2016年04月25日

【二次創作】のんのんびより 25 今年で廃校かもの巻(完)

↓2)改稿.2016/05/17...20160425...

 次の日の朝、
 れんげがいつも通り元気よくバス停に来たものの、にゃんぱすーに反応が返って来なかった。
 ‥見れば、凸激が考える人になっていた。電子辞書も手にしていなかった。


 「どうしたのん?
  とっつん、とっつん、起きてるのん?
  どうしてそんなに朝から固まってるのん?」

 「ああ、れんげか、おはよう‥
  今朝方に見た夢が、随分とショッキングだったんだよ
  ‥それからずっと考えてるんだ」
 「ほほう、それでどんな夢だったんですのん?」

 「いいか、れんげ、聞いておどろけ
  今年で旭丘分校が廃校になります‥という夢だった」

 「なんですとーん‥☆
  昨日あんなに頑張ろうって気になったんに‥なんでまた、そんな展開になるん
  とっつん、そこをもっと具体的に‥」



1-2)1

 その時の凸激の様子は、どうにもらしくない様だった。
 ‥いつものシャッキとした感じがまったくなく、目がどんよりと泳いでいた。
 ‥相当にショックな夢だったらしい。それだけにれんげも気になった。


 「ああ‥夢に出て来たのは、
  なんだか教育委員会って感じの人の集まりの場面でさ
  とにかく今年、小学生が入ってこなかったら、小学校は廃校になるだろう
  そこで、中学校だけの存続に予算を回す必要があるのかどうかで始まってさ
  中にはさ、男女一人ずつになる状況を教育上の問題として揶揄する声も上がっててさ
  ‥そこで
  俺たちの学力の高さに目を付けて、併合してしまった方が良いですなって話で進んでた・・」

 「学力の高さって、ウチらそんなに優秀なのん?」
 「何言ってんだよ、れんげだってこないだ英検4級取っただろうが
  小5でのそれを優秀って言わずに何を優秀って言うんだよ」
 「それって、そんなにすごいことだったん‥
  とっつんはこないだ3級受けてスピーキングで落ちてたんな、それでもすごいのんか?」
 「何言ってんだよ、英検3級は中学英語課程の修了を意味するんだぞ
  あん時は、スゲー悔しかったけど、今考えると、落ちてて良かったんだと思う‥」



 ※ 2016年度から、英検4級&5級でもスピーキングテストが始まりまーす。
 この話としては、全級必須になったことで3級でのスピーキングをスルーせずの筋立てっす。



 「じゃ、なにん、次回は受けないのん?」

 「仮に夢だったとしても、しばらく様子見した方が良いだろうな‥

  せっかくさぁ、この春には、中学課程の学習を終えられそうだから
  あとは呑気に、自習学習時間を半分そっちのけで学級菜園の拡張に手間を掛けつつ
  高校課程をほじほじやりながら、中学3年間を面白可笑しくやってやろうって思ってたのに‥
  番狂わせも良いところだぜ(くそっ)」


 「ねん?、とっつん
  どうして、成績優秀だと、併合になってしまうのん?」

 「そんなの大人の事情に決まってるだろう‥
  優秀な生徒を如何にして、上の進学校に送り出せたかってのが
  その学校の、学年の、先生らの実績に絡んでくるんだろう

  ‥夢の中ではそんな空気だったな‥
  小学校の内から英語を理解できているなんてそりゃ、目を付けられるってわけだろうさ」

 「へえ・・そういうものなんな‥」


 「で、そしたら、その後はどうなるのん?ウチら」

 「‥どうなるって
  ここからは通えないから、どこか下宿か寮ぐらしというパターンになるだろうな
  そうなろうものなら、ここでの暮らしは軽く10年はお預けになっちまうって話だぞ‥れんげ」
 「なん☆10年も‥
  どうしてそうなるん??」
 「どうしてって、れんげは大学行く予定はないのか?
  行く気があるなら、そりゃ、中学3年高校3年大学4年で、軽く10年だろうに
  下手すりゃ、そのまま‥ここでの暮らしともお別れかもな」


 「じゃ、かず姉はどうなるのん?」

 「え、かず先生か‥

  まぁどう考えても普通の学校じゃ無理だろうからさ
  どっかの分校に配属されるのが流れだと思うぞ」
 「どっかって、どこん?」
 「知らねー
  それこそ配属先でそのまま10年20年のパターンかもな」

 「・・・それじゃ、家族バラバラになってしまうん

  ウチの畑仕事もかず姉居なくなったらたいへんなのん
  ‥誰が手伝うのんな‥
  ひか姉にしたって、帰ってくる気ないみたいなんな‥

  そんな教育委員会とかの都合で、
  ウチらの家庭がバラバラにされてしまいますのんは
  納得行きません。勉強なら、ここでも十分にできますん‥」


 「・・とっつん、どうにかならないのん?
  元はと言えば、とっつんが蒔いた種みたいなもんなんなー」

 「れんげ‥お前さ、自分の優秀さを勘定に入れてないだろう」
 「能ある鷹は爪を隠しておけばそれでよかったのんな
  表にさらしたんは、とっつんも同然なのん」

 「(チッ)・・・
  とにかく事の発端は、小学生が居ないと言うところにある
  だから、小学生が来るようにお願いするしかないだろうな‥」
 「お願いっていったら、もはや、神頼みしかないーん」

 「それじゃ、れんげ、お百度参りでもするか?」

 「お百度参りん‥そこまでしないとだめなのん?」
 「何言ってんだよ、百度で済むなら安上がりだろうが
  学校帰りに、一日三回まわれば、たかが一ヶ月程度だろう」

 「かず姉は参加させなくてもいいのん?」
 「あ、え、かず先生は‥
  出直してこいの指摘を神様から申し付けられかねないからな
  その辺面倒くさそうだし、無しで良いだろう」

 「‥それもそうなん、わかったん
  今日から早速、学校終わったら、そのまま帰りに二人で神社に通うのんな」

 「え、そのままかよ‥

 (れんげはランドセル背負ったまんまだな、俺‥学服か、
  まぁ‥そっちの方がアピール度高そうかもな
  ランドセル無かったら、それはそれで違って見えて来そうだもんな)

  一旦帰ってから、出掛け直すのも面倒だし、まぁいいか‥」


|‥何やらむつまじき神社通い生徒二人で願う分校存続



1-2)2

 ー それからして、六月の頃 ー


 一穂に、奇妙な電話での問い合わせが一件ほどあった。
 それは
 「そちらの学校では、飛び級学習ができるとかできないとか本当でしょうか?」
 ‥というものだった。

 どこから聞きつけたのだろうか?‥一穂は不思議に思ったが、

 まずは、旭丘分校の事情から説明した。
 その上で、学習への理解が進んでいるようなら
 その子の習熟度に合わせることもできるが、基本は本人次第であり、
 公立の学校と同じく、こちらから積極的に飛び級を推進している程ではないという由の断りをして、
 その電話での問い合わせを終えた。

 ‥飛び級が前提での問い合わせ。なんだかまた嵐になりそうな予感がした。
 相手方の話しぶりでは、どうにも対象のその子は小学生らしい。
 しかも、勉強はできるけど並苦らしい。


 しかしまぁ‥凸激の夢が正夢だったとばかりに
 上からのお達しが届いていた一穂としては、これは御の字になりそうだった。


 それから数日後、一穂に、小学三年生の転入の報が届いた。

 ‥即決できるとは、それなりに羽振り良さげな家庭の子が来るらしい。
 ‥しかもこげなへんぴな片田舎に、並苦の選択肢としてはありなのだろう。
 ‥事の成り行きなど、この際どうでも良く、それはまさに救いの神だった。


 それはそうと、一穂は、れんげと凸激にも急いで報告した。


 「みんなーよろこべ、たった今、転入生の知らせが入ったよ」

 「かず先生、それ本当かよ!?」
 「かず姉、それ小学生なのん?」
 「そうだよ、小学三年生が来るんだよ
  ふぇ‥本当によかったよ、これで首がつながったよ」

 「それで、先生さぁ
  どんな奴が来るんだよ、どこまでわかってるんですか?」

 「それがさぁ、以前に問い合わせのあったお母さんの感じだと
  その子に飛び級学習させたい様子だったんだよね
  どうしてそのことを知ってるのか聞きたかったんだけどさ
  ご機嫌損ねるのもアレかなって、そう思って‥聞かんかったよ

  ‥でも、飛び級させたいなんて誰かさんみたいな話だよね」


 「へぇ、それってもしかして俺のことを指してんの?」
 「とっつんに決まってるん、他に誰が居るのん?」

 「え、でも、今頃だろう‥
  どっから情報が漏れるんだよ
  うちの母ちゃん父ちゃんにしたってそんなの自慢しねぇし
  ここらの人だって、そこまでは知らないはずだろう?」

 「そうだよね、ウチだってそんなんわざわざ喋らんし‥
  話す必要も無いからね、どこから広まったんだろうね?」


 「あ、もしかして、ほたるんなー?」

 「そうか、そういう流れか!‥
  ほたる姉の話を聞いたクラスメイトの誰かが、その話をまた誰かに話して
  その父兄の耳に入ったとかな‥」

 「そうか‥そうだね、そういうことになりそうだね
  そういうことなら、そんなに身構えなくても良さそうだね
  いやぁ、どんだけ教育ママさんかなって思って緊張だったけど
  藁をも掴むって流れなら、なんとかなりそうだよ‥うんうん」


 「かず先生、それどういう意味なんですか?」

 「いやぁ、その子なんでも並苦なんだって、だから
  無理にあれこれ‥来る気が無くなるような刺激を与えないようにしておくれよ」


 「並苦の小学三年生か‥
  まぁこれで無事、俺の学級農園三昧の日常がやって来るってわけだな(しめしめ)
  そりゃ、大事に扱わないとな‥いやぁ、やる気出てきたぜ」

 「どんな子が来るんかなん‥ウチとしてはれんげ姉とか呼ばれてみたいのんな」


|感謝しに友と来たれり再びの神社に拝顔「ありがとう」



 ‥完。ありがとうございました。m(_ _)m
posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:54 | Comment(0) | ネタ文学 | 更新情報をチェックする
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