改稿.2016/05/11...20160414...
|茂り狂う緑にどっかり雲の峯 注げり暑さに揺らぐみち
外も暑かった。
日中に家で勉強ばかりしていたせいもあっただろうか‥
凸激には自分の体の感覚が、どこか鈍っているように思えた。
‥歩いているのもしんどく思えて来てもどかしかった。
|へとへとす木陰に退避 日なた見る‥あんなにまっしろ 気分まっくろ‥
これは何か相当にヤバいのではないのかと思うと
凸激は栄養補給が必要だと思い、久しぶりに駄菓子屋に行くことにした。
「そういえば、かき氷があったよな‥」
‥今こそ食うべきだ!
食わずに夏を通り過ごしては、楓姉からも後で何を言われるか分かったものではない。
|蝉やかましや氷シャリシャリかきこんで染みわたる夏の涼
駄菓子屋に着くと
凸激は一番高い宇治抹茶金時を注文した。
「なんだよ、かき氷食うのかよ」楓がそうツッコんで、さほど経たずして‥
凸激が二杯目を注文した。
同じ物を注文するそのパターンに、楓はいつになく呆れた。
そして、また同じかき氷の三杯目を凸激が注文すると‥
「大丈夫なのか?」
「なにが?」
「いや、その腹の方だよ、いくら何でも普通、三杯はイカねぇだろう」
「又、後で寄るのも悪くないけどさ、腹も減ったからそのついで」
凸激はその日から外を歩くようにした。
‥さすがに、太陽に弱いなどという自分の身に起きてしまったその感覚が気に入らなかったのだ。
|夏空に憎いほどまっすぐ向日葵のじりじり迫る盛り丈
凸激が時間を決めて、夏の外を歩き始めるようになると
いろいろと欲が出て来た。
‥考えてみれば、越して来たここら山里の夏を堪能しないのではもったいないのだった。
|掻きむしる夏にあぐねて飛び込めばザッパンと川に涼しさ跳ねる
肌もだいぶ黒々としてきた。
暑さにも慣れだすと、羽目を外して川の流れに飛び込んでも見たくなる
凸激にしてもそこは変わらなかった。
|ヒグラシの夕暮れ綾なす帰り道 すっかり残照灼くる余韻
気がつけば、外をぶらぶらしている時間も長くなっていた。
自分の体調が充実感に満ちてきていて、凸激にはゴキゲンだった。
|すがすがし昇る光で息を吸い 夏に挑まん再びの朝
|絶好調そうめん啜る勢いのツルリと喉ごし夏の昼
こうなると、自分のペースというのが充実してくる。
食欲も湧いてきて、あれほどに暑苦しく感じられていた家での学習にも集中力が戻っていた。
|「沈むのか‥」遥かに消ゆる熱き日よ 背影立ちたる思い余りぬ
それとなく自分なりの景色のベストポジションを探すように
凸激は、夕暮れ時を狙って足を運ぶようにした。
‥その暮れていく‥
この日一日の夏の夕日を見送りながら、凸激は思うのだった。
今日もまた暑かったが、乗り越えられる自分が居てこそ、夏は味わい深くなるのだと。
|夏休みけふで終わりぞ月並みの宿題放棄も備え良し
|「待ってろよッ」残念教師の居眠りの退治に挑まん鼻の息
‥いよいよだった。
凸激にとってのこの夏の志はとりあえず成ったようだった。さてどうなるやら。
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