↓5)向宜詠吟.2017/04/20
|たんぽぽや富士借景に色をそへ 沼津市・潮音みどり句会(4-14)
*借景(しゃっけい)‥庭園外の遠山や樹木をその庭のものであるかのように利用してあること。
また、そのような造園法。
‥つまりネタの「富士借景」とは、どこぞの庭園から見た風景と言うよりは
富士山の景観をそのまま庭として見立てているという事になるかと‥
‥と言うことになりますと
「色をそへ」の括りでは、どうにもバランスが覚束ないかなと‥(括りとしては物足りない)
‥字面からの印象と着目を鑑みるに
俳句には収まりきらない空気を感じざるを得ず
思い切って短歌にリスペクトしてみたところ、和歌のレベルまで飛躍した次第です。
|借景を富士に頼みしタンポポの 胸張る誉れ かの山の四季
> 私たちの暮らしには富士山があります
> 富士山を毎日眺められるなんて、贅沢な庭を兼ね備えた屋敷で暮らしているようなものです
> 春先のタンポポは、そんな私たちの日々富士山を仰ぐ姿のようです
> タンポポが、そんな富士山の見えるふもとで胸を張って生きるように
> 私たちもまた、富士山の四季を見る度にその姿を誇りに思い暮らしています
(‥こ、これ程の厚み、一人じゃぜってぇ着想できねぇな)
|眠むさうな地蔵の垂れ目鳥囀る 沼津市・潮音みどり句会(4-14)
|手も足も伸びきって猫日向ぼこ 静岡市・わらしな渓流句会(4-14)
‥「鳥囀る」
どうにも「囀らない鳥があったらもってこい」のツッコミです。
‥「猫日向ぼこ」
猫がその辺で寝転がっている様を「日向ぼこ」と呼ばないわけがない‥
‥双方共に着目はユニークにしても
どうにも、句の整いとしては平凡です。そこで、この二つを合体しちまいましたとさ。
|眠むさうな地蔵の垂れ目春の昼 猫もたもとで手足伸びきる
1-5)1
|春炬燵初音に耳をくすぐられ 牧之原市・細波川柳(4-15)
|「ヨッコラショ」初音に耳をくすぐられ 春路に向かうか‥おこたオフ‥
*初音(はつね)‥ウグイスの別称。(春)
(初音ミクの省略形ではありません)
‥ということで、述べるまでもありませんが、ネタは季重ねです。
でもまぁ、初音を「初音ミクのサウンド」として
MP3プレーヤーorスマホで聴いていましたと言えば
それなりに斬新な詠み方をしている‥なんて匂わせますけどね。
(その辺、どうかは不明です)
|たんぽぽやベンチに開くる菓子袋 沼津市・潮音みどり句会(4-14)
|日向ぼこ語らふ横に菓子袋 静岡市・わらしな渓流句会(4-14)
‥面白いモノで、「菓子袋」ネタが二点、同じ日の欄にかぶって載っとりました
まぁどちらも「日向ぼこ」の光景ですが、
縁側で菓子食ってるか、公園で菓子食ってるかの違いが出ていると言うことなのでしょう。
‥やはりというか
季語をそつなく「タンポポ」に据えた方が、ひとつ秀でた印象です。
ですが‥「語らふ横に」の盛りもまた、日常感としてまんざらでもありません。
ということで、是の二つを合体です。
|たんぽぽやベンチに開くる菓子袋 語らふ横に鳩がくれくれ
‥「あ☆」
当たり前すぎる日常の光景なのに、あの当時はまったく詠めてませんでした。orz
1-5)2
|下萌の通ひ路を押す一輪車 富士宮市・裸子玉藻句会(4-15)
|草餅を食べさあさあと一仕事 富士宮市・裸子玉藻句会(4-15)
*一輪車‥ここでの一輪車とは、農作業や土木現場で用いられる手押しの一輪車のことです。
いわゆるネタは、農作業の畦道を一輪車で行き来している様子を詠んでいるわけでーす。
次のネタも、農作業途中の休憩を終えてもう一踏ん張りの気持ちを詠んでいるわけでーす。
(あくまで想定ですので、必ずしも農作業とは限りません)
‥ということでここでも合体でーす。
|下萌の通ひ路押しつ一輪車 草餅食ってもう一仕事
> ‥「通ひ路を押す一輪車」と
> 「通ひ路押しつ一輪車」と何が違うのか?
押してるのは一輪車なのであり、下萌えの草が生え始めた春先の畦道ではありませんので、
「通ひ路を押す」では、言語的にどうにも引っかかりが伴います。
そこで、「通ひ路押しつ」と軽めに盛って、何を押しているのかとした雰囲気を用意します。
ここで、「通ひ路押して」では元の木阿弥です。
‥路そのものを押しているとした感触に戻っちまいます
‥ネタや手直しとの違いとしては、一輪車がパンクした・しそうな印象かなと(重そう)
「て」には助詞の効果もあるので、必ずしも助動詞「つ」連用形として見て貰えるとは限りません。
(それでなくても、ここで連用形なら、キッチリ句切りの扱いです)
文章としては、「押しつる」と、連体形で接続したい向きもありますが
それでは、「下萌えの通ひ路」で句切れ「押しつる一輪車」と句またがりの形です。
‥ですが、字余りも二音になってくるので、句またがりとしてもクドいとの印象は拭えません。
というところで、「押しつ」と終止形に盛るぐらいが適当に思われます。
‥「さあさあと一仕事」は、誰がどう見ても「もう一踏ん張り」の意なので
「もう一仕事」で十分でしょう。
|田返しの水に光輪三つ四つ 静岡市・葵句会(4-14)
|田返しの水に光輪三つ四つ吾の未熟か先祖のそれか 参考
*田返し(たがえし)‥春耕と同意。(春)
‥ネタは、田返しをした所に、水が出て来たという光景になりますが
どうにもググって見たところ、その手の内容は、話題として少ないようです。
(ポイントは、土壌表層部の水はけの度合いではなく)
(土壌地下中程の水の含まれ具合がどうかと言うことのようでした)
(どういうのがよろしいとか、シロウトなので判断できません)
‥どうちらかというと
ネタの句のような光景を、現代の農耕で語ると
整備不足にあるか、土地の性質が大きく関わるのかなと推し量るぐらいの情報しか得られません。
(そんなところで、新米農夫風に、参考までに引っぱってみました)
(ですが、こちら側のまったくの見当違いかも知れませんので、あしからず)
1-5)3
|道草やタンポポめがけランドセル 沼津市・潮音みどり句会(4-14)
|道草やタンポポめがけランドセル 黄色の帽子の張りおうて
‥ネタは、ランドセルを放り投げて、道草をするという内容です
しかもその場所は、どうにも土手のような‥芝生のある公園のようでもあります。
男子としては、「?」な光景なので
ググってみたところ、どうやら、女子の道草風景のようです。(へぇ〜)
‥それにしても
随分と大胆というか、乱暴な雰囲気の道草です。
何がそんなにそこに在るというのでしょうか??
まるでちんぷんかんぷんです。(俺、野郎だし)
タンポポには見向きもしないで、そこに何を楽しみに来ているのか??‥です。
‥想像にも、端から俯瞰してみるに
どうにも、黄色い帽子がタンポポと張り合っているかのように見えてきました。
> てな所で、+七七の引っぱりになりました。
|たんぽぽの旅立つ綿毛風まかせ 浜松市・浜松川柳クラブ(4-15)
|たんぽぽの旅立つ綿毛風まかせ 右に左のあみだくじとて
‥タンポポの句で「風まかせ」は、はじめて見たような
まぁ確かに、風まかせだからな、ずばり「風まかせ」だよ。
だからこそ、どこに行くかも知れないとのドラマ性があるということ‥
以前、空気清浄機を掃除していた時、
フィルターに、タンポポの種を見つけたんだが
‥つい、うっかり、条件反射で、吸い取っちまっていた。
きちんと咲くという状態に及ぶかどうかすらも定かに無い旅をするわけで
その風の行方はまさに「阿弥陀籤(あみだくじ)」‥
考えてみれば、随分と無茶な連中だったと。
> 「さすがお花畑!の代表格ッ」
「お花畑」=「ロマンス」=「無茶」
タンポポとは、そこを体現化したような花だったっと。
まぁタンポポとしては、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」ということで
無茶の前提には、横並び意識‥もとい、先々も拝めりゃ十分という事になるのかなと。
‥ここの勝手句帳のコンセプトも同様です
その名句を拝めればさえ、誰が詠んだとかどうでも好い‥と言うことです。
(AIで無いことだけは確かで、日本人であることも確かだけどね)
1-5)4
|子の呉れた四葉は今は宝物 牧之原市・細波川柳(4-15)
|子のくれた四つ葉は今は宝物 事故死につぶやき残すよう
‥「今は宝物」??、「今も」じゃないのか??
何となく引っ掛かるので、そのままで引っぱれる印象を探してみたところ
斯様な引っぱりになりました。
> 近頃の事故の多さだけでも無いが、車社会=その手の事故が多いからな。
|リハビリの散歩の友はかたつむり 浜松市・浜松川柳クラブ(4-15)
|リハビリの散歩の友はかたつむり 雨降る中にロッキーのテーマ
‥「かたつむり」と言ったら梅雨です
そこに合わせて引っぱってみたところ斯様になりました。
それにしても、ネタの句の随分とダメダメとした地味に大盛りには、ビックリです。
‥まぁそういう事なんで
イカしたテーマ曲でも掛けてやろうと思いました。
‥ちなみに、俺は
当時から、ロッキー・シリーズは、コマーシャルしか知りません。
まぁどうにもあのシルヴェスター・スタローンの印象が
バリバリの「インテリ上位主義」くさい雰囲気で、「見ねぇ」って、決めちまいました。
アーノルド・シュワルツネッガーのひたすら「マッスル全開」とは違うなって感じちまうんですな。
(双方共に、実際の所はまったくわかりません)
1-5)5
|電飾を巻かれ冬木ら眠られず 静岡市・わらしな渓流句会(4-14)
|電飾を巻かれ冬木ら眠られず 祟られしやも不眠症
‥こんなネタを待ってました
まぁ最近、多すぎるように思います。
クドいというか、じっとしているのが苦手と吐いたようなイベント色が
どうにも目障り、うっとうしい‥
一度はじめたらお約束で、そのまま生涯ずっと続けられ兼ねない勢いなのが痛すぎる!
‥木々にしたってそうだろうぜ
たまにの短期間なら、有りだろうにしても、
毎年毎年、飽きもせず、年がら年中の勢いになんざ付き合い切れんだろう。
> 人間同士だって、マンネリにはうんざりがあるんだからさ
> そこん所の植物の気持ちも汲んでやれよ
‥「草木も眠る丑三つ時」との言葉もあるんだぜ。
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