2017年06月04日

【勝手句帳】112 29-5-30 其の2静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2017/06/04

|プレ金の風に桶屋も踊らされ         磐田市東新町

|プレ金の風に桶屋も踊らされ 賃上げ音頭 時短に変わり


 ‥これは素直に着目が面白い
 いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」からの連想です。

 (十七音で、すでに完結している風格が見られます)
 (これもひとえに諺の効果ゆえですが‥)


 ‥引っぱってみるのに、随分と悩みまして、踊らされている流れを振り返ってみました。


 ‥政府の「賃上げしろ」が
 無理とわかって、今度は「時短」の流れです。
 まるで、アベノミクスが成功したみたいな素知らぬふりの展開なのでーす。


> 失敗を半ば認めて置いて、予定通りに事を進めているかのようでもあります
> それで今度はようやくにして待機児童云々と


 ‥まるで選挙戦への布石です
 それで、また勝とうなら、すり替えるのが流れになると。

 と言うことは、やはり解散も近いと言うことなんでしょうな。


> まったく以て‥国民を欺くのが、お上手にもパターン化しておりまーす。




|複雑な話はしない発泡酒           富士市五貫島

|複雑な話はしない発泡酒 チャチャとこぼし長い無用


 ‥「発泡酒」の意図を考えると、なるほどと思ってきました。

 確かに、生ビールとは扱いが格下にあります。
 それだけ、手控えたままの空気にあるのでせう。

 (発泡酒は、飲んでみてないけど、ノンアルコールは一度だけ試してみたぐらいです)
 (基本的に飲まないし、ビール系はカラダに合いません)


 ‥毎年1%の率で年金生活者が増えるのに
 年金をカットするわけですから、問答無用で1%ずつシェアが下がるのが道理です。
 さらに、少子化が追い打ちを掛けるわけです。

 海外を相手に商売しないのでは、生き残れないのも流れというわけですが
 海外に頼ると、数字で隠れて見えなくなるので、言いくるめられてしまうのです。

 グローバル向けの教育を進める傍らで、地方に振り向く教育を合わせて取り繕ってみても
 今までの延長のままなので、地方のてこ入れが実りを見せるわけがありません。
 ‥最終的に資本を投じる気なんて、道路と箱物以外に、考えていないわけですから。

 (世代がつながればヨシを以て、上々なのです)


> やるべきは、国内回帰ではあっても
> 都市部に流れる傾向は、急には変わらないと言うことです。


 (そもそもが海外頼みで、その海外にしても、都市部集中型ですから)
 (田舎を捨てて、後に錦を飾ろうにも、その頃には、時すでに浦島ということです)
 (世界中で同じ流れなんですから、バカの集まりとしか言いようが無いのが実態です)



1-6)1

折鶴の悲しみ核の傘の下           浜松市中区住吉

|折鶴の遠のくばかり核の傘 ヒロシマ・ナガサキ 引きずって


 ‥「折鶴」に込められるのは、平和の祈りにあるので
 それに「悲しみ」をダブらせても、効果としては何の足しにもなりません。

 ‥ずばり
 「折鶴」で、夏の季語と見なしてもいいぐらいの存在感が在るのです。


> 「悲しみ」を「遠のく」に置き直すだけでは


|折鶴の遠のく核の傘の下

 ‥となり「折鶴の遠のく」「遠のく核」の相反した様相が、もどかしいほどにスッキリしません。
 それと、「の」の連続だけで構成されている点も紛らわしいので、
 「下」を外しました。概ね支障ありません。



1-6)2

を貰い苦労を背負い込み          静岡市葵区北安東

|筍をもらい苦労を背負い込む まずは灰汁抜き其は人生


 ‥ネタでは、いただいた筍から、同じ苦労を味わうところに着目して詠んでいます。
 その何気ない日常が、実に奥の深い哲学を秘めていたのです。


> 非常にツッコミ甲斐のある見事な着目でした。


 筍が竹とした地下茎で繋がっているのと同じで
 人の暮らしも、地下茎で繋がっているようなモノです。

 ‥人として生まれたからには
 ‥その地下茎から独立して生きるには
 それこそ破竹の勢いとした割り切りが欠かせません。


> 結局は、苦労を買って出るのが流れです。(所詮は筍ですから、もとい人ですから)


 ‥筍(たけのこ)を
 おいしくいただく上での大前提が灰汁(あく)抜きです。

 ここを人生になぞらえると、人という奴には、灰汁が備わるのが前提になってきます。
 これを性悪説とみるも早計で、灰汁を抜いたれば、その後は性善説を好むが大半です。

 (まぁ段取り次第という事になります)


 ‥段取りにケチを付けるのが性悪説、段取りを前向きに扱うのが性善説
 ‥性悪説派の考えは面倒臭がり屋の大ざっぱ、性善説派は先送り好きの完璧主義
 ‥論の前に、各々の性格が対峙するばかりだったと

 ‥たったそれだけのことで

 哲学しているつもりの西洋の文化とは、実に程度の知れた世界ですよね。
 いいですか、それらはすべて輸入です。
 古来より日の本の地に根ざしてきたのは、日本の誰もがご存じの「和」にございます。


> 端から、日の本は、哲学の頂点にあったのでーす。
> だから、哲学なんて文化もありませんでした。
> それこそを「和」と表現してきたのです。(ここ重要)


 ‥無かったとすれば
 敵とした違和感から身を守るべき術、処方、対等の備え(組織)です。
 世界とした地下茎に繋がらんとすると、どうしてもそこを避けられないのです。

 (竹ですから、もとい倭人ですから)

 ‥ゆえに
 本来的に日本の生きるべきは「和」の輸出にあったのです。

 (競争で勝てば官軍とか‥斯様な程度に、日本人は納得し得ないのです)
 (暮らしぶりに根付いてこそが、「和」にございますので)



1-6)3

|あくせくと稼いだあとの後遺症        島田市河原


 ‥さてさて、それは如何なる後遺症にありましょうや?

 このように、幾つも想定される要因を含ませたアバウトな詠み方は
 ダメとは言いませんが、もはや三十一音で攻めるべきが相場です。


|あくせくと稼いだあとの後遺症 使いもせずと子も居らず
|あくせくと稼いだあとの後遺症 ゆっくりすること下手のまま
|あくせくと稼いだあとの後遺症 雇用カットが板につき
|あくせくと稼いだあとの後遺症 首を絞め合うAI化


 ‥よくよく考えても
 戦後から診て、たかが三〜四世代で、その有り様を垣間見ているのです。
 そのまま続くとだなんて‥誰も思っちゃいないのに
 若者は古いレールを行かざるを得ないのも現状です。

 そりゃまぁモチベーションなんて上がるわきゃありません。

 そのまんま競うだけの流れに飲み込まれて、同じことを思うだけなのです。
 そんな繰り返しに意味が無いと思っても、誰も処方箋を知りません。
 ‥まったく以て、罵り合うだけの様相です。


> 何しろ、時代はすっかり「絶対資本体制」ですからっ




|足し算のテンポで綻びる心          袋井市川井


 ‥こちらのネタも、先と同じです
 ‥状況が幾つも想定される大ざっぱな着目です

 ですが、こちらは「綻(ほころ)びる心」と
 大ざっぱにも、有り体に収まる風体を構えて、しっかりと決め込んでいます。

 十七音での整いとしては、十分にありますが、このままでは引っぱり難いのです。


|足し算のテンポですれだす格差なら 引き算あって割に合う世間
|かけ算のテンポで崩壊大自然 右肩上がりの殺意かな
|べき乗のテンポにおののく温暖化 欲うすめずに未来無し
|シンクロのテンポに唖然うつくしさ 自由だけでは掴めぬ神秘


 ‥とまぁ
 リスペクトの四句を濃縮してあったかのような余韻が
 ネタの「綻びる心」の趣だったとも言えるのです。

 (勿論、当人はそこまで踏み込んだ解釈には至ってはいないと思いますけどね)


> 難しい言葉で括って、言い切った気分に浸ることなく
> 其を解き明かすように、よりわかりやすい言葉に解縮する次第を心掛けましょう。


 ‥何が面白いかって、詠むことではありません。見えることです。
 そこに見え来たる哲学です、心です、物事と物事との繋がりです。
 言葉に整う味わいなんて、所詮はおまけでーす。



1-6)4

世界中皆ファーストと言えば乱        焼津市坂本
すべからく皆ファースト申せば乱       手直し


 ‥まず、上五・中七の字余り続きが気になります

 謂わんとしていることは「和」にありましょうが
 個人のそれと、集団・組織のそれとを同じに思うのは軽率です。
 そこに見られる性質の異なりを見逃しては無意味です。


 まして、世界規模での対峙を扱おうなら尚更です。


 ‥意見の異なりは有って当然です
 それが民族間なら、譲れなき言い分も生ずるのです。
 そこを丸っきり慮らずにダメでは、常識のお仕着せです。


> ここでのその世界の常識とは、いつからの常識でしょうや
> また、その常識はどれほどに的を射て在ったというのでしょうか?


 ‥今やすっかり、それで行き詰まっているのが、その手の言い分&常識です。
 行き詰まりこそをどうにかすることこそが流れです。
 そのままで良いなどの斯様を和とは申しません。

 (そんなのは、ただの馴れ合いです。支配です。格差のままです。)


|世界皆責任取らずファースト嫌 自国のそれも取らないくせに
|責任を取る気があるならまず棄戦 その気も無くてファースト嫌
|自由愛/ファシズム/ファーストごちゃ混ぜて、わかったつもりで罵りて
|公平を前提に置かず皆でダメ ファースト嫌も似た同士




1-6)5

|正論を箇条書きしてうとまれる        静岡市葵区北安東


 ‥それにしても
 このネタのどこが、選者的<評>に該当するのでしょうか?
 有り体だと思うんですけどね。

 「うまい」「膝ポン」ぐらいでは掲載には値しないなんて
 断り書きを載せてるわりには、ポカもあるじゃないですかッ

 (俺的にはどうでも好いんすけどね)

 (そもそも、記事枠を埋めるのが「選」の前提ですし、非該当も生じざるを得ないのも当然と)
 (そこまで示さない方も下手と言うことです。運ありゲーム性もありが関わりです)


|正論を今問う風やニューフェイス 新芽を得ずんば花を得ず
|実を落とし散らせてまでも土壌から まずは足下息づかせな


 ‥ここで「足元」では
 どうにも上層だけの内輪にしか聞こえてこないので
 「足下」になりました。地場・地元の意味でーす。

 地元ファーストでーす。(樹木としては、足下の土壌です)

 トランプのアメリカファーストに意を唱えるなら、そんな地元愛は偽物でーす。
 ‥そっちこそ、競争ながらの都合ででしかものが見えていないのでーす。


> 「足元」と「足下」、まったく以て別の言葉でしたww


 ‥しかしながら
 勿論、ドナルド・トランプの在り方にも非が見られます。
 それこそが、リーダーは予測不可能の公言でーす。

 (本音をさらして事に向かわんとすると反対派に暗殺されかねないからです)

 ‥そもそも彼は不動産王なんですから
 不動産価値がゼロに成る戦争を好むわけがありません。
 (まぁ米国人らしく逆上も見せるようですけどね)


> 暗殺されかねない‥つまり過激派勢力側では無いと言うことです。


 ‥ここが解らないようじゃダメですな
 どうして、トランプが息子を連れて歩いていたか?‥です。
 選挙期間中がてら、誘拐リスクを警戒していたからだと思います。

 子供を連れているのに暗殺事件に巻き込まれようなら、
 ‥仕掛けた方が相当の悪党にも映るとした読みもあったでしょうね。

 (そもそも大統領に成るつもりからして半分ぐらいだったように思われます)

 (‥そんな御仁が、戦争を好むわけがありません)
 (まぁ弱みでも握られては、それこそ予測不可能宣言通りの織り込み済みになる訳です)
 (今や、それの泥沼にハマっている感じにしか見えませんから)



1-6)6

|鈍感な友に救われホッとする         牧之原市須々木

|鈍感な友に救われホッとする 北風だったと思うプライド


 ‥こげな「ホッとする」
 恥ずかしすぎて句材にもしないのが普通かと。

 ネタは、そこをなぜか着目してきているんですから
 言いたいことは、何も安易にホッとしただけの自分を見ている訳ではありません。

 ‥というところで、斯様な引っぱりになりました。


> 自分が如何に「北風」だったかの正体を垣間見た思いだったのでしょう。


 ‥で、そばに居た友が太陽にも見え
 それがまた逆にも‥誇らしく思えて、ホッとしているのでしょう。

 それにしても、まぁ自分に都合の好いだけのこじつけです。
 でもまぁ、謝意は感じ取れるわけです。

 (その謝意を見せてるところに味わいがあるかと‥)




|片時もピコピコ止めぬ反抗期         静岡市清水区草薙

|片時もピコピコ止めぬ反抗期 縄文VS.弥生かな


 ‥「ピコピコ」の盛り方がユニークです
 今やスマホでピコピコですからね、さぞや色々と手軽になったように思います。

 で、勉強しろとでも言っているのに対して、動く様子の見られないのを
 「反抗期」と盛ってあるわけですが‥


> これがどうにも、縄文VS.弥生に見えてきました。


 「ゲーム」が狩りの象徴だとすれば、
 「勉強しろ」は、畑仕事しろの象徴です。


 ‥狩りに採取暮らしが縄文で、お気楽と言わんばかりです。
 ‥一方の勉強にしろ畑仕事にしろは、その度のタイミングに沿って動かないと
 それこそ成果は丸坊主と言うことです。

 (だからこそ、口やかましくもなると)


 ‥それにしたってそこにあったのは、戦をしあうための蓄えが前提でした。

 共に大地の生きものらと生きながらえる為の分け合いから遠ざかったのです。
 縄文人のそれとの葛藤には、只ならぬ思いがあったことでしょう。

 その点、弥生の文化は、人間中心の繁栄です。
 それっぽっちの名文であくせくなんてする気にもならないと‥

 ‥斯様な遺伝子が、顔を覗かせているのかも知れません
 そう考えると、縄文文化に反抗期はなかったかも知れませんな。



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:09 | Comment(0) | 名句にポン/2017前半 | 更新情報をチェックする
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