2017年06月05日

【勝手句帳】113 29-5-30 其の3静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/06/11...20170605...

なきがらの唇に紅ひく養花天         藤枝市堀之内


 *養花天(ようかてん)‥サクラの咲くころのくもり空のこと。花曇り。(春)


 <評>前略‥人が亡くなり、死に化粧に紅を引くのである。
    中七の「なきがらの唇に紅ひく」の悲しさと汗ばむような曇天。その配合がみごとである。
    ‥後略。


  それを言うなら‥悲しさと冴え返すような曇天(どんてん)‥

 (なぜ夏陽気になってんねん??、折角の決め所が台無しやん)
 (どうしてそうなったん?‥これだから「評」の大ポカは怖ぇよ)


|なきがらに紅ひくけふぞ花曇 思いを残し逝く友とあり


> どうしてなんだろうね‥折角の花見を前に逝っちまうなんてさ‥
> こうして死に化粧をする側の身にもなってくれってんだよ
> これからは花見のたんびにあんたの死に顔を思い出さなきゃならないじゃないか
> せめて花見の後にしてくれれば、多少は死に顔にも笑みを思い刻めたというのに
> ‥あんただってそう言ってたじゃないか‥


 ‥ここで追記にも
 「花曇り」ではなく、「花冷え」案に誘われまして


|なきがらに紅ひくけふの花冷えど 葬儀の際は花吹雪くらむ    (2017/06/11)


 ‥という五音と四音の違いが垣間見え
 「養花天」の本質が、花吹雪の待機中を指していたんだなぁと思いました。

 ‥そうなりますと、ネタの解釈は(ありえねぇぐらい)随分と変わってきます


> あんたも好い頃合いに逝ったねぇ、だって花吹雪で見送ってもらえるんだからねぇ
> (まぁ長生きするにこしたこたぁないけどさ)



1-5)1

|控え目の余生の日々や一輪草         磐田市上新屋

|控え目の余生の日々や一輪草 このまま百までいつまでも


 ‥独り居にある暮らし向きを「一輪草」に例えているのだと思いますが
 具体的な成り行きはまったく以てわかりません。

 暗に‥細々と年金暮らしを思いやる感じです。

 ‥詠みとしては素直すぎるので
 もう少し、太く行くのもありに思いまして、斯様な引っぱりになりました。


> 何が一番に贅沢かって、健康と命です。


 ‥斯様に引っぱって並べてみますと
 なかなか、へこたれそうに無い人柄に見えてきます。
 句作に何を見出していくかというと、己の性格の改善‥でもあるように思います。

 (それを内向の中の外向とでも言うのでしょうか‥)




|点滴につなぐいのちや夏近し         焼津市鰯ヶ島


 <評>入院を余儀なくされて点滴を受けているのである。‥中略‥
    中七の「つなぐいのちや」が切実である。が、下五の「夏近し」によってのぞみがもてる。
    もうすぐ、夏になると退院も近いことを知らせている。


 ‥退院が近いとか、そこは解釈しすぎに思うも
 望みが持てる解釈は使えると思いまして、斯様に引っぱりました。


|点滴につなぐいのちや夏浮かべ したきことあるあれもこれも


 (まったく以て‥自分で引っぱった気がしな〜い)


 ‥俺的に言わせてもらうと
 「夏近し」にはやっつけ気分が見られるので、どちらかというと、
 「もう夏も目の前か‥早いところ治って退院出来たらなぁ」ぐらいのニュアンスかと。

 「夏浮かべ」ぐらいだとどちらにも解釈でき、
 まぁ死にそうな病状からは遠い次第に映るかと。
 ハッキリしている心理としては、「夏近し」=「退屈さ」の方に思います。


 ‥マジに死にそうなら、生きていられるのがありがたい向きに整うはずです。


|心音の電子音聴く春隣 三途の川を引き留めてをり


> 「え☆!?」
> 気がつくと自分のカラダには酸素マスクが当てられ、心拍を示す電子音が耳こえていた
> そして思った
> ‥じゃ今見えていたのは、夢じゃ無くて、あの世の景色だったかも‥
> ‥助かっちゃったのか‥なんかこの後が実にたいへんそうなんだけど‥
> ‥欲を言えば、もう少しあの常春のような光景に浸って居たかったのだが‥



1-5)2

|合格の声のきらきら電話口          焼津市中新田

|合格の声のきらきら電話口 青春見えきこの先の日々


 ‥この句は、電話を受けとっている側の詠みにも
 隣で、友達か誰かのそれを見やっているようにも思えます。
 なので、客観的に引っぱるのが流れかなと。


 ‥それにしても
 学校がどうにも苦手な手前、そんな風には思わなかったな。
 (俺の基本ベースは、無感動でーす)

 そもそも、「思春期だから青春しよう」などとも思わなかったな。

 (まぁSEXにだけは無駄に好奇心があったな、そこから先が無かった‥基本、無関心だったし)
 (一方で、SEXだけの興味でSEXしちゃうのは有り得ないと思っていた)
 (でもまぁそこは、生真面目と言うよりは、無気力でーす)
 (‥そこからの流れがめんどくせぇし、冠婚葬祭とか関わりたくねぇし)


> だいたいだ


 テレビから垂れ流れてくるコマーシャルを見ていると
 どうせ買って貰えないと思い続ける一方で、
 冠婚葬祭になると、カネが掛かっていることだけをおぼろに感じ取るのだ‥
 そこの辻褄に矛盾した不満を蓄積させると、脳内でこう解答することになる‥

 ‥欲しいものを手に入れるには、無駄を削らないとならない‥

 「冠婚葬祭なんて要らないよね」

 ‥実際、世の中の流れはそれにドンピシャだ‥(俺に限ったことでは無い)

 裕福育ちの三〜四割がそこを意外に思おうと
 六〜七割が無関心に追いやられていては、崩壊するのは火を見るより明らかだ。
 確かにすべてにおいてそうなっている‥(もはや、巻き戻すのは無理)


 ‥それこそ、ベーシックインカムでも始めろよ‥


 ‥ところが
 裕福育ちほど、競争大好きバカが多いし、権限側だから
 ベーシックインカムへの理解に乏しい。

 ‥実に面白いモノで
 それで思いやりが足りないのは、頑張らない奴が悪いと決め込んでいるのだ。

 ‥お前らにしたって、さして変わらねぇだろうがぁ‥


 (お互いに、自覚できていないことほど最悪も無い)


> 落ちた奴もいるのに、テメエのことだけで頭一杯に浮かれるお花畑ばかりなんだからな
> 学歴社会の根っこって、つまりそういう事だろう


 「気がつけよ、ばーかっ」



1-5)3

宅地化の進むところや初つばめ        富士市厚原

|宅地化の進むところや初つばめ 当ての外れて途方の姿


 ‥田畑が宅地に様変わりしていくと同時に
 燕の餌場が失われていくので、燕は勿論、風景としても死活問題と言うことです。

 近所でも、ここに来て、残されていた田んぼがさらに減り始め

 つい最近では

 三羽の燕が、窓辺から見える電話線らしきに
 途方に暮れているように、物件を物色しているように止まっていました。
 2〜3日ほどそれを確認しました。

 ‥ネタからは、それが同時多発的であることに気づかされました。


> その内、大人燕三羽による子育て風景が観察されそうです。


 ‥まるで、待機児童問題の鏡似性らしき流れのように思われまーす。


 まぁ一方で、それはそれで限界集落も増えているので
 見た目ほどの変化として、行政は考えもしない空気と言うことになりそうです。
 (まさに待機児童問題の先送りのようですな)


 ‥それらすべては土建屋の都合と
 大衆の欲深きマイホーム願望にあるのでしょう。(都市部集中型だし)

 ‥考えてみると
 工場一極化なんてのが一番に影響がデカいような。
 海外展開なんてのは、その見方なら、どこかやけくそ対応にも見えてきます。

 逆算すると

 サプライチェーンの複雑化と、国内再配置が進む程に、原風景が削られていくと。
 殺風景でも良いから‥家が&便利が&職場が欲しい願望は理解不能です。


|家建てど‥宅地だらけのもぬけかな 足場に困る個室のような


 ‥人間の場合、それでも居続けちゃうわけでして
 そこは、ゴミ屋敷との鏡似性かなと思わざるを得ません。

 現象としての鏡似性が確認できると言うことは
 何らかの許容が振り切れてしまっているのかも知れません。

 (無論、解釈は自由ですからね、余程に成らないと関心も薄いわけです)



1-5)4

|春めきてのそりと猫の居場所変ふ       静岡市駿河区光陽町


 *変ふ(かふ)下二段

 ‥なかなか、周りをよく観察できている詠みに思えます。
 あとは、そこにドラマ性を付け加えて、それとの比較が楽しめるようになると
 さらに視野が拡がるように成るというものです。


|居場所変えのそりと猫の花疲れ 縄張り失うボスの背な


 ‥まぁ見ている猫次第では、こうは着想しにくい訳ですけどね
 字面から発想するのもありと言うことです。




|駅一つ歩いて帰り蛙の夜           静岡市葵区南沼上

|駅一つ歩いて帰り蛙の夜 田植えの済んで酒盛るような


 ‥たまたま用事があったか、気まぐれか
 駅を中途に一つ前で降りて帰ってみたら、田植え済みの田んぼで蛙が大合唱だったと。

 何気ない着目と素直な置き方が、不思議と新鮮さを誘います。


> でも、田んぼじゃなくて池だったりしてな
> かも知れないので、引っぱるなら「田」をきっちり盛らないと



1-5)5

節くれた手を眺めゐし春隣          浜松市南区松島町

|節くれた手を眺めやり春隣 嫁の手「きれい」と‥やり込めたくて


 ‥ネタの句は、どうにも手を洗っているか、入浴の最中の独り言かなと
 そんなんでは引っ張りようがないので、模様を引っ付けて見ました。


 ‥嫁の手が綺麗なのを目の当たりにして
 なんだかモヤモヤとしてきた姑の嫉妬でしょうか。

 昔の農家なら普通に訪れていた感傷に思われます。

 ‥苦労知らずそうな嫁の手に一抹の不安がよぎると
 そりゃまぁそうでしょね、苦労して産み育てた嫡男を
 色香でそそのかしたようにも見えてくるわけですから。

 そんなのに‥息子はおろか土地屋敷まで取られたくないなんて心理が湧くのでしょう。

 ‥と言うところから
 数々の問答無用の嫁いびりが勃発してきた(そんな感じだったのでは‥)


> 逆算すると


 農家に嫁いでその手のバトルを避けるには、
 まず手があかぎれていて、褒め上手であること。
 ‥是に尽きるかもでーす。(あとはバカすぎない事と、体力でーす)

 (あーあ、なんだか男社会以上に「カースト」じゃねーか‥もといブラックか)
 (つまり、「男社会が不公平」なんて、只の観察不足だって話だな‥もとい男のせいか)

 ‥その象徴こそが江戸の大奥だったと
 ‥それで自由化とばかりにはしゃいだら、子宝は遠ざかり、格差時代に逆戻りと
 ‥「すげーなぁ」日本の女子の思い込みって、まさに「闇」もとい蛇の道っすね




|朝市の海苔売るの笑ひ皺          浜松市東区積志町

|朝市の海苔売るの笑ひ皺 磯香るよろこび耀ふて


 *耀う(かがよう)‥きらきらとゆれて光る。ちらつく。

 ‥ネタは、朝市の何気ない光景を写真に切り取ったような一句です。
 でも、「人のなんちゃら」なんて味気ない盛り方はよろしくありません、より具体的に盛るべきです。


> ‥「人のなんちゃら」
> ついつい取りあえずとばかりに放りこんじまったままに置きがちなので
> そんな癖が見られるならさっさと直しましょう。


 「人のなんちゃら」との盛りつけが最もらしいのは、
 それこそ抽象的に盛るのが狙いの場合になります。



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 22:27 | Comment(0) | 名句にポン/2017前半 | 更新情報をチェックする
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