2016年12月28日

【勝手句帳】064 28-12-20/12-23 静岡新聞掲載分から

↓3)向宜詠吟.2016/12/28

「弁天島 冬の夕照」浜松市西区 (写真)12-23

|冬至こそ弁天島の夕鳥居 日のちょぼと居てまどかに暮るる


 touji_bentenjima.jpg

 出典:http://shlakers.hamazo.tv/e4074483.html


 ‥写真は、静岡新聞投稿欄「ひろば」に掲載されたのと似たのをネットから拾ってます。

 この週の金土の分は
 年末で忙しいのにちょうど良く、目に止まる句が少なかったので、写真から詠んでみました。

 (‥というか疲労気味っす‥他のことがしてぇ!)

 (まぁキッチリ三年は続けてやらないと、お互いに身につきませんからな)
 (チェックする方も大変でしょうけど)


> 夏至に沈む方角を、グーグルマップで確認したところ


 まず、冬至の夕日ばかりでなく、朝日だって拝めるのではと思い、
 グーグルマップの反対から拝めそうな位置を閲覧してみたところ、距離が遠すぎて無理。OTL

 太陽方向への角度が腑に落ちなかったので、夫婦岩と比較してみたらそれなりに違ってた。
 ‥片方は人工物、片方は天然の岩、違いが見られてもさほどの問題もないのだが

 (キッチリと冬至の方向との解釈は‥かなりの思い込みにあるようでーす)

 ‥それにしても
 地軸が移動してるというのに、どうして鳥居のど真ん中に収まるのだろうか?
 夏至や冬至の頃になるとコソッと戻ってたりするの?(どうにも腑に落ちなーい)




「来年の主役」富士宮市 (写真)12-20

|唯そこに鴨のんびりと水面掻く 留まらざるも知恵の内なり


 所謂、水面に鴨三羽の図でーす。(三羽とも左向き)似たのを探してみました。
 http://andy-renny.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21


|飛んでよし泳いでよしと鍛えたる身の引き締まる味や鴨肉


 ‥やっぱり肉と言ったら、良く鍛えられて締まった赤身っす。
 (すっかり肉は口にしませんが、ジビエには多少そそられまーす)
 (ググって出てくる捌かれた写真がもろ生々しいっすよ)



1-3)1

冬を着て日中脱いで晩に着る      島田市・川柳茶ばしら吟社(12-20)

神の旅、日中脱いで晩に着る 惜しみ隠さじ慎ましきかな


 ‥「冬を着て」まぁ冬着の事なんでしょうけど
 陽気が陽気なので、着たり脱いだりの様子を詠んだのだと思いますが
 「晩に着る」と重なっては、クドい感じは拭えません。

 そこで、「日中脱いで晩に着る」は面白い感じなので使えないかなと思案してみたところ
 ‥斯様なまとまりになりました。

 *神の旅(かみのたび)‥陰暦10月、神々が諸国から出雲に行くこと。その道中。(冬)
 *日中脱いで‥+七七では「ひと肌脱ぐ」をなぞらえた意。
 *晩に着る‥昼は会合で語らうにせよ、夜はさすがにくつろぎながらプライベートの趣の意。


> 惜しみ隠す必要などあるだろうか‥それが慎ましさというものだ
> 神の集まりという奴は、斯様にも
> 明るい時分には肌を脱いで語り、暗がりには身を整えて向き合うようなものなのだよ
> (それにしても、出雲への旅は‥いつもながら身の引き締まる思いだなぁ)




|爪先で踏んばっている老いの意地    島田市・川柳茶ばしら吟社(12-20)

|爪先で踏んばりたるや老いの意地 生き残らめとまだまだ立てり


* 爪先(つまさき)

 ‥なかなか何をそんなに踏ん張る必要があるのを、ツッコみたくなりました

 単に長生きをしたいだけでなく、
 老いの意地とくれば、仕事であってもまだまだ現役とした詠みにあったようです。
 (それで「爪先」とは、素敵な意気込みです)


 ‥ここでは「残らむ」と終止形調子にしては、現在の状況がやや不明慮に映ります。
 気力ともに残っているわけでしょうから、
 まだまだ現役「やるぞ」との気持ちで、已然・命令調子が適切です。


> 日常的に攻めれば、「たし」が想定されますが、(残りたし)


 「たし」では、ダメな理由として別の要素があるのでは?と‥想起させてしまいます。
 ‥意気込みを示す場合、そのような要因があったにせよ、意気込みとして伝わりにくくなるだけかと。



1-3)2

|海だけの駅に降り立つ旅人のわれにまぶしき落日の海    藤枝市・文化協会短歌会(12-23)

|海だけの駅に降り立つ冬かもめ 旅に見らるるしばし落日


 ‥掴みは好いのですが、なんとも半端なので、手直ししてみました。
 上の句俳句、下の句引っ張りです。(言わずとも、自分をかもめに見立てた句になります)


> 「見らるる」ですが


 始めは「旅路を染める」と出てきましたが、どうにも納得できず
 「染まる」「染める」のようなケースはなぜ現代語として登場しているのか?
 (‥その経過として、ら抜き言葉に至っているわけですから)

 という疑問がいつもながらにもたげてきて、整理してみました。


 「染む」四段&下二段の場合。(現・染める下一段)
 完了の助動詞「つ」「ぬ」の両方のケース「染みぬ」四段、「染めぬ・染めつ」下二段が、
 明治の義務教育導入の中で共に脱落した簡素型表現であることに思い至りました。

 ‥旅路を染めてけり、旅路を染めにけり

 この違いの解釈が、実にどうでも好い感じです。小学校で教えるには、やや無駄な空気です。
 教える方としては、「染めた」「染めていた」それだけ判れば良しとしたのでしょう。
 ‥英語教育になぞらえたとも思われます。

 そのついでに、「染む+り=染める」「染むる」の連体形の差も同じ流れになったのでしょう。
 で、「染める」という変化形を動詞の終止形に据え置いて下一段活用を凡庸に仕立てた‥


> 斯様な流れだったのではと思われます。


 結果的に助動詞「り」の活用が廃れ、「たり」も縮小した。
 進行形表現としては、「〜している」が当てられた。

 この不都合から、已然形を仮定形などと改める中、助動詞「り」が遠のいたと言う事になります。

 ところが、是により

 「見れる」「食べれる」に見られるような
 (本則は「見たり」「食べたり」と助動詞「たり」が付く)

 助動詞「り」「たり」の本質を習わないがゆえに‥脳内で勘違いが発生し、
 「見た」「見ている」「見ていた」意外にも表現できるところを
 脳内では、「見れる」「食べれる」でOKという事になったのだと思われます。


> つまり「ら抜き」表現は
> 進行形表現の簡略表現として、脳内で妥協が生じてきた折り合いだった訳です。


 これをまた、旧・文部省(現・文科省)が勘違いにも、「ら抜き表現」と呼称したわけです。

 まったく以て、旧・文部省の失敗、自業自得が招いた日本語の乱れかと思われます。
 是が、今後は世界的レベルで展開されるだろうという予想になりますが、
 ‥さてどうなんでしょうね。



1-3)3

> まぁそんなところでよくよく考えていくと
> 「旅路を染める」よりは「旅に見らるる」と表現した方が無難である点に気がつきました。


 どうにも夕日をじっくり見たくなって、海しか見えない寂びた駅だろうと降りたというわけです。

 旅だからこそ味わえる、味わざるを得ない光景は、
 見ていたなどと表現せずとも、それこそ見られる趣です。(それが旅なんですから)
 ‥それが旅のノリというわけです。


> ら抜き表現と指摘してみても


 そもそもの「られる」自体が、「ら」と「らる」の違いを教えるのが面倒くさいとした
 「らる」の口語形なのです。(割と本流とは言えない丁寧なだけの表現です)

 この「られる」の活用に疑問を抱きました。

 文語「る」れ・れ・る・るる・るれ・れよ
 文語「らる」られ・られ・らる・らるる・らるれ・られよ
 口語「られる」られ・られ・られる・られる・られれ・られろ(られよ)


 「らる」の命令形[られよ]は、まぁ見かけるわけですが
 「られる」の命令形[られろ]は変です。そんなの使ってる時代劇も無いと思います。
 ‥[られろ]は間違いだと思います。双方共に命令形は[られよ]で良いと思います。


 已然形に相当する[られれ]も怪しいところです。


 自分より上位の立場の者に
 何か物事を勧めるのに、仮定形を用いるわけですが

 [お休み+に+な+られれ+ば]という風合いの言い回しが若干あるかも程度です。

 (ただし、二重敬語になりがちなんで、概ね好まれません)
 (敬語表現に、「られる」の仮定形は存在し得ない!と言っても過言では無いと思います)


> それにしても、原則、敬語表現に命令形が可能にあるにせよ
> 敬語表現の命令形は、日常的には、封印されているように思います。


 [お休みになられよ]なんてね、気の強い婆やが小さい内の坊っちゃんに使う程度です。
 ‥あと公家とか武家とか、母が自分の息子に対しても用いられる所ですが

 「今時どうなんでしょうかね?」

 外人の日本語教育に注意書きもせずに
 なんでも命令形として使えますとばかりに、ポンと説明しておくだけでは、
 ‥ますます乱れちまうように思いまーす。


> 日本語の言い回しを厳密に分けていくと
> 状況に応じては、用いられていない活用形というのが語幹単位で事細かにあるように思います。
> ‥慣用表現にも、同じようでいて当てはまるケースと当てはまらないケースがある程ですから



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 03:38 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする
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