2017年07月03日

【勝手句帳】123 29-7-1 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/07/03

|晴れわたる空に綿雲流れゆくさやかに見上げる待ち合わせのとき    御前崎市・もくせい短歌会

|苦を問われ荷を問われたる木下闇 承りたくも汗ばかり


> キミねだいぶ(冷や)汗欠いてるようだけど大丈夫?
> え、は、はい、体調には問題ありません
> そうじゃなくてだね、殺し文句を用意してきているのかを聞いているのだけどね‥
> 「ええ☆殺し文句ですか?」
> そうだよ、殺し文句だよ、どんなに良い商品を納めようとだね
> 日々の気遣いたる「殺し文句」まで行き届いているかどうかの方がずっと大事だ
> 何しろこの世界、良いものばかりじゃない、時にはババをつかまされて思案に暮れる時もある
> ‥とくに在庫の山がそうだ‥
> そういう時にこそ、殺し文句の才能が求められてくる
> 引き取る側としては、そこまでのコンセプトがセットだと助かるんだけどね
> 「えええ☆ッ」
> えええって‥キミ、今日のところは出直してはどうかね?
> 売った先の在庫を抱え込んだのを見て、ざまあはありえないだろう‥お互い様なんだし
> 殺し文句も浮かんでこない商品なんて、端から迷惑なだけだよ
> そちらは殺し文句までを考える、こちらはそれに見合っているかをチェックする
> そのぐらいでないと、業者間取引なんて釣り合わないと思うけどね



1-5)1

|鳥の鳴く陽ざしの中に千年の桜の古木にしばらく見入る        静岡市・笑桜短歌クラブ

|千歳たる花の幹に魅入るかな さえずろうにも隔絶の根もと


 *千歳(ちとせ)

> 息を呑むこの桜の樹齢は優に千年を越えているという
> その幹の太いこと‥お安く近寄ろうだなんてとんでもない‥
> そこには、そこにあり続けてきた並々ならぬ生命力を感じてしまうのだ
> (その根元からの威勢は、まさにこの里の代弁者もとい主(ぬし)にあるかのようだよ)



1-5)2

|山あひの新緑の中うぐひすの声を聞きつつ畑に藷挿す         掛川市・なでしこ短歌会

|山あいの芽吹き楽しむ鴬を藷挿しながら聞き入るのどか


> 随分と日永になって山あいでの畑仕事もいそがしくなってきた
> だども、ウグイスの鳴き声がよく聞こえるから、
> のどかだなあと思うほどに、藷挿しの作業がなんともウフフな暮らしぶりに思えてくる
> ‥これがほんと‥さえずりもねえってぐらいに静かだと、さみしいだけだかんな



1-5)3

屋敷あとに去りたる人の偲ばるるうすむらさきのポピーひと群れ    掛川市・なでしこ短歌会

あばらやに去りたる人の偲ばるる花壇の果てのポピーひと群れ


> おや、ここのポピーはいやに綺麗にまとまっているなぁ
> よく見れば、花壇のあとだったようだ
> すっかり荒れ果てた建物を前に、以前に住んでいた人の花への愛情が偲ばれるというものだなぁ



1-5)4

青白き光が群れて螢舞う吾が手も見え闇の川辺に          御前崎市・もくせい短歌会

|青白き光やホタル群れ出でつ 吾が手も見え闇の川辺に


> ホタルの穴場の川辺に来てみると
> 今年も見事にホタルの放つ青白い光が群れ現れていた
> 自分の手さえ確認しにくいほどの暗闇の中に居ると
> 誠‥光も闇もそのどちらもが、かけがえのない纏いに思えてくるなぁ



1-5)5

|真昼間の本町通り人気なく町の名だけが昔を語る           御前崎市・もくせい短歌会

|真昼間の商店街の人気なくもはや名だけの看板倒れ


 *人気(ひとけ)

> 戦後昭和の賑わいから一転、もはや商店街はすっかり名だけの看板倒れである
> あの時代が幻だったのか?‥それとも
> 今の時代の一極化こそがモノやサービスを供給するに於いて適当な形なのだろうか?
> いいや、そんなことは無いはずだ、あの時代には暮らしのニオイがあった
> 今の供給の形には、消費の為のサービスしかない‥
> ‥洗練されているのも事実‥されど、何かを見失ったのも事実‥
> (それにしても、その違いに思いを馳せる者も減りはじめているからなぁ)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 13:21 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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