2016年09月18日

【勝手句帳】017 28-9-17 静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2016/09/18

> 短歌の手直しは和歌ながらの五七五の抑揚を主に見立てるのが好いかなと思いました
> 俳句みたいなツッコミはうるさいだけで不要かと
> ‥ほとんど日記だし、手直ししても俳句のようにインパクト薄いし


 肝心なのは、平に詠みすぎずに気持ちを含めてそらんじることです。



1-4)1

|海の音 波の響きもあふれ出るラムネの壜の泡もいただく   裾野市・石蕗歌会

|玉はじき炭酸飛沫あふれ出るラムネのシュワッと夏を呑む  手直し1
|泡はじけ炭酸飛沫聴きつ飲む喉ごしシュワッとラムネ息   手直し2



 ※壜(びん)、飛沫(前:しぶき、後:ひまつ)
 海の景観を含めるべきなのかどうか?
 それともラムネをおいしそうにだけそらんじるべきかどうか?
 ‥イメージとしてはどちらも同じに思えました。

 詠み手の意図はその泡の音にあるようなので、手直し2を追加しました。




|変哲もなく日暮るると悔しめど明日くれば明日の何かがあらむ  静岡市・駿府短歌会
|詠みゆくや凡凡すぎて歯がゆくも明日は来るかな明日こそはと  手直し



 まず、何を言わんとしているのかがよく見えず、わかりにくいのです。
 リズムとしてもクドいですし、「悔し」の比重がどのへんにあるのかもちっともわかりません。
 ただ、短歌の上達のことなのかなと思うに到り、「歯がゆさ」に置き換えてみました。
 ‥「悔し」では、日常の不満などを多く含み範囲が広すぎるのです。



1-4)2

|朝まだき細雨のなかのさるすべり濡れたるままにやわやわと散る  掛川市・葛の会
|朝まだき細雨に濡れしさるすべり見せずなみだかやわやわと散る  手直し



 「細雨のなかの」に「濡れし」を押し込めば、
 下の句にそれをどう見立てているのかを付け足す七音の余裕が生じます。
 何かと削れるところは削って、余韻を膨らませるように試みましょう。




|夏みかんざくりざくりとむく昼餉匂い立つ香のすがすがとして  掛川市・葛の会
|夏みかんざくりざくりとむく楽しみの香り立つすがすがとして  手直し


 ※昼餉(ひるげ)
 ここで唯一どうでもいいのが「昼餉」です。三時だって好いわけですからね。
 ‥そこに「楽しみ」と添えてみました。




|この夏の暑さに負けてなるものか緑の枝豆頬張りながら  浜松市・アカシア短歌会
|この夏の暑さに負けてなるものか枝豆頬張り緑くらわむ  手直し



 枝豆はいわずとも緑なので、精を付けるのに緑をいただくという意味なのかなと‥
 上の句から、何が何でも喰らわんとする勢いに添って手直ししてみました。



1-4)3

|大きなる力には勝てぬと知りつつも投票に向かふ片陰の道  掛川市・葛の会
|自公には勝てぬと知りついざ投票 片陰そひつ しのぐ日々   手直し



 なかなかに込み入った心情もあるかと思いますが、ポイントは、
 片陰の道を歩いて行く自分を、日々の暮らしに重ねて、しのいでいる様を引っかけるかどうか‥
 ‥そうでもしないと、この歌はただの勝敗の有無にしか興味が無いようにしか見えてきません。

 ‥「添う」にするか「沿う」にするか‥
 道に沿ってゆく姿と、暮らしぶりとしての節約もしくは支持党に添ってる感じでしょうか。
 平仮名にすると目立たなくなって今ひとつですが、かなにしてみました。

 ‥「道」か「日々」か‥
 投票に行く側にあるのですから、「しのぐ道」としては立候補側の面持ちです。
 「大きなる力には勝てぬ」との反意を示しているのですから「しのぐ日々」かと。




|老人車の吾を誘う投票所希う一票入れる幸せ     浜松市・アカシア短歌会
年寄りに車だしたる創価衆誘う一票入れたらあかん  ツッコミ



 何を言わんとしているのかに疑問を感じ、ググってみたところ‥
 いやぁ驚きましたね。創価学会では、斯様なサービスをしていると‥
 それならそれで、移動図書館ばりに、車ごと投票所にしてしまえば良いのでは?
 無論、山間部などの過疎部なら、一軒ごとの玄関先まで車を出すという話になってきます。
 ‥などと思いましたが、それこそすり替え票の独壇場になりそうなのでうんともすんともです。



1-4)4

|蝉しぐれ輪唱のように沸き立ちていつかぴたりと静けさがくる   浜松市・アカシア短歌会
|輪唱の蝉の時雨の降りしきる ときにぴたりと降りやまり     手直し



 目の付けどこというか、それを短歌にしてみようとの意気込みに釣られました。
 ここはもう「蝉しぐれ」と目を付けてるのですから、雨に引っかけないと整わないかと。




|鰻屋の暖簾の太き「う」の文字のうなぎが風に体くねらす   浜松市・アカシア短歌会
|鰻屋の暖簾の太き「う」の文字のニョロッと風やくねり入る  手直し



 着想がユニークです。
 でもまぁ、店の中に入ったんでしょうか?

 入らなかったとしても、入ってみたとした方が、落ちとしては落ち着きます。
 暖簾の「う・な・ぎ」の風のたなびき具合を強調したかったんでしょうが、
 それだと音数どうしても「だから何?」で終わってしまいます。

 ‥その様子が余りにも印象的だったので
 試しに店に寄ってみたぐらいに盛り上げた方が粋ですよね。(財布は別として)
posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:05 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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