2010年05月28日

農業の国内市場規模

 農業ベンチャー・株式会社オリザ 参照図を参考に、地域主権ルビコン物語…その14(5)で国内の農業規模を10兆円としてみたところ、最近の○岡新聞の記事に、こんなのを見つけました。

 「(前略)‥日本の農業総生産出学は1984年の約11兆7千億円をピークに減り、08年には約8兆5千億円に落ちた。原因は農産物価格の下落と生産の縮小である。
 今後、農業人口の6割を占める65歳以上の農業者が引退すれば、労働力が不足し10年後の産出額はさらに3兆円減るとの資産もある。‥(後略)」(鳥取環境大学教授 金子弘道)


 参考にしたネット記事は、検索でサクッとヒットした適当なサイトが他に見あたらなかったので、たまたまヒットしたところが農業ベンチャーさんだし、まぁそんなに間違っていないだろうと思ったわけですが、なんと10.1兆−8.5兆=1.6兆円も差があったようです。

 しかも、ピーク時期でさえ11.7兆円‥農業が如何に押さえつけられてきたかがうかがえます。

 参考にしたデータの誤差が大きかったとはいえ、単価で考えれば15%OFFですから、最近の市場価格の落ち込み幅を織り込んで鑑みれば、当時の消費の冷え込み方から来る下落率の見方の差との解釈もありだと思います。
 とはいえ、産地買い付け時の値切りと、消費者販売時での値下げでは意味合いは全く異なりますが、数値をおおざっぱに読んだ場合、その差は誤差にしかなりません。(他人の人生を世論にしてしまった場合と似たような形です。)
 その見方としても、農家がカツカツであれば、流通で、販売でと、分散してどこもかしもも身銭を削っている幅が人の見方でそれぐらいの差に出るということなのでしょう。
 また見方を変えれば、農家が活きるような政策をしてやれば、流通も販売も損をしなくて済むような段取りになるはずだと、そこで問題にさらされている根本を見直すべきだとなるはずです。
 ここは、誰がどう考えても市場主義一本槍な発想では不可能です。心臓のポンプだって部屋が4つに区切られてるんですからね。


 えー、ちなみに新聞記事のタイトルは、「農業を10兆円産業に」でした。これって、価格が上昇すれば幾分近づく数値でしかありません。
価格での考え方が如何に人によって解釈が異なるかって事ですね。
 とはいえ、農家からの買い上げが平均15%上昇した場合、消費者販売に乗ってくる価格はその2倍程度でしょうから、消費税増税以上の衝撃でしょうね。

 一方で、そもそも6割の方が引退するというのに、3兆円しか減らないって、その6割の方の頑張りは、現在毎年3兆円規模ですって言ってるようなものです。ン十年の農業生活の中でボーナスとか賃金値上げなんて望みようもありませんでした‥と語っているような内容にしか映りません。それで新規農業者を誘うだけ誘うしかない農政の態度は正直ずぼらにしか映りません。
 なにしろ残りの市場規模は大手企業との絡みでしかありませんと言っているようなものなのですから。
 それで15%回復させましょうレベルの見解は、逆から見れば、引退者続出後の4〜5兆円の回復幅をなんとかして行きましょう‥を論じているようにしか聞こえませんし、つまり、自給率回復の話からはほど遠い次元なわけです。
 「大手企業の生産ラインで使用される国産幅をなんとか維持したいですね」‥と聞こえても来そうです。

 総生産額と自給率を比較するなら、おおざっぱに見ても4割で10兆円なら、6割に乗せたければ15兆円です。5兆円分以上の余力を消費者側に発生させないことには、食消費の拡大による継続的な総生産額の上昇など望めるわけがないのです。
 その余力が海外産との競争と、価格で打ち負けているのであればなおさらです。余力があれば、国産を買うのが当然の意識は根強いと思います。なにしろ中国の富裕層でさえ日本産に対する信頼は高いのですから。


 ついでに、地域主権ルビコン物語…その14(5)で示した産地6兆円分の村ポイントを発行し合えば、食糧自給率6割に上昇の根拠ですが‥
 値段が今時分の相場意識を参考に考えたわけでして、CAS冷凍を活用して産地で調整し合えば、価格も安定して多少上がる(水準)と織り込んで考え、その場合、はじめの参考値の10兆円を基準としても、見方にさほどの差は予想されず、価格としての評価では食糧自給率6割か少し下かる程度とやはり考えます。

 一般的な考え方の中に、「高い技術で高品質の農産物を生産し、高値で販売すれば産出額は増える。」‥というのがありますが、今時の農業の場合、手を抜かない限り、どこもかしも実力はほぼ横ばいです。
 仮にそこに差を見込むとすれば、農業世代交代後の品質に産地でバラツキが起これば、高品質を維持できている所は高く売れるでしょうが、それが起こらなかった場合、作れば作るほど結局は全体で下落してしまうのが、品質の均一化による反比例が価格に反映され出すという落ちです。

 6兆円分の増生産がその後者のレベルで進んだ場合、今まで高値で買いにくかったオーガニック野菜の値がこなれてきて、海外産の野菜よりは高いかもしれないが、毎日の健康を考えたとき、それほど負担にはならない感覚が得られ始める‥と考えても良いわけです。
 しかし、新規農業者の期待に応えられないずぼらな農政の場合、前者の傾向が顕著に生ずれば、全体的な食糧自給率の回復は望めず、農業経営者の間に決定的な格差が生じ始める懸念も検討しておくべきだと思います。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 01:12 | Comment(0) | 破棄処理中 | 更新情報をチェックする
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