【勝手句帳】018 28-9-20 静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2016/09/21

｜子育ての梅雨空運ぶランドリー　　静岡市・川柳グリーンの会
｜子育て○梅雨空○ランドリー



　この句の「梅雨空」は、季語の持つ余韻が大きくなりすぎています。
　動詞を付け加えずとも光景が見えてしまうのが厄介です。
　さらにいえば、梅雨の晴れ間を見計らって通おうと、雨の続いている陽気に仕方なく通おうと、
　そんなのは両方ありえるどうでもいい部分です。

　‥その辺で

　「梅雨空」だと、どっちつかずにも、落ち着かないだけでしかありません。
　そのような両方の印象が、脇からつっついてこないように季語を選ぶことも大切です。


｜子育ての助けや梅雨のランドリー

　‥おっと、句またがりになってしまいました。これは失敬。（って、こんなのべたなメモ同然です）

｜子育てや梅雨に駆け入るランドリー

　それにしても、昔はおしめのイメージがあったのに、今だとナンジャラホイ？？
　これは、着せたい衣服が多くなりすぎて、洗濯が多すぎますって落ちなのか？
　それとも、やんちゃ盛りの大家族なのか？

　‥それでなくても、梅雨に洗濯物がたまる傾向にあるのは普通かと‥

　梅雨時ぐらい、着る物を減らす工夫をすればいいんじゃねぇかと、考えてしまうと
　このテーマでの子育ての余韻は、もはやそれほどに印象強くないかなと。
　（想定される子育ての対象は、幼児・赤ん坊ではなく、むしろ小学児童にまで手広いのかなと）
　（どうせ車で運ぶんでしょ、車維持するカネがあるのに洗濯機はどうなのって話になるからね）

　俳句としては、生活事情がそれぞれで異なりすぎて
　もはや、何を狙っているのかがよくわからず、残念な空気感が漂うのです。

　（そういう意味では，句またがりの方が時代に添ってうす味にも十分ということか‥）

1-4)1

｜引越しの荷物納めて祝うそば　　静岡市・川柳グリーンの会

｜引越しのほっと一息 祝ふそば

　‥何というのか、納めてってあんた、そりゃ業者側の印象だろう。
　収めてに置き換えても、どことなく他人ところの手伝いって感じだな。

　それはそれで、詠みの言葉選びとしては違うだろうって思う。

　引越しの主役はあくまで当人なんだからさ、第三者視点の俳句という点からして問題ありだよ。
　シャッター切るにしたってさ、当人目線で追わないと良い写真にはならないんだし、わかってる？

　‥良い句にするにはね、互いの目線との接点を探すことなのよ。
　‥数学でいう微分計算と同じで、心と心の交点・接点をどうとらえるかということなのよ。

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｜風鈴や疎水の速き城下町　　　浜松市・浜松白魚火梧桐句会

｜風鈴も疎水もとどく城下町

　風鈴と疎水というテーマ、なかなかに欲張りな詠みです。
　しかして、その「速き」とは、ナンジャラホイ？？
　ここでの「速き」に風情なんかあるのかい？
　‥そもそもにして、疎水の流れの具合に誰も興味なんかもってないだろう。

　興味関心の対象は、風鈴も疎水も城下町も渾然一体として風情を醸しだしているという共通解にある。


＞　じゃ、そのままを詠めば好い、それが心に届いてくるのなら

1-4)2

｜蝦夷大地 崖から崖へ天の川　　　　焼津市・いせぎ句会

｜蝦夷地へと崖から崖へ星と風

　目の付けどころが大変によろしく迫力は感じられるのですが、どうにも今ひとつピンと来ません。
　‥ということで、江戸時代の幕末風情を織り込んでリスペクトしてみました。

　「星と風」には、二通りのイメージがあります。
　崖から崖を測量している光景、新天地への思い新たの船上から星を背に崖を見ている光景です。
　‥まぁそうなら、崖は蝦夷地での苦労のたとえにも見えてきます。
　
　どちらも

　険しきに星を掴みに行くような印象ではありますが、実際はもっと泥臭かったのが真相でしょう。

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｜白抜きの屋号大きく夏のれん　　浜松市・浜松白魚火梧桐句会

｜魂新た屋号大きく夏のれん

　藍色か紺色か‥というところで、魂新た【こんあらた】と「こん」に引っかけてみました。
　赤紺なら尚更に、魂萌えって感じでしょうか。
　‥「屋号ではなく、野心では？」というツッコミ気味な流れがまた好いかと。

　実際は、暖簾の文字を大きくしてみましたということなんでしょうけど

　‥この際、そんな細かきはどうでもいい。気持ちをもっと味合わせなさい。
　そうでなくて、「何を以て商売にも伝えたいんですか！？」‥俳句なら尚更。

1-4)3

｜リタイア後 時間運び妻まかせ　　静岡市・川柳グリーンの会
｜リタイア前 仕事内容上まかせ　　ツッコミ



　‥それを言い出せば、こうなる。
　まぁ確かに、格好わりぃひとつだよな。


　「立派を目指すなら、仕事は自分から探してこい！」‥社会の常識です。
　「ただし、マージンはこちらで設定するからな！」‥それが資本との矛盾です。


　‥ということで、リタイア前に苦労して掴んだ間柄にも
　親しくつるんでりゃ、リタイアの前も後もさほど変わり映えしないだろう。
　つまり、物事への興味関心の濃淡がそこに現れ出ていると（否、カネの切れ目が縁の切れ目か）

　‥そりゃあんた、奥さん自身の姿でもあるんじゃねぇの？

　‥何事にも興味関心のつよき時代だからこそ、その差も甚だしく見えてしまうと
　その度合いの丁度よき時代というのが、まるっきり来ないのがそもそもの課題性なのです。

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｜新緑の木陰園児等双手挙ぐ　　焼津市・いせぎ句会

｜新緑や二列園児らドラマ見せ

　‥よくわかりません。「もろ手を挙げる‥だから何？」
　園児が木陰で万歳って何？、それはつまり遠足なの？、散歩の途中の一休みなの？
　それとも、怪しいおじさんかオネエにでもおびやかされているのか！？


＞　まさに、最後が一番にピンと来てしまうのがアウト！（羊の皮を被ったヘンタイさんの詠みですな）


　‥言葉に言葉を重ねすぎて、本意までマイナスになりかねない次第を肝に銘ずることです。

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｜青葡萄きりりと垂れてゐたりけり　　浜松市・浜松白魚火梧桐句会
｜青葡萄きりりと垂れて○○○○○



　‥○○○○○に、ちゃんと言葉を選んで景色を入れてご覧なさい。
　確かに是は、キャンペーン詠みになりやすいかもですな。
　（粒自慢とか艶自慢とか、まぁそんな感じで、なかなかに整いません）

｜青葡萄きりりと垂れて湧くる声

　‥なかなかどうして、「目が合っちゃいました頂きます」の流れしかないようだ。
　そりゃ、葡萄狩りに来たんだったら、そいつをもぐでしょ。
　土産に買うにせよ、貰うにせよ、そんな感じかなと。


＞　この際だから葡萄も唐土にならって、縦に出荷すりゃ新鮮を維持しやすいのでは？

1-4)4

｜銀漢の輝き大漁の船帰る　　焼津市・いせぎ句会

｜大漁や誉れともどる銀漢濃し

　ここに見えている天の川はきっと普段見ている夜空とはひと味違うのでしょうね。（南洋だろうし）
　‥ということで「銀漢」なのだと思いますが、まぁ何というのかつかいにくい季語ですよね。

　さらにこの場合、満点の星空は目に入っている程度で、実際に映っているのは大漁の釣果だけです。

　どうしたって、「大漁や」と詠むのが流れでしょう。
　‥などといっては、工夫もなにもありゃしませんが、「銀漢濃し」と持ってくれば男前かと。
　‥「濃し」がそのままに字余りになりますが、如何にもドヤ顔として見てとれます。（なんてな）

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｜逝きし子の思ひ出たどる銀河かな　　焼津市・いせぎ句会


　‥「逝きし子」ありそうでなかなか鮮烈に思しき丁寧な言葉選びをしていると思います。
　（俺も小説詠みに使おうっと‥ごっちゃんです）



＞　うた詠み終わります、ありがとうございました。