↓8)向宜詠吟.2017/02/08
|初雪にくっきりつきし我が靴あとこの冬無事を心に祈る 富士市・富士川短歌会
|初雪やくっきり足跡お楽しみ 一時あがる今ぞ突撃!
‥たかが初雪で「無事を祈る」とか、ちっとも初雪らしくなーい。
(というのは、ググった先の写真を見つつ思ったことだが)
初雪のその印象を余所に、
どことなく「どか雪ぽっさ」に見えてくるように、心配そうに詠んでしまっては
> 初雪に申し訳がないと思わないのだろうか?
> 初雪ぐらい、ワクワクして詠むべきかと‥
|沈みゆく太陽背にしてこぐペダル燃える赤なり我をはげます 袋井市・浅羽短歌会
‥このネタの句の整いはとにかくヒドい。着目がはっきりしないのです。
まず、語順が悪い。
沈みゆく夕日は、すでに薄明かり。
‥そこの印象から始めては、背中に太陽が力強くあるかどうかは怪しいのです。
‥それゆえ、「燃える赤」が必ずしも夕日を連想するかは不明です。
‥語順が悪いゆえの交錯が生じかねません
‥そこをカバーするかのように、取って付けた「我をはげます」に同感なんぞ湧かないかと。
さらに、「太陽背にしてこぐペダル」が判然としません。
コーチがチャリを漕いで、学生がそれに従って走り込んでいるようにも映るのです。
‥まぁその辺、自転車のトレーニング中とも、どちらにも解釈ができてしまうと。
|夕日濃き影を伸ばして励み差すペダルを追いつ弱音しずみつ
<手直し解釈1>
夕方、自転車のトレーニングをしており、へたりそうになっているところ‥
頑張れと言わんばかりに、夕日に照らされた自分の影がライバルのようにも見えた
その影に映るペダルをおぼろに追いかけていると、いつの間にか、弱音もなくなり漕げていたなぁ
<手直し解釈2>
夕方のトレーニングで外のランニングに出た。コーチが漕ぐ自転車に夕日が射して影が濃い
コーチが喝を入れてくるそのペダルを追いかけていると、
自然と弱音なんか吹き飛んでしまうのです。(コーチ、どこまでも付いてきます♪)
(あ☆、バイクだったか‥)35秒あたり
|月冴えて庭の白砂利光りおり心洗わる思いして見ゆ 袋井市・浅羽短歌会
|月晴れて庭の白砂利光りたる洗わる思い届くこの筋
‥着眼が新鮮に思えまして、整っているようにもありますが
じっくり味わうこと‥「冴えて」は、やはり強すぎる印象です。
あと、ぼんやりと眺めていてだんだんと白砂利に注目していく印象は、演出として勿体ない‥
> ここは、「さっ」と光りが射しきて、「はっ」と思うテンポの方が味わいがより伝わりやすいかと。
1-8)1
> 今回は短歌ですが
> どうにも手直ししたくなる向きが続きまーす。(まったく以てヌルいかと)
|雨の予報なりしが仰ぐ夜の空雲間に輝く中天の月 富士市・富士川短歌会
|雨予報聞きて仰げば雲間にはどうにか照るる中天の月 手直し
‥これはどう見ても、訛りの話し方で引っ張っちまっています。
訛りのままが味わい深いのは、その程度をわずかに盛った範囲までです。(隠し味)
べたの一調子に訛りを通しても、上手になるわけねぇっての!「なめとるんですか?」
> 三十一音しかねぇの、訛りの調子で何音損すると思ってんですか!
> 効果を得てこその、訛り&方言でーす。
|我が送りし青島みかん届いたとよろこぶ友の声を聞きたり 富士市・富士川短歌会
|送りたる青島みかん届いたと電話で聞ける友のよろこび 手直し
‥友の声を聞いたのは自身です。その場合は、聞きたり×聞けり○です。
手直しの「送りたる」も自身が送ったと言えば送ったわけですが、実際に届けるのは業者です。
なので(送れり)ではどことなくしっくり来ないのです。
> 助動詞「り」は、主観or直接感を伴った進行形に(概ね四段活用に限られる)
> 助動詞「たり」は、客観or間接感の漂う進行形に
‥わかりやすく例句を挙げて置くとですね‥
|見れる花 隣の影に見たる声 見らるるもこの春までと消ゆ
‥見事な満開の桜を見ていると、隣の方からも同じように魅入っている声が聞こえてきた
‥されどその声は、なぜか「この桜が見られるのもこの春まで」との呟きだった
(まるで、桜の精の空耳でも聞いたかのようだった)
「見る」の古語は「見」です。
「見」の活用は、「み・み・み・みる・みれ・みよ」‥(非認定)
「見る」の活用は「み・み・みる・みる・みれ・みよ」
「見ゆ」の活用は「え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・えよ」
自発の助動詞「らる」が付くと「見らる」
存続の助動詞「り」は、上一段には付かないようですが、付けるとすれば「見れり」
‥さて、「見れら×・見れり○・見れる○・見れれ×」ですが
(主観に対して主体的未然&已然&命令を区別する必要がない。接続は、連用&終止&連体の範囲)
見る行為の主観的進行を表現できないというのでは、文語の特性からしておかしいのです。
ということで、和歌表現としては‥例外&特殊も有りだろうと考えます。
(そもそも、上一段の活用そのものが主体or自発の向きもあり、不用なのかも知れませんが)
> 歴史上の助動詞の推移を遡っても、時代ごとで細かく揺れています。
> 時代に合わせて変わってきたのです。変わる余地があるとも言えるでしょう。
> そこを否定する理由もまたございません‥
‥まぁこの辺、見解が割れるように思われますが
よろしくお願い申し上げておきましょう。
1-8)2
|溜め置きし切り抜き捨てむとして拾ひ読む有馬稲子の「一炊の夢」 富士市・富士川短歌会
|溜め置きの切り抜き捨てむと拾ひ読む有馬稲子の「一炊の夢」 手直し
> ‥綴った歌を、声に出して読み上げる習慣が無いのでしょうか??
> その時々の調べの無駄をどう捉えているのでしょうか?
まったく以て、不可解です。
|久しぶりに施設の母と食事する箸にて食ぶる様に安堵す 富士市・富士川短歌会
|施設寄り母と久しく食事するこぼさぬ箸の母の老健 手直し
*食ぶ(たぶ)‥なにやら方言のようでもありますが、食べるの元語幹にも見えますね。
‥「安堵す」って、そこの安堵をどう詠むかです。(解らないとついついやっちまう所ですが‥)
普段の会話の語順をそのまま拾っても、整わないモノは整いません。
迷った時のコツは、まず先に、解りやすい形を盛ってから、間をどうするかの手順かと。
このネタの場合、「母と久しく食事する」「母の老健」を先に盛ってから間を整えております。
> どうにも、こんがらがる着目でした。
1-8)3
|鏡の前に体操をする我が姿 腕曲がりをり伸ばせよもっと 富士市・富士川短歌会
|全身鏡体操したる吾が姿勢 腕曲がりをり伸ばせよもっと 手直し
‥是はなかなか、意欲的な着目です。
どれ程の全身鏡を使った・使わなかったが気になりますが
伝わりやすさを得るには、多少のアレンジも欠かせません。
> よりはっきりとする固有名詞があれば、積極的に盛りたい所です。
|我が息子見延の山で学びしに 何ゆえ向かふ自衛隊へと 富士市・富士川短歌会
|我が息子見延の山で学びしか 何ゆえ向かふ自衛隊へと 手直し
‥坊主または心の修練に出向いたはずなのに、 それがいつの間にか自衛隊に居たと
なにやらものすごい展開です。(誰だって驚くだろうね)
ここでは已然形を用いた方が、スッキリします。
「見延山に心を学びに行ってたんじゃねぇのかよ」
‥斯様な気持ちを「しか」に込めて、上の句を句切るのが、ここでのポイントです。
1-8)4
|穏やかな亡父の育てし渋柿を今年も剥けるふしくれの指 静岡市・長田寿短歌同好会
|亡き父の育てし渋柿色づきて指ぞふしくれ然に剥き続く 手直し
*然に(さに)‥いつものように、思い向くままに
‥まず個人的に「亡父」の綴りが肌に合いません。
「なきちち」なのか「ぼうふ」なのかはっきりしないのは、どうにもすっきりしません。
あと、亡くなった方の説明をここで盛ってみてもそれ程の意味を感じません。
盛って有るとしても、ただの性格のようですので、省いても問題ないと思います。
‥「渋柿」がどういう状態にあるのかの方が、ポイントです。
柿渋を作るんだったら青いうちのようですし、料理に使うんだったら色づいてこそのようです。
‥渋柿の状態を示さないのでは
「ひよっこなんですか?」と、ツッコまれても差し支えない見落としにも繋がります。
でも、そうでもないと‥
取って付けたような「ふしくれの指」がどうにか説明しているかのようです。
(‥まぁその辺のバランス感覚はあるのでしょう)
|霜月に椿一輪花咲かせ しばし去りがたしピンクの綺麗さ 静岡市・長田寿短歌同好会
|霜月に椿一輪花咲かせ しばし見惚るるピンクの綺麗さ 手直し
‥「霜月」に「椿一輪」、もはや品種改良のしすぎで、季節感なんて無さそうです。
まぁ俳句では無いので、ここでは捨て置けに従いますが
それにしても、不思議と面白いテンポです。
‥あとは、言葉選びです。(探せばあるはずですから)
1-8)5
|晩秋の風が浸み込む柿ふたつ 鳥が立ち寄り囀りつつ食ぶ 静岡市・長田寿短歌同好会
|晩秋の風が沁み込む木守りを 鳥よろこびてしまい食いより 手直し
‥「柿ふたつ」まぁ普通に考えても木守りが二つに思いますが
鳥が来て突っつくのに、木守りを啄む程なら、その辺に置きっぱの柿だって狙われかねません。
そこが気になる勢いでの鳥の食いつきに見えています。
‥そもそもですね、食われたからなんだったの?
まだ秋が終わる終わらないの頃合いに、木守りがあと二つだけ。「さてどうなるやら?」
そう思っていたら、食いしん坊な鳥とも飢えた鳥とも‥やって来て食っちまったって所です。
‥そうしたら
「ああ、もう無くなってしまったぞ、大丈夫なのかな??」‥との思いがよぎって当然です。
別に、食ってはダメとも思っていないわけですが、(それが木守りですから)
そういう自分の気持ち一つ一つに、もっと注目して言葉を選ぶべきです。
> 外ばかり見て言葉を選んでも、言葉の方から語ってくることは、さほど多くありません。
|きしむ膝こらえて歩く宵の土手 細き音揺るるこおろぎを聞く 静岡市・長田寿短歌同好会
|きしむ膝こらえて歩く宵の土手 こおろぎ聞きつ痛み忘れて 手直し
‥上の句と下の句の兼ね合いがどうにも疎かです。
「きしむ膝」をこらえて歩いてきたのなら、「痛み」があるはずです。
「震え」と盛ってみるのも有りですが、状態によりけりです。
‥たまたまコオロギが鳴いていたのかも知れませんが
そこは演出してこそです。べたに思ったそのままを盛ってもまとまりに欠きます。
上の句との兼ね合いをどうするかが、和歌三十一音でもあるのです。
膝がどうであるのかを最後まで匂わさないのなら、上の句も要らない事になります。
‥まぁ折角なのですから
こおろぎの鳴き声を聞いている内に忘れていたぐらいの引っ張りが欲しいところです。
「そうでなかったら、どこに風情があるんですか?」
こおろぎが鳴いてれば、それが風情だとか本気で思っているのですか?
自身で感じたのがただの響きでしか無いのなら、それはただの音色です。
楽器に音色はありますが、音楽に奏でられるかは、自分が調べとして何を乗せるかです。
ただ聞こさえすれば、そこに風情が現れるという次第ではございません。
> 自分の気持ちたるを調べに乗せてこそ、風情が風情たるのです。和歌も同様です。
‥溜息を綴っている余地なんてございません。
一度、その言葉を盛ったなら、最後までそれらは一つの句の中で地続きに響き渡っているのです。
‥自分勝手にも、関わりがないと思っている社会の面々のツラを見てご覧なさい。
どいつもこいつバラバラで、ちぐはぐで、不満そうで
ちっともドラマティックに浸れる様になんてございません。
1-8)6
|西空に鎌の月見ゆる草むらに地虫も鳴きて冬が近づく 静岡市・長田寿短歌同好会
|西空に鎌の月見ゆ草むらの地虫も鳴ける秋ぞ過ぎゆく 手直し
‥「鎌の月」を見ているのは詠み手であって、草むらではありません。
そこの違いを示す意味でも、一旦、句切りを付けるべきです。
「見ゆる」としては、連体形ですから「草むら」に掛かってしまいます。
ここは「見ゆ」で十分です。(でないと意味が変です)
‥「西空」の出だしですが
月が西に傾いているのですから
「冬が近づく」とするよりは、「秋ぞ過ぎゆく」です。
意図するポイントは同じですが、月が西にからすれば、「近づく」よりは「過ぎゆく」です。
それを惜しんでいるのが、自分でもあり、虫たちでもあろうなとして引っ張るべき所です。
> 虫が鳴いています。冬がやって来ます。それが何だというのですか?
そのままでは、せっかくの「西空に」の着目がどうでも良いと言わんばかりに、バラバラです。
バラバラにやっちまっている限りは、どうしたって解ってないのです。
‥虫の気持ちも、自分の気持ちも、鎌の月の気持ちも、西空の気持ちも、秋の魅力も‥
|亡き友の墓に参りて秋彼岸 枯葉一ひら舞きて落つる 静岡市・長田寿短歌同好会
|秋彼岸友の墓にて手を合わす ひとひら散りぬ声届きしか 手直し
‥まず、季節感が変です。
「秋彼岸」で「枯葉」はどうでしょう??、単に「木の葉」としても良いところです。
(つまり、木の葉であろうが、何であろうが然したる違いは無いという事です)
‥それが何やら、「ひとひら舞い落ちた」と
そこに、繋がりをもっと描いても良いところです。
その時のあなたがどう思ったのかよりは、改めてどう解釈できるかです。
‥あなたがそれをしなくて誰がやるんですか?
> その「ひとひら」の意味を決めるのは、あなたなのです!!
‥そこが、俳句とは決定的に異なるのが、三十一音の世界と言うことです。
1-8)7
|駅行けばスマホは危険やめるよう英語で叫ぶ声の流れる 静岡市・長田寿短歌同好会
|英語にてGalaxy Note 7を破棄するよう駅に飛び交うアナウンス 手直し1
|「歩きスマホは危険」と駅前で、叫ぶ団体飛び交う英語 手直し2
‥「スマホは危険」???
見方は二つほど挙がります。手直し1と手直し2です。
外国の光景なんだと思いますが、ネタでは、詠むべきポイントがまるで見えてきません。
‥三つ目の解釈として、「スマホの電磁波が危険です」なんてのも挙がりますが
今やそこに注目するよりは「歩きスマホ」の方がずっと危険です。
|さながらに忘れ物したし気分なり新聞休刊日のこの朝は 静岡市・長田寿短歌同好会
|休刊日新聞来ないこの朝はどうにも忘れ物した気分 手直し
‥「さながらに」会社勤めの朝出ですか?
まぁそれならそれで、新聞を手にしない朝は物足りないのでしょうね。
> とにかく、語順が悪すぎます
自分の言いたいことを先に宣って、説明が後なのは、なんとも間抜けたビジネスです。
‥どこぞの行政説明の如しです。
‥そんなんだから、「さながらに」なんどと‥堅苦しい言葉が盛られるのです。
‥段取り正しければ、無用のはずです。(音数の無駄使い甚だしいかと)
1-8)8
|小走りに向かふその先姿なく泣き泣き帰る冬晴の朝 袋井市・浅羽短歌会
|小走りに向かふその先姿なく泣き泣き逃すサンピラーの朝 参考
‥まずネタの句が何を詠まんとしているのかがちっとも見えてきません。
子供が、親を追いかけているようにも思えますし
昔なら、朝の物売りを追いかけているなんて次第かも知れませんし
どうにも解らず、「冬晴れ」に注目してみたところ、サンピラーを見損ねたニュアンスに至りました。
‥サンピラー(太陽柱)は、朝と夕のどちらかで起こる現象です。
と考えると、わざわざ「朝」と盛ってある意味も見逃せない次第になってきます。
> 実際の所は不明なので、参考としておきます。
‥おい、今、サンピラーが××××で見られるぞ
‥え、ほんと、寝てる場合じゃねぇじゃん
‥どうだった?
‥すでに終わっててくたびれ損だった
‥ふふふ、そうだろうそうだろう、そう思ったんで録画があるのだが見るか?
‥え、あるの、見る見る見る!
‥そうか、そんなに見たいか?
‥あ、なに、その、只じゃ見せられねぇなぁみたいなノリ
それって、はじめから全部、なんちゃって‥だったりなんじゃねぇの
そういうのは証拠を先に提示してから威張れよな
|八十路会 すぎたばかりと思いきや卒寿近づく皆に会いたき 袋井市・浅羽短歌会
|八十路会 すぎたばかりと思いきや卒寿近づきそれぞれを問う 手直し
‥「八十路会」どの程度の集まりなんでしょうかね?
同窓会みたいなものでしょうか?、それとも、又違った集まりなんでしょうかね?
‥その内容次第では、
歳を経る毎に、亡くなる方も多くなり、集まる頭数が減り続けるわけです。
そこがはっきりしませんが、そこを飛び越えて「皆に会いたき」おかしな言い分です。
自分しか生き残っていなかったら、
さっさとあの世に行きたいと言ってしまっているようなものです。
余りにも縁起が悪すぎるのです。
‥と言う所で、手直ししておきました。
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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