1-2)記稿.2015/07/25
「なぜ正義は少数精鋭なのか分かるか?」
それは、民衆の覚悟に大したところが無いからだ。
「なぜ悪が細切れにしか戦力を投入できていないのか分かるか?」
それは、民衆一人一人にとって注目すべきは身の回りのことでしかないからだ。
何を好きこのんで、お人好しにも他者の理想や野望に参加する必要があるだろうか。
> これは、民衆をその気にさせて、一つの目的に投入させる事が如何に大変かを物語る
つまり、正義と悪の拮抗とは
お互いにどれだけ民衆からの支持を得られているかの内訳でもある。
‥ゆえに、決着がいつまでも付かないのなら、お互いの支持に差が無いことの現れに他ならない。
正義をどんなに買いかぶってみても、民衆からの支持に悪とのその差が無い。それが真相だ。
否、民衆は正義も悪も支持などしていない。
支持すべきは、自分勝手な都合ばかりである。
民衆の自分勝手な都合の比率が、概ね似通うなら正義なり悪なりの所業もまた拮抗するということだ。
‥斯様な有り様の中に、民主主義を持ち出しても何の役にも立つまい。
(民衆自らが、お互い自分勝手に繰り返す平和や幸福への妄想からして夢のまた夢でしかない)
(否定と肯定が拮抗していれば、問答無用でゼロサムゲームにしかならない)
(‥だからこそ民主主義だとしても、そう主張する者ほど斬新なアイデアを持てていない)
(‥とどのつまり、先送りするばかりを「民主的な寛容」とでも表現するのだろう)
(結果、浮かばれる者と浮かばれない者の固定化を胎み、その割合に変化もまた生じず見えてこない)
(‥統計的に何の変動も見られないということは、実は最低無力な成果を意味する)
1-2)1
> ではなぜ、正義が悪より多少なりとも勝っているように見えるのだろうか?
否、必ずしも正義が圧倒的に勝っているという事実は無い。
悪は自分の得に成らないことはしない。ゆえにその引き時も早い。
どちらかと言えば、その粘りゆえに深追いしがちなのは正義を気取る方である。
(‥結果的に正義は、正義漢ながらなことをするので、却って危険度が増し大怪我をする)
(‥怪我を押して頑張る姿を以て、ますます自らのモチベーションを描き出すのが流れだ)
> 人の意識の中には、組織に尽くすことは曲がりなりにも善であるとの認識がある
悲しいかな。ゆえに正義も悪も混濁として見え、誰しもは心の中でそれの霧中にはまり込む。
気がつけば、言われるままに動くことの方が間違いが少ないと思って‥そんな感じに生きる者も多い。
‥そのような場合、自分が切り捨てられない限り組織は正義であり、義理を感じるばかりだろう。
> 正義が正義たるように見えるのは、自らに抱く熱き思いに実直な姿勢に依るものだ
今時の表現において、正義感を熱く述べる作品はそぞろになった。
‥それは表現者自らの中に、熱き想いを欠くからだ。
悪の方針は、ライバルの打倒が相場だ。
しかし肝心のライバルは始めからいたわけではない。
‥その者らが独自に目論むくわだてゆえに、正義はそれの阻止を掲げて登場するに至った。
その邪魔立てゆえに、互いの間には「ライバルの排除を当面の方針とする」‥に変わったのだ。
‥でも、悪はいつの間にか、自らの目的を着々と進めていたりする。(ある意味、天晴れな邁進)
その一方で
一つ一つの戦いの勝利に酔いしれ、
とくにそれ以上の目的を掲げず終いに落ちるのは、どちらかと言えば正義を気取る方だったりする。
‥そして、悪を排除さえすれば良いと、格好ばかりに落ちるのもまた、正義を気取る方だったりだ。
正義がピンチになりがちなのは、悪が先手を繰り出してくる事への無警戒に因るところが多い。
‥ようするに侮りだ。
常に正義が、そこに落ち込んでからでないと、自らの真価を発揮しないというのは
筋書きのパターンとして、かなり恥ずかしいことだという理解が薄い。
まぁそれも見せ場とも個性たる所以とも言えるが、常在戦場なら即死に至るのが実際だ。
(敵を知ることもまた後学のための好奇心‥しかしそんなキャラはよほどの達人か命知らずかだ)
‥経済競争に見られる危機感の薄さに生ぬるさを感じるのなら
その者の本質の中には、
「生死を賭けなずして成し得ることなど一つも無し」の理解を宿していることになる。
その反対に、
経済競争のお墨付きでもある法なりマニュアルなり人事関係さえ弄ればどうにでもなると思うなら
その者の本質の中には、命懸けで何かをするという理解に遠い。
(‥どんな奴が雑魚キャラ&やられキャラかと言えば、後者である)
(‥さらに、その手の台詞を自らが堂々と口にしていたとすれば、最悪この上ない)
> そうだ、理屈からすれば、ミイラ取りのつもりでミイラになっている
悪の阻止だけを目的にすると、却ってその者はいつの間にか、悪の論理の中にしか存在しなくなる。
だから
悪でありながら、自らの熱き想いを実直に語る悪の総裁は、正義以上に頑強な組織を構築する。
‥通常それらは、単に狂気としてでしか扱われることがないが、それはそれでおかしな感覚だ。
なぜなら、悪の組織とて‥なぜ組織として維持できているかについて、語らず終いにあるからだ。
それはまた
正義を気取るだけで、
正義のなんたるかを真摯に受け止めず、自らを鍛え上げるということへの執着すら持たない正義が
キャラ立てとばかりに単に個人プレイに走るばかりなら、悪以下とも言える所業を意味する。
‥後々的に、人としての成長なり覚悟を見せるようになったならいざ知らず
‥ずっとそのままなら、ただのなんちゃってのヤバいだけのキャラにしか見えない。
> 正義と悪のその辺の辻褄に、より確かな日常感を求めるのなら
其は企業経営なり村組織そのものに思いを巡らすことになる。
それが相克ゆえのリアリティというものだ。
‥そしてこう思うことになる。
「民衆は、社会や村に、それほど多くを期待しているわけでは無い」と。
言うならば、自分勝手な都合や予定が、その期待を裏切らずに成り立てば好いだけだ。
よく言えば自立には旺盛だ。悪く言えば無関心にある。
それ以上に期待や熱意があるなら、その者は目的を同じくする組織に参加すれば良きことだ。
‥しかし資本主義は
利益にしか注目せず、肝心要の組織としての主体性が二の次にしか見えてこない。
それではお互いに、得する方にしか付こうとしないのだから至極当然な結果しかもたらさない。
とどのつまり、社会自体に方針も主体性も無きに等しい。それは不自由な社会像である。
1-2)2
> 正義と悪を表現する上において重要なのは
民衆の希求する度合いや理解度の水準の設定にある。
世界観の水準が陳腐だと、正義と悪の水準も大した事物に成り切らず、描けていない結果に終わる。
それはそのままに、作者の理解水準そのものに見なされる。
‥作者にも日々目指すところがないと、正義も悪も陳腐な勢いにしかならない。
老いたなどとの戯れ言は、成功した者が目指すところを見失った結果の勘違いである。
まるっきり見えてこないのなら、始めから望むところがなかったか、それこそ尽きたのだろう。
そこには老いもなければ若さもあるまい。それはそれで貴重なことだ。
‥その貴重さが分からないままなら、周りとの差ばかりが気になって仕方なしと言ったところか。
> 正義としてすべきことが見当たらなくなった‥
それはそれで、望ましきことだ。
だが、其に気がつかず、無理に正義のままを突き進もうとすれば、悪を呼ぶばかりだ。
‥真の正義として、立ちはだかり根源を倒したのなら、どこに悪が再び登場するというのだろうか?
(少なくとも、目の黒いうちに中二病の如き望むべきことではない)
仮にも、さっそうと悪が再び登場したのなら、正義の本質に至らなかったというだけになる。
(‥それはそれで、情けない話じゃないか)
(もはや正義としての資格など無いと言ったところだろう。当人としてはそう恥ずべきことだ)
(その辺‥どう解釈して見せようとしているのかでもある)
(‥少なくとも、そこから至るべき成長を見逃しているようでは、糞としか言いようがない)
(‥人生に於いてそうなら尚更なことである)
(挽回しようとして猪突猛進しても、狙いが皆無なら、ただ血の気の多い悪鬼にしか見えまい)
> 平和に於いて如何にして生きるか?
正義が正義として全うするには、そこの哲学が無いとしまりに欠くことになる。
北斗の拳を見て見ろ、
イチゴ味だかなんだか知らないが、俺ならケンシロウのさらにその後を見てみたい。
‥しかし、作者はその辺の度量に欠くようだ。実に意外な事だ。
(北斗の拳イチゴ味の対象に、成長なんぞ見られたものではない)
(あんなのは血の気の多さが抜けて、多少ユーモアになっただけだ、本質は何も変わってなどいない)
(それらがそういうものであるにせよ、陳腐な類いである点に変わりはない)
(なのに‥イケイケに成りだしてその気が知れない。どうせならケンシロウのその後だろう)
(血生臭いだけのヒーローがどうなったのか‥俺としては、ケンシロウはただの中二病的厄神だ)
(悲しみを背負ってるとか偉そうなことを言いまくったんだから、ちゃんとその後までを描くべき)
(それこそ‥ただのアメリカンドリーム的実現に、成功したらウハウハの南斗の覇王気分てか‥)
(原作者のヒーロー像とは、再び恋人を失って放浪するだけのヘタレでも満足ってことなのか?)
(悲しみを背負うとは、そんな自己中な内面性をお人好しにも自己解決できないことを言うのか?)
(ケンシロウがあんな尻切れ蜻蛉では、そんな風にしか見えてこない。頼むから何とかしてくれ)
(‥成功の果てに、原作者の頭の中はサウザー的ウハウハだけだったなんて落ちでは、納得できん)
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