2011年12月25日

すべてを呑み込むコンテンツオンデマンド下克上の錦絵図

1-5)0
 書籍のデジタル化が進むと、中古本販売にはブツが回ってこなくなるので危機感を持つ必要がある。
 なにしろ、本を買う、DVDを買う人というのは、よほどの物好きで貯めた金をつぎ込むか、フツーに小遣いに困らない類の人だけだ。
 そしてそういう層の人ほど、新しい方に流れていくのがセオリーであるし、それゆえに換金にも躊躇しないわけである。そうなのだから、電子書籍がそういう層の人の間で一般化してしまえば、中古本屋の経営が成り立たなくなるのは日を経るよりも明らかだろう。
 そしてその兆候はすでに始まっている。
 ただ、いつの世においても換金商売の類が無くなるわけではないので、ウリを変えて行くのがセオリーだ。

 そこで、TSUTAYAではレンタルを中心に、新戦略としてTカードなるポイントサービスの共有を図っているようだが、それだけであれだけの規模に膨れあがったものが生き残れるかどうかはわからない。

 しかし今から述べることをTSUTAYAが実行しようものなら、ビル・ゲイツがOS市場を独占しちゃった時代の到来を彷彿させるレベルで凄いことが起こるだろう。
 なにせ、あのビル・ゲイツですら成せずに夢描いていたビデオオンデマンドならぬコンテンツオンデマンド社会の到来が現実味を帯びることになるからだ。

 まぁ理屈と戦略さえ分かれば、TSUTAYAを出し抜くことも可能だが、あの店舗数の存在は圧倒的な現物価値を有しているので、組んだ方が手っ取り早い‥そういう内容を含んでいる。

> それでも先に特許をゲッチュウした者の天下がそこにある!
> ちなみに当方では、それの開発をするノウハウはございませんのであしからず。


1-5)1
 今や、電子書籍の販売は、それぞれの企画や規約に基づいた版権管理や主導権争いの都合上、コンテンツのダウンロードに対して、互換性を有さず、それどころか支払った後のアフターケアもない。
 津波で本が流されたらそれも運命です‥的な扱いだ。
 つまり、コンテンツをダウンロードしておいた機器が使い物にならなくなってしまえば、それこそそれきりとなり、最悪、一から全部を再度集めるための労力と消費を余儀なくされているような、そんなお粗末な段階での市場環境の嵐が吹いているような状況だ。

 もしこのユーザー側の懸念を100%払拭できるとしたら、また、機器メーカー側にも、リスクの低い凡庸な生産が可能だとしたら‥それだけでも画期的なはずである。

 それともう一つ。

 今やデジタル化したテレビ録画の場合の課題として挙がるのが、著作権の管理の都合上、前に録画した番組を、新しく買い換えたテレビで見ようにも、同じメーカーを継続して選択しなければならない。
 なぜなら、機器(メーカー)ごとに異なるセキュリティーに対応できずに見ることができなくなるからだ。そういうお粗末が生じているのが現状である。
 つまり、仮にそれらの録画を別売りで買ったHDDに録画しておいたとしても、同じメーカーの機器を通して出ないと、セキュリティーに対応できずに見ることができなくなるという仕組みになってしまっているのだ。たとえそれを受け入れ、金をはたいてたとしても、HDDの故障ないし磁気記録が自然崩壊し始めればその時点で、お先真っ暗な点は同じである。
 そういう意味ではブルーレイディスクにはじめから記録した方が無難と言えるだろうか。

> 本であれば、先祖代々残ってきたのである。その実績がある。それが電子機器で成り立たないなどとは、笑いぐさでしかあるまい。


 今やコンテンツの数は肥大化しつつある。できることならネットからいつでも引き出せるような状態の方が、集める・保存しておくよりも「見る」という方向に意識が注がれるわけだから、数多くのコンテンツを手にとってもらいたい要望に適っている。

 だから、消費者目線で考えれば、それらの疑問符をすべて解決できてしまえるのであれば、してしまった方がいいし、その実現こそがコンテンツオンデマンド社会のスタンダードに相応しいとなるのである。

> では、どうするべきか?
> それが今回のお題である。
> べつにTSUTAYAなんて俺の生活感の中では、あってないようなもんだけど、抱えている問題点に共通点はあるので、考えてみたというか思いついちゃったってわけさ。



1-5)2
 そこで図書カードに注目してみた。そう、図書カードだ。図書館で本を借りると付いて回る、誰が借りているかを示すあの図書カードである。あれの電子化を考えてみた。

> では、イメージだ。
 コンビニで最大10冊までレンタル登録が可能の図書カードを買うと考えてみよう‥入りきらなくなったら上書きされて自動的に返却の扱いとなる。もしそれ以上を一度に借りたいならば電子図書カードを買い増せばいい。

 その図書カードには、勿論、電子書籍に関わらず、さまざまな電子コンテンツのレンタルが記録される。映像ファイル然り、音楽ファイル然りである。
 人によっては過去の音楽ファイルを百曲ぐらいまとめて聞いてみたいなんてケースもあるだろうから、値段に関わらず、もっと多くの数をレンタルできた方がいい。
 レンタルの記録と言っても、遡ってすべてを記録しておく必要はない。遡れるのにこしたことはないが、とりあえず重要なのは、今現時点でいくつのコンテンツを借りていて、毎月いくらの課金がされているかを示すことである。
 そういう意味では、電子図書カードのままの呼称は相応しくないので、ここではマイライブラリーカード、MLカードと呼んでおくとしよう。

> 断っておくが、何もそのMLカードを町中のTSUTAYAに行って使うのではない。ネット上でやり取りするための用意である。そしてレンタルから始めずとも購入もOKだ。しかしここでは、レンタルの概念を前提に話を進める。

 購入を前提にしてしまうと、何かと最低ラインの基準が設けられず、敷居が高く映りがちになるため、理解のし易さからしても、レンタル概念の方が呑みこみが早いと言える。
 レンタルならまずは10冊分の記入箇所さえあれば事足りるのである。
 慣れてくれば10冊では足りないとすぐにわかるだろう。それが購入しておきたいという意識の芽生えでもある。そうしたら、100冊登録可のMLカードを買えばいい。
 10冊登録のMLカードなら百円、100冊なら五百円、1000冊なら千円‥と言った具合に当然として値段はかさむが割安感もまとう感覚だ。

 ただし、MLカードに記録されるのは、自分の本棚に入れてあるタイトルをレンタルしているのか、購入しているのかの違いはあれど、私が契約したという認証だけとなる。
 ゆえに、別途支払い契約に必要なSIMカードの準備が必要となる。そのSIMカードを用意するための店舗にTSUTAYAのような全国どこでも24時間の店構えが圧倒的な強みとなるのである。この必要とされるSIMカードを、ここでは契約カードと呼んでおこう。
 ちなみ、肝心のデーター保存は別途HDD等の記録媒体を必要とする。

 仕組みとしては、契約カードとMLカードをテレビに挿して→リーグ制レンタルサイトにアクセツ→ユーザー登録→ダウンロード購入→別途に用意したHDD等に記録保管。

 つまり、目の前のテレビに差し込んだMLカードに登録してあるコンテンツだけが、テレビモニターに表示可とできるシステムだ。
 テレビはテレビとしてもちろん通常通りである。録画も通常通り、違うのは、オンデマンドの部分に対して契約カードとMLカードが求められる点である。

 例えば、友人からデーターをコピーもしくは借りてきて見ようにも、常にMLカードを差し込む必要があり、さらにはMLカードのレンタルもしくは購入の認証を逐一ネットを介して確認できるようになっていないと映像が画面に表示されないという仕組みだ。
 ちなみに、友人が自分のMLカードまでを友達に貸したとしても、SIMカードとの兼ね合いで、正規認証に通らない状態となる。
 それで、SIMカードまでも貸すかというとそんなことはない。そこまでお人好しだと、勝手なものを無断でレンタルされてたなんてことになりかねない。そんな友達のお馬鹿な課金の支払いをするハメになるぐらいなら、「それぐらい自分でなんとかしろ」なのである。
 その中でも最悪なのは紛失である。自分で紛失したのと友人が紛失したのとでは、意味が違う。まぁ登録されていたライブラリー分の全額返済で手を打つということは可能だろうが、手間も掛かるし、友情にも傷が付くというものだ。

 まぁそういうことだから、テレビと言ってみても、インターネットと完全に合体しているテレビということになる。人によっては、してやられたって感じになるのかもしれないが、時代の流れだからどうしようもない。
 これでインターネット普及率100%も現実味を帯びることになるはずだ。



1-5)3
> 認証と購入履歴の管理の流れは、次のような具合だ。

 認証カードは言わば携帯に挿して使っているSIMカードと同じだ。だから、その認証を集中管理している権利を有する事は、市場の支配を意味する。
 ここでは、その管理をTSUTAYAが握っていると仮定して話を進める。
 契約カードを挿していることで、ネット上に必要な身分証明等の書き込みを一切省くことが可能だ。間違い入力を避ける意味でもこれは外せない儀式だ。
 ゆえに、正規認証の一環としてまずはTSUTAYAに繋がることになる。
 ただし、ネット上でのレンタル事業までをTSUTAYAが独占してしまうのは大問題だろう。そこで、レンタルサイトリーグ制として入れ替えも有り得る要素を考えてみた。
 そもそもにおいて、テレビのような凡庸な機器で推奨されるようなサイトというのは、コンビニの棚に商品を置くのを競うような話となるのだから、それこそズラズラと登録されていても意味がない。テレビならではの選択肢で十分だろう。
 だから、コンビニの棚ならぬテレビの棚になるように、競争意識を保つようにした方が企業責任・信用としてのインパクトも出ると思う。
 無論、PC上からアクセスする場合であれば、そんな取り決めは必要ない。自己管理責任でやってもらえればいい。

 レンタルと購入の品目全記録はTSUTAYA側にのみ残る。レンタルサイト側には、各所でレンタルされた品目しか残らない。
 つまり、取引のすべてをTSUTAYAが請け負い、そのレンタルの逐次状況に応じてそれぞれのレンタルサイトと売り上げを折半する形になる。
 イメージとしては、TSUTAYAというネット上のレンタル店の中に、レンタル村がある感じだ。でも支払いするレジは一箇所にまとめられていると言った具合である。

 それに意味があるのかと言えば、それが独禁法だからだと言えばそれだけである。
 それに、それぞれで違うキャンペーンが行われていれば、ユーザーとしてはラッキーだろうし、一目瞭然でテレビ画面上で確認できればそれにこしたことはない。レンタルでありながら社会的な共有を得やすいと言えるだろうか‥。
 テレビならではのお茶の間感なのである。
 そもそもにおいて、鑑賞後どこかで、友達同士で同じ話題で話が盛り上がれなければ、どうしたってレンタル、もといオンデマンドがテレビを超えることには到らないのである。

 で、その記録というのを、SIMカードにもできないことはないが、どうしたって家族間でそれを共有することになれば無理がある。自分のお気に入りは自分だけで管理したいわけである。そういうわけだから、MLカードを分けて使う方が望ましいということだ。ダウンロードしたデーターとて同じである。
 まぁそうなると、携帯代金の明細を確認するように、明細を確認するためのアクセツができないと親としては実に困ったことになる。それの管理がバラバラでは不便なので、どうしたって一社にまとまっていた方がいいわけだ。
 だから独占権が悠然として生ずるわけである。そりゃ早い者勝ちだよね。TSUTAYAより先に特許を仕留めれば、そりゃTSUTAYAの店舗を代行会社にするための契約というケースも考えられるだろう。場合によっては携帯会社でもいい。でもノウハウで言ったら餅は餅屋だと思うな。

> まぁそれでも基本、管理会社には、自分の視聴履歴が残るわけだから、誰が何を借りているのかがまるわかりになるのは避けようがない。それも全国規模で‥これはもの凄いことだ。

 そういう意味で言えば、情報流出のリスクを少なくしておく意味において、どうしたってレンタルサイト側が確認できるのは、この番号のお客さんのメールアドレスはこれで、今おいくつで、アクセスポイントはどこどこで、性別は‥と言うぐらいの情報しか確認できないということになるかもしれないな。
 で、それでもそれが嫌なら、機器が壊れても保証がないままを選べばいい。ブルーレイディスク様々で行けばいいだろう。
 つまり、レンタルの恥はかきすてなのだ。



1-5)4
 たまーに、少しだけレンタルするだけなら、内蔵されたバックアップ容量だけでも事足りるだろう。足りなければ、その都度HDDとMLカードを買い増せばいい。

 当然ながらのサービスとして、レンタルは安い分、MLカードの登録からそのタイトルが消えるとダウンロードした該当データーも消えるのを本則とする。

 それが嫌なら、購入を選べばいい。仮にずるずるレンタルしていると支払料金が延滞金の如く上乗せさせる状況となる。まぁそうは言っても、課金のしすぎは全体でみれば、実際の売れすぎや人気度を曇らせるデーターしか得られなくなるお粗末に繋がるだけなので、一つのコンテンツ辺りのレンタルが長く続くようなら、販売想定価格に到達した段階で購入扱いにしてしまう扱いの方が親切である。
 ただし、ここではその扱いを推奨するが、実際のサービスとしての断定はできない。できないが、そのようにしても損はないという言い分を挙げておくとする。

 まず、何千冊、何万冊ものコンテンツをMLカードにレンタルしっぱなしと言う状況は有り得ない。仮にあるとすれば、よほどのヘビーユーザーであるという指摘だけが成り立つはずである。
 そんなヘビーユーザー様は、多分常時ネットに繋げっぱなしで、ありとあらゆるコンテンツのダウンロードにお熱を上げていることが予想される。
 まぁそういう話だから、そうでなくとも、その日帰って来てから見ようと思っているタイトルがあれば、ネットに接続させたまま仕事なり学校なりに出かけ、その間にダウンロードしておこうと考えるのが一般心理になる。
 サーバーの都合としても、その手のP2Pポイントを有効活用しない手はない。そうでもしないと瞬足でサーバーがダウンしまくる憂き目をみる事になる。それが、ヒット作の度に予想される回線の混雑だ。その混雑を避ける意味でも、レンタルサイトは複数あった方が良いのは述べるまでもない。

 それでも、既存の技術と人の心理の合間をうまく活用すれば回避率は高まる。

 なので、レンタルしっぱなし状態で、常時ネットに繋げっぱなしのユーザーのデーターは、P2Pポイントとして共有し合うべきことを認知していくことになるだろう。
 すると、その分のポイント還元サービスみたいなサービスの折り返しが必要とされることになる。だからその一貫として、販売想定価格に到達した段階で購入扱いとするのは、当然の流れになると思われる。
 どうせなら、本格的にP2Pポイント参加会員というのを募って、なんらかの優待制度なりを設けてやればいい。それは、サーバー側の不測の事態に対してのバックアップにできる。社会全体で見れば、P2Pポイント参加会員でないP2Pポイントのダウンロードは終わりしだい、自動で電源OFFにする機能の標準装備も可能にできるだろう。

 もっとも、エネルギー消費の視点から見て、ダウンロードのためだけに電力消費率UPを進めてしまうのでは意味がない。とはいえ、全体的な辻褄から見ればどうだろうか。

 実際の本の製本やDVD等の生産、梱包、搬送等に掛かるエネルギーコストとを比べてしまえば、電子生産=ダウンロードに使われる全体でのエネルギーにどれほどの差があるのかは定かではない。それでも、ゴミとして出される分の問題性までを合わせて論じれば、その辺で白黒はっきりすると思う。
 つまり、ゴミの出る量の少ない仕組みの方が圧倒的にエコロジーとの解釈になるのだ。
 ただし、古くなった機器のゴミの処理分もあるので、やはり一概には断定できないから、とことん節電するための機能や、全体での効率を推し量る必要は欠かせないのは言うまでもない。



1-5)5
> では最後に。

 テレビというフォーマット、タブレットというモニター自体の比率の規格はほぼ一律だから、新たにキンドルのような独自規格の機器を考える必要はない。
 MLカードの搭載される機器であれば、表示のさせ方や見せ方に関する差は、その手のフォーマットのアプリを自動でダウンロードする仕組みにしてしまえばいいからだ。

 つまり、サイトやカテゴリーごとに見せ方に関する規格が異なっていたとしても、呑み込んでしまえる点が挙げられるのだ。

 たとえば、近い将来、大型画面で雑誌や本を読むなんて状況にでもなれば、人気の表示規格の操作に合わせたリモコン等を別途販売すればいい。そんな状況を想定してしまえば、独自規格のハードに魅力が薄いのは一目瞭然だろう。

 そして、そこに現行規格のテレビでの表示に行き詰まりを感じたとすれば、業界全体で表示するための機器のスタンダードを検討すればいい。キレイなテレビだとか、大型画面だとか、どの方式だとかの類の発想ではなく、如何にレンタルしやすく、ダウンロードしたものが快適に活用しやすいかという、使い方の提案を差別化したテレビという発想だ。

 そういう意味で言えば、テレビ番組も先週分から、先月分からの枠で、順次即座にレンタル可能という時代も有り得るだろう。
 見逃しちゃったんだから、有料もしかたない。
 オンエアーは無料で録画できる。ただし録画データーの機器間の移動には、MLカードを必要とし、別途レンタル料金からの課金が求められるとすればどうだろう‥。その場合の支払いは、その番組のテレビチャンネルの会社の取り分で良いだろう。
 当然ながら、それだったらコマーシャルの混じらないデータを頭からレンタルした方がスッキリしていると思う人もぞろぞろ出てくることになるはずだ。
 HDDを買い増すのも馬鹿にならないと思えば、放送画質とネット画質に違いがあっても良い。その代わりコマーシャルを挟まないなどのメリットとデメリットを与えてやれば、改めてブルーレイディスクでの販売にも影響を与えないようにできるはずだ。
 肝心なのは見てもらう事なのだから。それが第一だ。

 つまり、テレビ番組の数の増加がもたらした視聴率低迷(人口も増えずに視聴者数は変わらないのだから、増えた番組数の数分だけ、視聴率も割り算になる物理現象)→広告効果減衰によるスポンサー離れ→結果の制作費削減のジレンマ、そこからの脱却を自ら手掛けた番組のレンタルという形でリターンを得られるという仕組みが登場するのである。
 それでも生き残れなければ、それこそ本当の不人気、低視聴率だったということになる。


 …そのようになるかもしれない。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 06:47 | Comment(0) | 目の付け所をナス | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。