2010年10月15日

日本農政と農家と農地の構造:メモ

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参考:ETV特集「なぜ希望は消えた?〜あるコメ農家と霞が関の半世紀〜」

・農地改革で土地を強制的に再分配→小規模農家が増大した。

・農業基本法で合理化を推進→農家の手により農地の整地が進められた。
・農地基本法は農家の離農を前提とした概念であった→離農と同時に農地を手放せば、結果として生き残った農家の大規模経営が可能となるはずだった。しかし、農家は離農したとしても土地を手放すことがなかった。


※1:農地改革と農業基本法は、農家の農地管理意識から見れば、相反する概念であり、二度手間の性質を孕んでいた。
 いうなれば、農地改革は民主主義的采配、農業基本法は資本主義的采配である。


・農地の整地と共に、全体での収穫高は確実に増えた→その結果、米余りが問題とされた。
・※1の理由から、農家は大規模化への足取りが掴めないまま、国家の広げて見せた青写真からはほど遠く、経営としては完全に横ばいの足踏み状態に陥った。

・減反政策の台頭→農家は大反対だったが、米価を上げれば消費者からコメが敬遠され、結果としてコメ離れが加速する悪循環に陥った。
・減反を押しつけられた農家はしだいに、兼業化の道をたどり、農地の活用を農業以外に求めるようになった。農家の苦肉の策として生じた農地転用への合意である。しかし、全体での優良農地の確保が求められ、転用できるかどうかは区画範囲次第とされた。
・以降、農家の都合が入り交じり、農家同士での土地の貸し借り、もしくは売買が頻繁となった。是は農家同士の土地転がしとの表現が可能な状況となる。それもこれも、農地法の規定から、農地を自由にできるのは農家でなければならなかったからである。


※2:皮肉にも、結果として、これら一連の流れは、農業基本法の建前で整地された多くの農地の不動産価値を高めるための構図になってしまっただけだった。


・さらにジャッパンバッシングによる輸入規制の解放が国内農業に追い打ちを掛けた。
・行き詰まった農家の多くが、農地を所有したまま農地を放棄し始めることとなった。
もちろん農地としての借り手が身近に居れば話は別だろう。
ただし農地法の壁により、農家でなければ農地を貸し出すことが制限される。
・是により、皮肉にも、細々と農地の借り受けを続けてきた農家が、ようやく引退の時期になって、大規模経営への夢を叶えられる運びとなった。ただし、跡継ぎの居ないケースがほとんどだ。


※3:つまり是の一連の流れは、資本主義の夢が、あくまで個人主義としての夢でしかあれないという内情を意味させる‥農地を預かることになった農地改革以降のそれぞれの農家の能力と気持ちの在り方の質はともかく、人の持つ夢に対する執着のものすごさを知るに、日本農政の失策ほど決定的なサンプルもまたとあるまい。
 そして、工業で退廃を演じておきながら、エネルギーと農業とでしっかり権益を維持し続ける米国の戦略はあまりにも見事だ。そこに日本人の多くが気が付かない限り、日本の農業が回復することは決して有り得ない。
 「農業こそ命の柱」として支持されるべきである。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 17:25 | Comment(1) | 破棄処理中 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本の農業をダメにしたのは政治家が保護しすぎたためである。
与党も野党も票欲しさにアメを出しました。

米価を上げ固定資産税はタダ同然で又相続税は農業を継続すれば免除です。
農家は土地を売ることはありません。
農地が転用になれば大きな利益が出ます。
高い農地を買って農業を営む人はよほどおめでたい人です。
農地の流通価格に見合う固定資産税と相続税を懸けつことだと思います。
耕作放棄地が優良農地まで広がっている現状を見ると早く税金をかけて流通を図る必要があります。
公的土地取得以外は農地の転用を厳禁にすることです。
Posted by BB at 2010年10月24日 21:06
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