2016年07月14日

【プレバト】夏の海とバス、俺も詠んでみた

向宜詠吟.2016/07/14

|青に映ゆ海久しくてバス帰省
|待つ人や海恋し友バス停で
|はや夕凪か‥バス道ほっつき喋る友
|夜の浜、友と涼むも明日はバス



> うた詠み終わります、ありがとうございました。



稚草.2016/07/15

 はや夕凪か‥
 是の意味するところは、たまたま田舎に帰ってきたら
 バス停付近で友に会い、それはそれでうれしかったのだが、
 そいつが暇にも、すっかり掴まっちまって、夕方になっており
 話したいことも大方落ち着いた頃合いでも、相方は、ちっとも放してくれず
 ‥帰るに帰れない状況。 

 ちなみに、沖縄県人は、遅刻の常習のわりには、遊びに来ると帰らない口なんサー。

 浜田舎のバス道と言えば、メインストリート。
 他に行く所もないしするから、その辺でだべり出したら止まらないという感じか‥
 ‥まぁ暑すぎたらそうでもないのだろうから、まずまずの晴れだったんだろうね。



手直し.2016/07/15

|父病みて逸る心に夏の雲  柴田理恵
|病む父へ逸る心や夏の雲  手直し(夏井いつき)


 父が病んでいるのは、慢性なのか急性なのか‥そこが曖昧。
 「病む父へ」と切り返した手直しは、なるほどと思えるが、
 「逸る心」とそのままでは、どちらかと言えば「父事故る」「父倒れ」の雰囲気だろう。
 ‥離れて暮らしてるのに四六時中心配してる気持ちを大げさに前に出すのはどうしたって嘘くさい。
 ‥そんなに心配なら一緒に暮らせば好いじゃないかとのキライが生じてくる。

 だいたい

 そこに見えてる夏の雲とは、どんな雲やねんとの曖昧もまたどうにも悩ましい。
 ‥通常「夏の雲」と言ったら、何かしたいぜ願望丸出しの空気感だろう。
 ‥そう考えると、そこに託された夏の雲には、もっと野暮ったい生活感が引っかかってきてしまい
 ‥忙しい中、顔を見に行かなくちゃ的なゴタゴタ含みの煩いの一部分にも見えてしまうのだ。


↓ ということで、お題に沿って詠むならこうだ。


|病む父の顔見に帰る夏のバス


 ‥こうすると
 時間が急に空いて都合着いたんで、高速バスに飛び乗りましたの感じが出てくる。
 (それにしても海がどこにもにゃ)




|窓の外青の境を探す夏  朝比奈彩
|青空と海の境を探す夏  手直し(夏井いつき)


 ‥言わずとも「窓の外」では、どんな窓から見てるのかがさっぱり
 だからといって、青の境に注目してそこを具体的にと手直ししても
 この詠みの詩情が、空っきしになってしまう。
 いつも思うが、そこまで平気な顔でいじれるってのは、詩人と言うより只の国語の先生だ。

 詩の詩情を為してる大事を、平気にもいじくり直したツラを見る度にほんと腹立たしいわい。


↓‥ということでこうなる


|夏浜や青の境を追いし旅


 ‥まぁ、バスの乗り継ぎというよりバイクだな。
 青の境を自分探しに重ねる意味なんてねぇし、頭空っぽにして追っかけてみたいだけだろう。

 妄想で詠んでんだからさ、より空想を膨らませないと平凡のままよ。
 アイデアの第一印象として出てくる単語なんてそんなもん。
 俳句ほど文字を交換して楽しむのが乙なんだからさ、言葉に酔ったらそこまでよ。

 文字の羅列に酔うほどに感じ入ったなら、そこを型にしてキッチリとハメないとさ‥
 ‥文字を交換しても意味が通らなかったら糞よ。詩情を空っぽにしちまうのはもっと糞。




|潮香りバスで浮き輪と胸膨らむ  千原ジュニア
|潮香るバスに膨らませる浮き輪  手直し(夏井いつき)


 ‥ああ、これもそうだよな。糞のような手直しの見本のパターン。
 「潮香るバス」って何?‥そんなん詠むなら「磯走るバス」とかだろう。
 「バスに膨らませる浮き輪」って、お風呂の方のバスっすか?

 ‥渋滞に巻き込まれて、海に到着したのが夜遅かったので、
 海近い宿から漂ってくる潮の香るお風呂の中で
 浮き輪を膨らませるだけ膨らませて気分を盛り上げて明日に備えましたとさ‥

 「先生、↑その手直しは、ハッキリ言ってアウトやと思いますん!」


|磯走るバスから海見え‥もう浮き輪‥  (第三者視線)
|潮香り浮き輪吹き込む夏の車中  (本人わくわく視線)





|深き青はやる手押さえ夏至日かな  A.B.C-Z五関
|夏至の海青し降車のボタン押す  手直し(夏井いつき)


 「どこに降車ボタンって書いてあるんだよ」
 ‥だからといって、押してないのに「押す」って・・押しちまったんですか?先生!!

 詠み手の心情は、まだ押してないはずでは‥

 (‥ヤレヤレだぜ‥夏ばて気味な手直しもいいところだな)
 (そこはもうついでで、「押したし」で良いでしょうに‥どうせやっつけなんすから)


 是は、言いたいことを詰め込みすぎて、季語が見えてこないパターン。
 ‥詠み手も俳句が初めてだと断っている。

↓‥ここはコドモ気分を詠もうとするだけでなく、オトナ気分も混ぜてしまいましょう。

|海見えてバス止めたくもバス涼し


 ‥それにしても
 バスを止めたい気持ちに、推定年齢的な予測が成り立ちにくい‥どんなんガキ心情なんすか?
 だからといって「バス降りたくも」と呼んでは、
 車酔いなんですか?‥とのツッコミにもなりかねない。

 いくらそういう気持ちをノリで思ったにせよ
 季語を拾ってくるのに骨が折れるぐらいなら、題材にしない方が無難。
 ‥裏を返せば、季語と心情とが寄り添うように状況を導き表すのがコツ。




|故郷の干物ゆらめく溽暑かな  犬山紙子


 ※溽暑【じょくしょ】湿気が多くてむし暑いこと。


 「先生、これ直しは?」
 「直す所は一か所もない、お見事!」‥なのに72点。なんじゃそりゃ??




|日雷 バスのブレーキ キーと鳴る  東国原英夫
|日雷 バスのブレーキ 鳴る路面  手直し(夏井いつき)


 「これは落雷したんですかね?どうなんですかね?」

 ‥まったく解りません。詠み手もそこまで踏み込んで語っておりません。

 ブレーキ音をどう表すかで「鳴る路面」と手直しを入れておりますが、
 どうせなら、「焦げし路面」「危機し路面」などにして、字余りでもより詳細に表すべき。

 ‥その辺のツッコミを先生自らが見せず
 ‥せっかく自らの口から、ブレーキ痕が‥と吐いてるのに、そこに気がつかないのでは
 何を以て攻めてるなどと宣ってんでしょうかね。それこそ理想を描いて失敗してる口である。


↓‥そういうわけで並べて見ましょうか。

|日雷、バスもブレーキ危機し路上(2016/07/16)路面→路上


 まぁ、こうすると、
 ヤバいほど近くに落雷を受けて、まわりの交通車両がぜんぶ一旦停止したように見えてきます。
 ブレーキ音も倍々に聞こえてきて、より音で攻めた感が伝わって来るでしょう。


> そもそも、どうしてバス一台だけの光景に思い描いてしまってるんでしょうかね。


 雷が落ちてるんだから、そんな雷とバス一台のワンツーワンなんか‥
 映画のワンシーンとして考えても夜になっちまうでしょうに、日雷なんすから昼なんすよ。
 ‥それとも、詠み手の視点は、それを通りすがりの通行人で見ていただけなんすかね。

 それにしたって、バス車両が一台なわけねぇし、そんなのど田舎の交通事情っすよ。

 ど田舎ともなれば、ブレーキ音の一つや二つを気に留めんでしょうに。
 ‥どちらかと言えば、雷オンリーで、今のヤバかったなで終了っすよ。
 ‥それを見ていた通りすがりが、是と思って一句詠みましたなどと来ては不謹慎でしかない。
 ‥しかも落雷した車両を尻目に、ニヤニヤと構想立てて詠んでましたなんてのは尚更だ。


> こういう死亡事故に繋がりかねないような場面を詠む時は


 それこそ、詠み手一人だけの視点で詠もうなんてのはおこがましいのだから
 ‥全体観をしっかりと織り込むべきである。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:28 | Comment(0) | プレバト俳句 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。