2015年09月30日

【ネタ文学】北斗の拳中二病 - 02

1-4)記稿.2015/09/30

> アイデアが幾分続いてあるのでまぁ書いておこう。


 ちなみに、これは二次創作だしするから、
 登場するキャラは、最初の占い師の婆さん以外、既存キャラの名前と顔を振ることとする。
 まぁその辺、無理に考え込む必要もないし、お約束で十分かと‥

 ※ ケンシロウは占い師の婆さんの秘薬で十歳に若返りました‥という内容のお話。
 理由は、人付き合いの下手なケンシロウが伝承者を得られず、自分が若返る道を選んだという筋。



1-4)1

 頃合いは夕方近くにあった。以前のような近代的な暮らしぶりには以前遠く、
 人々の暮らしに、電気の活用はまだ復活していなかった。
 仕事の多くは、夕方近くになると切り上げなければならない。
 大きなまさかりを肩に担いで歩くその大男は、一日の仕事を終え、いつものように家路を辿っていた。

 大男が、自分の家の近くに来ると、何やら聞き慣れない大泣きの声が聞こえてきた。
 大男はふと思った。「なんだなんだ?、リンのやつ遂に迷子を連れてきたのか‥」

 その大男の家は、仕事の都合から、近隣の村から離れた場所に一軒だけポツンとあった。
 大男の仕事は木こりである。家からほど近い森の木々を伐採して生計を立てていた。
 あの壊滅的な核戦争の事件以来、早五十幾年の年月が過ぎたものの、
 未だ人口は回復する兆しを見せずに、木々の生長ばかりが早かった。
 だから木を伐採するのに、山にまで分け入るほどの必要になかった。
 むしろ山林の道は消えており、切り出すにしてもまず道を切り開かなければならない状況にあった。
 また、山林のあちこちには盗賊の類いの者らが、どこを根城にしているのか分からない危険があった。



1-4)2

 大男が家の前に来ると、ケンシロウの泣いている後ろ姿が目に入った。
 出迎えているわけではないにしても、その手前向こうには、妻と娘の姿もあった。

 大男には、目の前の少年がどうして泣いているのかに検討が付かなかったが、
 おんぼろな身なりの少年の事情を察する程度の理解はあった。

 「どうしただわらず、お前どこから来たんだ?」大男は後ろから、ケンシロウに声を掛けてみた。

 ケンシロウはその気配と声に、おもむろに振り向くとその相手の大きさにとても驚いた。
 でもその顔をよくのぞいて見てみると、その顔は明らかにフドウそのものだった。

 ‥驚いている端から、「お父さんお帰りなさい♪」のリンの声が耳に入った。

 ケンシロウは思わず振り返った。
 そしてユリアの顔をちらっと確認した。そこには、記憶に懐かしい顔が‥
 その昔自分に向けられていた微笑みがその大男に向けられてあった。
 まぁ夫婦だから当然だし、当然なんだろうが、ケンシロウはちょっぴり残念な自分を感じた。
 そのせいか、涙でボロボロだったその顔には、荒野を歩いてきた男の顔をすっかり戻していた。

 挨拶の返事をしようと、ケンシロウが再びフドウの方を振り返った時、
 満面の笑顔でお互いの無事をよろこぶフドウの顔がそこにあった。
 そのフドウを見上げるケンシロウの表情は、先ほどとは打って変わり無表情だった。

 ケンシロウのその表情の変わりように、フドウは、どことなくそら恐ろしい感覚を覚えた。
 でもまぁワケあり事情の少年には付き物だろうと、その場は気にしないようにした。


 ケンシロウは、さっきの現場と同じように挨拶を始めた。
 「俺はケンシロウ、あの山の向こうからやって来た。途中出た山賊どもは俺が倒した。」
 ‥ケンシロウは、目の前のフドウ顔の大男がどんな反応をするのかを試してそう言ったのだった。

 その返事にフドウとユリアは、動揺しないと言えば嘘だったが、いたって大らかに構えることにした。
 なぜなら、リンが家に連れてくる小動物には今までだって差し障りがなかったからだ。
 それに、その時間はとてもユーモアだった。今回だって同じになるだろうとの期待もあった。

 ‥でも、リンが我が家に人を連れてきたのは今回がはじめてだった。
 そこにケンシロウのこの自己紹介だった。どうなるかなんてまるでわからない雲行きを案じた。



1-4)3

 「ほう、それは大変だったな。まぁわしの家でゆっくりしていけばいいさ。」
 「リンはな、話し相手が欲しくなるとな、怪我した小動物を見つけてはよく家に連れてくるんだよ。」
 「仲良くして貰えるとこちらも助かるな。なんならずっと居たって良い、よろしくなケンシロウ。」

 フドウはそう言いながら、
 まさかりを降ろして、身をかがめ、ケンシロウの頭をポンと撫でて微笑んだ。

 ケンシロウは、そのフドウの姿に呆気に取られた。
 無表情を見せていたその顔には、いつの間にか照れくさそうな笑みが戻っていた。
 ‥フドウ顔の大男もどうやら、フドウそのものとそっくりそのままだとケンシロウは思った。

 ケンシロウのその表情の変化を確認すると、フドウは立ち上がり、ユリアの方に近寄っていった。

 「ママ、今日の夕飯はなんだい?」
 「今日はね、パイを焼いたのよ♪」
 「パイか‥久しぶりだな、パイの中身はなんだい?」
 「中身はねぇ、まだお楽しみよ♪」
 「ふ〜ん、お楽しみかぁ、それは楽しみだなぁ♪」

 ケンシロウは、フドウとユリア夫婦のにやけた会話を、何気なしに魅入ったが、
 ふと気がつけば、リンの姿が無かった。いつの間にか、家の中に入ってしまったようだった。


 (もう、お父さんてば、ケンに余計なこと言わなくて良いのに‥まったくもう)
 家の中には、恥ずかしそうにそう思うリンが隠れるように台所にいた。

 リンは普段から家事の手伝いをしている。未だ学校は機能しておらずそれはどこも同じだった。
 リンの家は村から外れており、時折、遊び相手欲しさに出かけていく。
 ケンシロウを見かける事になったのも、そんなたまたまの折り重なりからだった。



1-4)4

 フドウがすっかり家の中に入っていくと、そこには束の間のユリアとケンシロウとの対峙が訪れた。

 ケンシロウは、なんとなくどうして良いか分からない様子で突っ立つばかりだったが、
 ユリアの方から声が上がった。

 「ケンシロウもいらっしゃい、夕飯にするわよ♪」
 そのユリアの一声に、半分大人が雑じっているケンシロウは、思わず子供のように駆けだしていた。
 ‥できればこの時間に身をうずめたい‥ケンシロウはそんな思いを抱きだしていた。

 しかし

 ケンシロウはそうすんなりとは行かない事情を自ら一番にやらかしてしまっていた。
 さてさて、この先どうなるやら・・
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:58 | Comment(0) | ネタ文学 | 更新情報をチェックする
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