2016年11月21日

【勝手句帳】044 28-11-18 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2016/11/21

|湖の水紋走る十三夜          焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|二胡弾くやカヌーの奏で十三夜 すべるがごと水鏡出づ


 *十三夜【じゅうさんや】‥十五夜の次の満月。日本固有の月見。
 (15の次が13に不思議を思うも、なぜかは不明)

 ‥「湖の水紋走る」誰が走っているのかがまるで判りません。(月?詠み人?‥)
 考えてみるに、不思議と湖は波立っています。鎮まることを知らないかのようです。
 湖によっても違うのかも知れませんが、池よりは静かにはならない傾向にあると思います。
 つまり、格好良く詠めているようでいて、実はありきたりの様子でしかない様です。


> そこで、満月をよく見ようと思ってカヌーを出してみた森人の若者を思い浮かべてみました。


 なかなか粋な感じですが、十三夜は曇りがちにある傾向かなと思い
 斯様な展開の詠みを得た次第です。
 (湖は置かなくてもイケるだろうと端折りました‥池は想定内、沼は鳥が多すぎてダメ)
 (夜だし‥真っ暗だし、二胡を弾くだけに流れのある河に出るわけもない)


> 斯様な二胡演奏を見つけました → 【二胡で弾いてみた】吹雪【艦これ】


 




|笛の音に鼓の和せる十三夜       焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|笛の音に鼓の和せる十三夜 月道あけよけふの叢雲


 叢雲【むらくも】‥むらがり立つ雲。

 片方は一人で月を導き、こちらは力を合わせての導きになっとります。
 ‥被るようでいて、そこが違うと。(好みの違いかなと)
 ‥それとこちらはどう見ても演奏会。もしくは宴の余興。
 「けふ」が「今日」だけになく「京」に掛かろうとて不満ありません。


> 和楽の吹雪【艦これ】も見つけました → 【KanColle 艦これ ED】和楽器な吹雪【Spectra】


 



1-8)1

|鳥影の見えぬ渋柿留守の家       伊豆の国市・獺祭鹿の子句会

|鳥影も見えぬ渋柿民家あと ダム湖と散らむ先祖もろともに
|猪の我が物顔や空きの街 ベントに散りぬ先祖もろともや


 ‥「留守の家」ここが不満でして、あれこれと捻っている内にこうなりました。
 「秋の街」では面白くないので「空き」にしました。まさにそのまんまです。(あれ〜)




|賓客に色変えぬ松連なりし       焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|賓客に色変え’ぬ松つらなりて 青ざめるはむしろ向こう様


 ‥どんな松でしょうかね??
 まずは西郷隆盛が挙がるかと、西郷隆盛が十人いるとか
 そりゃ、青くならざるを得ませんな。

 武田信玄とか織田信長とか上杉謙信とか‥青くなるどころの騒ぎではありません。
 ‥どっちが賓客なんだか分かりません。そういう日本が見てみたい。それだけだと思います。


> 個人的には、土地柄もあるのか‥北条早雲を挙げますけどね。




|閉店の広き間口や秋の雲        浜松市・遊史句会

|閉店や広き間口の落葉たり 埋まらざるままつれなしき折
|閉店や広き間口を秋惜しむ 離れゆくのか背中泣く風


 ‥「秋の雲」ですと、どうしても外から間口を眺めている趣です。
 そこで、客視点と営業視点の両方を詠んでみました。



1-8)2

|学校のフェンスにずらり子等の稲    静岡市・中央寿俳句同好会

|学校の柵にずらりと子等の稲 教育米のどこか温室


 ‥「フェンス」では、+七七の方が字余りになるので「柵」にしました。
 趣としては「フェンス」のままで良いと思います。

 それにしても、普段の田んぼにフェンスなんて立てませんからね。

 そこに目を付けて+七七してみましたが、余計なツッコミ感は拭えません。
 でも、改めて思い直す節もあるように存じます。

 ‥それはそのままに学校の問題になく地域の課題なんですな。
 ‥何気なく見て育って、変わらぬまま、課題意識ゼロ。それはそれで大人の側の無知でもあると。
 ‥変わらなくても良き部分、変わらざるを得ず部分。まぁ何事もそこに行きつきます。




|葱一本刻み行く末考へる        焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|葱一本刻み行く末考へる ところ狭しき限界社会


 ‥なんとも中途な詠みですが、「葱」を「禰宜」に引っかけると全然違います。

|日本の二本の意とは波の性 内より外に外より内に




|秋高しジェット機の影音も無く     静岡市・中央寿俳句同好会

|秋高しジェットの筋の渡る雲 どこか当然我が物顔や


 ‥これは飛行機を詠まんとしている訳では無いので、「機」は余計です。
 「音」も要りません。近くで見ている様でもありませんし、詠みの意味合いも過ぎ去ったあとです。

 「秋高し」からの引っ張りとしては、手直しの方でしょう。


> 狙った的に添うように、言葉が整っているかの判断が出来ていれば整ったはずです。残念。



1-8)3

|雲の切れしばしば覗く十三夜      静岡市・中央寿俳句同好会

|雲の切れしばしばのぞく十三夜 鼻ちょうちんに仰ぐあけぼの


 ‥「覗く」は、平仮名にして、見えたり消えたりしている様を強調すべきかと。
 すると、月と雲のせめぎ合いに見せられます。

 ‥十三夜の月見の晴れるのを待っていたら、いつしか寝込んでしまい、朝方になってしまったよ
 まぁそんなあけぼのを仰ぐのも悪くないなあ。


> 前の十三夜の二句と被らないように、ボケで整えてみました




|瀬戸内の月真ん丸にうさぎ島      伊豆の国市・獺祭鹿の子句会

|瀬戸内や長月跳ねてうさぎ島 噂に寄ればくれくれいいよる


 ‥「月真ん丸に」と、こじゃれたままでも味わえないこともありませんが
 +七七にまで引っ張るにはもう一捻り必要で、イケてません。

 「くれくれいいよる」‥うさぎの餌のことかと思えば、どっこい、
 「暮れ暮れ良い夜」‥と引っかけてるんですな。本望は、同じうさぎでも月見のうさぎにござい。




|流行の先端をゆく案山子かな      焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

ググるたび案山子ぞ傾奇あれやこれ 青田の頃から気合立つとは‥


 Googleの画像検索を見ていると、案山子の背景が青田だったりします。
 ‥数奇モノですよね。中には本物そっくりの力作も。(案山子で画像検索



1-8)4

|空を踏む如く干されし祭足袋      伊豆の国市・獺祭鹿の子句会

|空を踏む如く干されし祭足袋 来年もそのまた来年も


 ‥「空を踏む」これをどう解釈するかです。
 昔の日本でなら不敬極まりないところでしょう。

 とはいえ、例えられているのは洗濯したあとの足袋です。しかも祭足袋です。
 それはまるで、あの世に旅立った者らを敬いながら、断っているかの様でもあります。
 そこのバランスがとても良く、

 「空を踏む」と詠んで、長生きに引っかけるのも有りかなと思いました。


|空を踏む人生二百聞き及ぶ 終活ならぬ輪廻活どこさ!?


 寿命が二百年ともなると、生まれ変わってしまうのも手ですが
 ところがどっこい、魂分けが待ってるんですな。
 ‥地球に残れずの裏事情を知らずに終活とか、お笑い沙汰なんですよね。
 ‥まさに地球記念の終活になるんだろうと思わざるを得ません。




|灯火親し古典となりし愛読書      伊豆の国市・獺祭鹿の子句会

|灯火親し古典となりし愛読書 積みつ列べつさも誇らしげ
|灯火親し百で買い取るブックオフ 立ち読む若者ばかりだし


 ‥+七七にしても、べたなところですね。
 こんな風に整うのも、明治の方が「灯火親し」なんて文化を残したからだと思います。


> それにしても


 カネの工面で本を売るんですよ、客層の多くは素寒貧なんです。
 そこに古本の前提があるわけです。気がついてみれば若者ばかりです。

 ‥子連れでもない限り、歳を取ってはスルーするしかありません。

 店内にイス&コーヒーが引っ付いたところで
 カネのある奴は、本屋の新品狙いですよ。なんの意味も無い。

 行き場所に事欠くことになった中年が、アレなネット事情に流れるのは必然だったんでしょうね。
 ‥業界がネット上に無償公開期間を設けるのも流れかと。(そういうことかと思います)



1-8)5

|晩鐘の余韻に釣瓶落としかな      焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|晩鐘や釣瓶落としと子ら帰る 居らずかな寺小屋の縁側


 ‥「余韻」まぁ気持ちはわかりますが、そこを言葉に落とすのが「句」ですから
 「かな」も音数が勿体ないですよね。もっと詠み込めた着眼です。


> しかしまぁ現代の風情としては、晩鐘自体それ程に聞かなくなりました。


 ‥ということで、江戸時代にワープ詠みです。
 明治とか大正とか想像もできません。小説読まないせいだと思います。
 せいぜい推し量れるのが、昭和戦前の様子です。(映像での記録が比較的多いから)

 でも、明治は明治で、言葉の中にひっそりとどっぷりしてますけどね。(なかなか目立ちません)

 ‥明治と大正を見返したくても、思い出されるのは軍事色ばかりなのでしょうね
 ‥で、そこにあった空気感をどうしても避けていると、そこらを未だに気にするのでしょう。
 紹介するのも悪くない時期だとは思いますけどね。


> でもそこにあるのは、どれを取っても派閥闘争ばかりかと‥(あれ〜)


 文学からしてそうですからね。
 そんな傾向を受け継ぎたいなんて思うのは、くだらんとしか思いませんね。
 ‥それが今の時代の空気でもあると思います。(細かく言うと昔からさほど変わり栄えしていません)

|春爛漫、多様化たるや当たり前 習うに能わず春自慢




|はらからの多き柘榴の鬼子母神     焼津市・宇宙蕗の薹俳句会

|はらからの多き柘榴の鬼子母神 あやかりたきは旦那の絶倫


 *同胞【はらから】‥同じ母親から生まれた兄弟姉妹。転じて、一般に兄弟姉妹。
 *柘榴(ざくろ)
 *鬼子母神【きしぼじん、きしもじん】‥
  千人(万人とも)の子を生んだが、他人の子を奪って食したので
  仏が彼女の最愛の末子を隠して戒めた‥という改心談な伝承に由る。


> ‥それにしても、旦那は如何ほど居たんでしょうかね??


 え、数十人??、仮にそうだとしてもすごい絶倫ですよね。
 もっとも凄いのは当の本人になりますが、旦那の絶倫有ってこそでしょう。
 ‥なんて改めて思っちまいました。(近親ピーしてそうです)



1-8)6

|電柱の消えた街並み秋深む       伊豆の国市・獺祭鹿の子句会

|電柱の消えた街並み秋深む やれば出来ると「でも、空ばかり」


 三保の松原の辺りで、そのような改善をやると新聞に出てた覚えがありますが、
 それでしょうかねぇ。
 ‥だとすると、「秋深む」も空ばっかというのがオチかなと思いました。




|ビル解体倍に広がる秋の空       浜松市・遊史句会

|ビル解体倍に広がる秋の空 かげ去りてゆかしと思うらむ


 ‥どうやって+七七にしようかなと思い悩んだすえ
 俳句のままでも十分なんじゃねぇ‥と思わざるを得ません。

 でも、無ければ無いで、なかなかこういう塩梅には整えられなくなるのが流れです。

 そもそも、どのぐらいのビル解体を前提にすべきかが悩ましいのです。
 少し昔なら、四階建てでも十分にビル扱いでしたが、今なら八階以上かなと‥

 ‥それでなくてもビル解体の裏側で
 よろこぶ人と泣く人の両方があると、その中間を勘案して、斯様な詠みになりました。


> デカすぎるビル影ほど、消えて欲しいと望んでるかと思います。
> スカイツリーとかよろこんでる向きもありますけど、景観として勝るかどうかだと思います。


 ビル群ってのはそういう意味では、山に劣るように思います。

 だったら、全体の風の流れが穏やかになるように、山を造っちまえば良さそうですが
 ‥どうなんでしょうね、ただでさえ利権がどうのと騒ぐのがオチです。
 ‥でも、動く島を造ろうと試みる向きへの賛同はあるようです。実験としてもまずは島なんでしょう。



1-8)7

|忘れごと殊に多くて鵙の贄       浜松市・遊史句会

|忘れごと殊に多くて鵙の贄 名刺の多きご縁なくござい


 *鵙の贄(もずのにえ)

 収穫とばかりに、狩りをしたまま餌を忘れてしまっている鵙の贄を
 名刺に見立ててみました。

 「ともだち百人できるかな」‥なんて唄がありますが
 その様を名刺に置き換えて見立ててみました。

 ‥それほどに作る気概も無いのが、仕事での付き合いなんだなぁと思わざるを得ません。
 知人は百人出来ても、友達付き合いとなるとなかなかにしんどい‥それが私たちなのです。

 だいたい、面倒くさいとばかりに大がかりなパーティーを催してやっつけるのが精精です。
 ‥それに参加できるのがステータスとか、自己満も甚だしい風情だと思います。
 ‥でも、無くなってしまった途端に結束もしおしおと。まさに正月なんてそれですから。


> それにしても、このネタの句‥


 「鵙の贄」にまで例えた着想は面白いと思うにせよ
 ‥詩情としては、全然ですよね。

 そもそもの「鵙の贄」に、詩情なんて誰も感じてませんから。(あるのは疑問に謎だけかと)
 疑問を投げかけるのも詩情と言えば詩情ですけど、未達な域でしかありませんから。
 ‥好き嫌いの分かれるところのようですな。




|癌封じ巡る古刹や初尾花        浜松市・遊史句会

|癌おそれ巡る古刹や初尾花 吾も医も人なり世はご縁
|良き縁の科学ぞ未だ枯れ尾花 ただ救うご縁に仏あり


 *古刹【こさつ】‥古い寺。古く由緒ある寺。
 まるで、ジャンク語のような趣の言葉です。
 ‥きっと特定範囲だけで使われていたのではと思われます。(戦時用の隠語とか)

 どうして「封じ」と詠んだのかわかりません。
 まだ病んで無いのでしょうか?‥それとも誰かの為のお参りでしょうか?‥
 勢い余っても気持ちは伝わりません。そんなこんなで「おそれ」にしてみました。
 (「古刹」に絡めた意図があるのかも知りませんが、その辺どうでも良いと思います)


> 今時の医療にもすっかり不信感があふれています。「何が科学か!」と思うほどです。


 実際そこに有るのは人と人でしかありません。
 ‥ご縁が気になるのは、基本だと思いますが、ここがまた「科学が良い」と同根です。
 ‥なにをするにも結局は、最後に自分が受け容れるか否かですから。


 にしても、癌だけは受け容れることが出来ないと
 まぁそりゃそうでしょうね、癌の多くは偽造病ですから。

 そうなるように、食べ物に仕込んできたと言われてます。
 まぁそりゃそうでしょうね、石油由来の着色料に香料が、金儲けの都合で登場してますから。
 そそのかすなんてチョロいもんだったんでしょう。

 とくに甘味系はそれで、何がどんな風に悪影響を及ぼすかなんて、わかったもんじゃありません。
 ‥世界規模での砂糖事業が奴隷労働から始まった段階で、不可解極まりない足音だったんです。
 ‥今じゃそれ以上に怪しいのが遺伝子改良種のあれやこれです。


 原材料がトウモロコシとか、大豆とか怪しいばかりです。
 ‥遺伝子改良のそれらを油に絞った後、再加工して出来上がってる添加物かも知れませんからね。
 ‥まともに食べられなくなる方に荷担&依存してきた、それが金融という名の欧米化の本質です。



1-8)8

|抱きついてパパ嫌いだよ拗ねてみせ   静岡市・川柳グリーンの会

|拗ねり寄す「パパ嫌いだよ」‥添うたまま おねだり下手にこたえ下手かも


 ※拗ねる(すねる)

 ‥誰が抱きついて、誰を嫌いだと言ったのかが、微妙に曖昧なのです。
 そこが見抜けていないようでは、この先も上達することも無きに思われます。

 パパから「パパ嫌いだよ」でも意味は通じますからね、
 (通常、言う方から拗ねり寄ります。言われる方から拗ねり寄ることはありません)

 親が子に拗ねるなんて有り得ない‥そんな事は有りません。それが思い込みというモノです。
 ‥教育ママなんて、どう見たってそれと同根ですから。
 「勉強しない子は嫌い」とか、兵器の如しです。(自覚が無いのが一番に嫌われるんですよ)




|プライドが邪魔して好きと言えぬ悔い  静岡市・川柳グリーンの会


|タイミングもって意もせずプライドかい? 今を見ずままの屁理屈らむ
|返答を聞かずに死ぬる選択に後悔なんぞありもせず未だ
|人を見て端から感想言うも無し ここぞと響けど裏付けなんぞ
|時間歴るほどに思うぞあれが好い 伝える気持ちも用意せずまま

|結局は裏付け欲しさや老いるまで 思い続けて思い込むまま

|変われずの自分の姿恥じたまま 言葉を持たぬ自分が居るだけ
|若き日の念いに応えよそればかり 胸に秘めたるそれだけの本音
|何故に熱き血潮の本音かな 己を識らずんば誰をも知らじ

|迷うまま狼狽したる恋心 最もなどと伺いみたとて
|移りゆく時の風吹く恋心 どこの文化かお一人ポッキリ

|考えて見れば見るほど無理ぞある 自然体だよ大好きなんて

|奇形とて愛する知恵と度量あらば 恐るるに足らず其ぞ無限

|美しさ欲するだけの恋路など テイスト抜きの未達な一杯
|おいしさの裏付けこそが汗に汗 力合わせず味わうなど不遜




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 23:08 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。