2016年10月23日

【勝手句帳】029 28-10-18 静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2016/10/23

|月光を浴びつつワインゆるり飲む   富士宮市・早蕨句会


 ‥まま気持ち良さげの所申し訳ないのですが
 どうしたって、独りの楽しみという空気がどうしても漂うのです。

 もう一度繰り返します。

 ‥独りの楽しみという空気感がどうしようもなく物足りないのです。(且つ句またがり調だし)


|月下説くもてなす香り湯気求む
|紅茶かぐ おかわり新た月光や
|湯気渋り沫飛ぶおかわり月に雲
|豆を挽くもてなす薫り月新た


 「どうですか?、月夜の紅茶もなかなかでしょ」
 「ああ、そうだな。わるくない。もう一杯くれないか?」
 「う〜ん、良い香りだ。結構なお手前だ。
  ‥でもやっぱり、おれはコーヒー派だな。コーヒーも飲みたいな‥」
 「何言ってるんですか、自分で入れて下さいな。私は月を見たくて誘ったんですからね」
 「じゃ、久しぶりに自分で入れるか、飲むだろう?」
 「もちろんいただきますよ」



1-4)1

|小鳥来る洋書の扉開く時       富士宮市・早蕨句会
|小鳥来る三億年の地層かな      俳句甲子園


 「さえずる」と書けば、春の季語
 「小鳥来る」と書けば、秋の季語
 ‥どうして(?)というまでもなく、俳句の前に俳諧の時代があったことの名残である。


> いわゆる様式美という奴だ。


 ‥後世の生活感が多少違ってしまおうとも、先に形という奴を整えてしまっているのでブレない。
 そこが日本語文化のもの凄いところで、どうしてと感じたら‥そんな風に振り返るべし。

 それにしても

 ‥宅配の届く様を「小鳥来る」に例えるとは‥
 「落し文」の季語の安易さよりは、感触がらしく出ている。
 でも、解ってないとちんぷんかんぷんなのは多少もどかしい。
 その点、落し文の方は、そのままに意が通ってしまうのだ。(それはそれで、含みを持たせ難い)


> これは‥と思ったら習っとけ


 ‥俳句甲子園の方の「小鳥来る」は
 それともやや違い、如何様にも解釈ができてしまう。
 含みが大きいという点では、季語としての魅力を目一杯に引き出していると思う。

 ‥化石発見ニュースの一報なのか‥
 ‥プレゼントに化石を貰ったのか‥
 ‥図鑑に魅入ったのか‥

 つまりは → キタ━━━(゚∀゚).━━━!!! と興奮してる使いようである。

|小鳥来る持ち株暴騰皮算用

 ぶっちゃけこれと同じで、どちらかと云えば川柳だね。
 ‥でもまぁ、インパクトはあるよね。ありすぎだよね。まさに化石を新発見した衝撃だ。




|小鳥来る赤紙万歳村総出
|小鳥来る白木の箱やうらめしや
|小鳥来る生きて現るうちのひと
|小鳥来るこれほどまでの引揚船


 ‥考えてもみれば、旧日本軍でさえ、一度に人を送るのは大変だったわけで
 中国が侵略してくるなんて、どう考えても海自の潜水艦能力の高さからして妄想のレベル。
 やって来るなら、漁船群での来襲と見立てるべきところだが、
 それらに怯えるように誘導しているマスコミ報道は、どうしたって糞。


> そんなのは、それこそ神風が吹きゃおしまいだッつうの
> 今時の中華方面への凶台風を思えば、出港すらできねぇべ


 つまりは、いつの間にやら冬期防衛戦が前提なのよ。(空気読め)
 ‥それぐらいなら備えは程度ある。無いのは防衛対処への周到な発動法。

 ‥課題になっているのは、一旦戦時下体制に入っては、なかなか元に戻らないという点。
 人間の側の猜疑心が同調してしまい、講和よりも徹底抗戦にハマるのだ。
 (段階的&形式的に解除できる言葉を滑らせておくべきである。戦時解除法である。)

 しかしながら

 猜疑心ゆえに猜疑心を制御する法なんざ、つくりようがないのだよ。
 その代わりと云ってはなんだか、解除させないように縛り付ける法ならいくらでも例がある。
 ゲシュタポに憲兵なんかは述べるまでもない。

 (平時から猜疑心を制御できていれば、それこそ戦争になんぞなるわけがない)
 (普段からいかがわしいと思えば、お互いに確認すべきだし、そうであるはずだ)
 (‥だが、器も時もなきに開ければ良いというものでもない、斯様な側面もある)



1-4)2

|星月夜ひたひたと来てとまる足    富士宮市・早蕨句会


 ※ 星月夜(ほしづくよ)
 さて、そこにあるのはどんな月でしょうか?

 満月ほどに明るいと、星なんてちっとも目立ちません。(大ざっぱにそういう前提)
 なら星夜と書きゃ良いだろうと思うわけだが、なぜか星月夜と欲張っている‥
 ‥まぁようするに、絵本に出てくるような、星空と三日月夜と思えば好いかと。


|まっさらや復興あおぎ星月夜
|星月夜なにも無くても手を握る
|闇だけが生き生きしちょる星月夜
|星月夜灯りが来たぞこれからや




|剣道の気合一本稲光         富士宮市・早蕨句会


 ここでの「稲光」の使い方も季語の意から乖離して、様式的なニュアンスだ。
 ‥こんな使い方なら、いくらでも浮かぶだろう。(どうしたって川柳だ) 


|竹やりと防空頭巾に稲光
|護国より故国を抱き稲光
|去りし夏 世紀を犯す稲光
|稲光 制御不能に征くベント


 どちらかというと、わかりにくい。でも詠む方としては独り善がりにも楽しい。
 ‥形としては、是だとした言葉としてドツボにはまってないと弾かれる。(そこが醍醐味)



1-4)3

|店員の掛け声高く秋刀魚売り     富士宮市・早蕨句会

|「秋刀魚、秋刀魚‥秋刀魚が安いよーォ」しゃがれ鉢巻店通り


 えー、昔の人は聞いた場面でしょうが、
 平成人はどうなんでしょうかね?‥というところで、字余り気にせずまんま台詞にしました。




|白球の吸ひ込まれゆく秋の空     富士宮市・早蕨句会



|訪ふ家をさがしあぐねて鰯雲     焼津市・豊田句会


 ※ 訪ふ【とう】‥ここでは弔問するの意。

 若い坊さんなんでしょうかね?‥(ぶー×)
 今時の若い奴ならスマホで地図開いて確認するんでしょ。
 ‥となるとすっかり変わり果てている開発事情に右往左往しているところか。
 ‥それとも過疎化が激しくて、ピンと来ない状況だろうか。


> まぁそういうのも世間の無責任という事になるんだろうな。


 「死」に無関心になったという様なのだろう。
 ‥つまりは、弔ってもらわなくても結構ですというのが、自由な社会の意味だったということだ。

 ‥死んだら終わりだと思っているからそうなる。(死後の勉強もせずに度胸満々だよ)

 そのわりには、誕生日を祝って欲しいのだから矛盾している。
 死んでも魂が残れば、どうしたって浮き残ったままの時期の方が長いだろう‥
 誕生日をああだこうだ言ってる奴ほど、弔って貰わないと困る性格なんだろうよ。
 成仏するにも自分独りで成仏できないタイプって事になるからね。(それでなくても神妙なり)


|枯野浮く 死して孤独の備えなし
|はからずも死んだかどうかも判らぬ寒の入り
|春が来る春が来るはず地縛霊
|夏なのか?なにやら祈り‥もうすでに他人事‥


 信仰心を持たずに死ぬということは、そういうことです。
 ‥思考のレベルで取りつく島も無いということです。
 ‥生前からしてそうなんだから、死んでもそうでしょう。少し考えれば当然の流れです。
 ‥科学者でさえ解らないことが、死ねば判るって、究極のお花畑思考です。

 ‥死んだからと云って、潜在能力なんてよみがえりません。
 ‥次元構造の辻褄で多少未来が見えると言ったって、未来なき地球なら絶望するだけでしょうな。
 ‥死んで絶望するような魂ならそのままに消失しかねないかと。(思考の拒絶こそが死なのですから)



1-4)4

|まっすぐに生きた答えをつまみ食い  浜松市・浜松天竜川柳会


 「なるほど、そう来ましたか‥」

 でも、所詮つまみ食いなんですよね。
 血肉に沸き立つかどうかは、別の話です。
 意識に刷り込むには、どうにも、苦心するしかない‥
 もとい、作用のスイッチオン状態を経験しないと血肉にはならないと。

 刷り込まれていると、スイッチオンと同時に稼働しちゃうってことのようですよ。

 で、そこに飽きが来てしまってるにもかかわらず、
 才能発掘などと‥はやし立てるのが現世の競争社会ってことです。
 得意でも、自分の全力が出て来ないと思ったら、新しいことがしたいんだと切り替えるべきでしょうな。

 その点、主婦なんかもう飽きたったとも思っているのでしょう。
 そういう意味では、家事の短縮はされているわけですが、不慣れな挑戦に四苦八苦していると‥

 どちらに転んでも苦労性なんでしょうね。そこでも自覚があるかどうかです。

 ‥自覚が無いと、その分、愚痴しか吐いてないということです。
 ‥愚痴を刷り込んでもノイズなだけです。
 ‥自覚を持てていると云うだけで、愚痴の少ない方を引き寄せていると。(そういう事だと思います)



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 23:52 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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