2016年09月09日

【勝手句帳】012 28-9-2 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2016/09/09...20160908...

|ぶらんこに残る気配やかくれんぼ  焼津市・浜風句会


 目の付け所が面白いですが、無季ですね。
 ‥では、季語が入るように頑張ってみましょうか。

|ぶらんこに残る気配や秋の暮れ
|ぶらんこに残る気配や秋夕焼け

 阿呆の一つ覚えに上げてみましたが、どうにも「かくれんぼ」ほどの魅力を感じられません。
 では今度は、「残る気配や」をパクって冬に変えてみましょうか。


|かまくらに残るほっこり皆の声


 なかなか好いですね。
 ‥こんな感じでぶらんこもどうにかリスペクトしてみたいところです。
 ‥とりあえず、ぶらんこを削ってかくれんぼを残してみましょうか。


|秋里に残る気配やかくれんぼ


 動物たちが冬に備えてすっかり隠れてしまった感じが好いですね。
 ‥なるほど、「かくれんぼ」にはそんな余韻が隠れていたんですね。


|ブランコに残る気配や花ひとひら


 ‥なるほどなるほど、こんな感じにするとよろしいわけですか。
 「花ひとひら」‥様々な記憶を誘う仕掛けが「かくれんぼ」と同じにおいです。(やったー!)

 まさに侘びと寂びの極みのような花ひとひらです。(千利休もにんまりするはずです)

 ‥でも写真にしたら
 刈田と同じでショボいんでしょうね。お茶のもてなしでも解って貰えそうにないと。
 (そこの違いが詩情かと)

 (俺だったら、茶の器を別々にして白湯を注いで花ひとひらを浮かべて差し出してみようかな)
 (‥問題は器かあ)



1-5)1

|ソーダ水一気飲みせる部活の子  焼津市・浜風句会


 「飲みせる」‥飲んで見せるを縮めて中七に収めるなかなかの工夫。良いと思います。
 ですが、「部活の子」
 ‥なんかよく見かけますが、何というのかこれが好かん。これは不足でしょう。

 小学生なら小学生、中学生なら中学生、野球部員なら野球部員、陸上部なら陸上部、
 アスリートならアスリートとしっかり書けば良いと思います。


 もっとも適しているのは、「夏帽子」に「夏少年」なんだとおもいますが、
 ‥ソーダ水が季語ですからね、どうしたってかち合ってしまいます、そこをどう整えるかです。
 ‥工夫の余地はまだまだあるというわけですよね。


|ヤカン水一気飲みせる陸上部
|駄菓子屋で一気飲みせる麦わら帽
|海の家一気飲みせる客の列
|ペット水一気飲みせる夏少女


 ‥他人の句を尻目に、自分なりの好みとこだわりを思い描くのも発想と切り替えの大事です。
 (もっともそこに挑んでいるのは、イス取りゲームにも初登頂狙いそのものです)
 (できれば完成度を満たして味わいたい)



|水一杯飲んで出て行く夏帽子
   沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|溜池の一本の杭 鬼蜻蜒
      焼津市・浜風句会
|虫網に掬っちゃリリース夏写真
|駆け回り生きるよろこびし吹く汗


 ※ 後半の二句はこちらで足してみました。



1-5)2

|富士蒼く夕風青田吹き撫でつ  静岡市・船越俳句会


 最近になってようやく青田という言葉の響きと時節との意味合いを掴んだ感じです。
 ‥「田んぼなんて全部青いじゃん」その期間のどこを青田と言うべきかが今ひとつ「?」でした。

 昭和の青田と平成の青田には明らかに時期のずれを感じます。
 (‥青田買いのことではありません、田んぼにおける青田の時節のことです)


 ‥今や温暖化の影響から
 夏場に水を抜いてやり過ごし、初秋に入ってから水を入れても十分に稔ってしまうのですから。
 つまり、この水を抜いても稲がダメにならない成長の度合いを「青田」と表現していたと。


 この感覚に準えて言えば、青田買いとは、水さえ注げばあとは稔るはずとの期待を掛けた言葉です。
 その水とは、しっかりとした社員教育であって、
 即現場に投入して、経験を積めばあとは育つだろうのスタンスではありませんでした。
 ‥その辺も昭和と平成で随分と違うようですね。(これも鏡似性なんでしょうか?)


> そこで、じゃ、二毛作をすれば好いだろうと考えるのですが


 日本の高温多雨の夏場では、一毛作の稲刈りのあとに稲をしっかりと干すことが成り立ちません。
 それでなくても近年の夏場の気候はどのように変動するのかまったく予想が立ちません。
 ‥是は、二毛作目の田植えの時期の想定が難しいことを意味します。

 ならば、一毛作にもとっとと切り上げて、二毛作には別の作物を育てれば好いのかも知れませんが
 それにしても、農家ごと又は農協ごとに稲乾燥機を用意でもしない限り、品質を保てません。
 (減反政策も足枷ですけどね)


|富士拝み青田を拝む通学路


 ‥なんというのか、古風な味わい。


|若風や青田を撫でつすがすがし拓く青空担うこの道
|信長や青田率ひつあらあらし拓くいくさば担ふ戦国
|秀吉や青田束ねつこがね染む拓くざんまい担ふ斜陽
|家康や青田と共にたんたんと拓くひのもと担ふ太平


 発句にヒントを得て
 ‥ホトトギスでなく、戦国の三方を青田で詠んでみました。



1-5)3

|世の変化速くて夏至の暮早し  静岡市・船越俳句会


 ‥これはこれは、またとない目の付け所。馳走だな。

 それにしても、「はやい」の使いどころと季語がマッチしていない。
 その夏至って運気絶頂を言いたいんでしょ、でも夏至の暮れは一番に日長なんだよ。わかってる?
 その絶頂の味わいが短いって意味なんだろうけど、足りてません。
 ‥速いと早いを並べて満足しても足りんでしょ。


|世の変化はやくて斜陽と朽ちる蝉  倒産
|世の変化はやくて斜陽に群れる蟻  M&A
|世の変化はやくて一気にのぼる鯉  起業成功(無季)
|世の変化はやくて一気にちぎれ雲  リストラ又は炎上(無季)


 ‥とまぁ、このテーマには相対的な流れが複雑にありまして
 はやいと言っても、それが誰かには有り難かったりするわけです。
 一句で決めようだなんて、所詮、足りないわけですな。


|一句では成り立たぬや魅力うつつ世の味わい多しおもてうら
|競争と独り頑張るゴール見て落つしらんぷり朽つしらんぷり
|しらんぷりしつづけ競争煽る世の懲りずに夢とすべり社会
|自助努力お互い様も日頃から皆で飢えてりゃ成り立たず
|一番に上が飢えてるまつりごとハッキリ言ってそりゃダメだ
|まず先に与える天と地かえりみて、与えて人道 育って仁義
|まず先に奪う資本社会と決別し、自由と共生おしはかれ
|これでもかこれでもかと頑張るか、これでもかこれでもかと味わうか
|頑張れば日々常に缶詰なり世間を知らずに前もなし
|生きる知恵 世間の次第を識れる折、湧き出す情も欲もあり  (るる訂正:2016/11/27)



1-5)4

|緑陰や地にゆらいでる風の道  静岡市・船越俳句会


 ‥なんかこう、手を加えてみたくなる余韻。
 とくに「風の道」がやっつけ感ありありで、弄ってみたいのだが難しい。


|緑陰やゆらがる大地の逃げ所   リスペクト(上五に添ってみた)
|灼陽や地にゆらいでる湧くる雲  リスペクト(中七に添ってみた)
|滝沫や口伝うながす風の道    リスペクト(座五に添ってみた)


 ‥それぞれの涼しさを求めるイメージが、渾然として詠み込まれてる感じか。

 ※滝沫【ろうまつ】‥滝を【ろう】と読ませる熟語がまったくないのだが‥
 ‥やっぱり、昔は「たる」と「たき」を使い分けていたのかなと。


|緑陰や地にゆらいでる白日昼  (2016/09/09)


 ‥なるほど白日昼【はくびちゅう】か。
 (日陰から見ると日向がまっ白に見える程の炎天下)

 ‥って、二重季語じゃねぇぁか。
 それにしてもだ‥
 夕向凸激のあの短歌を縮めるとこうなると,こうなるのか‥こうなっちゃうと。
 (これはネタになっちゃう展開だな、よし、小説のネタにしよう。ごっつあんです)



1-5)5

|昼餉あと昼寝つい深くなりたる  掛川市・南郷桔梗句会
|昼餉あと昼寝つい不覚夕餉かな  手直し1
|昼餉あと昼寝うとうと昼ドラマ  手直し2


 もしかして、「深く」は「不覚」に引っかけてるの?
 ‥逆に攻めた方が時間の経過を表現できたのに。(手直し1)
 ‥手直し2は旦那には見せたくない場面。(ちゃんと詠んで告白せい)



> うた詠みおわります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:33 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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