↓8)向宜詠吟.2016/12/02...20161123...
|源流は断崖の底初もみぢ 静岡市・青葉句会
|訪れは断崖の底初もみぢ いよいよ是から龍哭くる
‥まるで甲子園俳句のようなノリ。(余韻が面白いので俺もやるけど)
「源流」というのがかなり引っかかります。まぁどうにも水の流れの事らしい。
源流と言ったら普通、湧水ですからね。断崖から見下ろすというのは無理がある。
上方からではそもそも区別できません。近づいてみてやっとです。
海に直接流れるようなタイプもありますが、その下にあるのはせいぜい松だと思います。
‥悩んだ末、こうなりましたとさ。
> 「龍登る」にしたいところ‥でも春の季語にあるから
> 何気にある 「龍淵に潜む」の風情を転じて「龍哭く」としてみました。*哭く(なく)
「断崖の底」×「初もみぢ」‥なかなかにニクい目の付け所です。
|迎え火へ兵士は海底からやってくる 島田市・主流社句会
|海ぞこや送り火届け艦影に 忘るるものか貴様等のツラ
‥ネタの着想が個人的にツボだったりと
童話風にアレンジしてあるのを、強引に時代の空気を巻き戻しておりま〜す。
(近年の艦影発見ニュースに引っかけて詠んでみました)
1-8)1
|僧ひとり銀河を渡るランプかな 島田市・主流社句会
|寄りそうて六根清浄星の下 護れるほど我ら為らむや (るる訂正:2016/11/27)
‥「僧ひとり」というのがどうにももどかしい。
そもそも、その手のレベルを「僧」とは言いません。「仏」です。
(宇宙の灯台の意味ならそうなります)
それともなんですか、ひとりで宇宙旅行でもする気なんですか?
それで銀河を股にかけて、教えでも乞いに行くんですかね‥それは「学生」です。
‥帰り旅なら、「僧」かも知れませんけどね。(で「ランプ」と)
悟れたそうでも無きにそりゃ概ね自己満でしょう。(フランス帰りの名ばかり画家みたいっすね)
‥というところで、手直しです。
とくに夜分に行者が歩いとると言うわけでもなく、星空の下で語り合ってる感じですかね。
|荒れ屋敷たんぽぽ一輪の留守番 島田市・主流社句会
|荒れ屋敷たんぽぽ一輪お出迎え かつての暮らし所々に
|丘の墓たんぽぽ一輪また供ふ 誰ぞ居たり波寄す眺め
‥「荒れ屋敷」と詠んでも
程度も規模もわからないので、俳句の題材には無理があると思います。
「荒れ屋敷」×「季語」で概ね残り七音程度です。無理です。
そこに「たんぽぽ」です。(実際、一輪ぽっちで咲いてるわけねぇべ)
‥詩情としては好い感じに見えても
「リアルなめてんじゃねぇよ」そう思います。
「一輪ぽっち」の詩情がまずいのでなく、荒れ屋敷という曖昧すぎる背景に似合わないのです。
‥これの組み合わせは、比喩で引っ張って、比喩を重ねる失敗と同じです。
> 手直しを兼ねた+七七を見れば明らかです。
下の句が、「一輪」をたまたま目に留めた一輪に据え置いています。
上の句だけですと、どうしても「荒れ屋敷」は只の飾りになりがちで想定しにくいのです。
‥誰誰の画と言ってるようなモノです。
誰の画か分かっても、色々ありすぎて対象が絞れなければ、会話が成立しないのと同じです。
(場合によっては、草ボウボウなだけで、まだ住んでる場合だってあるでしょう)
‥というところで
「丘の墓」という風に、軽めに盛ってくれば、解釈上の個人差は大幅に縮小する筈です。
> ‥俳句なんて奴は、その辺とにかく曖昧です。
> そこにある曖昧を如何にして、個人差が小さくなるように盛ってくるかです。整えるかです。
そこにあるのも結局は、言葉への思い込みなんですけどね。
‥ひっくり返せば、言葉を思い込めない人に俳句の才能は無いと思います。
‥独り善がりの思い込みから離脱できないのも同じです。(分野による得手不得手もありますが)
‥そしてそこには、判断の琴線があるのです。通常そこをセンスと言っとります。
あ、でも勘違いしてもらっちゃ困るのは
センスだけで以て、新しい言葉なんぞ生まれません。
(‥まぁ精精、言葉として有ってもいいのになぜ無いのか?事象への気付きぐらいなところかと)
定着するにも、まず暮らしが欠かせません。同じ風景&心情が、誰しもに刻まれてなんぼです。
そこの所を、難しく「集合意識への定着」と呼んどります。
‥俳句の響きへの深み&広がりも、他の方々の暮らし次第からなのでーす。
1-8)2
|ひぐらしや政子の井戸の上で鳴き 沼津市・東部葵十期俳句会
|ひぐらしや政子の井戸の上で鳴き 由来の味の如何なると思う
‥「政子の井戸」というのが保土ケ谷にあるそうです。
由来と言ってもただの通りすがりらしく、当人が日々利用していたという訳ではありません。
(個人的には、詠みの題材にはしませんね‥六音もあるし)
夏の風情に切りぬいて、水気をさそってる辺りが、整っていると思います。
|吹き抜けし黄金稲田に風の道 沼津市・東部葵十期俳句会
|垂るるれば黄金稲田に浪渡る 空青々と胸晴々と
|垂るるれば黄金稲田に浪渡る 色濃き夕日栄ゆして尚も
‥黄金稲田(こがねいなだ)の言い回しが気に入りました。(あとは不満)
しかし、昼と夕とでは、色合いが違うと思うところです。
(ハッキリとした差のあるのを見たことねぇ、土地によって色味が違うのか??)
(とくに太陽光線の色合いが違うとかさぁ、なんかあるような気がするのだが‥)
時間帯なんでしょうかね‥ガキの頃は洞察力が散漫だったのでまるで覚えがない。orz
(今や‥そのほとんどが昭和アニメの印象でしかにゃいん)
> さて問題です。
> +七七の上の句だけなら、昼と夕とどちらを連想するのでしょうか?
要するに、この辺が俳句の脆さなんでしょうな。
自由に詠んでみようと、昼なら昼、夕なら夕とその辺を押さえた詠みの方がしっくり来るのです。
‥でも、そこに甘んじては、全部似たり寄ったりで詰まらなくなると‥複雑です。
|秋の日をもらいて暉る柿すだれ 沼津市・東部葵十期俳句会
|秋の日をもらひて暉れる柿すだれ 甘づく干され古里詰めよ (るる訂正:2016/11/27)
‥暉る(てる)。照ると比べると、
どちらかというと、水平線に近い方の日射しに「暉」のイメージがあるようです。
(意外とばかりにそのまま用いました)
「柿すだれ」ですか‥「干し柿」×「暖簾」と比べるとズバリの表現です。
「秋の日を貰う」‥俳句としてみると季重ねですが、許容の範囲でしょう。
(やられたと思わせる使いどころがニクいっすね)
1-8)3
|水尾を引き朝餉に向ふ夫婦鴨 焼津市・いせぎ句会
|水尾引きて朝げに向かう夫婦鴨 招待したきわが家の夕げ (2016/12/02)
*水尾(みお)
‥「引く」か「曳く」か‥
それにしても目の付け所が、すっと立っとります。
|冬瓜や人待ち顔で土間の隅 焼津市・いせぎ句会
|冬瓜や人待ち顔で土間の隅 お前ら出番だ鴨もろともに
‥こちらもなかなか、目の付け所が立ってます。
こうなってくると料理してみたくなるというものですよ。鴨もろともにね。
|健康が一番の幸しじみ汁 焼津市・いせぎ句会
|健康が一番の幸しじみ汁 鴨鍋のこる出汁に合わす
‥こちらはどこかCMです。鴨鍋詠みの後としての間が良いだけです。
(そのまま鴨鍋の残りにぶち込んじまうのが流れかと、あ、でもこれは失敗かも)
1-8)4
|軽鴨の親子の散歩平和な日 焼津市・いせぎ句会
|軽鴨の親子の散歩平和な日 大きくなれよそっと微笑む
‥鴨ネタが続いとりまーす。
流れとして「ニヤリ微笑む」にしたいのを我慢して、「そっと」見守ることにしました。
それにしても、先のと共に日常のそれを詠んでいるだけだというのに
こちらは、べたな調子に思わざるを得ず‥却って不可解です。
その正体はなんといっても「平和」です。
‥人から見て思ってるほど「平和」な訳がありません。
カルガモ事情の危険は、ごまんとしてあるのでーす。
|ひよひよと軽鴨の子らママを追う 今度はどこまで まだかな水辺
‥とまぁ、童話風に引っぱるのが、ここでの着眼としての筋になるかと。
|離れれば速やかに寄る夫婦鴨 焼津市・いせぎ句会
|離れれば速やかに寄る夫婦鴨 丸丸として如何にも円満
|余所見つも速やかに寄る夫婦鴨 さも円満やどこさ行くにも
‥「寄る」か「添う」かを思いましたが
「離れれば」が気に入らず、「余所見つも」を置いてみた所‥「寄る」で十分でした。
> 鴨と鶏とどちらが好いですか?
> ‥え、肉の話ではありませんよ。恋愛に例えるとです。
鶏はやはり鶏で、鴨を好きになってみても悲劇なだけです。
でも、鶏のくせに鴨が好いと言っているのが、世間の口癖かと存じます。
‥鶏に、円満も子育てムードも色気ムードもありゃせんのです。
それこそ、やかましい限りの雰囲気にしか見えてません。
ところが江戸時代は、鶏が肉では無くペットとして大人気だったんです。
‥鶏でもある点を、もう少し自覚するべきかと思われます。
(なんでも鶏は鳳凰の化身とか聞き及びます‥「へぇー」)
1-8)5
|鵙啼けば我が故里の山恋し 焼津市・いせぎ句会
|百舌と啼く数に乏しき里の恋 都市で子育て托卵のような
‥通常、秋の鵙の声を「もずの高鳴き」と表現します。
いやぁそんな風景には育たなかったので、それが「恋し」とか分かりません。
> そこで百舌の特性をふんだんに盛り込んで、近年の子育て事情を詠んでみました。
田舎の地元では、これと云って、選り好みできる程に思うような出会いが少ないので、
都会に出て来て、相手をさがし、無事結婚に至り、現在子育てしとりますが
これがどうにも、「あれっ」と思うぐらいなんか違うなって、つくづく思っちまうんですよね。
‥聞くところによると、どこも似たような感じらしいです。とほほ。
|燕帰る海山千里翔けつづけ 焼津市・いせぎ句会
|秋つばめ海山万里翔るらむ 虫食うからか底なしの元気
‥「千里」では4000km程度ポッキリです。どう見ても海の途中な感じです。
そりゃ島伝いでしょうから、千里でも十分でしょうが、帰るまでの総距離としては不満がでます。
> ちなみに、俳句ながら‥「らむ」として括ってしまうと云う初物かなと。
(賛否両論ありそうです、文語に馴染んでいた江戸人ですら使わずだったんですから)
‥意味合いとしては、「とか」が近いと思います。
「燕が海山越えて帰る距離って、万里とか聞くけどどうなんだろうね。」
‥まぁさすがに、「とか」は受け付けないでしょうね。
江戸人にとっての「らむ」もそんなだったかなと思われます。
(公家ぽかったので武士に嫌われたとか)
一般に「かな」で通じるところですが、+七七に引っぱると物足りないのです。
‥「らむ」の方が、腕を組んでして考えてるように伝わるかなと。
|猫じゃらし猫渡り行くゆるゆると 浜松市・雄踏俳句会
|猫じゃらし猫渡り行くゆるゆると そーれそれそれ綱渡りゃ
‥「渡り行くゆるゆると」、ここが今ひとつ情景としてよく分かりません。
綱でも棒でも好いと思いますが、好奇心にもその上を渡っている途中に
猫じゃらしをちらつかせて、猫の反応を試したのでしょうか??
‥意地悪にも、ちょっとからかって見てみたくなるところです。
1-8)6
|一舟を霧に浮かせて奥浜名 浜松市・雄踏俳句会
|一舟を霧に浮かせて奥浜名 群立つ鴨の晴れ間を待つ
*一舟(ひとふね)。群立つ(むらだつ)。
*奥浜名(おくはまな)‥浜名湖の奥手にある地域を指す。
まぁ、知らなければ、何をやっているのかなと思うところです。
考えてみると、昔なら猟になると思います。
‥それにしても、そうなると一日の内にチャンスが一回程度とは、地味な戦法です。
‥ライフルなら連発できますが、火縄銃だったわけですからね。
潔さが感じられますが、実際どうだったんでしょうか?
しかも火縄銃だと弓よりは飛距離はでるでしょうけど、飛び立つ訳ですからね、
より近づくに越したことはありません。
> もっともここでは、写真撮りの方を想定しています。
そこまでして撮る方も居ると思えませんが、良い写真が撮れそうな気はしますよね。
‥昔の狩猟のやり方を掘り起して準えば、そこにシャッターチャンスの光景が待っていると。
‥それは俳句にも言えそうですね。
とまぁ、なんとも見事な詠みだったように見えますが
俳句だけですと、どうにもパンチが足りないのかなと思わざるを得ません。
|きりぎりす幼なは絵本そらんじる 浜松市・雄踏俳句会
|きりぎりす幼は絵本そらんじる 「死んだら食べちゃうんだよね」
‥幼(おさな)。
読みやすいように「な」を振ったのでしょうが、不要かと。
「そらんじる」って、「アリとキリギリス」は、暗記も何も筋だけですからね。
せっかくなので子供目線になってみて、ツッコんでみました。
> それにしても、その手があったかと思わざるを得ない解釈に、おったまげですな。
たしかに食料が足りないと思えば、丁度良いのが向こうからやって来たんですよ。
餓死した肉が不味いとか、腹減ってる時分に関係ありませんからね。
‥また一つ、イソップ童話の問いの深さに、もはやエンタメ童話じゃねぇと納得しました。
1-8)7
|グラス持ち早く終われという祝辞 藤枝市・川柳番茶会
|祝言の映像見れば消したりや なんとも苦痛しきたりの節
|席上に居合わせるなど無理無駄為らずこの身ゆえ孤高かな
|カネないし丁度いいやと閑古鳥 でずに済むなら墓場すら要らぬ
|愚痴挟む奴ほど出たがりさびしがり 嫌なら出るなと思うまま
‥ふふふ、著生が普段申し述べていることと違うじゃねぇかって
なに言ってるんですか、そこにある失敗という経験からの見地ですよ。
でも肌に合わぬ物は合わないんでしょうね。(知らないだけかも知れませんけど)
> ゆえに、自覚があるかどうかがポイントになってくるのです。
あんなのただのしきたりだから、真似てれば良いだけ
ちょっと我慢すりゃすぐ終わる‥とんでもない考えですな。
恥は一生なんですよ、悔しき程よく思い出します。
思い出して憤慨を繰り返すなら、関わらないのが筋です。
‥そこに甘い汁が如何に転がっていようとも、屈辱の方が勝るんですからね。
> この屈辱と思ってる部分があるということで、他と随分と違う視界を盛ってくるんでしょうな。
|人が皆ほほえましくて股のぞき 藤枝市・川柳番茶会
|人が皆ほほえましくて股のぞき こげな逆さに生まれてきたり
‥なるほど、それが股のぞきの所作に秘められた空気だったと。
|股のぞき泣くたび通りゃうれしき世 改めましてはじまりまして
1-8)8
|人生に正解なんてありゃしない 藤枝市・川柳番茶会
|お値段に正解なんてありもせん 望み多きも数知れず捨て値
|捨てりけり望みの多くデフレがち だからやもたまに聞く大当たり
|横並びしたいとばかり押す波に 置き去り増えりゃ引く波に帰す
|勝ち組の鼻息頼み仰ぎ見る 貯め込む有利に欲しがる不利が
|欲しいのは仕事だよねそうでせう ならば貢げよ我が社の留保
|損をして儲ける術の未曾有版 気がつきゃ常在負け組の列
|あからさま有利の連鎖ゲームでも 見てればわかる貧困無理ゲー
|馬鹿の根やどんでん返しの見返しと 所詮は自分可愛さに
|はじめから得するように仕掛けるや競争社会の化かし合い
|国民を化かし化かする政 大和の舟の「総員死ニ方用意!」
|長い目で見てやれきっといい芽出す 藤枝市・川柳番茶会
|長い目で見てやれきっといい芽出す 期待ばかりや放置無理ゲー
|放置×放置=暴走その折に さらに上乗せ「うちの子は悪くない」
|責任は全部付き合う先々に押し付けてど真ん中知らん顔
|何事も種の性質見極めて 適度の処置が根張り育む
|芽より根よ、本質底さ何事も 自由に乗せらりゃ地に足付かず
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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