首輪が首に付いたのは呪いであって、仕方のない罰だとの見方もされました)
> あれよあれよという間に、奴隷の首輪はもて囃され
> 戦勝した奴隷の首輪を担ぐ王国は、大量の捕虜奴隷(労働力)を得た後
> 更なる侵略に奔走するようになりました(奴隷利権=格安労働力利権)
人々は、その国王の快進撃を恐れて「魔王」と呼ぶようになりました
それ以降、奴隷とした概念は時代を経ながら変貌し、担ぐ者あり、忌み嫌う者ありとして
それはもう労働力確保と救済手段を秤に掛けた腫れ物扱いに有り続けているのです
(‥とかなんとか‥ちゃんちゃん)