2016年09月16日

【勝手句帳】016 28-9-16 静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2016/09/16

|坂の上に昼の月あり墓参り  掛川市・鴟尾の会


 ‥なんとまぁ、たまたまなのか印象深き光景です。


|つづら坂 息をはずませ昼の月
|上にいた彼ぼんやりと昼の月
|昼の月、お目々ふさいで誰でせう?
|闇に映ゆ月はキミだと手をのぞく


 ‥少女マンガでも見たことねぇな。性格が折り合わないと拝めない場面。
 (あれはラブコメでは無いが、どことなく、たまゆらの匂いがしているなと)



1-4)1

|強き陽も向日葵咲くや泰然と   静岡市・木蘭吟社

|泰然と届かぬばかりひまわり背


 「泰然」の響きを考えたら、育ち方が尋常にないんでしょうね。
 ギネス記録更新‥なんて向日葵のサイズでも詠もうとしたんでしょうかね。
 ‥まぁそうなら、手直しでも間に合ってないんでしょうけどね。(2m級程度を想定)


|ひまわり背 二階を越して天下立ち




|住む人の無き庭侘し夏の草   静岡市・木蘭吟社

|住む人の無き家喰らう雑木闇


 草どころか木が生えてきて家を乗っ取ってる光景は凄まじいモノですが、
 是が意外と気がつかないモノで、それにしても光合成をどこで都合付けてるんでしょうかね?
 木なら尚更に日向で育つはずなのに
 ‥近所で見るアレは、家を乗っ取る勢いで、家の内側から生えてきたようにしか見えてません。


 雑木闇【ぞうきやみ】‥夏雑草でも夏雑木でもピンと来ないので雑木闇にしてみました。



1-4)2

|うっそうと夏草茂る過疎の村   静岡市・木蘭吟社

|うっそうと夏草おおう過疎の  手直し1(恥価値観目線)
|あちこちに夏草目立つ村の気配  手直し2(高齢化過疎化の兆候)
|もうもうと夏草刈らず人さどこ  手直し3(もはや限界集落か)


 「うっそうと夏草」とまで攻めれば、「茂る」は余計です。ここで一息ついて捻るべきです。
 捻ることでまた閃きも新たとなり、前後の解釈の差や着眼にも気がつくことでしょう。
 ‥そこに注意を払うか払わないか、そこに整いが潜むなら照らさずして俳句なし。


|のびのびと夏草放題アスファルト




|炎天下 汗と怒号で往く御輿  焼津市・みなと吟社
|炎天下 汗と怒号に沸く御輿  手直し


 ‥何度も言いますが、捻るべき所で捻らないのならそれは文学行為そのものとして不十分です。
 ここで言えば、「往く」がそうです。
 「沸く」がありきたりだとしても、それはそれです。
 そこからさらに捻ろうとすれば、前後の運びを変えざるを得ないのが辻褄です。

 翻して言えば、「往く」が映えるように詠めば良いのです。そちらの方が逆に高難度。


|往く御輿 今も昔もつなぐ汗



1-4)3

|部活児へ机は遠し夏休み    静岡市・木蘭吟社
スポーツ児 机は遠し夏休み  手直し


 ‥部活と綴ってあるのなら中学生でしょうか?、それとも雰囲気から小学生でしょうか?

 その昔、著生が中1の頃、入学早々から担任が
 「中学生はもはや子供ではありませんので大人扱いです。」
 などと息巻いておりましたが、今から考えてみると
 文学的に見ても「部活児」などと綴る感性はお粗末に見えてしまいます。

 ちなみに国語の教師でした。なるほど、文学表現に置き換えてみるとそれがよくわかります。




|黙祷の朝 空蝉の百二百     掛川市・鴟尾の会

|抜けしあな百二百‥ここ蝉畑?


 一見、勢いがあって力強さを感じる詠みなんですが、違和感ありありです。

 黙祷が日課だったのか、行事だったのか、たまたまだったのかわかりませんが
 それにしても、空蝉は亡き骸ではありません。脱け殻です。

 生の巣立ちに、黙祷を詠み合わせるなんて、何を風情としているのかと疑っちゃいます。
 (何かの事件を‥天に召されたことを‥空蝉に喩えたブラックジョークにも読み取れます)


|幾万の花のひらひら果てぬ夢
|幾千の幟で攻めむブランド戦
|幾百の汗だく売上しのぐ日々
|幾十と朝顔とりまく報道
|幾匹のゴキブリ奔り不の絶叫


 ‥「百二百」の響きに、吸い寄せられましたとさ。
 (あう、せっかくの名句だったのに、花のひらひらが万札にしか見えてこねぇ‥orz)



1-4)4

|靴老いる青葉若葉の並木道    浜松市・浜松川柳クラブ

|老い靴や共にへたるも青葉浴


 ‥う〜ん、なんて欲張りな攻めだろうか。
 という所で、暫し奮闘。かっこよく仕上がりましたとさ。

 (若葉浴にすると、余韻にエロさが漂うので、青葉浴にしときました。お好みでどうぞ)



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 22:47 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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