自民党の憲法改正草案には天皇元首の文言が示されている。
しかし、元首としての中身になると、従来通りとばかりに何も示していない。
> 戦時における統帥権を持たざる者を国家の元首とは呼ばない。
> 内閣の罷免権を持たざる者を国家の元首とは呼ばない。
もし、この二つの権限を元首の立場を担うに必要であると示さないのなら、
そのような元首説は、それこそ天皇の権威を政争の具に担ぎ出しただけの、
旧来的で進展のない天皇傀儡憲法案と言える。
1-5)1
天皇を元首にし、多くの権限を天皇に戻すと、
それは誰が見るまでもなく、王政復古の臭いが漂い出す。
‥それはそれで、政治家も困ることになる。
> だから、自民党はそこの所を都合良く曖昧にし、
内閣を軍組織の中核に置くことをもっともだと示し、
その運営上における障害となる基本的人権項目を削除している。
実に、旧来的でおめでたいだけの幼稚な頭脳様々である。
「国家とは、外交上における玄関であり、金庫であり、それ以外の責務責任を有さない。
玄関と金庫だけを守るための軍組織の獲得。それこそが国家の独立である。」
‥と自民党政権は言いたげである。
アベノミクス→アホノミクス→アーミーノミクスである。
1-5)2
日本の国民性として、天皇を単なる象徴ではなく、
いつでも元首に据え戻すことに反対する文化的見解は存在しない。
‥しかし、天皇にしてみれば、首の回らなくなる話である。
だから、
天皇を元首に置くとするならば、
大統領制よろしくに、統帥権を担って頂き、
憲法九条精神の最後の砦になって頂くより他にない。
とまぁ、そこで、「幼少天皇が即位するような事態においてどうするのか?」
と言う意見も出ると思うが、
そこはもう、天皇家内々において多数決をして決めて頂くより他はない。
> で、次に、内閣の罷免権についてだが、
天皇自ら、アレは嫌いだからダメだというような中身の罷免権では困る。
それでは、国民選挙の意味が成り立たなくなる。
現状、天皇は多忙を極める立場ゆえ、結局は「良きに計らえ」の状況でしかない。
‥国民選挙で決まったことは、国王と言えでも、一度は呑んで任せるとするのが筋になる。
そして、
任せてみたものの、天皇自体の良心から外れ、よほどの逆鱗に触れた場合にのみ、
天皇は現行内閣に対して、罷免を発することができる。
並びに、外交上における強硬手段も辞さないという形が求められる。
ようするに、厳かな立場からの絶対的権威のあり方を意味することになる。
1-5)3
‥1-5)2の内容を主張し出すと、かなり物々しくなる。
それはそのままに、
「内閣とは、天皇に対して臣下の礼をとった家臣である。」
という文言として示されんばかりだからだ。
‥で、ありながら、
内閣は国民の選挙を通して決められる方式を採択する。
もちろん、内閣の罷免は、国民同士の中にもそれなりに備わっていて然るべきである。
それでも、それを上回るのが、天皇による鶴の一声とするのがここでの主張である。
> さて、次にやっかいになるのが、指揮権の所在である。
早い話が、天皇が司令官を任命するか、もしくは自ら指揮を担うかである。
何も必ずしも、天皇自らが軍事上の作戦指揮を担うのに適任という次第では無いように、
それは、内閣も同じことである。
かといって、
自衛隊もしくは防衛省の各長官と言えども、腹の据え所として、
改めて任命していただいた方が、気持ちとしてはすっきりする所だろう。
国民としても、選挙で決めるような案件に無いことも明らかだ。
それにしても、問題がある。
強権を発動するからには、節目を付けて頂く必要がある。
つまり、年号の更新である。そうすることで、
天皇としても、毎年のようにころころと年号を変えるというのもどうかという話になるわけで、
できれば、目の黒いうちは易々と変えたくないという気持ちにもなる。
もちろん、時代を変えたいとの思いで発動される分には、何ら問題では無い。
国民にしても、そこにメッセージを求めて当然になる。
それに対して天皇は、政としての元首方針を発言されれば良いだけのことだ。
> ただし、国民がその指針に対して賛同するかどうかはまた別の話。
> 天皇にしても、そこまではどうしようもない。それが基本的人権の意味合いでもある。
また、仮に、国民から「NO」を突きつけられて、
在位を次の者に譲るも譲らないも天皇の気持ち次第となる。
それが、王首民立主義における王の人権でもある。
1-5)4
陰謀論、裏社会。
言い方は様々だが、そもそもは民主主義を担ぎ出すための芝居だっただけで、
時代が下ると、資産階級は、すっかり血筋主義、伝統主義に陥り、
結局の所、民主主義が表の顔で、王権が裏側に回っているだけの形になっている。
芝居と言っても、フランス革命のそれは確かに陰謀で、
あの二人は、策略の下に強引に処刑されたようなものである。
> さて、ここにおいて天皇が、王首民立の名の下に日本国の元首に返り咲く時、
日本の軍事力は、さながら「北面の武士」に返り咲きと言ったところだろうか。
その上で、国連が天皇の王首民立を支持するならば、
それはそのままに、憲法九条の精神を国連共々に受け入れたと見て良きことだ。
その時、集団的自衛権とは、
確かに、それぞれの国王が、
自衛軍を創立して、世界の治安維持に向けて分担することを引き受けることを意味し、
戦争放棄を主旨としての同盟なのだから、戦争危機を煽るような茶番も必要なくなる。
> なぜ、このような形を唱えるのかに答えるなら、こう説明できる。
例えば、自分が宇宙からの使者で、地球文明と接触を図ろうと思った場合、
1)道徳的象徴の元首。
2)ペーパー権を牛耳った金融王。
3)軍事の統帥権を手にしている国家の責任者。
三つ巴と言わんばかりに、地球の現状は今やこんな状態だ。
その上、肝心の行政の責任者は、司法、立法の権限を持たずに、元首の立場としては怪しい。
「さて、あなたなら、誰に焦点を向けて接触を試みますか?」
答えは簡単だ。
俗に言われる、良い宇宙人なら、道徳的象徴に接触したいところだ、
しかし、してみたところで何になるだろうか、実に心許ない話である。
では、強固な科学力を背景に持った邪悪な宇宙人ならどうだろうか。
言わずとも、植民地化が目的だから、
めんどくさく有ろうとなかろうと、軍事の統帥権を手にした所から接触を図ることになる。
またそうでなく、それほどに科学力という背景が無い悪戯半分実験半分な半端な宇宙人なら、
どう考えても、金融王を動かすところから目論むのもおもしろいのかも知れない。
そういう風に、宇宙的視野で自分たちの政治体制を観察した場合、
どうしたって、まとまっておくべき所はまとまっておくべきであり、
押さえるところは押さえておかないと、
とんだ食わせ者に足を掬われかねないという話にだってなりかねない。
> そもそもにして、幕末の動乱こそが良い例じゃないのか?
1-5)5
ついでに、愛国心について申し上げておこう。
|悪政に愛国心の育まれようなどない。どこに国家があるのだ。
|だからこその民主社会。だからこその基本的人権。
|権利の上座にもおけない軍国体制方針への反骨精神者こそ愛国者である。
|愛国者であれ、国を守ろうなどと大義を背負うべからず、まずは一人一人を慮れよ。
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