1-2)記稿.2014/11/14
法規社会だから法律の示すところを頭から正義であるとしてしまえば、
どうしたって、法規社会の水準から離れている個人を、弱者または悪として見ざるを得なくなる。
私たちの良心は、不思議と誰から教わったわけでもなく
その有り様に対してなんらかの防衛本能を発する。
1-2)1
> 法規社会の法とは、所詮、必要善でしかあれない性格を帯びている。
もし、本当に公平きりである法が在ったにせよ、その法しか選択肢が許されていなかったとしたら
世の中は行き詰まり、どうしようもなくなるだろう。
実際、村社会の行き詰まりという奴は、何を公平としていたかの許容の狭さであった。
ところが、その許容を一気に解き放ってやっても、
科学の進歩や肉体の変容と共に、想定された公平はいつしか崩れ、
特定の生活力を得た者に有利になるという悩ましき現実が突きつけらるのみである。
‥結果として、公平は維持されていないように見えるだろう。
(始めから公平にあれていないルール下であったなら、日々の修正は放置されるばかりだ)
完璧と言えるほどの公平を基に築き上げた自負があったにしても同じことである。
‥行き詰まりの原因に対処できなければ同じことだからだ。
> 結局の所、いろいろな価値観があり、何を優先させているかである。
それの選択肢がいくらでもあるというのが、地域性重視の利点であって、
中央集権化としてしまう方向性だけでは、どうしたって行き詰まりは目に見えているのだ。
‥それしか選択肢が無かった時代もあったにせよ、
時代の変容を受け入れずにいては、「法の確立を以てすべては決する」の思考のままでしかあれない。
(法に示してあることがすべてとの若造の誤りを、現場のベテランが私物化しているということだ)
「私たちは、法の柔軟性の無さや偏りに対して、防衛本能を発する存在である。」
1-2)2
法の偏りを頭ごなしに必要悪と断定することはできない。なぜなら‥
物事の善とは、所詮価値観の水準の違いであって、それで組み上げられている世界観だからだ。
そこに存在する人々がそれを尊んでいるのなら、それを尊重すべきである。
それの姿勢の無きところに誠実など生じようも無いのだ。
‥尊重できないというのなら、とりあえずその集まりには参加すべきでは無いと言うことだ。
> 宗教はとくにそれの対象を象徴とした世界観を有する。
宗教の教えも法、自分たち自治から見いだされた掟や条例も法だ。
さらには、神界の価値観というのもある。
‥生きながらにして神界の価値観のみに偏るばかりに何を見いだすのかはともかく、
見えない対象を各別に敬うとする姿勢もあるということだ。
それぞれの考え方を都合好く選択しているのが実際の所で、
‥私たち一人ひとりは、同じ法の定まりの間を渡っているわけではない。
それが、宇宙的に見て、長続きするための秘訣であるとするなら
私たちは何をもっとも尊重すべきかを形としてではなく、
その時の場の空気という奴を重んじるしかないということになろうか。
> 例えそれが、善に見えようと、悪に見えようと
単に、決めつけることも、思い込むことも‥油断ならない緊張感を与えるばかりだろう。
それを天国と思うか地獄と思うかは、それこそ、何を自らの法としているかでもある。
そうだ。
お互いに信じる方向が違うからこそ葛藤・争い・苦しみが生ずるのであり、法が必要となるのだ。
その役割はどうしたって、過半数が落ち着ける範囲でしかない性格を帯びるのだ。
‥だからこそ、どのような法であろうとも、自分の言い分を主張できないのでは意味が無いのである。
しかしその一方で、主張すべき姿勢と空気を読むべき姿勢との均衡が、
自らの立場を、必要善とすることも必要悪とすることもある。
‥多くの文化や風習を心得ることがその判断の器を大きくするのであるのだから、
自らよく調べもしていない内の、善悪の決めつけだけは避けるべきである。
> 裏返せば
判断の性急を避ける者は、自ら調べることを好まない都合や弱さを抱え持つ。
判断の性急を急ぐ者は、それこそ冤罪であったとしても構わないという内情や野心を抱え持つ。
‥適切な空気がやって来たというタイミングだけが、そこを疑われることなく的を射貫けようか。
なにも即決即断だけが、すべてにとって良いというわけではない。
(‥無論、調べていないのなら、そのタイミングに下すべきを下すには及ぶまい)
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