発行権の所在はさておき‥
市場にある資本を奪い合うのが資本主義であり、
それの汁をすすり合うための公平的な手段として、
自助努力を強いるのが、競争原理である。
一般にこれを、
> 「自分の幸せは、自分で掴め」と解釈される。
そこに問題は無いにしても、
幸せの形はそれだけではないとする様々な選択支を選べないように仕向けているのもまた、
資本主義であり、市場主義であり、競争原理である。
1-4)1
自らの幸せを掴むために頑張る。
> 究極それは、誰かを踏み台にしてのし上がることを、自らに了承する選択である。
(商売してマージン取るんだからな。)
「皆が皆、それを選択するとどうなるか?」
ヒエラルキーが生まれる。
格差が生まれる。
幸せの形は、その頂上にしかないような錯覚を大衆が抱き始める。
勝ち組のその上にも、また勝ち組があり、
そこに猛烈な切望の眼差しと嫉妬が向けられる。
勝ち組は言う、「私が頑張った証だ」と‥
ちょっと礼儀正しいければ、「皆さんのお陰です」と‥
‥陰謀論的に言えば、出来レース。先祖に食わせてもらっている。
それでも、
勝ったご褒美としての成果は、当然にして本人たちの物であり、
それを手にして、我慢などできるはずもない。
‥むしろしてどうする。それでは経済が回ること自体が妄想だ。
1-4)2
ところが、その先が問題だ。
いくら競争しても、そこにある能力の差はもはや明らかである。
何をどんなに、手心を加えようとも、
カリスマは、それほど多くなくてかまわない。
ブランドだって、ほいほい出ても意味がない。
会話するにしたって、単語の数として求められるわかりやすさには限りがある。
‥ただでさえ、長い言葉を縮めるのだ。
発音の数以上の組み合わせ、ブランドの散乱なんて存在意味が無い。
> 会話の焦点を合わせるにしたって、誰もそんなに多趣味ではない。
早い話が、意識の許容の問題。
必要性の問題。
必要性を共用できる幅の広がり‥理解や知性、好奇心の問題。
単純に人生観なり、視野の限界の問題。
「幸せとは何か?」を考えたとき、
そこに起きている競争原理そのものが壁になるのだ。
競争原理のそれは、
幸せの形を、ありきたりな形式に置き換えるばかりで、
何ら、人々を創造的に豊かにはしない。
‥グローバル原理と言ってもいいだろう。
統合されることで、一に向かうばかりである。
‥基準はどこでもお金になる。
どれだけ有って、どれだけ使えるかだ。
何をしたいかを考えることもない頭の内から、
無駄にも、無味乾燥な金額への憧れだけが植え付けられる。
‥それを得るために頑張るのだ。
目的と手段のすり替えが起こる。
貧富の差に応じて、目的と手段がだんだんとすり替わっていく。
否否、夢や希望のすり減り具合と言うべきか‥
> そしてさらに、
豊かになったら成ったで、
幸せへの考えは、創造的ではなく、保守的になっていく。
上から順に、保守になれば成るほどに、
下から順に、不満が溜まってゆく。
不満が溜まれば溜まるほどに、治安は不安定化し、
幸せは、奪い合いにしかあれなくなる。
勝ちすぎても、憾みを買って嫌われる。
嫌われればそれだけ、幸せどころか命まで狙われかねないという矛盾。
‥競争原理とは、平和原理ではないから。
グローバル原理は、決して平和原理ではない。
1-4)3
どんなに頑張ってみても、誠実を尽くしても、認知度が低ければ、同じ扱い。
認知度を上げるための頑張りに目を向けないと味方も増えない。
するとまた、幸せへの考えはすり替わる。
> 他人以上の努力とは、認知されるための努力であって、機械的労働に汗することではない。
もちろん、
認知されることを望むことは、
それに比例した汗を、自らが流すことのそれを望むことでもある。
ところが多くの者は、それの加減をローカルにしか望んでいない。
‥にも関わらず、過当競争の結果、
その認知も汗も、削りようのないレベルに達しているのが、グローバル化である。
後退することが、悪であるかのように見られがちにあるのも、競争原理の問題点である。
人それぞれにおける好奇心の許容は、教養の幅にも左右される。
公平に教育を受ける機会が無いのに、全体での幸福が増幅するわけがない。
公平に医療を受ける機会が無いのに、全体での幸福が増幅するわけがない。
それだけの人材が確保されていないのに、幸福なんか創出されるわけがない。
育成され続ける人材を養うだけの市場規模などないのに、競争原理なんか成り立つわけがない。
> 幸せとは、自らに仕事を創出することである。
そのためにも、教育と健康は欠かせない。
‥なのに、それ自体が、目的になってすり替わっていく。
‥そこからまず努力せよと、そう言わんばかりだ。
1-4)4
「市場コントロールなんかしようとするな、教育と医療を無償で与えよ。
幸せを得ようと思えば、勝手に仕事を担うようになるだろう。
‥そうでなかったら、そのような主体性無き怠惰な日常を、決して幸せとは言うまい。」
「職業にするなかれ、共の幸せにすべし。」
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