2016年10月03日

【勝手句帳】022 28-9-30 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2016/10/03

|露天風呂見上げる星へ深呼吸     静岡市・小鹿川柳同好会(来てこ)

|露天風呂見上げる星深呼吸     指摘1
|露天風呂見上げる星深呼吸     指摘2
|露天風呂見上げる星深呼吸     指摘3

|露天風呂星を見上げて深呼吸     手直し


> これぞ、高校生俳句風の斬新な詠み。もとい勘違い用法である。(年齢などしらん)


 「へ」である意味とはなんだろうか?
 そんな謎探しをしたくなるのも、世代のヒーローが「名探偵コナン」だからだろうか?

 ‥「に」でも「と」でも「を」でも同じように味わえる。

 しかし、ハッキリ言って、どうでもいい。(無駄な余韻)


> ‥「星を見上げて深呼吸」それが整いというものである。


 まぁその辺が譲れないというのなら、
 せいぜい、助詞(女子・女史)に酔いつぶれるしかないでしょうな。




|無人島不便さよりも自由人      静岡市・小鹿川柳同好会(来てこ)

|無人島不便さよりも原始浴



 なにかと「自由」の響きにハマり、それ以外に近しき言葉を探らないのは不自由そのものです。
 そんな輩が、いきなり無人島に行ってみたところで、何が出来るというのでしょうか?

 ‥適性にもよるかと思いますが
 詠みは一発勝負の性格もありますので、できればそんな不自由を抱えたままに挑むのは無謀かと。




|猛暑日が汗のべたつき許さない    静岡市・小鹿川柳同好会(来てこ)

|猛暑日がまとわり憑いてべっとべと



 「許さない」の方向性がどちらに向いているのかが、今ひとつわかりかねてしまいます。
 ‥苛立ちなのか、うなだれなのか、それともうらみ節なのか‥

 「猛暑日」と「汗のべたつき」の組み合わせが、なんともユニークだ。
 ‥どうせなら、もっと攻めるべきであった。(二重季語だし)


> 助詞に酔いつぶれるような詠みとは違い、
> 面白みとしての深みは断然大きかった。(ごちそうさん)



1-8)1

|仰臥して胸に団扇の旅寝かな      静岡市・かがり火句会

|仰臥する胸に団扇のアロハシャツ



 ※仰臥(ぎょうが)‥あおむけに寝ること。 / 団扇(うちわ)

 「旅寝かな」なんて軽く添えてあるだけなのに、
 ‥どうにも、リゾートのプールサイドに、のほほんと寝そべっている光景が鼻についてしょうがない。

 そこで、二重季語などと堅苦しいこと度外視で「アロハシャツ」を置いてみた。

 如何にもその辺のおっさんが、暑苦しさに耐えかねて、その辺のベンチに寝そべっている画になった。
 ‥たぶん顔には、麦わら帽子がちょこんと日よけがてらに、乗っかってたりするんでしょうな。
 ‥とくに格好良くもない光景なのに、俳句に整うと味わいがでる。


> これもすべては団扇のお陰です。
> ‥団扇は日本の文化、アロハシャツは外からの文化‥その違いか!?




|ラムネ飲む唇はじく夜の風       静岡市・かがり火句会

|帰宅すぐシュワッと背広 夜ラムネ



> 夜に飲むラムネの印象にインパクトを感じて挑んでみた。


 ‥そこでいろいろと考えたのだが
 冷蔵庫にゲットされていないとビンのラムネはなかなか手に入りません。(帰宅が大前提)
 自販機で目にするのは、缶のラムネもどき。(それにしてもお目に掛かることはめったにない)

 となるとラムネ好きの下戸が、喉のカラカラを我慢に我慢して帰宅してラムネの一気飲み辺りか‥

 まぁ確実に独り者のノリだな。
 女が居ると、なにかと一浴びしてから卓に並ぶのを待たねばならない。


風呂上がりシュワッと寝巻 夜ラムネ   (‥ちっともおもしろくねぇ。大人感ゼロ)


 ‥これは、ビールでも梅酒でもサイダーでもダメで
 伝統のラムネだからこそ、整って見えるのである。(なーんてな)




|歴戦のゴルフの染みや夏帽子      静岡市・かがり火句会
奮歴のゴルフの染みや夏帽子      手直し


 「歴戦」って、ゴルファーでもあるまいしおかしいでしょ。詠みすぎです。
 「奮歴」ぐらいで丁度良いのでは‥仕事だったり趣味だったりするわけですからね。



1-8)2

|台風へ備えをしたら朝は晴れ      御前崎市・市図書館川柳講座
|バジル入れ変身させた残り物      御前崎市・市図書館川柳講座
|たぬき見てそっくりさんが家にいる   御前崎市・市図書館川柳講座
|差し上げたりんごアップルパイに化け  御前崎市・市図書館川柳講座


 こんなのは、川柳とは申しません。言葉の隙間にある‥ちょっとした整いです。
 でもまぁ、楽しむ分には問題なしと。

 ‥それにしても

 「りんごアップルパイ」の句またがりは、まさに句またがりの特徴です。
 ‥ラップみたいでもありますね。

 「差し上げたりんご、アップルパイに化け、お礼に届く、腹の中、イエィ♪」




|すっぴんで入国審査ひっかかり


 ‥まぁせめて
 こちらのような、日常の風変わりに出くわすと、面白みもますわけです。(化粧写真はほどほどで)



1-8)3

|スタンドに肩組み合わせ大団扇     沼津市・香陵句会


 この大団扇に刺激されて、
 【四句劇】お題'甲子園のスタンド(夏)'の詠みに相成ったわけでありますが

 ‥こちらは、なにかこう手ぶれした写真みたいで、腑に落ちないんですよね。
 その辺を踏まえて、挑んでみたと。




|詳しくはホームページと言う不便   静岡市・小鹿川柳同好会(来てこ)

|詳しくはホームページと云う不快 そこに待ちたる今すぐ契約を



 川柳のままでもおもしろいと思いますが、短歌にするともっと変化に富んできます。

 ‥リスペクトはほんの一例ですが
 だからこそ本人が普段なにを思っているのかを、具体的に示すのも大事かと。




|姉の声遠く近くに今はなし       御前崎市・市図書館川柳講座

|姉の声遠く近く今はなし 思えばいつも木蓮のハンカチ



> ‥どうしてか木蓮になりました(なぜなんだ??)
> どんなハンカチなら似合うのかとググってみたところ、紫木蓮のこんな写真に出会いましたとさ


 Purple Magnolia.jpg
 写真出典/紫木蓮



1-8)4

|熟寝子にそっと団扇の風送る      沼津市・香陵句会

|ぐっすりの子らに団扇の風送る     手直し1
|ぐっすりの吾子に団扇の風送る     手直し2


 「熟寝子」ってナンジャラホイ??
 「そっと」が余計だと思えないから、あれこれ考えてそうなったのだろうが、
 そもそも、複数なのか一人なのか、こちらがポイントに思えないのが問題の根っこ。


> 気遣いでさえ、そこに誇張し含めようとすりゃ、詠みの流れも乱れるというもの。


 あずかる園児の様子を詠んで、父兄に紹介するとしたら、断然手直し1でしょう。
 (‥狙いすぎなので、実際は扇風機なんですけどね「てへっ」とぐらいの断りは必要かなと)




|「かなかな」と言葉一つの一生かな   沼津市・香陵句会
|「かなかな」と夏三日の勝負泣き    リスペクト


 「言葉一つの一生かな」‥なに言ってるんですか!?
 ‥蝉は、土の中に居る時の方がずっと長いのれす、知らないの?
 ‥それを「言葉一つの‥かな」なんて言われては、侮辱されたも同然れす。

 まぁどっちにしても、茶化した着眼に違いはありませんが
 的を射ておれば、嫌味はさほど大きくはなりません。


> 彼女ゲットできるかなできるかなできるかなかなかなかな
> 彼氏ゲットできるかなできるかなできるかなかなかなかな


 ‥そんなことばかり言っていられては、たまりませんな。
 まぁ夏三日しかないなら、そりゃ大変ですわ。



1-8)5

|港町灯籠流しに夜の更ける       静岡市・かがり火句会

|灯籠や港を灯し刻む念



 ‥言っては何だが、べたな文調に詠まれただけである。
 とはいえ、リスペクトも似たような物である。

 否、果たしてそうだろうか‥

 一方は、ぶらぶらとしている感じの人が「ああ、灯籠流しやってる‥」てな空気。
 一方は、写真家がそこを格好良くフレームに収めようとしている感じ。
 ‥そのぐらいの違いが確実にある。


> 写真のように切りぬくには、俳句にしても、シャッターチャンスを見極める必要がある。
> ‥詠めば、にわか鉄砲があたるというわけではない。


 写真家は貪欲なので、より好い瞬間を撮ろうとして機関銃のようにシャッターを切りますが、
 俳句は切りとりすぎると、後で困ることが起こります。そこが言葉の似たり寄ったりです。


 その違いを個性だと思い込んで、勘違いにも詠んだつもりになっちゃうわけですな。
 ‥後から気がついて直す分にはそりゃ自由です。

 そこは写真とは異なり、取り直しの融通が通りますが、
 その多くは、一人で取り直す次第にはなりえません。


 (そこを素直に受け容れられるかは‥才覚でも何でもなく、楽しんでいるかどうかです)




|介護する娘の顔も鬼になる       御前崎市・市図書館川柳講座
|介護され娘の鬼みて省みる       手直し


 「顔も」の「も」に詠み手の気持ちがあるわけですが、介護する対象がわかりにくいのです。
 手直しぐらいに‥お互いを向き合わせにしないと
 介護側の組織全体が、鬼の様なのかと思わなくもありません。

 ‥娘の介護の仕事ぶりを見に行ったら、そこは戦場のようだったと。

 (まぁそんなこたぁ誰も考えない。だからこそ、娘本位が前提にしか見えていないと)


> こうして見切っていくとですね‥自由に詠めるなんて錯覚だと思い知らされます
> そこには、日本語に宿る御霊が、作法で以て、出迎えている姿があるだけです



1-8)6

|何もない都会の日からUターン     御前崎市・市図書館川柳講座

|何もなき都会の日々からUターン    リスペクト1
|前向きにUターンしても何ら得じ    リスペクト2
|不安にもUターンしたら介護詰め    リスペクト3
|手放してUターンすれど余り者     リスペクト4


 「何もない」ではリスペクト1〜4のどの範疇なのかが、ちっとも見えてきません。
 物事の見方には、常に双方からの関わりなり対峙があるとして受け止める必要があります。

 ‥そこをないがしろにしていては
 普段の言葉遣いもそこそこで、高をくくられるのもしかたのないことです。
 たかが俳句ですが、そこの勉強こそが、句を詠むという次第にあるのです。




|手を貸してまたも軍需のぼろもうけ   御前崎市・市図書館川柳講座

|手を組んでまたも軍需とヤミ啜り    リスペクト1
|手を汚しまたも軍需でぼろもうけ    リスペクト2


> 「手を貸して」とは、誰が手を貸すのでしょうか、「あなたですか?特定の対象者ですか?」


 ‥まぁ、へんてこではありますが、「軍需のぼろもうけ」との言い方の批判性から
 あなたに無いのは感じ取れるにせよ、まるであやかりたいかのようでもありますよね。

 その点は、リスペクトのどちらにしても
 誰がその手を伸ばしているのかは定かにありません。

 批判とも受け取れますし、自分がやっとりますと自慢げにも告っているかのようでもあります。
 ‥このように誤解を招きかねない物言いは、しっかりと短歌で詠む方が無難です。


|手を貸せばどこも軍需で溢れ出しゆくゆく戦争‥そりゃあかん




1-8)7

|子の時代老いのリズムで歩を刻む   袋井市・笠原川柳会
|若者よまだまだ老いの時代ざまあ   予見1


> 「子の時代」と添え讃えておきながら、「老いのリズムで歩く」とは、「是如何に?」


 文意は兎も角、文章としては矛盾してしまっています。
 ゆえに、
 ‥予見1のように考えているとしか思わざるを得ません。(失敬)


 今時代、2ちゃんねるに見る上から目線オヤジらが、丁度その塩梅ぐらいの年齢になろうものなら
 ‥選挙の度に、予見1のような言いっぷりを放つようになるのではないのかと。(ちょっと思った)

 (やだやだ、そんな爺婆を見上げなければならない若い世代とは、なんてかわいそうなんだか)
 (それこそ世も末だよな。なるほど、俺っちの世代こそがその境目だったと)


> ‥戦争に行くのも若いお前らで、勝ち組老害らは資本で儲けますと‥そういう流れです。




|前向きに生きて余生の灯が点る    袋井市・笠原川柳会


|前向きとエンジン吹かす燃費悪
|人生は前向き言うけど自分向き
|自分にまっすぐ撓るが前向きぞ
|自分持て自分しらずに前もなし


 ※撓る(しなる)

 ‥散文で書こうかなと思ってたのに、四句で整っちまった。(やれやれ)

 ガソリンエンジンの動力転換比率は非常に悪い。20%程度らしい。
 そこをよくよく考えるに、薄めて使用する技術をもってきても、十分に可能性はあったことになる。
 (要は、酸素の燃焼均一化の課題性かと。圧を上げれば燃えるとか無謀な賭けでしかない)
 (泡カプセルにでも封じ込めた酸素を、均一にばらまいて爆発させないと燃焼比率は上がらない)

 ‥ところで、アレらの状況はどうなってんだろうな。(最近TVのニュースを見ていません)


> 「前向き」もそれと同じで、とても燃費の悪い響きである。


 「前向き」の響きから得られるパワーにしても、まぁそんなところ。
 ‥キッパリ言います、良くも悪くも所詮は自分向きです。(内向きとも言う)



1-8)8

|趣味と言う良薬脳に続く道      袋井市・笠原川柳会


 まぁそういうことですよね。
 ‥外向きに羽を伸ばしたくても、カラダが付いてこなくなると
 外向き派が、思い知らされる年齢に達します。(内向き派の才覚を見直さざるを得ないと)
 天上界もそこを狙って、わざわざ寿命を与えて学びをうながさせると。(サドですな)




|しがらみをよく知っているのし袋   袋井市・笠原川柳会
|頂点に立つと麻痺する椅子がある   袋井市・笠原川柳会


 ‥まだまだ椅子とか上とか、憧れていて肯定しよる。
 否、否定したいのか‥否、負け惜しみか‥
 見方がぶれているから、そうにも見える。言葉も大事を見失った余韻にしかならない。


|頂点に立たずも誰も有頂天
|有頂天 妄想と説いては捨つ
|結果だけ信じていりゃガチガチだ
|生きがいは好転力だよリフレッシュ


 晴れてばかりでは雨が欲しくなり
 雨ばかりでは晴れが欲しくなり
 季節感が無いと時節が掴めないので、風も雲も必要になる。
 ‥でも、風も雲も過ぎては、遠のけたくなる。

 人の間も同じことで

 毎日べとべとしているのが愛とか、キチガイの解釈で
 基本的に、一方向だけしか選ばないのは、進んでうんざりを選択しているようなものだ。
 兎に角偏ることになるから、リフレッシュが欠かせないのである。


> ‥リフレッシュの度合いを見極める能力を「好転力」と言えようか。


 「好転力」とみて、運否天賦に好転する秘めたるパワーなどと思うのは勘違いである。
 それこそ他力妄想じゃな。

 洗濯の度合いを知らぬのと同じで、
 昔に嗅いだ相手のニオイが、染み着いている方が心地よいとばかりに
 洗わぬが、まさに、べとべとした高き買い物と揶揄される愛の様にあろう。

 ‥そこを「どうしたら良いでしょうか?」など、やっぱり、好きにしろとしか言えんよのう。

 汚れが酷くなってしまっては、そりゃもう、時間を掛けてごしごしとやらねばなるまいし
 毎日こまめすぎても、私ばっかりと思えば、嫌味も愚痴もでよう。
 そこはもう、こまめにお互いに、何が不満か、何がお気に入りかを第三者視点から観察することだ。
 ‥人ほど、素材の特徴を知らねば、適切に洗うこともままならぬのだからな。




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 03:17 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。