↓9)向宜詠吟.2017/02/06
|外壁のレンガの学舎冬紅葉 静岡市清水区草薙
|哲学やレンガの学舎冬紅葉 参考
‥この「冬紅葉」の放り込みが気に入りました。
時期外れの漂いが、如何にも赤レンガと重なり合って、時代を遡らせる趣です。
‥着眼は宜しいのですが、完成度はまだまだです。
「レンガの学舎」と来たら赤レンガの外壁が普通です。
木造屋敷の暖炉を連想比較してそうな「外壁の」は、まったくの不用です。
ただし、参考のように軽く手直ししただけでは、どうにも三段切れです。
|仰ぎ見るレンガの学舎冬紅葉 君よ問わね列強の壁
|駅弁のぬくみを膝に冬の旅 静岡市葵区南沼上
|駅弁のぬくみを膝に冬の旅 出会う真心開ける楽しみ
‥そう来たか!と唸らせる盲点です。
(あれだけ散々プレバトで鉄道を詠んでいながら己の見逃し加減が痛くもありました‥)
(まぁ旅もしねぇし駅弁も口にしねぇし‥見落としていても不適任相応と)
|手鏡に枯葉の匂ひ冬はじめ 島田市中河町
|サイドミラー枯葉の匂ひ山路ゐる 参考
‥「手鏡」から枯葉の匂いがすると
着眼は面白いのだが、「手鏡」から、さらに発想を飛ばそうという遊びがなさすぎる。
ネタは、中途にも季重ねなんだし、そこの解消に貪欲になってもいい筈だ。
参考は、どうにも三段切れ気味である。
(‥よくよく考えると、このタイプの三段切れはちょくちょくありそうな気配だな)
|山に沿ひミラーに匂ふ枯葉かな 奥まる空に鼻歌ひろげ
‥まぁ三段切れを嫌って斯様に直してしまえば
どうにもツーリングの気配が一気に失せて、
歩いて来た山沿いの道にカーブミラーでも見つけたかのような趣になる。
> そのカーブミラーに、振り返ってみるような枯葉の坂道が見えていたと‥
‥まぁ是は是として
スピード感の演出に、三段切れを敢えて使い込むのは技法として有りなのでは‥
じゃないとツーリング表現には、ほど遠くなっちまうわな。
1-9)1
‥静岡新聞には毎月公募の「読者文芸」のコーナーがありまして
句会名でなく住所らしきが示してあるのは、すべてそこからの掲句です。
そこの俳句賞の批評が、なかなかに鋭く丁寧にあるのですが
どうにも、評される作品の完成度が、いつも見劣りしていて、残念に思うことしばしば
‥褒めすぎだろうと思うも、批評の手本としては面白い。(どっかの毒舌とは大違いっす)
> 今回はツッコミ甲斐があったんで、丸で載せてみました。
|鶲来て庭の景色を動かせり 焼津市大村
*鶲(ひたき)
<選評:雪賞>
静かで何もなかった一幅の景色が、一羽の鶲が来たことで、一気に動き出した、というのである。
このようにある一瞬を境にして、その前と後での変化をとらえること、それが俳句の妙のひとつとなる。
この句は、その一例といえよう。
|「鶲とは‥」庭の眠りを動かせり 今ひとたびの振るる尾に笑む
‥「鶲」どんな鳥かと、YouTubeで見てみると
字引に説明があるほど、活発に動くわけでも無く、
鳴き声が好いわけでもないせいか、多くが音楽で上から収録音をかき消してしまってある程です。
それ以前の様子として、収録音そのままのを見ていても、さほど鳴かないように思えました。
まぁ来れば来たで、それなりに観察するに適度な時間居る様子はうかがえます。
> ‥句には、すでに「景色を動かせり」と盛ってあるわけですから
> 「来て」ではなく、もう少し工夫ができそうです。
> ‥「景色」とあるのも気になります。
> (本人自ら、その庭の様を、変わり映えが無かったと述べてしまっても居るわけですから)
‥鶲が、庭先に珍しい鳥なのか、どうかよく知りませんが(総称の扱いみたいですけど)
秋も終いの頃なら、よく見かけようとも珍しくあろうとも、楽しみには違いないわけですから
手直しでは、そこの所の気持ちを盛ってみました。
ただし、+七七への引っ張りがあって、どうにか整っているようにも見え、
まぁその点、「来て」でも、それほど拙くもないのかなぁと思わなくもなく‥
‥そこが三十一音との趣の違いかなぁと思いました。
|末枯れの野辺のいづくぞ水の音 浜松市東区植松町
<選評:月賞>
冬近く、草木が葉の末の方から枯れ始めるのを「末枯れ(うらがれ)」という。
そんなどこからともなく水の音が聞こえてきた。伏流である。
地下の流れで、表にはみえないが、音だけが響くのである。その音は、そこか探しているのである。
|末枯れぬ野辺のいづくぞ水の音 日照りに乞える伏流の湧く
‥「末枯れぬ」ここがポイントです。
水源が近くにあったなら、普段見られる「末枯れ」との違いが盛り込まれていても良いはずです。
と言っても、末枯れている主な理由は、日光が弱くなったから、気温が下がったから
まぁそういう事ですが、季語としてはそういう事ですが
そうでもないのが、日照りの時などです。
‥ここだけ「末枯れてねぇ」ともなれば、水源が近くにあるという事に成ります。
ネタの句は、どうにもそこを思い起こさせるのです。
そうでもなかったら、昔の人は何を手がかりに水源を探し当てたというのだろうか?
(‥ブラタモリを見ていると、昔の人の感性の鋭さを思わざるを得ませんから)
|夕刊に挟まっている紅葉かな 浜松市東区積志町
<選評:花賞>
もう、夕刊が来たかな、と思って取りに行くと、夕刊の間に紅葉が挟まっていた‥、というのである。
たったそれだけのことであるが、受けとった人は秋を感じた。
俳句はこのように、大げさなことでなくてもいい、日常のさり気ないことを句にするのだ。
|朝刊に挟まりにける紅葉かな 秋のバーゲン‥否、歳末や
|夕刊に挟まりにける紅葉かな どこぞの近所‥気になる見栄え
‥こちらは、まぁ手直し要らずです。(文語変換の箇所は好みの違いですので)
+七七に、引っ張ろうとしてあれこれ考え回したところ、
朝刊でなく「夕刊」であるところのポイントが実に大きいことがよく理解できました。
朝刊ではなにかと、その紅葉をチラシの中身に例えることが出来てしまうのです。
‥そこを嫌えば、「夕刊」として盛ってあると。(なるほど)
1-9)2
|弾む声花野に少女蝶のごと 富士宮市小泉
|弾む声花野に少女蝶のごと かそけき頃を懐かしくあり
*花野(はなの)‥秋の季語
‥なるほど、お花畑の可憐な姿を斯様に詠むと。
(これも三段切れ調っすね)
男子が思っている程に、女子はその時期に執着して居ないように思うのだが
まぁ育つ環境にも依るのかなと‥だとすると‥
‥少女(おとめ)に育つ環境と、肉食系に育つ環境との差があるような‥
|思い出を解きほぐしたるセーターをまた編む秋の夜なべ仕事に 牧之原市大沢
|思い出を解きほぐしつつセーターに再びこめる恋し秋の夜
‥ネタの掴みは、如何にもべたに思えるところだ。
かつてのペアルックのそれでもほぐして、子供用のセーターでも編むのだろうか‥
(それとも、ほつれでも直すのだろうか?)
「解きほぐしたる」こうした感性が、女子の特性というか、自然体にあるわけだが
男子は概ねそうはなっていない。(編まないから尚更にそうかも知れないが)
会社経営にしたって、いつでも、一から出直すなんて頭に無いからな。
ある段階途中からでも、とことん一から作り直せば良しと思えるのは、
それこそ、叩き上げからのし上がった徹底こだわり経営者だけだ。
中途参加でおいしいところを頂いている輩の多くは、頭じゃ分かっていてもそこまで舵を取らない。
(‥それになくとも、同じことをする気もないくせに、そことの葛藤を始めるのが男でもあると)
中途参加からの大組織に慣れてしまっていると、どうにも付いていく背中を選んじまってるんで
付いてく背中が気に入らないと、どうにも始まらない。
(背中もとい看板か‥というか経験値がある程にそんな感じ‥経験値もとい余所見がちなプライドか)
(在っても、こぢんまりとしているのが身の丈と言うことだから尚更)
‥だから、己の独りから地味に始めようとするタイプはそれほどに多くない。
(多かったら、大組織なんてさほど要らねぇからな)
(地域が再活性しないのは、ざっくりそういう事にもなる)
(そうできないように仕向け合っている点が大きいけどな‥其をシェア争いってんだよ)
> 男も女もレールが引かれていないと、多くは、生活すらままならない
> その最たる障害こそが治安だ(‥嘘の駆け引きが多いのだ、頓挫もするだろうし)
それでも女子は男子ほどそうでもない。
自分の恋が地味だろうと、派手になりそうだろうとお構いなしの所もある。
(男はその辺、どうにも選択肢に乏しい思考しか出来ていない)
(選択肢がいくらでもあると思い込んでいる野郎は、虎の威を借りているか、碌でなしであろう)
(また、当てはまらない‥ずれた女子も居るわけだが、その辺は割愛しておく)
女子はその辺、どこか不思議と信じ込んだままに動いているように見える。
‥そこは何事にも当てはまっている傾向がある。だから仕事に関しても概ねそんな様子だ。
(現実立っておらず、感覚と方向だけが先に行っているように見えるのも)
(世の中の女子への見方や扱いがそうだからかも知れないな‥)
(逆を言えば、社会の女子の扱いが変わっていけば、そこから女らしさも消えていく)
(‥少なくとも、昔ながらの色合いとは異なっているということである)
|女子会のワインいろいろ暖炉燃ゆ 富士宮市西小泉町
|女子会のワインいろいろ暖炉燃ゆ 愚痴こぼしつつ恥焦がれつつ
‥実に今風の女子の生き様が、上手に整っている。
男にあれこれ言われたくないから、自分で稼いで、のほほんとしてみる。
まぁ誰もダメとは言わんだろうが、どうにも、語られる内容は、お決まりなんだろうなと‥
‥女子である前に人間だからな‥否、肉食系か、ミーハーか、お笑い好きか。
そんなのはオヤジと変わんねぇんだよ。オヤジと。
で、今時のオヤジを見て、良い印象を抱いてないとか‥「一緒だろうが!」
その印象としての矛先が、今度は、「世間になってきたって事だろうが!」
どうしても自分たちに向けることができない。
自覚する振りにも、納得しがたく差別化が始まると。
‥まぁスクールカーストとか言って、すでにやらかしている世代もあるようだから
‥こちらがあれこれ問う以前に、すでに折り込まれ済みのようだし、凄いことだな
> ‥それもこれも、人間風情の性能と言うことだよね。否、ケモノか。
‥男が女に抱くきれいな理想を否定しているくせに、自分たちではそこを否定し切っていないと
‥なにをそんなにお花畑であることに、偏った都合をより合わせた誇りを抱いちゃってるのだろうか?
(根っこは、オヤジと変わらねぇの。同じ人間なんだからな)
‥それ以外に、理想やオリジナリティがあるってんなら発揮して見せろや!
‥大方、ただの酔いつぶれていたいだけの、中身はオヤジと同質なんだろうけどさ
‥いやいや、女子なら、そこは通常「クソババア」って表現するからな
‥現代社会の細々の本質は、オヤジの多様化と言うより、ババアの多様化だからな
‥如何に男社会のその辺が単純だったかでもある。
‥男子は名称なんて気にしちゃいない。むしろオヤジを誇っている所もある。
‥でも女子はそうでない。少しずつ違うとばかりの主張をグチグチとしだすから名称が増えるのだ。
> ‥まずは男女は互いに違うのだという次第を、互いに自覚することが先決なのだよ。
> (そこを解ったつもりで鵜呑みにしようと始めるからおかしくなる)
‥女の時代とか言って、男社会の踏襲だし
変革できそうになきゃ、男に期待しているし
何様なんですかね?
女の言葉でそれを適切に表現する言葉がありましたな‥「最低」とか。
つまりは、女共々、自分たちへのレッテルだろうが!!
‥まずは自覚せよ。(黄色い声援で誤魔化してんじゃねぇっつうの)
1-9)3
|点滴の小さき掌春待てり 裾野市二ツ屋
|点滴の小さき掌春待てり 未だ閉ざされ夢を知らぬ子
‥これはまた小さいところの盲点を拾っている。
いやはや、俳句に整うとは、一本取られた感は拭えない。
「ところで、どのぐらいの『小さき』なのだろうか??」
‥未熟児から身体異常を抱えた幼児までが想定されるが
その程度はどうにも大ざっぱだ。
まぁ普通に考えれば、風邪をこじらせて、重病になりかけぐらいに思われる。
でも、そんなところを引っ張っても面白みに欠くので
‥保育器レベルを想定してみた。(この句には、そこまでの幅がある)
|病院の長き廊下や寒の月 三島市藤代町
|病院の長き廊下や寒の月 期待しつつも噂にビビり
‥「病院」×「月」の着眼って多いんな。
その中でも、ネタの句は、実に別の意味でおあつらえ向きに整っている。
お化けが出る噂の病院に派遣されてきた若手看護士。
夜半の看回り当番、先輩にあれこれ吹き込まれて、只今各所を看回り中。
‥まぁ、そんな感じか。
|退院の暮れの親子や笑顔満つ 静岡市駿河区稲川
|退院や添われ満ちたる暮れ笑顔 手直し
‥なにやら無季ですな(賞には珍しい)
もしかして‥「暮れ」で「年の暮」ですか??
それはそれで、感心できない形で「暮れ」が放り込まれてあるような。
(だから、無季にも見えてしまうと)
‥着眼は申し分ないようですが、このままではあきまへん。
と言うところで、空気崩さずに手直ししました。
|退院や添われ満ちたる暮れ笑顔 自宅で祝える去年今年かな
‥痛ァアア。(まぁそうだな、そうなるよな‥祝うんだよな)
今更ながらに気がついたような。(なるほど、祝ってるんだな‥そういうものか)
何を祝うとかでもなく、節目を大事にしたいと言うのが、あるというところで
○○だから目出度いとか、そういうのでもなく、節目を大事にしたい気持ちがあると。
‥そんなに節目が大事なら、毎日を大事にしろと。(‥どちらかってとそっちの肌だよな)
> じゃ、その毎日を大事する気持ちの方に迷いがあるから‥
「何が目出度いのかわけ解らんと」‥そう思っちまっていたわけか。
‥まぁ確かにね。適当にしか生きられないし、適当で済ましちまってるからな。
でも、そもそものこれが正当だと言えるような定義も無い。形も決まってない。
ただ、世の中のしきたりとした空気が蔓延してあるだけだ。
‥そこが気に入らないわけだ。
だって、そんな得体の知れねぇ空気に付き合っても、さして平和でもない代物に
どうして頭を下げねばならねぇの?‥馬鹿も休み休みにしろってーの。
‥納得もできてねぇのに、節目なんかあるわきゃねーてーの。そこは譲れねぇだろうが。
「自分に自分で節目を設けるのは、生きてる特権みたいなモノで、」
隣りに並んですることではない。まして、行事に儀式にしてあるなんてスゲー変。
娯楽の無かった時代の楽しみとしては有りかも知れねぇが、もはやそういう意味では終わっている。
‥まぁ他人の節目がどうあろうが知ったことでは無い。
(そこに迷いがあると‥そこでループが始まると‥調子こいてるあいつらばっかりとかな‥)
1-9)4
|閑職の椅子の固さや冬隣り 藤枝市堀之内
|閑職の椅子の固さや冬隣り せめて子等の卒業までは
‥ネタは、川柳っぽい詠みです。
しかしどうしたって変です。妥当な理由を付して引っ張ってみました。
世間の多くが同じことを考えているかと思われます。
‥そこでこう思うのが、今風です。
「なんて甘ったれた仕事してやがるんだ、そんなの長くねぇだろうが、この窓際が!!」
否々、そんな時代の空気の親の背中で育ったのが、今の四十代、五十代管理職。
昭和バブル崩壊前の世代でーす。
‥裏返してみれば、自分たちのオヤジ世代が、ゆとり世代としての写し絵と言うことです。
(団塊はもっと夢に邁進していたとか‥反論来そうですが、これは商いの競争度合いの差ですから)
その似たような甘ったれた競争観の所のゆとり世代を見て、あーだこーだとほざいていると。
(それもそうでしょう、団塊の親世代は中学出たてで金の卵とか言われた時代っすから‥)
(今の競争社会からは、ゆとりに見えて当然です。大事にされたい願望なんでしょうな)
> そう考えてみると、面白い光景ですな。
甘ったれた競争観の世情の親の商売の背中で、育てられてきた恩にも気がつかずに、
ゆとり世代をみて、甘ったれてるとほざいてしまっているのでーす。
‥そんなことでは、給与が安くて当然だと言い放ってしまっているのでーす。
(護送船団方式とか色々と言われていましたからな、その当時は保護が行き届いていたのです)
(ぬるい競争時代の狭間をどうにか流れて来たのです)
(その親の恩恵を受けて育って来たんですよ、それがバブル育ちの現在管理職世代!)
‥そこの今時代の心境を、現在の心情を、ぶち撒けば
親が路頭に迷おうとも、自分たちは、勉学できずともどうにかする覚悟だけはあったと
今更ながらに、メンタン切っちまってるようなものですからな。
(さすが格差社会ど真ん中管理職、社会を根底から壊すことしか頭にねぇ一極化思考である)
‥自分がガキの頃に戻って、親に対してそれを言っちまってるようなものなんですな
‥そんなだからオヤジはその程度なんだ!(反抗期そのまんま)
‥そんな裏返しのゆとり世代とのご対面と言うことです。(てめえの管理職能力もその程度と)
(まぁ性格も半分半分でしょうから、該当世代管理職のその多くは)
(ゆとり世代とどう接して良いか分からず‥当時の親の背中を黙って見ていた反応のままでもあると)
> どちらが正しいとかでなく、お互い様の光と影が集っているだけの事のようですな。
|年の瀬や頭上を走る妻の声 浜松市南区都盛町
|年の瀬や頭上を走る妻の声 電話の鳴らぬ暇を思えば
‥このネタも、なかなかの盲点を盛ってきています。
二階建てか三階建てか、わかりませんが、上の階を行ったり来たりしてバタバタした様子かと。
‥こちらはデフレ不景気で、平日的に注文が来ない風景に引っ張ってみました。
(丁度、頭上にもなるでしょうからね)
もっとも、句を詠むぐらいの切り替えができたなら、ぼちぼちの売上はあるように思われます。
|冬たんぽぽ今日も明日も一人かな 沼津市原
|冬たんぽぽや目が合う度にまた明日 ただそれだけのほんとそれだけ
‥ネタは、「冬たんぽぽ」とポンと上五に据えて、有り体の調子で詠まれています。
これは季語の着眼として、平凡なのではと思うこと‥そんな所のようでした。
まず、「冬たんぽぽ」では韻が半端なので、「冬たんぽぽや」と思い切りました。
‥あとは、極平凡に捻りも無く、引っ張りました。
でも、それだけなのに、妙にホッとできるのです。(さほど捻る意図を求めないのもタンポポかと)
1-9)5
|じわじわと低反発のバネになる 静岡市葵区八千代町
|じわじわと低反発のバネになり 農協事情のいまむかし
‥盛り方が実におもしろい。
何を見てそう思ったのか知りませんが、妙にそそられました。
というところで、ピッタリの所を引っ張ったら、農協体制が一番だろうと思いました。
|世渡りの上手い嗤い袋を懐に 静岡市・サロン川柳句会
|世渡りのゲス嗤い袋を懐に 驕れる三分の二与党
‥「上手い嗤い袋」がよく分からないので、「ゲス嗤い袋」に手直ししました。
褒めたい気があるわけでもないのなら、褒め言葉に成りかねない言葉を盛る必要はありません。
それとも
喩えそれがクソッタレでも、世渡り上手になりたいのでしょうかね?
(それを川柳とは誰も見なさないと思います。その辺の勘違い作品をちょくちょく見かけます)
(‥罵る気&毒気に盛る気が端から無いなら、川柳には向いてません。標語でも作ればよし‥)
|ストックの舌を時々干している 沼津市松長
|ストックの舌を時々干しにけるメディアの嘘の憎たらしいほど
‥何を以て、誰の舌のストックを想定しているのかが、まったく不明です。
でもまぁ、面白い盛り方です。
その辺のバランスの良いところを探していると、
どうにも「メディアの嘘」が似合うだろうと思いました。
1-9)6
|ヒロシマと天秤に乗る真珠湾 選者
|ヒロシマと天秤に乗る真珠湾 共に騙されたる米市民
‥ネタの句は、だから何なんだと、多少半端です。
どうにも「天秤にされてたまるか!」と思う訳ですからな。
原爆と奇襲のインパクトは全然違います。そこを同じにしてしまう視点が何処にあるのか?です。
‥そこが、まぁ、有ったんです。
‥それは、米国市民です。
良いように乗せられて、気がついてみれば、
人類を滅ぼしかねない技術の片棒を担わされていたのですから。
「頭から知っていたら、誰が協力したというのでしょうかね?」
> それにしても、是の着眼を十七音で満足しちまうのでは、大いに問題ありかと。
> 一体全体、どこを見て斯様にも詠んだというのでしょうか?(わかりません)
|安倍川で富士山眺め背を伸ばす 静岡市・サロン川柳句会
|「安倍時変」外で背伸びし舌肥ゆる トランプ詣でにも餅発言!?
‥ネタの「背を伸ばす」のニュアンスがよくわかりません。
安倍川の方から見ると、そんな感じにもなるのかなぁぐらいです。
> ‥でもまぁ、安倍総理と「背を伸ばす」は使えるのでは‥と思いました。
*事変‥警察力では鎮定し得ない程度の擾乱。国際間の宣戦布告なき戦争をもいう。
*時変‥時世の変化。その時の変事。
‥ここでは時変です。安倍総理の返事(変事)ということです。
> ‥アメリカの雇用に向けて、日本政府が直々に投資??
> どうにも従来通りの解釈で言えば、米国債を買わせて頂きますという風にしか聞こえませんな‥
しかし、トランプは安倍とは勢力背景が違うので、国債云々は介さないはずです。
それにしても、偽情報だったと出回ってますな。とすればあれはなんだったのでしょうか?
火の無い所に煙は立ちません。裏の事情としては、新ドル切り替えに向けた‥
‥「あッ」ここから先は言わんほうが身の為か‥
|散髪の鏡の顔よ去年今年 藤枝市堀之内
|散髪の鏡の顔よ去年今年 トランプヘアに魅入るか日経
‥ネタの句は、新年に向けての散髪通いを詠んだようです。
なるほど、さらっとほどよく整っています。「去年今年」の使い所が妙ですな。
‥引っ張りは、嫌でもよく目立つあの金髪の髪型(是しかないだろう)
日経にどう盛り込まれるのか、実に怪しい感じだが‥
新ドル切り替えが起こっても、さほど影響が無いなどと‥そんなことは無いと思う。
> どちらに転んでも、トランプヘアが流行ることだけは無い。(確かなことは是だけだろうな)
週刊現代に、大企業の大合併予想が記事になっているのを見ては
どっちに転ぼうとも、ジェットコースターである点に間違いはないはず。
(新ドル切り替えで、損する企業とそうでもない企業との辻褄合わせになるように思われます)
(業績云々より、資産価値云々での辻褄合わせによる合併かなと‥)
(上が合併しちゃうんだったら、下請けだってそれ相当の流れに晒されそうです)
それにしてもそれの流れは、取引時にマイナンバーを必須とする時期に合わせた絡みにも思えます。
(‥システム管理上の不安材料が、あるようにも見えてしまいまーす)
(大手企業側も、未だ対応が十分で無いとか‥)
(合併が予定にあるなら、重複コストを掛けたくない裏事情を覗ってる資本側の都合とも言えますな)
1-9)7
|百年の家のいきいき冬に入る 沼津市下河原町
|百年の家とてそぞろ冬に入る 参考
‥よく詠めているようですが、「いきいき」×「冬に入る」のバランスが幾分怪しげです。
それも是も、「百年の家」が曖昧だからです。
そこに、百年の月日を過ごしてきた家があるのか?
それとも、今から「百年の家」を謳う家に住まおうというのか?
> まったく不明です。そうなると‥
‥どちらでも「来い」とした解釈が成り立つように詠むか
説明を施してどちらかに絞るかです。
でも十七音で、後者は厳しいでしょう。(ただでさえ、句またがり気味で一杯一杯です)
|百年の家とてそぞろ冬に入る 暮らし見直せ身近にてこそ
|精一杯カネを注ぎ込み「ハイ終了」それで済ませる何事も無し
|消費するまたまた消費の繰り返し元を辿れば人とのつきあい
|いつの間や売れたかどうかそればかり仕える事の心得そぞろ
|「仕える」と誇らぬ時代の「仕え捨て」使えぬモノばかり溢れよる
|馴れ合いが優位に立って萩の席 散り逃げ用意の駆け引きばかり
|支え合う耐荷重の確認怠れば ひび割れ来よる当たり前
|無理強いを上乗せて耐震基準‥暮らしを削れまずはそこから
|無理強いを科学とすり替えほほ笑えみぬ二十世紀ぞしまえ
|世間死に「家」と言い張る愚かなぞ 段取り知らぬ生産馬鹿
*萩(はぎ)‥ここでは「剥ぐ」を連想。
1-9)8
|病窓へ映す顔色冬の朝 藤枝市郡
‥中七「映す顔色」
着想は十分に面白いのですが、どうにも上五「病窓へ」では面白くありません。
また助詞「へ」で接続してしまっては、「病院へ」でも意味が通じます。
是から向かうのか、たった今到着したのか、病院に来ているのか、どうにもぼやけてしまっています。
‥「病院の窓」なんて、どこでも好いわけですからね。
ということで、「映す顔色」だけリスペクトしてみました。
|特攻や映す顔色冬の空 死にゆくこの身と耐えがたく
‥細かいことを言えば、三段切れ気味ですが、気持ちは十分に伝わってきます。
‥検閲を逃れて詠もうなら、上の句ギリギリの範囲かなと。(一応、志願制でしたし)
|赤紙や映す顔色秋に雲 薄れゆく吾が身と耐えがたく
|万歳で送り出されて死の臭いいずれ此処にも戦火思えば
|本土踏み田舎を踏めりここまでと生きて良しとも思えぬ独り
|万歳の狂気も等しくさばかれて振りかえ思う世のみぎわ
1-9)9
|老衰の母と筆談し尽くした紙束の重さ今も温か 掛川市岩滑
|老衰の母と筆談し尽くしき束なる字面一つ一つに
‥「うわぁ」ツッコむのも失礼ですが
「重さ」とか「温か」とか、ベタすぎです。(通常、盛らない所かと)
そもそも、「筆談し尽くした」と盛った段階で、それの分量が普通に無いのが十分に伝わります。
‥なので、それにさらに「重さ」と盛っても逆にくどいかと。
‥ということで、注目すべきは字面(じづら)の方でしょうな。
> 筆跡は命なんですよ、そこを外してはにべもない。
|鶴亀の軸が慣ひの床の春 浜松市・三ヶ日俳句研究会水鳥発行所
|鶴亀が寿き垂れる初床の間 アラ百寿ぞ押し寄せつつ
*慣ひ(ならい)‥とでも読むのでしょうか?
*百寿(ひゃくじゅ)
‥ここの軸は、掛け軸のようですが、端折りすぎです。
(その昔なら、軸と言えば「掛け軸」なんでしょうけど、今や専門用語化してますから判りづらい)
‥もう一つ、「床の春」ですが、これも無理があります。
「床」ではなく「床の間」です。(*「床間」とは略さないようです)
> ということで、「初床の間」を季語とするのが適当に思われます。
初床の間に「鶴亀」が飾ってあります。(そりゃ、屏風か掛け軸か皿か壺か‥)
「寿き垂れる」‥掛け軸決定です。
‥まぁそれでも、整ったと言うよりは、ただの自慢詠みですよね。
といことで、嫌味にならない自慢の範囲で、景気よく引っ張ってみました。
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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