1-3)改稿.2015/08/26...20100818...
> NKH番組 33ヵ国共同制作
> 「民主主義」―世界10人の監督が描く10の疑問シリーズ第六回:ロシア“愛国者の村”
その村はモスクワの南東に位置し、ドゥラコヴォ村と呼ばれる。
「この村こそロシアの理想」と称して、ロシアの政治家らが絶賛しているとかなんとか‥
村の管理人はミハイル・モロゾフを名乗り、愛国主義者&実業家&神父だという。
そのミハイル・モロゾフの弁舌が実に達者にあった。それゆえ
今時のロシア政府の推し進めようとしているロシア主義の代弁に適うものと見て、
‥参考とばかりにメモを取った。
1-3)1
> 場面は、村の中にあるミハイルの自宅のプールだろうか‥
‥太っちょ体型のミハイルが、優雅にも一人で泳いでいる所から始まる。
そこに、無気力な息子を持つ母親からの電話のコールが届いた。
電話向こうのその母親は、息子をドゥラコヴォ村に入居させたい内容を伝えた。
電話を終える。
プールの周りで働いている村の人たちが、ミハイルの電話を気にしていた。
それを見てミハイルは言った。
「てきぱき働け、こっちは見なくていい」
「もっと働かせろ」
> ドゥラコヴォ村では、村に入居した人たちの手で、仲間の住まいを自ら建てていた。
後の映像では薪割りもしていた。畑仕事も自給自足かと思われる。
ただし、ミハイル自身が皆に交じって汗を流すことはない。オーナー威張りの人物だ。
> 場面は変わり、先ほどの無気力な息子さんとの対面中
この息子さんはモスクワ大学を卒業し、法学と経済学を学んだ青年だそうだ。
頭脳は優秀のようだ。しかしお約束にもしたい何かが見つからない典型の無気力な状態にある。
(‥就職の経験はあるとのこと)
> 私は君を説得したりはしないよ
> 君を殴ったりもしないし、ここに残るよう強制もしない
> 望む者を受け入れるだけだ
> 私の指導と助けを求めて来るんだからね
> そして新しい生き方を学ぶ
> 私の家とドゥラコヴォの村では、意見や文句を言ってもいいのは私だけだ
> 私がこの船の船長だからだ
> 私に従えるか?
> 与えられた仕事は何でもしてもらうよ
> 最初に言っておくが、ここは人間養成の訓練所だ
> 権利は捨て、規則に従ってもらう
※ この辺りまでの感想は
特殊な施設にありがちな理想に熱心でワンマンな管理人といった所です。
‥それでも、次の場面になると実にロシアらしい。
> プーチンと大主教とが並んだその中に
> ミハイル自身も一緒に収まった理事会時の写真が紹介された。
その理事会の写真の中の一人に、
修道院の理事長&下院の副議長の肩書きを持つ(セルゲイ・バブーリン)がいた。
(ミハイルと親密な関係を持つ)
‥こんな写真ばかりを飾った部屋に案内されては
無気力な状態で入居してきた誰しもは、否応なしに圧倒されて呑み込まれることだろう。
この村は、政府はもとよりロシア正教会ともパイプが太い。
人生に救いの手を差し伸べてくれるお墨付きの場所にあるのだ‥と、
それはまた、視聴しているこちら側にも同じこと。
‥ロシア政府&正教会の公認を得た公共的な施設として映ることになる。
※ それにしても
なぜ、ミハイル・モロゾフを番組の冒頭にて実業家という肩書きで紹介しておきながら、
神父での紹介がされていないのかがとても気になった。普通なら逆だと思う。
‥ロシアの事情を鑑みれば、ソ連時代は無宗教時代だった。
いくらプーチンの時代になって国教として復活したとて、
実業家の肩書きの方がインパクトが高いのだろう‥(その辺は今時代的か)
1-3)2
> 次の場面がこの番組の趣旨としてもっとも注目を集める場面である。
> ミハイルを囲んでなにやら村人全員参加の集会である。
> 質問があれば答えるから何でも言いなさい
―しばし沈黙が続く―
> ディマ村を去るのか
> いいえまさか
> そう聞いたが‥
> ここから出るつもりなどありません
> 誤解だったか‥
> もちろんです
―沈黙―
> 神のおぼし召しで、私は皆の上に立っている
> 私を信じてくれ
―沈黙―
> どんな質問でもいい、言ってみなさい
> 理解できないこと、分からないこと、ある事柄について‥自分の理解は正しいのかどうか
> すべて解決する、そうだろう?
―沈黙―
> 質問はないのか?
―沈黙―
> こんばんはミハイル、手短に質問します
> あなたのご意見を聞かせて下さい
> ロシアに民主主義は必要でしょうか?
> 以上です
> 君にとって重要な質問なのかね?
> ええまぁ
> そうか、私が世界というものをどう考えているか‥話そう
> 天に神、地に皇帝(ツァーリ)。神の前に民主主義など存在しない。
> 人は皆、各人に適した階級に属している。その全員が神に仕える存在だ。
> ロシア人は神に選ばれた皇帝に属する民族だ。
> 「信仰と皇帝そして祖国」この三つをロシア人は大切にしてきた。
> 人類の敵である悪魔はいつも我々を誘惑する。“地上の楽園”という甘い言葉で‥
> 「自由・愛・平等」は言葉としては美しい。
> だが、自由や平等など神の前にしか存在しない。
> この地球上には、真の平等などありえないのだ。
> 分かるかね?
> 天は神、地は皇帝のものだ。
> 今の皇帝とは大統領だ。
> 信じる道を進み‥自分の決定に責任を持つ人だ。
> 君たちの義務は大統領に従うことだ。
> 神だけが力を持つ以上‥民主主義など存在しない。
> 階級とそれに準じた生活だけがあるのだ。
> 西側の民主主義のことは詳しくは知らないが、ペレストロイカや90年代の民主化運動を見ろ。
> この国の民主化運動の結果は悲惨だ。皆、知っているだろう。
> 混乱と無法状態がもたらされた‥破滅への道をひた走った‥
> 今、ロシアは地雷原の中にいる。
> だからこそ、縦割りの明確な力関係が必要だ。
> 従いたくなければ、チケットを買い、誰にも命令されない国に出て行けばいい。
> 以上だ。
その言葉が終わると同時に、皆納得した面持ちで全員起立。
その後、教会の施設らしく祈りの言葉を述べてから解散をした。
解散の時‥列を作って並び、皆ひとり一人ミハイルに握手を求めて別れて行く。
ミハイルも、ひとり一人に言葉を掛けるのがいつものことのようだ。
‥その集会の翌日だろうか。
この村の事務を任されているミハイルの部下のような立場の者が、こう言った。
「ミハイル、考えたのですが‥」
「何も考えるな、言われたことをしていればいい」
1-3)3
> 率直な感想として、国家ぐるみで進めている実験の類いに見えた
‥如何に国民の権利を自主的に放棄させて、その上でおとなしく働かせられるか?
‥より高い階級に立つ者が、如何にしてお安く支配していけるか?
ミハイルの態度が其を助長しよう。
ミハイルは西洋のお約束のような実業家だ。人を使う上で友人らしい気遣いも労いも見せていない。
自分のお城の小間使いたちを、無償で手に入れたも同然のようにある。
‥それが互いに無償であることとしての流儀とも見て取れる。
(ミハイル自身もまた、大統領の意向で動いていると言わんばかりだ)
まずはじめに、来る者は権利剥奪を要求され、指示に従わなくてはならない。
それでも契約しているわけではない。あくまで辞退できるだけの自主性は残されている。
ただし尊重しているように見えても、実は引き留めることに懸命だ。そこに嘘がある。
‥しかし巧みだ。そして無知にしか見えない。
> シリーズ番組での構成だから、いろいろなケースを紹介するのは自然な方向性だが
「是が33ヵ国共同制作にあるとして、その意図はなんだろう?」
「ロシア主義への批判だろうか?」
「民主主義とはいえ、格差社会に足らざることへの憤りだろうか?」
※ ‥このシリーズを見て記憶に残っていることと言えば
人類はそれほどに話し合うことに熱心とは言い難しの風景ばかりだったように思う。
「話し合いはそれほどに重要ではない、欲しいのは確かな保障である。」(まぁそんな感じ)
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