一概に「アフリカ」という枠ではくくれない特殊な地場を秘めているように映ります。中国を「動」と見ればアフリカは「静」、中国を「能動的」と見ればアフリカは「受動的」なバランスを確保しつつ、現在の地球にめまぐるしい動きを醸し出しているように見ることもできます。
言ってしまえば、中国とアフリカは切っても切れない関係を保ちつつ、お互いを喰らい合い、突き進む流れの中にあり、アフリカが連合して中国に対しても主体的な経済主張を自ら行うようになれば、中国経済に影響をもたらす要素を抱えていると言えるわけです。
そしてそれはまた、中国にしてみれば、巨象になった後のアフリカには外に出てきてほしくない相手でもあるわけです。
それに加え、中国経済とアフリカ資源との関わりはどことなく開国時代の欧米列強と日本との間に見られた不平等な経済形質が漂う反面、アフリカの自立を求める人たちのあり方は当時の日本人の中に見られた内向きな発展のよすがを感じさせます。
ここを鑑みるに、たとえ一部のアフリカが外資による急速な経済成長を成し遂げたとしても、日本の島国感覚をどことなく漂わせ、歴史的な抑圧の影響をそれとなく引きずれば、内向きな発展を望んでゆくものと推理されるでしょう。
アフリカは中国の発展の仕方とはまた別のベクトルを秘めていると考えます。
そこで、世界が中国に期待するのは民主化の流れ、アフリカに期待するのは自立した内向きな市場形成と相成るわけです。
アフリカまでもが資本主義と同じ流れに乗って世界と競い合うことを考えるようになれば、それこそ従来の先進国にも地球環境にもメリットはありません。
それはまた、アフリカ大陸の暗黒時代の傷を振り返ればこそ、望まれないあり方です。
そこを思えば、中国もまた資本主義によって清王朝を滅ぼされた苦い記憶を刻んだ国です。中国やアフリカが自らの繁栄を求めて自然と組する流れは、お互いに資本主義経済圏とは違う足取りを手にしようと向き合った形でもあると思います。
そこで、まだまだ未開発な領域の方が目立つアフリカの様を戦後日本と比較して考えてみたとき、「アフリカが新生するための文化を学ぶべき相手は日本なのではないか?‥」ふとそんな感覚に包まれます。
アフリカ人の特徴と言えば「陽気さ」です。
日本人の特徴と言えば「勤勉さ」です。戦後日本が欧米の民主化思想から学んだことはまさに「陽気さ」であったとも言えるでしょう。ならば逆に、アフリカ人に「勤勉さ」の中にある文化形成を身につけてもらうことは、お互いを補完しあうに有意義な展開になるはずです。
島国根性と言えばグローバル化の時代に似合わない響きですが、海外から見れば日本人の感覚は村社会でしかあれていません。
その部分を欧米や中国が学ぶことはまずありませんが、そこのところをアフリカが学んだとしてもなんら不思議ではないのです。
ゆえに、単に経済面からアフリカを第二の世界の工場や新しい有望市場の形成のように捉えるのではなく、日本のするべきことは、アフリカに自らの大陸で自立した内向きな巨象になってもらう発想もまた有りでしょう。
それはまた、アフリカの自立・自己主張を促し、中国の勢いにくさびを打つ意味を含めて論じれば、そんな戦略も描けるかと思います。
とはいえ、アフリカが連合して、欧米諸国や中国の資本と渡り合いつつ、自己主張をするに至るには、コアとなる精神を台頭させたリーダー国の存在が必要です。
「今、アフリカにそんな国家があるのでしょうか?」
今のアフリカは中国経済を手がかりに、なんとか古き暗黒時代の記憶からおさらばしようとしている段階に思われます。
しかし、何も学ぶことがないままにアフリカが資本主義を受け入れるままにあれば、いつまでたっても先進国の顔色をうかがうばかりの立場から抜けきれないままに陥るのです。この感触はまさに日本とアメリカの関係そのものです。
それゆえに、アフリカ連合視野での自己主張には、新たな精神性の台頭が欠かせません。そのとき陰で立役者になれるのは日本であると思います。
しかしながら、日本の今の政治は、未だに欧米色の姿勢を崩さず、外からの学びを輸入するばかりの発想でしかあれていません。これではアフリカ諸国は勢いのある中国に着くしかありません。少なくとも暗黒時代に嗅いだことのあるニオイとは異なります。
それでも中国とアフリカの関係を対外的にも公平な形に仕立て上げてゆくには、日本も独自の政治力を発揮すべきとなるのです。それができなければ、日本の経済はどんどん中国に押されて沈んでゆく姿しか思い描けない、誰しもの想像の範疇に収まってしまうのです。
日本が生き残るためのキーワードは、中国でもインドでも東南アジア連合でもなく、実はアフリカを内向きな巨象に仕立て上げることなのです。
とはいえ、アフリカの足取りには多くの課題が残されています。
そこに残された臭いはどことなく東南アジアに残っている臭いと同じです。
東南アジアでの日本の立場確立もまた重要であることに違いはありません。
そして、まだまだ時代の流れは急加速して行きそうです。
「アフリカが連合して自己主張を始めると中国がこける」という‥理屈では成り立つ感覚でも、政治はしょせん総意の成り立ちです。
以前なら、総意を創り上げることが政治家の手腕として問わた時代でした。
「今はどうでしょう?」‥今も同じかもしれません。
しかし、日本の政治が如何にして独自色を世界に示せるのかを問うたとき、総意を示すのは有力な政治家個人ではなく、民衆の意識の向く方向が自然と一致してゆく形であったとしてもおかしくないのです。
といっても、中国によいしょする発想ばかりが目立つ点は懸念材料にしかなりませんけどね。
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