2017年06月22日

【勝手句帳】117 29-6-13/6-14/6-16 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2017/06/22

ふるさと植田の風の心地よく        沼津市・万年青大学「俳句A」教室(6-13)

|富士山を植田に捕らえ祝い風 青空ありて宮の田植え


 ‥「植田(うえた)」がお題だったようで、「植田」で一句詠んでみたくなりました
 それにしても、植田の印象なんて、高が知れとります。
 並んであった他の句にしても想定の範囲でした。

 ネタは、中でも想定中の想定で、著生好みな所に目を付けています。


 ‥そもそも田植えは、ただの労働になぞに無く
 伝統行事でした‥わざわざ民族衣装を着込み行って来たのです。
 普段の野良着で済ますなんてそんな日常に無く、特別視されていたのです。


> しかし、どのように詠むと行事らしく見えるのか?


 (どうにも‥やっつけ気味に整いました)


> 見よ、富士山の見姿を植田に捕まえておる
> やはり、田植えというものは、青空の下こうでなくてはのう
> 田植えこそが暮らしの神聖にあるからの、宮の始まりもこれに尽きるものよの




道の辺や田植え見守る道祖神         沼津市・万年青大学「俳句A」教室(6-13)

|泥んこや田植えを見守る道祖神 地に足着けろならばよく知れ


 ‥上五「道の辺(みちのへ)」が気に入らなく思いまして

 そりゃ道祖神っつたら道端ですよ、そこをわざぜわざ盛らんでも良いでしょうに
 ある意味、それを言っちまっちゃぁ、失敬ってもんですからな
 その辺が鈍すぎるっちゅうのでは、感心いたしませんな

 (あれこれ考えて、田植えの泥んこに着目しました)


> 田植えなんてな、昔から泥んこで始まるものよ
> 怪我の無いように、きれいにしておくのが常識じゃな
> 汚れるからとて、地に足を付けずになんか無理
> まずはお互いに同じ足下に立ち、等しく生かされてある次第を心得るべきである
> (この手順が板につかぬ内は、相当に鈍いことになるのう)




|初かつを徳利の数一つ増え          沼津市・潮音みどり句会(6-16)

|初鰹 徳利の数のまた一つ 酒は勢い縁起も勢い


 ‥ネタの「徳利の数一つ増え」では
 景気良く飲んでいると言うより、初鰹で一杯やってるところに
 客がやって来た風でもあります。

 ということで、ますます景気良くやってる向きに手直ししました。


> 酒にしても、縁起事にしても、祝い事はとにかく勢いが肝心じゃな
> とくに初鰹をいただこうなら昔からそういうものよ
> (徳利の数が一つ増えたからなんてな、ケチケチしてんじゃねぇよ)


 ‥昔からって言っても、江戸期からに思われます
 それにしても、「戻り鰹」の方が脂がのってウマいと言われています。

 ‥つまり、「初鰹」神聖視とは
 誰かが考えた初鰹を売る為の宣伝文句でしょうね。
 「土用の丑の日のうなぎ」着目と同根に思われます。

 (カツ丼にしたって、勝つに引っかけてますからね)
 ‥当時の「勝つ」と言えば鰹で、さらに初勝つとも成れば、縁起担ぎに持って来いだったと。



1-8)1

|目を閉じてキス待つように春の風       藤枝市・藤枝川柳番茶会(6-16)

|目を閉じてキス待つような春の風 告白されて大好き共鳴


 ‥「〜ように+用言」なら意味は通りますが
 「〜ように+体言」では意味不明です。それを言うなら「〜ような+体言」かと。

 (ちなみに、ネタの詠み手は♂でーす)


> 「てへっ♪、告白されちゃった」
> 私もそわそわするぐらいに気になってたから
> これって、相思相愛なのかな?‥まだわかんないけど
> なんだか目を閉じてキスされたような、これを待っていたような春風が来たって感じ
> (このまま大好きが共鳴していくと好いなあ)


 (ちなみに、注釈は俺自ら捻りました)

 (おっさんが、この手の電波を拾って維持するのはかなりの労でーす)
 (喩えるなら、自分がフリーザーで、お花畑に監禁されてるみたいなぁ‥虫唾が走りまーす)
 (‥ほんとは、萌えなんて興味ねぇんじゃねぇ??と思うぐらいのギャップに悩める阿吽です)



1-8)2

|風が揺らす消えそうで消えない星を探す    浜松市・自由律俳句「槇の会」(6-16)


 ‥ネタは、木々の枝が揺れる隙間から星を見ようとしているような
 まるでベッドから動けない病人の視点にあるかのようです。

 まぁそれはそれとして

 「消えそうで消えない」から着想しました。


|風は吹きぬ地獄の沙汰でも
|雲は掛かる満月であろうと
|光も底を突く、閉じてしまえば


 ‥まぁ公平って奴ですよね
 消えそうで消えないと思えば、一方では、どこかで容赦なく閉ざされる‥
 何か・誰かだけが、立派だけをキープするのではないと言うことです。

 (もっとも、その立派って感覚が曲者で)
 (何を以て立派を思い抱いているかに、同じであるということも無いという事です)

 だからこそ、風景的な印象で、其を誘うのは、
 誰彼の差なく、思い重ねる部分でのブレが少なく済むようにあるのでしょう。


> ‥病床に横たわるようにもなれば、誰彼となく
> ギリギリのきわってのを考えるでしょうから、ネタの斯様な趣に誘われたように思われます。


 (申し上げるまでもありませんが、病床というのは、あくまで解釈の一つです)
 (ネタの詠み手の事情など知らん)



1-8)3

娑婆に居て傷つけられる傷つける       藤枝市・藤枝川柳番茶会(6-16)

|娑婆に居り疵つけられて傷つける 野暮なケンカを背負うが如く


 ‥娑婆(しゃば)の言葉のイメージは
 塀の外に出ての逸る気持ちを想起するわけですが、まぁ細かいことは判りません。

 ‥でも、「居る」ってことなんですから
 堅気の暮らし向きとは事情が異なるのでしょう。


> 塀から出てきて、娑婆の空気を楽しみにしては居たけど
> どうにも肩身の狭い立場だってことを思い知る度に嫌になる
> ついカッとなって、また怒鳴り散らしちまったし‥
> 詮索してくれなきゃ良いのにさ、こちらが折れて正直語れば
> 根掘り葉掘りの目の色に変わるばっかで、それじゃ俺に喧嘩を売ってるようだっての‥
> (俺だって引きずりたかねぇんだよ)
> ほんと勘弁してもらいたいと思うも、すでに時遅しだし
> もはや死ぬまで、一生こんな息苦しさを背負ってかなぁあかんらしい
> (もとはと言えば俺の性格‥いやいや、見た目のアレに要因があるのだろうけど‥)




すっかり緑の中ランドセル並んで笑う     浜松市・自由律俳句「槇の会」(6-16)
|すっかり緑の中ランドセル並んで笑う    参考



 ‥景色を見ては、暮らし向きに思いを重ねるのに
 こと子供を見る目は、それほどになく、うわべだけなのです。
 それは、どうしたって物事の本質を問うような向きに見えて来ません。


 「ご機嫌なところを詠むのが句作だなどと、思っちゃいませんか?」

 ‥ネタの「すっかり」には
 そこを思わせるニオイを感じてしまうのです。

 ‥「すっかり」が、「緑」だけでなしに、「ランドセル」「笑う」にまで掛かってくるわけですよ 
 ‥常に自分がそこに居る訳でも無いのに
 ‥どこか(手に取るように)わかりきってるように見えてしまうってのも‥どうかと思うわけです


> その辺の曖昧を嫌えば、句読点できっちり句切りを示すのも気配りに思います。


|何はあれ‥緑の振りのランドセル 押し殺すのも防衛反応


> 大人にしたって黙りなんて色々あるからな
> カラ元気の笑顔から、そのまんまの黙りまで、性格もそれぞれだから見分けなんて付かないし
> 大人でも子供でもそこは同じだよ
> それが防衛反応なら尚更で、自分の身を思うだけで精一杯
> オレオレ詐欺被害にしたって、相談せずなんだからな‥イジメ絡みのランドセルなら尚のこと無理
> (‥誰も支えが居ない想定を思い知る混乱に、どうにもまず、整理が追い付かないわけです)



1-8)4

|蛙鳴いて月の田んぼ             浜松市・自由律俳句「槇の会」(6-16)


 ‥ネタは、なかなか見所のありそうな絞り込みっぷりです
 とはいえ、自由律の本懐は、
 吾に向けて、其の一瞬を切り出す次第に成ってきます。


|泣いて帰る下校の田んぼ
|テメエに諦めて奪われており
|調子こかれて鍛錬せぬ天地(あまつち)なし


 ‥うーん、それにしても
 マンガ表現の背景から描いて、坦々とわが事に寄せてくる詠みようもあったと。
 自由律も、こげに段取り追って切り刻んで見ると、心境の整理がしやすいと。

 (これを繰り返せば、立派な物語風にもなるのでしょうが‥なかなか難しいと)


@|「弱虫と‥」泣いて帰れば田に蛙 八つ当たりしたくもなる自適
A|今日もまた蛙相手に大威張り アイツらもそうだと踏み止まり
B|生きものを沢山生かす田に気付き 興味が湧くほど見習って
C|農薬の散布はアイツらと同じと 思えば疑問「いのちとは?」


 ‥(おうおう)こげに段取りよく成長するお子様は居るのだろうか?
 居たとしたら大物だろうね、なかなか居ないわけでして
 Cにまで早々と辿り着く神童がごろごろしてたら、世の中まったく違うはずと‥

 (たいてい@止まりで、ステップBぐらいの成りで良評価なのでーす)

 否否、順当にステップアップすると思い込むほどに放置主義にあるのが大人の都合でもあるのでーす。
 ‥矛盾にも、Bの心境さえ理解できればそれが教育の成果と、思い込むも教育する側の都合っす。

 (精神教育が宗教に絡みを見せようなら、責任は取りたくないと‥まぁそんな感じかなと)
 (結果、無宗教に陥り、人間力は自己資質とし、競争社会の都合としても丁度良かったと)
 (DQNも増えるわけですな‥まさに手抜きの手本が、教育委員会&文科省だったと)


 否否、そもそも文系役人の多くなんて、B止まりの住人っすから
 二択で、人類をより繁栄する方が正義に思うだけのお目出度いがお役人ですから
 ‥おっと間違えた‥スポンサーの言い分に寄り添うだけが、席に有りつけるご世界でーす。

 そこを考えずに

 Cを期待する@止まり程度の側の願望の方にこそ、無理な注文(ギャップ)があったと‥
 ‥でも、「正義に憧れて役人に成った」→「結果、税金泥棒に成り下がった」では糞すぎっス。



1-8)5

|嘘も本心も曝け出す一本の赤鉛筆       浜松市・自由律俳句「槇の会」(6-16)


 ‥「一本の赤鉛筆」
 ここに味があるような、わかりにくいような
 そう思うのも、「曝け出す」の方向性が示されていないからです。


|焦点を誘う赤マーク
|注目におどる赤ライン
|赤字に赤点の手抜きはお互い様


 ‥勉学オンリーで考えれば、3句の参考の向きですが
 「嘘も本心も」とあっては、記者の推敲姿勢のように見えてきます。
 「一本の」=「俺が」決意に思われます。


> それにしても、着目に無理が大有りです


 ‥どんなに意気込んで見せても、世の中の多くの記事には
 見方の甘さが織り込まれてるんで、野球と同じで、精精三割の域かなと。
 かつては、三割程度の迫りで、真相究明を張り上げられるお仕事だったのでーす。

 (古歩道ベンジャミン以前は、誰もそんな感じ)

 ‥そもそも、己一人の真相解明からして
 客観批判を込めて、十割の肯定視点で書き下せるかと言ったら難しいのです。
 ならば、他人事の真相解明なんざとてもとても厳しいものがあって当然になってきます。


> 「赤鉛筆」でそこの意気込みを表現しようとか、無理すぎっす
> ‥指摘するだけなら、誰にでもできる批判象徴としての「赤鉛筆」ぐらいかなと


|絡み合う「嘘」が赤鉛筆をしゃぶっており



1-8)6

|埋まらない心の傷にワイン攻め        藤枝市・藤枝川柳番茶会(6-16)

|埋まらない心の傷にワイン攻め 只の呑兵衛ひとり絡み酒


 ‥まぁネタは、呑兵衛である姿を
 肯定的に盛り付けてあると言うことに成りますが、
 その気取り加減の腐っているようでいて、そうにも見えない点が
 おもしろいっちゃおもしろいのですが、やはり、只の呑兵衛のひとり絡み酒の様相かなと。

 ‥通常、其を「やけ酒」と言いますが
 ここでは、「ワイン攻め」の対比として、「ひとり絡み酒」が整いになってきます。




城跡の石垣を喰む老桜            静岡市・虎渓俳壇(6-16)

|石垣と桜を分かつ関ヶ原 どちらを選ぶも命ありてぞ


 ‥桜の根っこが、城跡の石垣を壊しかねないんだそうでーす
 でも今や、外来種のカミキリムシによって、桜が全滅しかねない脅威下にもありまーす
 その桜だけでも、離れた場所にあったお陰で生き残る可能性も否定できないのです。

 どちらの文化を残すべきかと行ったら

 そりゃ命が掛かっている方でしょう。
 いくらでもあるからなんて、軽く見るばかりなら後悔することになるわけです。
 ‥そんなの、それこそ、日本のあちこちでの心掛けの蓄積でーす。


> その辺の空気に鈍いだなんて、日本人の質も落ちたものですな


 (これは、村上水軍の城址跡の話に思われます)



1-8)7

ひそやかないたずら書きか壁登る蔦の渦巻きジグザグ模様      静岡市・しおん短歌会(6-14)


 ‥着目とした挑戦意欲は買いですな
 しかし、もう少し具体的に示さないのでは、誤解を招きかねない言葉遣いがマイナスです。


|アイビーや緑化の知恵に石造り 木では虫まで寄生しに来る


 ‥ネタの「蔦」は、緑化向けのアイビーに思われますが
 日本で、さほど流行らない理由というのを考えて見ました。


|ヤブカラシ ヤクザに見える絡み性(しょう) 仁義なき蔦も巻き取るだけ


 ‥ヤブガラシを駆除するにもっとも簡単な方法が、なんでも
 丁寧に剥がして、きれいにコード巻きにして、地面に置いて放置しておく事だそうです。
 こちらに載ってました。(びっくりです)


> 斯様な発見を垣間見ると、日本人のレベルはまだまだ捨てたもんじゃないと



1-8)8

|鉢花そよかぜに揺れると語りだす       島田市・さんしょ俳句会(6-13)
|鉢花はそよかぜ受けて語るかな        手直し



 ‥それにしても、ネタの言い回しは中途です
 4・9・5‥字余り(はじめて見たかも)

 あまり欲張らずに並べると、手直しになります。

 ‥鉢花の風に揺れてる様を、語る風にたとえてですから
 ‥「揺れる」が、蛇足にあったことになります


|鉢花は民意を受けて語るかな ご意向ありき忖度ありき


 ‥「花筏」に続きまして、「鉢花」でも代用できると発見!
 「鉢花」は、指示を受けて動く側の趣っすね。

 ‥まぁここは「民意」と盛ってみたわけですが
 裏の勢力図というのがありますから、実際のところは誰にもはっきりしないも
 市中での気配が無ければ、動きに、変化も兆しも見られないわけでして

 ここに於いての空気の変化は、明らかに民意ありきかと‥

 それにしても拮抗したままですので、ボサッとしていては
 あっという間にかき消されてしまいかねない牽制も見られます。

 (おかしいなと思ったら、そういうことですから)




|法案もお茶を濁して多数決          藤枝市・藤枝川柳番茶会(6-16)


 ‥ネタのままでも引っぱれるかなと思ったのですが
 振り返ってみても、「多数決」どうのこうのが、すでに的を射ていないのが今国会の流れだったと‥


|「テロ等準備罪」討議そこそこ強攻す もっとも簡素な説明と
|「これからも戦って行きます」その思い 民意を敵にすり替えており



> 「テロ等準備罪」はですね、この度の強攻採決の様にですね
> 共謀に当たると判断されればですね、強攻するんです
> 口で説明するよりは、実際をご覧いただいたわけです
> 私はこれからもですね、自らの信じる道に向かって、
> 対抗する勢力と断固戦っていきます
> たとえそれが国民の皆様に理解されずとも、なにもしないで居て良いとは思っておりません
> 私の信じる日本のあるべき形にしていくのが、与党勢力の責任だと思っております‥


 (なるほど、つまり民意が「敵」ということで、独裁政治とて憚らない覚悟がおありと)
 (どうにも、映画の撮影と勘違いされて居るようですな‥もとい栄華監督か‥)



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 06:43 | Comment(0) | 名句にポン/2017前半 | 更新情報をチェックする
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