↓9)向宜詠吟.2016/11/09
|涸れ残る池のひとひら赤トンボ 沼津市・潮音みどり句会
|涸れるのか‥池にひとひら赤トンボ 手直し
‥ググってみると池の定義には
「沼より浅く小さい、ほぼ人工であることが前提‥」とした意味合いがあるようだ。
> となると「涸れ残る池」の印象は、三つに分かれる。
管理が行き届いておらずに干上がる程の照りに置かれているか
もしくは、清掃中・清掃予定で水抜きの最中という事になる。
そして、天然の窪地に水を湛えている場合である。
しかしここでは、涸れ残るとあるのだから、もはや湧き水などが想定できない状況なのだろう。
‥いつ干上がってしまってもおかしくないのだ。
ただ
ここでの「残る」の意が赤トンボにも掛かる次第を覗うなら
手直しのようにして、池が涸れてしまえば赤トンボもどこかに行ってしまう意を露わにすれば
「残る」を添える意は不要かと‥
そもそも、「涸れ残る池」の印象で三分割してしまう程なら、的をもっと絞るべき所かと‥
|子ら追へばひらりひらりと赤とんぼ
1-9)1
|溶岩に実生の草木天高し 沼津市・潮音みどり句会
|夏草や溶岩かかふ実生かな
|秋行くや溶岩つらき実生かな
※ 実生【みしょう】‥草木が(つぎ木・さし木などによらず)種子から芽を出して生長すること。
また、そうした植物。実生え(みばえ)。
つまり、実生と書けば、「草木」はそのままに削れてしまう‥
どうしても入れたいなら、その手の季語を添えるべきであろう。
さらに、そこにある草木はただの雑草の印象が強い。
冬になれば枯れてしまうだろう。そうなると、どうしたって「天高し」は言い過ぎになる。
‥ただ、力強く詠み込めば良いというモノではない。
所詮は、侘び寂びには及ばぬと心得ざるを得まい。しかし、着眼は頼もしい程である。
|溶岩に実生えの松や秋高し
‥などと言いつつ、こうすれば山水画の空気を醸し出すというモノだ。
リアルを見て、斯様に整うように足したって良いんだよ。
> 生命たる可能性をそこに見出すのだ!
> まさに‥是こそが現代人の俳句に求めている「強さ」と表現できるだろうか。
|身に入むや溶岩あらはなる小浜池 沼津市・潮音みどり句会
|身に入むや溶岩山水小浜池 手直し
※ 小浜池(こはまがいけ) ‥で画像検索
※ 身に入む【みにしむ】‥痛切に骨身にしみ透って感ぜられること。
自然と人生の寂寥感がしみじみと身にしみて感ぜられること。秋の季語。
> 「身に入む」、季語なのか‥なぜ?、出自は?‥どちらかと言えば、解釈は「冬」なんじゃねぇの?
> 「入む」と書いて「しむ」を鑑みるに、食欲の秋を連想できるのだが‥どうなんだ!
> 食べてよし見てよしの秋が身にしみわたってくる様‥この辺の解釈から変転したんじゃねぇの?
‥小浜池でググってみたところ
どうにも句会仲間で三島の楽寿園に行ってきたようである。
「へぇ・・三島の楽寿園?」
いや、どう見たって、溶岩ゴロゴロってほどでは無い。
かつてその辺りが海だった名残程度の溶岩岩チラホラって感じにある。
まぁ格好いいキャッチフレーズを見繕うなら、枯山水ならぬ「天然の溶岩山水」だよね。
‥そこになぜかちょこっと涸れかけんばかりの池があると。
(聞くところによると、工場用水利用で減てしまったとされるが、真相は曖昧のままである)
> そりゃ、実生の松が溶岩の上にあるなどと浮かぶわけが無い。(イメージ飛ばしすぎだったらしい)
‥ということで、溶岩について、まず先ほどの松のパターンを探してみた。
そしたら‥信州溶岩(佐久市)というのを知った。溶岩と言うよりは岩山の岩肌である。
さらに「崖松」と表せば、溶岩地肌に限らず日本のあちこちに所在する。
あと、青木ヶ原樹海と鬼押出し園のパターンは代表格である。
一方は生い茂り、一方は着飾る気配が無い。同じ溶岩地肌でも随分と違うのだ。
|崖松や雪しんしんと仰ぐかな
|来る春や松葉を飛ばす崖の声
|崖松も追いし夕焼け孤高とて
|岩崖に実生の松ぞ天高し
‥溶岩から産声を挙げんとしつつある「秋高し」も捨てがたいが
「天高し」のパフォーマンスを考えると、「岩崖」の方がしっくり来るかなと。
誰がどんなイメージで溶岩を感じ入るかは定かにない。断り事など無論にある。
> ‥話を楽寿園の小浜池に戻そう
どうせなら、桜に囲まれて花散るよそおいを見てみたいところだが
常緑樹じゃないと、四季を通じて見栄えが悪いと判断されたんだろうな。
(今ならバーチャル映像に収めてしまえば、背景チェンジを楽しめるだろうに、是非!)
(‥そういった雅な風情ばんばんのアピールならVR機器もそれなりに継続して売れるのでは!?)
(‥我が世の四季絶景シリーズとかな。エッチの方にばかりかまけてないで、是非!)
(戦艦大和の艦内再現の館内公開が始まってる勢いで、もっと一般公開に向けて是非!)
(ネットからVR接続にも、入園料をその度に取るというビジネスモデルも有りかと思う)
(一回の入園料&アドレス辺り60日間有効ぐらいなら‥どうだろうか)
(システム互換は当然として、バージョンアップの度に、すべて巡り直したくなるという流れになる)
(言わずとも‥震災時には、データがあることで、リアルの方の再現よすがにもなる‥)
1-9)2
|源平川底に空あり秋気澄む 沼津市・潮音みどり句会
|源兵衛や底に空あり小鳥来る
※ 源平川→源兵衛川(げんべえがわ)
ハッキリ言いまして、写真で見る程の広がりはにゃいん。
でもまぁ、柿田川湧水よりは、ずっと身近な憩いの場になっている。
あといくつか近辺にあるのだが、どうしてこの二つだけが目白押しなのかは知らん。
それにしても、底が浅いだけに、「底に空あり」は言い過ぎだと思う。
言い過ぎな分だけ、川を外してしまうも良し。そこに生命観を足せばバッチリにあろう。
「源兵衛」が、川か池かぐらいには想像されるはずだ。
‥もう一つツッコむと、少し歩けば、どう見てもただの小川だというのがわかる。
人気の広めの所だけが整備されている感じで、それ以前の姿がどうだったかは知らん。
たまに通っても、水鳥はたいてい見かける。
|底見ゆる流れに遊び秋の鴨 沼津市・潮音みどり句会
|底見ゆるせせらぎ鴨も憩う里
源兵衛川に流れなんかあるのかな‥そんな感じなんだけどね。
(‥無論、流れていないと言うことはない)
1-9)3
|背丈越すコスモスの花支柱せり 藤枝市・亀城俳句会
どれだけ上に伸びる気なんだ??
あまりにも大きく成りすぎると、かわいらしさも糞もないぞ。
しかも、向日葵程のコスモス畑なんて別種だな。(水に沈めてもイケそうな感じだが‥)
|廃屋の屋根や絡まる藪枯らし 静岡市・満点句会
|廃屋の屋根まで枯らす藪枯らし ツッコミ
「屋根や」ではなく「屋根に」の方がもっともらしいと思うが、それだとあまりにも平文すぎる‥
それならそれで、遊び心を加えれば良いと思う。
‥余韻のインパクトなんて奴は、そんな積み重ねから向こうから勝手にやって来るものだ。
1-9)4
|金風や絶えず首振る風向計 静岡市・満点句会
|○風や絶えず首振る風向計 ツッコミ1
|金風や絶えず首振る日経株 ツッコミ2
※ 金風【きんぷう】‥(秋は五行説で金に当たるからいう)秋風。商風。秋の季語。
風向計が金属感ありありだから、金風などと洒落てみたのだと思うが、
反ってわかりにくい。好みの分かれるところだろう。
(ツッコんだことを言うと、強風の時期なら季語はどれでもいい感じだな‥ゆえに敢えて金風か‥)
|狛犬の阿吽へすつと秋の風 静岡市・満点句会
|阿吽添う狛犬「クスッ」と秋の風
‥なんともコミカルに思えるわりには、捻り不足に足してみた。
「さっきさ、スゲー珍しくおれっちにお供えしてった老婆が居ただろう」
「ほんとあのモナカ美味しかったよね」
「ああ、また食いてぇよな‥くすっ」
1-9)5
|鹿鳴くや明日はあの山越へ行かむ 藤枝市・亀城俳句会
|鹿鳴くや明日はあの山越へ行かむ 長距離トラック女好き
※ 鹿鳴く【しかなく】‥男鹿の交尾欲求の鳴き声。秋。
‥どうにも雰囲気は短歌である。じゃ、恋歌だろう。
昭和にはそういう男も多かったんだろうと思うが、平成の今時はどうなんだろうな??
|鰯雲蓬莱橋のど真ん中 藤枝市・亀城俳句会
|秋ど真ん中 蓬莱橋をよそふ暮れ
印象はあると思うものの、「ど真ん中」の余韻が足りずと不満に思い、リスペクトしてみた。
|沢音の包む里山秋澄めり 富士宮市・湧吟行句会
|沢音や包む里山秋澄めり 手直し
‥ふとした沢音から秋の声に気がついて、見渡す秋(光景)が広がっていく様である。
ここは「の」より「や」である。「沢音の」では、気持ちとしての余韻までは伝わらず、物足りない。
1-9)6
|吹かれゐる秋の揚羽の骸かな 富士宮市・湧吟行句会
|玉虫の翅の欠片や秋の風 富士宮市・湧吟行句会
どうにも、揚羽と死生観の組み合わせは、シュールに似合ってしまうらしい。
‥美意識もすぎたれば、人でも地に足が付いたようには見えないからな。
一方で
玉虫は逆に重宝されてしまうと、大局的な死生観にあるな。
‥まぁそれにしたとて、好みでしかないからな。
|誰にでも尾を振る子犬蓼の花 富士宮市・湧吟行句会
|剥落の仁王のまなこ鶏頭花 富士宮市・湧吟行句会
‥この二つの句は
蓼(たで)とケイトウの花からの印象をそれぞれ比喩にして詠み込んでいる。
なかなかに面白いのだが、ややまとまりに欠いている。わかりずらい。
|誰にでも尾を振る仔犬や蓼ゆるる
|ケイトウや奈落の仁王の睨みよる
1-9)7
|山と山くつつきそうな良夜かな 富士宮市・湧吟行句会
|山と山くつつきそうな月見かな たわわなおっぱいにアクメ顔
※ 良夜【りょうや】‥月夜。
なんともみにくげな読み方である。好かん!(何を好んで字余りを狙うのか??)
‥夕焼け小焼けの唄の発祥の地が中央道の中途にあるのだが
そこで見られる夕日と月がひと味違うんだよ。「え☆!」と思うぐらいにひと味違うんだよ。
昔なら丁度、山と山の間の光景だから随分と風流な眺めだったかと思う。
(棒振りで結構飛ばされました。お陰で良き空を拝めましたけどね)
|廃屋の庭に柿の実たわわなり 富士宮市・湧吟行句会
‥ついつい、柿をもぎに行ってしまいそうな空気にあるが
そこに突如、廃屋の中からヒグマが突進してこようなら、OUTだね。
1-9)8
|ついに来た昼食べてない夫言う 湖西市・川柳浜千鳥
|メガネどこ捜す貴方のでこの上 湖西市・川柳浜千鳥
|敬老の日主役交代親が逝く 湖西市・川柳浜千鳥
|湯気の中腰振り踊る鰹節 湖西市・川柳浜千鳥
1-9)9
|落鮎の跳ねて夕日に染まりけり 静岡市・満点句会
|朝顔や空の青さを吸ひ込みて 静岡市・満点句会
|月下美人母入院のこの夜更け 藤枝市・亀城俳句会
|秋高し金太郎飴しやぶる昼 富士宮市・湧吟行句会
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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