↓3)向宜詠吟.2017/01/13
|晩秋の銀杏並木を走り抜け落ちたばかりの木の葉舞い散る 沼津市・萩の会
|木枯らしや銀杏並木走り抜く 落ち落ち落つる舞う舞う舞わる
* センター試験目前だというの、なんという句材&ツッコミ
(勝手句帳期間中‥まぁ三年間程その点、ご容赦下され)
ネタの詠みでは、一枚二枚程度の趣です。(そんなのちっとも物足りなーい)
‥ということで、それこそ突っ走ってみました。
でも、よくよく考えてみるに、桜吹雪はお目に掛かるとしても
銀杏のそれがバァーとなる光景は映像としても、未だお目に掛かってなーい!!
たぶん真夜中なんだろうな。(じゃ、ライトアップにも撮影して貰うしかねぇだろう)
> 「ああ、見てみてぇー!!」
> ‥どうして今まで気がつかなかったんだ!?(俺、ドラマ見ねぇ奴だから損してたかも‥)
|並び立つ風車の間に登る陽を視野に入れつつ新聞配る 掛川市・ねでしこ短歌会
|旭日や新聞配る冬の朝 風車の彼方昇り来る
*朝暉(ちょうき)旭日(きょくじつ)‥ともに朝の日の異名。
「朝日」×「新聞」‥その詠みだけは避けなくては‥(ネタの句もそんな感じかと)
‥で、まずは「風車の間に登る」ですが
「登る」「昇る」の文字化けか何かに思われますが、「日が昇る」です。
風車の間という事で、どれ程の規模なのかグーグルマップ等で確認した所
撮影された時期としては、一機しか見あたりません。
(詠みの対象は、静岡市か御前崎市の風力発電に思われます)
(多数設置は、御前崎風力発電所の方かなと‥原発停止時の電力確保みたいな)
> ‥ということで、風車の間に昇ってくる光景の「間」が、今ひとつ判りにくいかと
とくに‥夏になると朝の日は、ぐっと北寄りからになりますから
太陽を背にしたそれは、静岡県の地形上、どちらも絵図に収まらなくなります。
‥新聞配達もなにも、太陽を背にできる足下が海になってしまうのでーす。(住宅街が無い)
ということで、「冬の朝」が成り立つのではと睨みまして、盛ってみました。
‥是は、季語を盛って、ようやく整うような日の出の方位にあります。
1-3)1
|木の間より見え隠れする青海の奇岩の群れに白波のたつ 沼津市・萩の会
|断崖や松せりだして冬の海 奇岩の群れに白波の立つ
‥上の句がちっとも詠めてませんな。下の句との風情が釣り合っておりません。
見たままを詠むんでなく、多少はイメージ膨らませても良いんです。
画と同じです。それなりに演出しても良いんです。
(そこにも、普段から何を観察しているのかの蓄積が垣間見られるのですから)
まぁそう考えて下さい。まるで見ていないというわけでもないのです。
‥でもまぁ、キチンと一つ一つを整理して見て来ていたかは、まったくの別の話ですけどね。
|霜月も半ばを過ぎる寒き日に最後の夜か松虫の鳴く 沼津市・萩の会
|松虫や寒さに勝てじ霜見月 夕べ果てしかけふは聞こえず
*霜月(しもつき)霜見月(しもみづき)‥太陽暦では十一月、月暦ではずれて概ね十二月です。
江戸時代は、旧正月を祝っていたので、師走と言ったら概ね今の一月です。
(そんなのすっかり抜けとりましたぜ、受験生は春節にもお参りすると効果あったりしてな)
‥俺的には時期外れだが、松虫の鳴き音が聞こえたと。「へぇ〜」
(そうなのか?、まぁそういう事にしておくか‥ググってみたら、十一月末までは想定内らしい)
(ちなみに、スズムシとの混同もありうるが、こちらはほぼ十月初旬までとの次第)
*「果てしか」の「しか」は過去助動詞「き」の已然形です。
‥なるほど、こんな具合に「しか」を用いると。
通常、已然形の接続は助詞なんですが、助詞にあるべきに思いますが
句で読む場合には、句切れを意識させることができ、どの活用形でもそうですが同様の扱いです。
(その点、お間違いなく)
> ちなみに、ネタの句の「最後の夜」がなんの最後かは、実のところまったく不明です。
流れとして、「あんたの家庭か?あんたの経営の最後っすか?」とぼんやり思わせておいて、
さらりと「松虫です」と濁すのは、
余りにも唐突というか、杜撰というか、順序が変というモノです。
‥そこに気がつかないというのでは、普段からそのような会話をしているのでしょうな。
> 漫才や推理小説とは違います、順序を含み隠さずに、ズバッと整える習慣付けが大事かと
|赤くなる舗道のカエデ重そうに雨と一緒に道にはり付く 沼津市・萩の会
|雨重し舗道に落葉きざむ垢 学生運動去ればしじま
‥「舗道」と「歩道」は異なります。
でも、詠む位置としては、歩道からの筈ですから、それはそれでしっくりときません。
あと、「カエデ」なのか「落葉」なのかをハッキリさせていないのもスッキリしないのです。
> 学生運動に限らず、ありとあらゆる社会運動は、堂々と舗道で行われます。
> 歩道を慎ましやかに行進なんて致しません。‥斯様に連想してみました‥
社会運動は、気運・機会さえ持てれば何回でも繰り返されるところですが
学生運動ができるのは学生の時だけです。
‥その名残惜しむ気持ちが「雨」に合うように思いました。
学徒出陣式やらも雨だったし、かのバリケードやらにしても放水されてるし
‥印象としては、なにかと「雨」かなと。
「垢」はお互いの衝突を意味しています。
‥「うまく行かないものだなぁ」のニュアンスでもあります。
> ところで、所謂このような落葉または木枯しのあとの雨を時雨(しぐれ)と呼ぶようです。
思うに、この時期に雨が降らないのでは、
落葉はどんどん北東方向にばかり飛ばされるように思われます。
‥それでは、均等に落葉が定着しない事になり、土壌の豊かさに差が生ずるというモノです。
そう考えると、時雨の冬の季語としての意味合いも「なるほど」と思わざるを得ず‥
(雨に濡れては、落葉も飛び散りようがありませんからな)
1-3)2
|晩秋の野に一本の向日葵が「仲間は何処」といいたげに見ゆ 吉田町・玉響短歌会
|晩秋の野に一本の向日葵や「仲間はどこさ」いいたげに立つ 手直し
‥「見ゆ」か「立つ」かですが
いいたげに見ているかどうかなんて判りません。それを思っているのはどうしたって人の側です。
「向日葵が」としているので、主語「向日葵」で、向日葵自体の気持ちの詠みになるわけですが
「向日葵や」と句切れば、人の側からの見方を添えても構わないわけです。
‥それにしても季節外れの珍しい向日葵です。
|ただ一人はばかることなく日向ぼこ師走の寒さは日ごとに身にしむ 吉田町・玉響短歌会
|ただ一人はばかることなく日向ぼこぼちぼち弱けれ惜しむ暮れ 手直し
‥「身にしむ」はどうにも秋の季語なので、短歌としても、どことなくちぐはぐなのです。
この詠みの問題点は、上の句での季節感が「日向ぼこ」だけにあります。
日向ぼっこは、季語としてこそ「冬」ですが、実際は日常的な言葉です。
‥季節感に弱い季語である点に変わりありません。
そこにいきなり「師走」を盛っても、今ひとつ、日向ぼこの度合いが推し量れないのです。
‥「日向ぼこ」と盛るなら、せいぜいその日柄の幅に留めるのが適当かと。
|茶畑の畝にほんのり霜置けるひそと洩るるか茶の木の吐息 吉田町・玉響短歌会
|ほんのりと畝に霜らし慌て見てほそり聞きしか茶の木の吐息 手直し
*畝(うね)、洩る(もる)‥漏れるに同意。
‥ざっとググってみたところ、お茶栽培に「霜」は大敵だそうです。
「え☆」それじゃ、どうしてネタの句はこんなにものんびりしちゃってるんでしょうか?
「霜置ける」‥置いてる場合じゃないんすよ!
(如何にも珍しい表現だなと思ったんっすけど、どうにも事態はそうにないのです)
「茶の木の吐息」‥それはまさに、あんたに対しての
「しっかりして下さい、油断されてはこっちが参っちまいます」の茶木からの溜息でーす。
> のんびりにも「茶の木の声が聞こえたわい」‥などと喜んでる場合じゃありませーん!
1-3)3
|桜舞う秒速五センチメートル未だ果てしなく「君が好き!」
‥句切りが得られず唱えづらいのですが
なにも考えずに印象を思い抱くにおいて、妙な詠みっぷりにありますが‥
(銀杏のバァーのついでにあつらえてみました)
> 「秒速五センチメートル」
> ‥今や言わずと知れた‥新海誠の3本目のアニメ作タイトルでーす。
「未だ果てしなく」が、作中でのポイントでーす。
幼なじみに未練たらたらで、ダラダラしたグタグタにハマってポシャる流れだったかと‥
(どうしたらあーなるんだ、相思相愛だったのに‥という奴)
本人的には、まだまだ満足せずのご様子だったらしく、
「君の名は。」にも同じ場面が再現されたように思われます。(ニュース報確認)
‥というか、「秒速五センチメートル症候群」なんでしょうな。
見る分には申し分ない場面なので、何度でもトライしても好いのではと‥思うのですが‥
どうにも、ドロドロがご趣味なんじゃないかと疑っちまう節が山々でーす。
> 「好き」を重ねずに「隙」だらけのドロドロを重ねるのがご趣味なのでは‥
> ドロドロやらグチャグチャやらが「愛」などと錯覚するばかりはお断りでーす
‥しかし、世の実際としても未だにそんな具合ですからな。
其もまた鏡似性ゆえの流れなんだと思わざるを得ませんな。
(否否、若きにドロドロ&グチャグチャは付き物‥そう考えているか、いないかの違いかなと)
(どうせだから、銀杏バージョン、紅葉バーションでのシーンなぞも希望したい!!)
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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