2016年06月26日

【ネタ文学】僕と書いてしもべと読むその心は?07

↓2)記稿.2016/06/26

「‥なんだよ、保谷木の奴、あっさりとやってのけたな」
「そうだよな、俺はてっきり泥論場による凄まじい保谷木のOTLが拝めると思ったのによ
 あの口ぶりじゃ、あと一人集まれば、親衛隊OKみたいじゃん‥」
「でも、一週間以内に集めないとやっぱりOTLだな」

「ちぇ、なんかものたりねぇな、もう教室行こうぜ」‥ぞろぞろ


「おい保谷木、明日から一週間その格好で
 メガホン片手に泥論場親衛隊 隊員募集の看板持ちやるんだろう?
 ‥明日の朝か、楽しみだぁ」
「保谷木、期待してるからなッ」‥ぞろぞろ


「‥それにしてもさ、泥論場どうよ?
 なんか、意外とあっさりOKしてくれた感じの流れだったよな」
「そうだよな、自分からダメって言わなくてもさ
 無理難題を条件に出して、ハイさよならって、ありゃ‥かぐや姫だぜ」

「なるほど、そうか、かぐや姫か‥言われてみればそうだぜ」

「だよな‥親衛隊志願にしても、告白にしてもさ
 条件提示してくれりゃ、直にダメ押しされるよりは、なんぼか気が楽かもな」
「‥だな
 相手の条件提示のセンス次第じゃ、その先の付き合いぶりってのも推し量れるってもんだし」


「‥でも、条件付けたのに試練通過して
 まさかの展開にでもなったら、それはそれで、こじれそうな空気だな」
「いや、それはそれで、お互いの性格が丸出しになるところだから、べつに好いんじゃねっ」


「ほうほう、そうなると、まさかの展開の泥論場のあわてぶりって奴も見てみてぇな」
「あっ、俺もどちらかっつうとそっちの方が見たいかも」

「じゃ、お前らで即行入隊してやれよ」
「それは無理’s(キッパリ)」‥あはははは




「(・・聞こえてるんですけど)、みんな‥好き放題云ってくれちゃってます
 でもいいんです、無理強いはできません。
 その代わりに何気にアイデアを頂きましたし、
 今のうちに看板持ちの看板のデザインを考えておかないと‥

 (‥一週間先の心配なんかしちゃいられませんのですッ!)」



1-2)1

あれほど、面白そうに保谷木の周りに居た同級生男子どもも
事が終わり、さっさっと教室に引き上げていった。
その背中を保谷木がぼっちムードに見送り、余韻ながらにブツブツ考え込み始めようとした矢先に
保谷木の背中の方から、声を掛けて来た者がいた。


「はようさん、3組の保谷木はん、それ、朝から好い格好してますな」


保谷木がその声に、後ろを振り返ってみると
その声の主は、以前にクラスメートだったことのある2組の屯津良つとむだった。

‥屯津良つとむ(とんづらつとむ)は
学年でもいちにのチビで、小太り、ゴリラヅラの三重苦だった。
でもその代わりと云ってはなんだが、学校一の金持ちのボンボンとしても知られていた。


「あ・・おはよう、屯津良くん」


保谷木が返事を返すのもそこそこに、屯津良がスマホを翳してこう言った。


「保谷木はん、その格好、撮ってもええかい?」

「‥別に断るまでも無いと思うよ」
「さよか、ほな遠慮なく撮らせてもらうわ」


その屯津良の撮り方がなんだか少しマニアックだった。
保谷木‥当人の格好を撮ると言うよりは、それぞれの部分に注目しているようだった。
鉢巻き・はっぴ・幟と、その箇所それぞれを細かく観察するかのように撮っていた。


「屯津良くんさ、せっかくだから、この格好の僕でも一枚撮ってよ」

「ええよ、ほいなら撮るで、ポーズ決めてや
 ・・あ、もう、保谷木はんなにしとるんや、カメラの前に顔を近づけたらアカンがな」

「いや、なんかさ、屯津良くんさっきから
 はっぴに幟のアップばかり撮ってるでしょ、僕のアップも撮って欲しいなと思ってさ」

「なら、二枚撮ったるわ、撮るのじゃましちゃアカンがな」



1-2)2

‥ひとしきり撮り終わると屯津良が訊いてきた。

「なぁ保谷木くん‥そのはっぴに幟どこで注文したんねん?
 今後の参考に教えてや、なにでググればええんや?」


これもまた別に断る意味も無かったので
保谷木は、屯津良のスマホを一緒にのぞき込みながら
自分が参考にしたサイトを教えてやった。

一通り聞き終わると、屯津良は満足したのか、その場を後にしようと教室へと歩きはじめた。

そのにんまりとした屯津良の表情を、ふと見て何気に思い立ち、
時間も時間になってるし、保谷木も屯津良の後を追いかけるように声を掛けて呼び止めた。


「ねぇ屯津良くん、あのさ、
 ‥よかったら、泥論場マリカ親衛隊に入らない?」

「泥論場マリカって、保谷木くんと同じ3組の泥論場マリカはん・・?」
「そうですよ、その泥論場マリカさんの親衛隊を結成しようと思って
 さっき、本人にお願いしてみたんだけど、一週間以内にあと一人は揃えろって言われまして‥
 是非、どうですかね?」

「う〜ん・・・・
 悪い話やないんやけど、わいとしても男として通さなぁあかん筋がありますさかいに
 今は、この話は聞かなかったことにしといてんか」


屯津良はそういうとその場を別れていった。


「あれ、なんだろう?
 屯津良くん‥なんか手応えありそうに、腕まで組んで思案げだったな
 でも、あんな風に断られると、またお願いするのもやりにくな‥
 ‥まぁしょうがないか・・」
posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:20 | Comment(0) | ネタ文学 | 更新情報をチェックする
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