↓3)記稿.2016/06/08
「あれから三週間ね、代替案ぐらい三日で考えてきなさいよ」
「お言葉ですがキューティ様、アイデアはその日のうちに思いついたのですが
思いついた勢いで、少々作る方に手間が掛かってしまいまして
このようにお待たせしてしまう次第になりました、申し訳ございません‥」
「・・・ちょっとボディ今なんて言ったの?」
「はい、ですから
思いついたアイデアを実際の形に作り上げるのに手間取ってしまったものですから
三週間もお待たせしてしまいました‥」
「嫌だわぁー、あなたって思い立ったら突っ走っちゃうタイプだったのね
このわたしに相談を介さないでいきなり予算を注ぎ込んじゃうなんて
夫婦生活じゃ妻を泣かせるタイプよね
あなたが考えたというそのアイデアが糞で、却下された時はどうする気だったのよ
今後からは自重しなさいよね」
「申し訳ございません、ですが、僕
普段から、思い立ったらすぐ作ってみちゃうタイプなんですよ
ですからついつい作る方に夢中になってしまいまして‥」
「へぇ、そうなの、手先が器用なことは立派な事ね
でも作る方に夢中になっちゃうのって、恋愛で言ったら自爆発言よ
彼女のことも忘れるぐらい夢中になっちゃうなんて下らなさすぎるパターンね
でも、まぁこれは試験課題でもあるから熱意の表れとして受け止めといてあげる
それじゃ見せてちょうだい
手先が器用だったにせよ、出来上がって来たものが糞だったら
それこそ無駄ってわけだけど」
「えへへ、では早速」
(な、なによそのにやけた顔は‥変なモノ出してきたら承知しないんだからね)
1-3)1
ボディはまずバッグから、お祭りで使われる青水玉のはっぴを取り出した。
はっぴをぱらりと垂らして広げるとその裏側を、さも自慢げにキューティの方に向けて見せた。
はっぴの背中の真ん中には、ピンクの桃の図が描かれていた。
はっぴを見せたかと思うと、それをそのまま自分で着込み、今度は
ピンク一色のサテン生地の鉢巻きを取り出して、頭に巻き付けた。
その鉢巻きは応援団が用いるように太くて長かった。
ボディのアイデアはまだ続いているらしくなにやら取り出して
下に置かれてあった竿にそれを通していた、どうにも幟らしい‥
それが持ち上がると、幟には黒地に白抜き文字で「大好き♥」と書いてあるのがよく見えた。
1-3)2
「如何でしょうか?キューティ様
これならどこから見ても変態には見えませんし
付き人としても地味すぎず派手すぎず手頃かと思います‥」
「あなた器用ね、それ本当に全部自分で作ったの?」
「はい、さすがに幟は発注しましたが
はっぴはもらってきたモノに桃の図をプリントしまして
鉢巻きは自分で縫いました‥」
「へぇ、そうなの、大した出来映えね
でも、聞くけど、どうしてもっとこう大好き感を一杯に出さなかったの?
そういう意味では地味よね」
「そこは勿論、主役はあくまでキューティ様であって、僕ではございませんから
ほどほどになるよう試行錯誤してこうなりました」
「ふーんそう、わかってるようね
それにしても、その竿の色はなーに、どうせなら黒で統一しときなさいよ」
「申し訳ございません、気がつきませんでした」
「まぁいいわ
それじゃボディ、明日から三日間
朝一番に校門の前にその格好で立って、わたしを出迎えなさいよ
そこで、改めて懇願の芝居をするのね」
「え?・・キューティ様それってどういうことですか?」
「・・・あなたってつくづく
全体の中での立ち位置ってのを前提にモノを考えるのが鈍いのね
いいこと!
長いお付き合いがしたかったら
それこそ、あなたがその格好でわたしのあとに付いてきても自然に見えるようにする必要があるのよ
ステップアップするにしたってね、わたしまでがただの変わり者に見えて来るようでは困るのよ
それにはどうしたって、涙を誘う芝居が最も簡潔でわかりやすいでしょ
わたしが懇願するあなたを二度追い払って、三度目に『勝手にすればいいでしょ』って言って
始めて周りからの偏見を払拭した無理のない空気をつかみ取れるのよ‥
‥まぁ、そんな感じよね、精精頑張りなさい」
1-3)3
「ええッ、ぼく演技なんて自信ないですよ
それに、そんなに上手く行くもんなんですか?」
「‥知らないわよそんなの
そもそも、その格好のウケがまわりから見て思わしくなかったら沈没よね
空気が悪そうだったら、わたしも切るしかないからね
そこはもう運というか、あなたの意気込み次第というか
少なくともわたしがかばってやる必要なんかこれっぽっちも無い所だし‥
もう一度聞くけど
あなたはわたしとどうしたいの?
そのわたしとの距離は今どのぐらいなの?」
「はぁ、僕はキューティ様と付き合いたくって
キューティ様は、今はまだ恋とかって気分では無いので
どちらかというと無理にお願いしている立場です
距離としてもまだまだただのクラスメイトの間柄でしかありません」
「そうよ!
あなたの気持ちを汲んで、こうして細々と始めてんのよ
普通ならこの状況自体が有り得ない事よね
それにここまで来たらやるんでしょ‥」
「も、もちろん‥です、やらせて頂きます」orz
「やぁねぇ‥ボディ、なに凹んでるよ
まったくしょうがないわね
それじゃ、上手く行ったら、ただの僕から
親衛隊にぐらいには格上げしてあげても良いわよ」
「‥本当ですか?」
「表向きにもそう言っとくのが無難でしょ
だから、あなたもね、『親衛隊にして下さい』って云々で演技するのよ
わかった?」
「はい、キューティ様、了解しました」
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