2016年10月07日

【勝手句帳】024 28-10-4 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2016/10/07

|よどみたる水をよしなに水馬    静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
|よどみたる水を頼みに○○


 ※水馬(あめんぼ)

 「水をよしなに」‥最初とまどった。二日ぐらい呆然だったらしい。

 まずは、「よしな」は違うだろうとしか頭に無かった。その言葉が何だったかもすぐに浮かばない。
 ‥なにかこう、ちょっとしたカルチャーショックに打ちのめされていた。

 どうして「よしな」‥なんて(今じゃすっかり)お嬢様言葉が出てくるの?
 ‥そんなよすががどこにあると‥


 詠みとしては、
 ○○の中には、アメンボでもゲンゴロウでもアマガエルでもお好みで入れ放題だ。
 まぁ‥そんなのは俳句としてはどうでも好い。読み切れていないだけのことだ。

 冷静になってチャンネルが整い出すと、改めてビックリ。
 「水をよしなに」そういう場面ならいくらでもあるじゃないかと‥


|田植え泥 水をよしなに清々し
|青田の水をよしなに生くる諸々
|おらが里 水をよしなに稲垂るる
|稲刈りや水をよしなにけふの笑み(おほほほほほ)


 ‥どうして今まで気がつかなかったんだ。orz
 (ちなみに詠んだのは男子の名前で晃とある‥男かよ。まぁ読み切れていない感じは男だが)




|而して恋の始まる藍浴衣      静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
|而して恋の始まる浴衣      手直し


 ※而して(しかして):そうして。そうであるから。

 ‥これがまた、「へっ?」と思わせる攻めだった。(ピントが合うのに二日ほど)

 「藍」と「愛」を掛けてるらしく思えるが、
 藍浴衣のイメージは、今やどうしたって温泉のイメージだ。(花火に出掛ける浴衣のイメージではない)
 そう考えると、恋の始まるというような段階ではないだろうから、
 「藍浴衣」と攻めるのは場違いだと思う。(それで目立つとしても帯だし)

 そこで艶浴衣(あでゆかた)と整えてしまった方が、ぬかりなく通りが好い。


> しかし、このまま見せつけられて‥その程度の手直しで満足なんて出来るわけがない。


|而して勝負パンツと花浴衣


 ‥それにしても、「而して」って、鮮烈すぎるぜ。orz



1-5)1

|ゆらゆらと葉っぱ一枚蜘蛛の糸   沼津市・するが俳句会
|蜘蛛の巣や葉っぱ一枚落とす影   リスペクト


 「蜘蛛」「蜘蛛の巣」は季語ですが、「蜘蛛の糸」では季語に成り得ません。
 蜘蛛の糸ってのは、蜘蛛の道具もとい道具の素材なんですよ。
 毒蜘蛛ってのが日本に居なかったので、「蜘蛛の毒」と詠まれることもなかったんでしょうが

 「蜘蛛の毒は季語になると思いますか?」

 ‥「蝉の翅」「蝶の翅」にしても、誰も季語にはしていません。(まぁそんな感じ)
 川柳には持って来いのようですが、混同してはいけません。


 それにしても、情景がよくわからないのでググってみたところ
 蜘蛛の巣にまとわりついた葉っぱを、巣の主自ら引っぺがしている映像がアップされていました。


 


|ゆらゆらす 大きな葉っぱ巣に絡み 器用にはがす蜘蛛の技





|粗彫りの涼しき童地蔵かな     静岡市・「宇宙」俳句会本部句会

|粗彫りのトーテムポールや雪しるべ


 これの「涼しき」は、季語たり得ません。勘違い用法です。
 粗彫りの地蔵であれば、未だ未完成です。(そういう作品もありますが通常は未完成)
 未完成のそれをどう見立てるかにせよ、涼しげなんて単に顔の表情というだけのことです。
 ‥季語としてはどうしたって機能しているとは思われません。


> 季語として成立するには、季節毎にめぐる確かな風情なり生活感をそこに描くべきです。


 「粗彫り」という掴みがまぁ一つの挑戦ですから、こちらも
 同じく挑んでみたところ、トーテムポールが思い浮かびました。
 アイヌにもあった文化です。あれは一体何だったのかとその役割に思いをめぐらしてみたところ
 雪の中での電柱と同じ機能性だったんじゃないのかと思い立ちました。
 つまり、雪の中での道しるべ‥もとい、雪しるべだったかと思われます。

 北海道のような大平地の雪国且つ木々が生い茂っていると、雪の中ならすぐに方角を見失うはずです。
 ‥そこで、迷子にならないようにと、思い思いのトーテムポールを立てていたんだと思いました。

 つまり、冬の風物詩だったかと。


 (尤も、アイヌがトーテムポールのことをなんと呼んでいたのかまでは不明)
 (本来なら、そちらの呼び名だけで季語になるわけだから、詠みとして変と言えば変)




|朗々と響く吟詠涼しかり      静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
|朗々と響く吟詠空高し       手直し


 「‥なんて涼しげに吟詠をするんだろう。」
 はい是も勘違い季語用法です。

 「空高し」あたりを放り込んどけば、とりあえず
 「‥吟詠が秋の空に澄み渡るように響いていくようだ。」ぐらいの意味合いには整います。


> それにしても是は、一行詩のノリですね。


 ‥五七五に固める意味というのが希薄かと思います。
 ‥上達するには、その辺を見極めて、それに相応しい言葉を徹底して選び抜く習慣を持つべきかと。


|朗々と響く吟詠、突き抜けて風を誘う初夏の竹林




1-5)2

|歳忘れ膝わらふまで草むしる    静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
|春の日に色エンピツと踊り合う   袋井市どまん中川柳




|肩書きも名刺も持たぬ夏帽子    静岡市・「宇宙」俳句会本部句会

|荷から落ち 誰ぞ待ちたる夏帽子


 ‥なにやら「夏帽子」を擬人化して用いるのが多いようだが
 リスペクトの夏帽子は完全なる落とし物である。



1-5)3

|打ち水に焦土の大地匂い立つ    静岡市・「宇宙」俳句会本部句会

|打ち水や灼土の大地匂い立つ    手直し1
|打ち水や赤土の大地匂い立つ    手直し2
|打ち水に匂い立つ土わらっちょる  手直し3


 「焦土」では、戦争か?と思わせてしまうので、「灼土」かと。
 辞書には無いので、ここはセンスが求められる。

 それにしても二重季語に思われるだろうから
 「赤土」としてしまった方が落ち着くが、どうにも勢いだけの句にしか見えてこない。


 ‥似たような着眼が前にあった覚えがある‥
 http://bravobaby.seesaa.net/article/441622906.html 1-6)3
 改めて手直し3の方に訂正しておこう。(いやぁ参ったね、前の手直し‥攻めがあまかったようです)




|一身に浴ぶ一山の蝉しぐれ     静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
|一身に浴ぶ山中の蝉しぐれ     手直し


 ‥これも前に似た着眼があったな。
 http://bravobaby.seesaa.net/article/441451318.html 1-10)6
 どうして「一山」って言いたくなるのかね?

 いいですか、例えばですよ、ガダルカナルのジャングルで蝉が鳴いているとして
 場所が分かっていれば、「ジャングル」「ガダルカナル」の二択です。
 決して「この島で」とは詠みません。なぜなら、インパクトに欠くからです。

 つまり、「一山」というぐらいなら、山の名前を挙げるべきだし、そうでなけば
 そこは明らかにその辺にある「山中」なんですよ。

 「一山」なんて括りは
 詠み手が勝手に括っただけのハリボテで、なんら蝉しぐれとは関係の無い境界線です。
 ‥蝉側のコンサート会場で招待されたわけでもあるまいし、妄想にも山に境界線を引くな!



1-5)4

|赤とんぼ追う子の脛のまた伸びて  沼津市・するが俳句会
|赤とんぼ追う子の脛のまた跳ねて  手直し


 ※脛(すね)
 「また伸びて」と攻めた意図がよくわからないのだが、ここは「跳ねて」だと思う。

 ‥それにしても「脛」と表現するのは最もだと思った。(それでいて新しい)
 ここは「背」「髪」「腕」「腰」「手」「目」「顔」あたりで攻めがちの場面。

 考えてみれば、具足は脛を守っているが、腿のあたりは動きづらくなるから剥き出しが一般的だ。
 ‥むしろ脛だけは必ず固めてある場合が多い。(具足と言うぐらいだからな)




|古代より御佛と立つ蓮の花     静岡市・「宇宙」俳句会本部句会
彼方より御仏の立つる蓮の花    手直し


 ‥「古代」というと、大抵はその土地の古代を指す。
 その時代、日の本の地には、御仏などと概念すら無かった。
 仏陀なる意識体はこの宇宙のどこかに居たかも知れないが、古代という括りで表現しては不適当。

 「昔より」としてみても中途半端になるから、ここはそのような時間の枠で表現するのではなく
 距離感によって、時空を超えてくるようなインパクトで詠むべきかと‥




|忘れるまい光る日記の一頁     袋井市どまん中川柳
|忘るるまい輝くけふの一頁     手直し


 「光る日記」とのフレーズに、疑問符が拭えません。
 ‥中でも「蛍光カラーの表扉なのか?」とのツッコミはどうしても避けられません。

 ‥まぁ日記ですから
 その中のどっかの一頁、もとい、その時の出来事に感動してんだなというニュアンスなんでしょうが
 それならそうで、いつかでもなくあれでもこれでもなく、ずばり「今日」と書くべきです。

 今日と書かずに、いつ書くんですか?
 明日ですか?明後日ですか?、そんなんで「輝いている」なんて、とてもとても伝わらないでしょ。



1-5)5

|野良着ぬぎ縁側の泥古酒を飲む   沼津市・するが俳句会

|野良着ぬぎ泥になって酒交わすむかし仲間といま縁側と
|釣果手におかの潮髭酒あけて手拍子ようよう浜の風


 ※潮髭(しおしげ、ちょうし)‥ここぞとばかりに集まってくるオヤジ。

 「縁側の泥」の表現がなかなかに憎い攻めなのですが、
 それはそれで、リスペクトの短歌に示したように、どうしたって残念な時代性と思わざるを得ません。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 19:41 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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