↓9)向宜詠吟.2016/10/28
|耐えてきた残暑の厳しさもう少し季節の変化を今日も待ちいる 沼津市・萩の会
|堪え忍ぶ残暑厳しき続く日々 移ろう日射し富士の夕暮れ
‥はじめ、これのどこに風情があるんだと思いましたが
手直している内に、和歌のレベルまで飛躍しました。ごちそうだったようです。
でも、実際は、それ程に風情ある日々とまでは感じられていないかと思います。
> 繰り返します。
‥実際は、それ程に風情ある日々とまでは感じられていないかと思います。
実際は、それ程に風情ある日々とまでは感じられていないかと思います。
それ程に風情ある日々とまでは感じられていないかと思います。
(毎日くそ暑いだけに、風情なんかあるわけねぇだろうが!!!)
(富士と綴れば、風情に見えるとか‥そんなの思い込みのお花畑や!)
(毎日が富士日和なんてあるわけがないん!それこそ死んでまうわ!)
(‥こういうのを様式美というのでございまーす)
|様式美、放て穿て破れ
1-9)1
|秋帽子かむりて風にふんわりとコスモスの道語りつつゆく 沼津市・萩の会
|秋帽子 風にさそわれ語り行くコスモス見つつたゆたうとして
‥「かむりて」ここがポイントです。
主役はあくまで秋帽子です。コスモスではありません。それの主張がここにあります。
でも、「秋帽子」の意としては、すでに織りこみ済みで良いかと思います。
そうでないとコスモスが活きてきません。
手直しでは、自分の被ってきた秋帽子が
如何にもコスモスの風景の中にとけこみ、コスモスの花を秋帽子に例えているようにも見えてきます。
‥でも、主役はあくまで秋帽子ですので、
そこはあくまで、コスモスの多さに目移りしている感じとした具合です。
どれも同じコスモスなのに、風景として見渡す限りにあると、全部を確認してみたくなるのです。
どれも同じ人間なのに、花(才or美)として見渡すと、全部を確認してみたくなるのです。
‥浮気をするなとの言い分の方が、どだい無理なのです。
(人から好奇心を取り上げると云うことは、ロボットになれという事ですから)
(‥とはいえ過ぎたるは及ばざるがごとしです、そこの加減も最もという事です)
|新米が隠れる程に栗の飯 今朝は盛りよく仏壇に供ゆ 牧之原市・田沼塾短歌会
縄文時代の主食は栗をはじめとした木の実で、村には栗林が広がっていたそうです。
よくよく思うに、春先になると栗の花が今で言う桜のように咲いていたわけです‥
春だし、もの凄いアレの匂いにそそらないわけがありません‥
とりあえず、産地に住むと是非が出るかと思います。
それにしても、食べ物にも暮らし向きにも違いがございます。
アレの匂いはダイレクトに性を連想するばかりだったかと思われます。
そこを勘案すれば、村の男女関係は曖昧で、集会場のような建物の中で
朝から晩までハーレム紛いにも盛り放題だったのではと思わなくもないかと‥
とくに女の方がその気なら、そんな空気にもなっていたと思われます。
女がそうだと男もその気になるものです。村全体でそうなら十分にありえたかと思われます。
‥ここで重要なのは、「それがゆえに男女関係に敷居がなかったのでは?」とした見解です。
しかしそれはそれで奇形の多発も懸念されるところです。
縄文人がそこを理解していたとしたら、祭りという範疇でやらかしていたのではないかと‥
エロマンガのネタよろしくに、実際にそんな村もあっただろうと思わざるを得ません。
‥翻せば、だからこそ村意識が基準に到ったとしてもおかしくないと思います。
そこに弥生系の文化と民が入ってきて
男女が村ではなく、家という単位であったのと、弥生系の容姿に美醜の差をよぎらせることになり
弥生系の男女とまぐわいたかったのも重なって、稲作文化を受け容れる流れの村が多かったとか。
(さらには、そんなことから、西から来た民族への劣等感がその頃に植え付いたとか‥)
(つまりは、かかあの尻に敷かれだしたって事の始まりかも知れませんよ)
‥なんて妄想しちゃいましたとさ。
1-9)2
|母のこと語れる人は幸せと幼き頃のわれに母無し 沼津市・萩の会
‥う〜ん、世の中奥が深いですからね
語れる内容にも依ると思います。葛藤だけしかなかった場合もありますから。
でもまぁ、そんな理屈より、自身の気持ちを詠むのが大事です。
他に詠みようなんてありませんからね。あとは根に持たないことですね。
‥実際そこで、引っかかりますから。
それにしても、それが良い悪いではなく、そことどう向き合うかという話です。
そこの自分と向き合うしかないわけですから。
ただ単に、向き合いたくない気持ちというのでは、どうかと思いますよ。
|くろぐろと甍ひかりて三井寺の鐘のひびきは琵琶の湖越ゆ 牧之原市・田沼塾短歌会
|さびしさや晩鐘とどけ琵琶湖まで暮れて三井寺惜しみゆく秋
※ 甍(いらか)、三井寺(みいでら)
‥ググってみたら、三井寺絡みの昔話があり、それに引っかけて詠んでみましたとさ。
あとはそれっぽく季語観を引っ付けております。
訪れたことはないのでその辺やっつけです。(あしからず)
1-9)3
|夏の蝉あヂイあヂイとなきながらシヤワあシヤワあとひぐらし頼む 牧之原市・田沼塾短歌会
|蝉高し あヂイあヂイとなき垂れてシヤワあシヤワあとひぐらしごねる
なかなかに面白い詠みです。
ですが、「夏の蝉」とは今ひとつ切れが悪い‥そこで「蝉高し」と整えてみました。
(‥考えてみれば、蝉のボリュームをそう詠めば好かったんですよね。気がつきませんでした)
|高だかと首をつり上ぐるクレーンにはしゃぐ男の児は体ゆらして 焼津市・高草短歌会
|高々と春玉吊り上げ見入る空 付近の児のどよめきを背に (2017/05/16)
‥まぁそうですね、間違っても首を吊るなんて縁起の悪い言い回し、よろしくありません。
(読んでると、不愉快ぐらいにちんぷんかんぷんです‥犯罪現場を黙って見ていたのかと‥)
昔の人はそこの縁起担ぎに慎重だったので、当然として、かような表現は致しません。
業界的にも「玉掛け・玉を吊り上げる」に統一されとるようです。(052参照)
> 言葉が覚束ないと思ったら、訊くか調べましょう。それもまた読む人への配慮です。
1-9)4
|天焦がす大輪花火の揚がる度感じる筈の喜び薄く 牧之原市・田沼塾短歌会
|死期なのか‥大輪花火の喜びのいつになく薄し夜闇かな リスペクト
「へへへ」、ドキッとする感じにリスペクトしてみました。
何が気に入らないとか、そういう事よりも、どうして薄かったのかを考えませうという事です。
‥そもそもが主観ですからね。自分が考えなかったら、主観ほど答えは降りてきません。
|坂道をとまりて一息腰のばし歩一歩登るこれぞ人生 牧之原市・田沼塾短歌会
|坂道や一息とまり腰のばす歩一歩登れるこれぞ生き様 手直し(るる訂正:2016/11/27)
‥「これぞ人生」って、それは言い過ぎです。
それはあなたの意志・選択‥もとい、「これぞ老い」にあるだけです。
且つ、老いさばらいて尚そうなら、若い頃からそうだったという事です。生き様です。
|嘆きなど吾に似合わぬがむしやらに畑の草抜き心落ちつく 牧之原市・田沼塾短歌会
「‥へぇ、そうなんだ」
農家が板に付いていると、畑いじりしていた方が落ち着くと‥
農家に限らず、そういうタイプはそういうタイプだと‥
(随分と違うよな)育ちの差なんだと思いました。
(‥ある意味消化不良です、切り替えがはやすぎると思います)
切り替えのはやすぎる人は、詩人には不向きかと思われます。
切り替えるにしても、見切りの境まで粘ってみるのが、詩魂たくましいかと思われます。
時にそれは、人生の半時にも及ぶ場合にも到るわけでありまして、ある意味阿呆でもあります。
‥そんな感じで、自分は切り替えが早い方だと思ったら、のんびりの意見にも耳を傾けるべきかと。
1-9)5
|夕されば散歩帰りの老犬は荒き息して空ろに見上ぐ 牧之原市・田沼塾短歌会
|老犬や夕染む景に一休み散歩ゆくゆく暑かろうとも 手直し
※ 夕染む景(ゆうそむけい)
犬のことなんかさほど知りませんが、夏バテ気味なんだと思いました。
‥とまぁそういうことで、少し格好よく整えてみました。
|夕間暮れ帰り来るかとつばめの巣 子等の帰りを待つかのごとく 牧之原市・田沼塾短歌会
|夕まぐれ燕の子らが帰り待つ 親は何処や気になる安否 手直し
これは巣立った後のもぬけの殻ということでしょうか?
誰が「待つかの如し」なのかが曖昧です。詠み手なのか、それとも燕の雛なのか‥
曖昧のままなのはすっきり致しません‥というわけで
なぜか親つばめの帰りが遅いという着想に置き換えてみました。
1-9)6
|鬼ゆりは二輪さきがけこの夏の猛暑よろこぶ如く咲きたり 牧之原市・田沼塾短歌会
|鬼百合の先駆け二輪雨上がりしたりと続く朝一面や リスペクト
‥庭先の鬼百合だと思いますが
調べてみると鬼百合のそもそもは、晩夏よりの高山植物だとのこと‥
そう考えると「へぇ?」とツッコみたくなるような歌になってしまっています。
「さきがけ」が、どのように解釈されるかということでもあります。
そんなこんなで、よく知らないのでリスペクトも微妙な情景です。(あしからず)
|青空に吸い込まれ行くブランコの孫の背を押す健やかなれと 牧之原市・田沼塾短歌会
|鯉のぼり見上げ微笑む赤児抱きブランコすわる母子健やかなれ 手直し
まずは、どのようなブランコなのでしょうか?
孫の背を押すって程度なら、青空には吸い込まれる程に無いと思います。
(その逆も然りで、自分の方が危ないだけかと‥)
その辺の安全性というか、バランスが非常にちぐはぐです。
微笑ましさばかりに酔っていても、安全は確保できないのでーす。
‥ゆえに、どのへんを健やかとしているのかが不透明になってしまっているのです。
孫は男の子とは限りませんが、適当に情景を見繕って手直ししてみました。
1-9)7
|裏山の緑鮮しき梅雨の晴間久しぶりなる竹群仰ぐ 焼津市・高草短歌会
|裏山の竹群仰ぐ梅雨晴間久しぶりかなこの青々と 手直し
「鮮し」何と読むのでしょうか?
鮮鮮し【あざあざし】‥はっきりとしている。あざやかだ。
とはありますが、鮮しとはありません。
これは、「恭し」と同じで、うやうやしいをうやしとは省略しないのに準じていると思います。
(‥そこのへんてこぶりが気になり、その範囲で手直ししてみました)
それにしても、何をしに裏山の竹に用があったのでしょうか?
「仰ぐ」「鮮鮮し」‥目出にでも行ったのでしょうか?
なら散歩という事になりますが、梅雨晴間ですからね、ぬかるんでそうな案配です。
‥仕事かなと思わざるを得ませんが、「久しぶり」ですからね、まぁよく分からないのです。
|墓参り幼き頃の遊び場はわがふるさとの寺の境内 沼津市・萩の会
|墓参り久しと歩く寺の径あそびたる記憶変わらぬままに 手直し
まず、何と言っても、墓参りの掴みに対して、お後が整っていません。
どう読んでも、墓参りとしている場所と、懐かしき寺が別々なのかとしか思えません。
つまり、「墓参りに行かなくちゃなあ」とした感じなのです。
‥そこはどうしたって変なのどえす。
ということで、しっかりと墓参りに来ている詠みに直してみました。
1-9)8
|風が閉めるドアの激しさよ肝心なテレビの音を聞き逃す昼 牧之原市・田沼塾短歌会
|夏風やドア閉ず激しさ音のがすテレビの筋わからずムッとす 手直し
「聞き逃がす昼」‥短歌なのに、どうして俳句の終わりみたいに終えなぁあかんねん。
そこが気に入らねぇなと思いつつ、手直ししてみましたが、
どうにも、しまりのない着眼を選んじまったご様子‥風情の伴わない様は、詠むだけ無謀かと。
|空曇り無風なるかな森 閑と波打つ音のみ居間に聞こえ来 牧之原市・田沼塾短歌会
|暗雲や無風に聞こゆ木々の声来るぞ来るぞと台風ニュース 手直し
まず、無風が聞こえてくるわけがありません。
聞こえてくる気配が伝わるように詠むのがポイントです。
そのような題材を選んだ猛者と云うことになりますが、
‥どうにも、自分の所に聞こえてきたとか、そんな着眼はクドいだけです。
> 視点を切り替えて、視野を広げ、分かりやすくするのも大切です。
1-9)9
|立秋に熟れることなく落ちる柿 車に潰され煎餅と化す 沼津市・萩の会
|立秋の落ちたる柿のなれ姿 車にひかれうす煎餅 手直し
‥これ、掴みは良いと思いますが、どうにもじれったいですね。
掴みとしての「立秋」の言葉の持ち味を無駄にしてしまってます。
立秋に落ちたれば、熟れてなんぞいないでしょう。そこの見切りが大事です。
そもそもにして、熟れていても落ちてしまう時はおちるものです。
その中でも立秋だからこそ、残念だという気持ちがより強くそこにあるわけです。
(でも、他の実がより甘くなると云う見方もできます‥実際の所の是非はわかりません)
(どうせ甘くするつもりなら、早い内に間引くべきですが‥簡単に熟れすぎて崩れてしまいそうです)
(柿渋づくりに最適ならやってみるべきかも知れませんが、どうでしょうね、収量も減りますからね)
|親しげに声掛けくれし人あれど容姿変りてしばし戸惑う 沼津市・萩の会
|親しげに声掛けて来て誰かしら‥しばし戸惑う面影変わりて 手直し
‥これ読んでいると、じれったい言い回しをしております。
「掛けくれし」ってなんですか?
声を掛けてきたのは向こうです。「〜くれている」としたら相手の方です。
しかしここでは、「声を掛けてくれた」の意のつもりでしょうから
「〜くれている」人などどこにも居ないのです。
「声掛け来し人」でまずは良いはずです。(※ちなみにカ変に完了助動詞「り」は付きません)
> 声を掛けられて途方にくれている様を表現する意味がどこにあるのか?
そう思っているのがあなたであるにせよ、
「親しげに声を掛けられて誰だろうかとくれている人がいます」とはつまり、あなたのことです。
まるで自分の鏡とおしゃべりしているかのような錯覚にも導かれてしまうのです。
容姿が変わったって‥それはつまり、若い頃のあなたもしくは逆やらが多重人格にもやって来て
内側から語りかけてきた且つ容姿も変わってしまってるという怪奇な現象と云うことになります。
‥いやぁそれならそれで、たまげた詠みっぷりという事になりますな。目から鱗です。
マンガのネタとしては、持って来いですよね。カフカの「変身」ばりの傑作が期待されてきます。
> 基本的に整わないと思ったら、全体の構成を再確認する癖を保ちましょう。
> 日本語には、多様に表現できるだけの土壌がありますので、ひとりよがりは戴けません。
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
【名句にポン/2016の最新記事】
- 【勝手句帳】066 28-12-27 其..
- 【勝手句帳】065 28-12-27 其..
- 【理解】助動詞「つ」「ぬ」が完了として他..
- 【勝手句帳】064 28-12-20/1..
- 【勝手句帳】063 28-12-20 静..
- 【勝手句帳】062 28-12-17 其..
- 【勝手句帳】061 28-12-17 其..
- 【勝手句帳】060 28-12-16 静..
- 【勝手句帳】059 28-12-13 静..
- 【勝手句帳】058 28-12-10 静..
- 【勝手句帳】057 28-12-9 其の..
- 【疑問】[名詞+する]が、なぜ基本サ変な..
- 【勝手句帳】056 28-12-9 其の..
- 【勝手句帳】055 28-12-6 静岡..
- 【勝手句帳】054 28-12-3 静岡..
- 【勝手句帳】053 28-12-2 其の..
- 【勝手句帳】052 28-12-2 其の..
- 【勝手句帳】051 28-11-29 其..
- 【勝手句帳】050 28-11-29 其..
- 【勝手句帳】049 28-11-26 静..