改稿.2015/09/23...20140913...
> "強殖装甲ガイバー"の物語の最大の謎は、
「ガイバー・ユニットがどうして地上に残されていたのか?」に尽きる。
物語の骨格になっている降臨者の実験。
‥降臨者たちが作りだした人間のプロトタイプにガイバー・ユニットを殖装されてみたところ
自分たち降臨者側の存在を揺るがしかねない性能の発露に大あわてで計画を変更。
それは、大げさにも地球に巨大隕石を衝突させて人間を滅ぼすというやり方だった。
地球から降臨者側が立ち去る段階で、
アルカンフェルに、ユニット・リムーバーを使わせて殖装者からガイバーユニットを解除させている。
その時、「どうして、アルカンフェルと共にガイバーユニットを残していくだろうか?」
‥アルカンフェルに対しても、人間のプロトタイプ同様に危惧を抱いたはずだ。
(読み返してみて、そこの所が無性に気になった)
> 作者の高屋良樹がどう考えているのかは知らないが、
十五巻を境に、話のテンポがだいぶ違うことから、
「ガイバー・ユニットがどうして地上に残されていたのか?」という視点は、
今のところテーマとして扱われていないものと思われる。
そもそも
ガイバー・ユニットが、遺跡の中に
ユニット・リムーバーとセットで残されていたという痕跡が何を意味するかである。
その遺跡にしても、唯一生きている状態だった。
(生きているがゆえに、ゾアロードでさえ遺跡の内部には簡単には入れない構造)
‥ここに注目すれば、話の展開はもっとテンポ良く進められたはずである。
> 物語中でも、ガイバー・ユニットの発見は、
> アルカンフェルが休眠期で寝入っている時であった。
‥そのようなことから、細かい諸事情が先行し
かような遺跡がなぜあったのかに、アルカンフェル自身が疑問を抱くところがなかった。
作者もまた、ゾアロードの頂点に立つ神々しきイメージを描くことを優先し
アルカンフェルの戦闘能力の見せ方に始終しただけに留まった。
> その昔
自らの休眠期の時に、再び降臨者側が地上に舞い降りた痕跡としての謎かも知れないし、
そうでなく、始めから残されていたのなら、それこそ謎だ。
‥なぜなら、見捨てられたはずの自分たちが、
その頂点として誕生したアルカンフェル自らが、
ガイバー・ユニットを殖装することを望まれていると考えたっておかしくない。
(まぁ、実験の対象としてだろうけどね)
そうではなく、ただ単に置き忘れだったかも知れない。
もしくは、長き年月の経過の果てに、降臨者側の社会や権勢が様変わりしており、
地球に残してきた人間への関心が180度変針したという筋書きだって提案できることになる。
(それにしても、あれだけの隕石落下で人間が生き残ったと言うのも変な話だ)
(新しき人類がそこに登場していたことにアルカンフェルが気付いていなかったとか‥)
> そもそも
クロノスがガイバー側を掃討しても、
ガイバー側がクロノスを排除しても、降臨者なる存在が示された段階で、
"強殖装甲ガイバー"に、物語としての終わりを見いだせるかどうかには無理がある。
ならば、物語の焦点を
「ガイバー・ユニットはどうして地上に残されていたのか?」に絞る必要がある。
それは私たちの日常にも言えることだ。
「どうしてオーバー・テクノロジーなるものが地上に存在するのか?」
そこを考えずして、双方の勢力をあれこれ弄ってみても、玩具を弄る程度の面白みにしかあれない。
それは、競争し合うことを強いるだけの社会構造に、面白みのなさを抱くのと同じだ。
‥少年や青年の年齢だった者たちが、おっさんの年齢になって、読み返すとそこが尚更になる。
‥降臨者側の意図を示さない限り、物語の展開に納得など得られないのだ。