↓6)向宜詠吟.2016/11/16
|一日を一人で過ごす秋思かな 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|一日を一人で過ごす秋思かな 天つ空さえただ流れけり
‥どうやってプラス七七しようかなと思案していたところ
広辞苑の検索をずらずらと別の調べで見てて目にとまったのが、「天つ空」
ラッキーとばかりに整いましたとさ。
外に居るのか、部屋の中に居るのか、そこからしてパターンありすぎの詠みです。
「秋思」なんて響きでは、ただ置いてあるだけの詠みにしかなりえません。
それでいて、インパクトが軽いわりには、サラリと整ってしまっているのです。
後半もどうしたってそこのリズム感なりサッパリ感を崩したくないのです。
> これを一人ですらっと詠んだとしたら、現代短歌としては、脱帽モノですけどね。
‥でも俳句のままなら極平凡。(ここの落差がスゴいわけですよ)
早い話が俳句と短歌は別物です。それでいて双子みたいな所があると‥
|コンバイン秋の景色を仕上げたり 静岡市・SBS学苑パルシェ校「すんぷ俳句のひろば」
|コンバイン秋の景色を仕上げたり もてなす刈田ぞ香の夕暮れ
‥農家ながらの詠みっぷりが実に好い。(実際‥農家かどうかは判りません)
そこにご苦労様と言葉を足してみました。
まぁ、農家にあれば、刈田の香なんて、毎年のことで何気ないかも知れません。
(今年もまた一段落したなあとの充実感の方が勝っていると思いますから)
‥この辺が、合作の醍醐味かと。
1-6)1
|つるし柿のれんの様に里の秋 浜松市・浜松川柳クラブ
|つるし柿 農家の軒のずらり暖簾 誰も知るまじ裏からの夕 (2016/11/17)
‥吊し柿を暖簾に例えるのはべたですが
風景として、ただでさえ日常のそれに「里の秋」でくくっては曖昧です。季重ねでもあります。
というところで、「里」を「農家」にしつつ‥照準をさらに絞って整えてみました。
‥+七七するのに、なかなか出てきませんで
写真でもお目に掛かったことが無い視界をようやく見つけた感じです。
(吊し柿の裏側から覗いて眺める夕日または夕景ということです)
(通常、南側に干しますが、時にははみ出て西側にも吊されてあると思います)
|祖母の手にしたたる果汁「ありの実」よ 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|したたるや 梨を剥きつつ「ありの実」は豊かに生れに甘んずるもなし
有りの実【ありのみ】‥梨。音が「無し」に通ずるのを嫌って,対義の「有り」を用いた語。
‥と言うところで、「なし」でも良いだろうにとツッコんでみました。
全く以て、昔ながらのダジャレの縁起担ぎだなあと思わざるを得ません。
1-6)2
|とりどりの秋果の匂ひ道の駅 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|道の駅秋果のあふる匂ひかな しからば急げここまでの甲斐
「道の駅」と下五に置いてしまうと、道の方にまで匂いが漂ってくるように思えます。
それはちょっと無理があるでしょうというところで、手直ししました。
‥手直しのように置きますと
入り口にまで来てドアが開きました、美味しそうな秋果の匂いが立ちこめています‥
という風に整うわけですね。
(ただ言葉が並んでれば意味がわかるだろうって、そんなこたぁない)
(この辺は、マンガのコマを見せる順序となんら変わりません)
|秋冷の村に地の物山の物 静岡市・SBS学苑パルシェ校「すんぷ俳句のひろば」
|秋高し里に地の幸山の幸 海が訪ぬる頼みの交換
秋冷(しゅうれい)がお題のようですが、秋冷は「秋のひややかさ」を意味するだけで
それがどう、地の幸、山の幸と結びつくのかがよく分かりません。
> そもそも、「物」って何ですか?
そこはさておき、現代の風景で考えると、なかなか馴染むような光景が浮かびません。
昔の山間部ですと、自分たちで交換に行きたくとも冬支度で忙しいのです。
そこに行商がやって来るのが頼みの綱でした。物々交換です。
鰯の塩漬けを一尾。朝は頭、昼に腹、夜は尾っぽを三回に分けて味わうのがご馳走だったとか。
ほとんど塩気のご馳走です。
‥なぜか(ステーキなんかより)そんな光景にもっぱら生唾が出ちゃうんですよね。
1-6)3
|子等駆けるコスモスの中笑い声 浜松市・浜松川柳クラブ
|子らが風コスモス畑笑み高し 思いは誰もふるさとの秋
花畑の中で、駆けながら笑うってのは、なんか言い過ぎな感じですよね。
二人ならそれでもかまわないところでしょうけど、多数ですからね‥
楽しみ方が断定されているというか、ざっくりしすぎてしまいます。
そこを、もう少しま〜るく整えるように和らげに引っ張った方が、
コスモス畑の中で一人一人が、思い思いの感じ方をしている様になってきます。
|園児等の声が青空駆けて行く 浜松市・浜松川柳クラブ
|「ここはどこ?」イチョウで埋まる並木道 園児ら駆けだして声高し
‥これは、ネタを後半に持ってきて、前を付け足した構成です。
「声高し」は園児らの声でもありますが、引率の声でもあると思います。
「追いつけず」としたいところですが、ネタと掛け離れてしまいますので自重しました。
‥まぁいつだったか、かような写真だか動画をネットで拝見したのを参考に詠んでいます。
‥それにしても「遠足」が春の季語だったとは、「な〜ぜ〜??」と今になって疑問だったりと。
|爽涼の山に畑に樹々に風 静岡市・SBS学苑パルシェ校「すんぷ俳句のひろば」
|爽涼の山に畑に樹々に風 どこまでも恋しき里の秋
‥「爽涼」が初秋を指す季語だそうですが、どうにもそんな気がしません。
温暖化の影響で、季節感がますますズレています。
戦後昭和の富士山の雪の量と、現在とは比べようのないほど差があり、少量です。
昔のペースで行くと、富士山はとっくに崩壊にまっしぐらだったと言うことです。
富士山の積雪が、春に麓に流れてくるのを「雪代」と言いまして、土砂ごと流れて来てたそうです。
いわゆる、大沢崩れに見るあの険しき二本の沢筋になります。
温暖化も進み過ぎると、今度は、富士山頂の永久凍土が崩壊しかねないと言われております。
> ‥話がそれましたが
これは、丘の上もしくは山肌から眺めている感じなんでしょうね。
通常なら散文になりがちで、なかなかこんな風に句には詠みませんので、面白いと思いました。
‥なら見えているのは「里の秋」ですよね。(捻りようも無いのでそのままを詠みました)
1-6)4
|すぢ雲に押され押されて今日の月 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|すぢ雲に押され押されてけふの月 ただありなむと見上げるも得ず
「すぢ雲」と書けば歴史的仮名遣いになります。「今日」は「けふ」としたいところです。
まぁこの辺、個人差ありますね。
自分も結構適当に見える口だと思いますが、詠みの着眼もしくは空気に合わせる感じです。
‥そもそも、口語だけで成り立たないのが和歌の系譜です。
どこまでが、文語だとか歴史的仮名遣いだとか‥どうしたって動詞の活用の部分だけに陥りがちです。
‥厳密に言えば、それがおかしいのは明らかなんですよね。
当時使っていた言葉の範囲なんて誰もわかりゃしないんですから。
それに昔の人に読んでもらえるわけもありませんし、そんなの前提にありません。
私たちは昔に習って伝統を受け継ぐというだけのことです。
> そこにあった暮らしや風景が変わっていく中で、
> なにを残して残さないかを言葉として考えて行く、そこが大事かと思います。
‥ここはまず、どれ程の筋雲で、どれ程に風が吹いているのかです。
見事な月に詠みすすむのか、拝めなくて残念だなあと詠むのかの二択です。
どちらにも詠めるとは思いますが、片方しか浮かびませんでした。(普段見てませんから)
|夕月に寄す波のごと白い雲 静岡市・SBS学苑パルシェ校「すんぷ俳句のひろば」
|夕月に寄す波はやと紫紺暮れ たおやぐ姿雲ぞ覆わる
|待つほどにすっかり雲の去りゆきて今宵の月のなんと眩ゆき
‥夕月に寄せる波の如し雲が流れている。
そして、昼でも無いのに何故に白き雲なんでしょうかね。全く以てぶちこわしですよ。
にしても、これは先程のと被ります。面白き鉢合わせです。
まぁどうにも、そのまま晴れ間が得られるというのも面白くありません。
といった所で、場面を二つに分けてみました。
|雲動き満月包む松林 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|雲間から月の光や松林 静けさ包むさざ波の先
「満月包む」‥変ですよね。包んでいるのは満月ではありません、月光です。
その辺で調整しないと後が続きません。
+七七の方は、いわゆる月の道らしき雰囲気という事になるかと思いますが、
どうやら月の道が見事なのは、幾分特定の傾斜がある間だけのようです。
‥頂点付近に月が来ていては、月の道もそれほど長く映えて見えないのではと思いました。
影の長さと同じ理屈と言うことになるはずです。
写真に収めたいならその辺を狙って行かないと、うまく行かないように思います。
1-6)5
|稲雀見るより早く飛び立ちぬ 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|稲雀見るより早く飛び立ちぬ 吾の殺気甚だしきかも
‥俳句だけで考えますと「飛び去りぬ」だと思うのですが
(もう後には、空を逃げて行くばかりを呆然と見ている感じの方が画になります)
+七七にしてみますと、「飛び立ちぬ」の方が雀の逃げるタイミングとしては良さげに思えます。
でも、猟銃をぶっ放そうというわけでもなし
逃げ出してくれるだけでは気が済まないんでしょうかね??
網を投げては籾が落ちてしまうだけですし、その辺、何が言いたいのかが物足りないのです。
‥そこに言葉をもう少し付け足してみると、そうでもないと。(面白いところです)
|今年米早速炊いて塩むすび 沼津市・万年青大学「俳句A教室」
|早速に新米炊いて味見せり むすびであじわう猛暑かな
‥「今年米」ですか、「新米を」と詠んでは、ただの文ですからね。
そう考えると、「塩むすび」もやっつけに思えてしまいます。
ここは語順を変えるだけでも、ただの文風なのにちょっと違って味わえます。
まぁせっかくなので、「塩むすび」のアイデアをそのまま+七七に用いてみました。
|おにぎりは熱いうちに握れ
|熱々飯をにぎる前に、強めに二十回ほど手を叩くべし(拍手)
‥だそうです。
1-6)6
|一頭の蝶しみじみと肩に居り 静岡市・船越俳句会
|一頭の蝶しみじみと肩に居り 意外に思うこの人の性
‥蝶の数え方がどうしてか「一頭」なんだそうです。
で、肩に止まっていると、まぁ奇特な場面にございますよね。
なかなか、そんな風にはならないのが普通です。
(それとも、ボケにも絵柄とかそういう落ち??)
(入れ墨だったりしてな‥まぁ、俳句にそれは無いと思う)
‥まぁどちらにしても、意外には違いありませんけどね。
ちなみに、ここでの「性」は、(せい、しょう、さが)の順の意味合いです。
(情(じょう)も考えましたが、それは言いすぎかなと思い‥下げました)
|歓声の振り向きざまに秋の虹 静岡市・SBS学苑パルシェ校「すんぷ俳句のひろば」
|歓声や振り向き見れる秋の虹 ゴールの余韻しばし留めむ (るる訂正:2016/11/27)
‥周りの人の声に振り向いてみたら秋の虹がありました。
まぁそういう詠みのようですが、なんだかギクシャクした整いです。
そこで、発想を捻りまして
味方のゴールが決まって(サッカー)
テンション上がっている応援スタンドの声援を「秋の虹」に例えてみました。
ということで、視点はゴールしたチーム選手になります。
「秋の虹」は、夏の虹とは違い、日短ゆえに余韻も短めです。
まさに、ゲームの先行きがどうなるかなんて判らないサッカーのゴール事情かと。(‥なんてな)
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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