2017年07月09日

【勝手句帳】125 29-7-7 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2017/07/09

八幡堀小舟とどまる花菖蒲       掛川市・いちご句会

|夏透かす八幡堀を押しぬ舟 花菖蒲の影ぞ澪曳く


 *澪曳く(みおひく)‥A船の通った跡の波の続く趣。
 *八幡堀(はちまんぼり)‥戦国時代に造られた滋賀県近江八幡市にある人工の水路。
 *花菖蒲(はなしょうぶ)‥開花時期6月頃。参考写真

> 陽気はすっかり夏の趣で、八幡堀の水面には周りの景色が透け込んでいる
> 舟が往こうなら、逆さに映った景色ごと押しての出発だ
> もう少しゆっくりお願いしたいところなのに、見頃の花菖蒲を尻目に
> どんどん行ってしまうとは、実に納得しがたいが、
> こうも陽ざしが良すぎては、景色の流れるままを味わうよりほかないようだ



1-8)1

|新緑に溶け込む明智電車かな      掛川市・いちご句会


 

 2014/09/16 公開映像


|若葉縫う一両揺れて明智行き ここらの田んぼ水源どこさ?



 

 2014/10/29 公開映像
 (山岡←→花白温泉の区間のみに小川らしきを確認)


|明鉄や木下闇を通過中 見えそうで見えない小里川


 *明鉄(あけてつ)、小里川(おりかわ)

 ‥地図で確認すると
 全長25qほどの山間の明知鉄道(岐阜県恵那市)の中途は、
 川の始源や支流の流れ沿う地理にあるも、現地ではそのほとんどが小川程度らしい。
 だが、三方に流れゆく川の中継にあり、
 あちこちにダム湖が確認できるほどの超湧き水地帯でもあるようでーす。

 *参考映像の季節はどちらも「秋」で、
 リ着目の句の季語は「夏」で盛ってありますが、ご愛敬ということでよろしく。



1-8)2

|顔掻きし泥ほほえむ田植かな     掛川市・いちご句会

|顔掻きし泥ほほえむ田植えかな 土の魔法に取り込まれつつ


> やれやれ、汗を掻けば、顔だって掻きたくもなる
> でも田植えの途中でそれをやっちゃうと、途端に顔に泥がつく
> ‥そりゃもうお互いに笑うしかねぇ
> 気がつけば、泥んこもまんざらでもねぇとばかりに慣れ始めちまって
> どうにも土の魔法に掛かっちまったかのように、早苗田(さなえだ)を誇らしげに眺めているよ




|集団の演技ぴたりと風薫る       掛川市・いちご句会

|組み体操演技ぴたりと子らの虹
|シンクロや演技ぴたりと水着咲く
|新体操影らぴたりと汗はずみ
|集団行動ぴたりぴたりと夏交差




1-8)3

|水無月や木彫欄間に風の筋       静岡市・船越俳句会

|風おこせ木彫り欄間よあずきバー 寝転び目が合う龍ぞ居り


> たく、これだけあちいと勉強なんてはかどんねえよ
> よし、あずきバーでもしゃぶって一休みするか
> 「かぁ☆ちべてー」‥おや?
> 木彫り欄間(きぼりらんま)に龍がいるんだな‥寝転びついでに目が合っちまったぜ
> 所詮木彫りにあるにせよ、風の一つでも吹かしてくれるとありがてぇけどな
> 「あ、どうせなら『あずきバーBOX』氷皿で盛って欲しいかも‥」


 ‥て、そうじゃね
 DC扇風機でも涼風器でも、空気清浄機でも温風機でも
 風の出る装置の前に着せ替えできる規格で
 木彫り欄間よろしくのマスクと交換できるアート家電が欲しいだろう
 3Dプリンタで出力すれば問題ない‥片付けるのめんどうならそのまま飾っちまえってな。

 そういう意味で言うなら

 寝そべった萌えポーズのカラフル萌えキャラ彫り面のルームエアコンだってありだろう。
 マスクを換えれば好い規格であれば、そのままマスクだけを欄間に填めて飾るようになるかも。

 ‥もはや伝統などと縛られてる場合でもねぇし
 是からは、欄間に萌えキャラやら名場面やらのレリーフ欄間を植え込む時代になるかもな。




ソーダ水栞挟みし本ひらく       掛川市・いちご句会

|ソーダ水栞挟みし本ひらく シュワッと異世界読み乾して


 *栞(しおり)

> さてと、本の続きでも読むとするか
> と、その前にまずは喉をうるおして‥(ゴクゴクゴク、ぷはぁぁっ)
> ‥ああ、まったく以てこの異世界のお話は、シュワッと飲みほしたソーダ水のようだったな
> 読み乾してしまえばそれまでのこと‥そしてまた‥
> 「渇いては、求め彷徨う思春期の貪欲のままに弾けたくなると」
> ‥はぁ、これのゲームかアニメ出ねぇかな‥



1-8)4

地下足袋の茶摘女乳を含ませて     裾野市・寿大学俳句教室

茶摘女の乳含ませてちのみごに 母のたいへん茶の香り


> 今はどうかは知らないが、昔はそりゃその辺に乳児を籠に寝かして
> 泣き出したら様子を見に行っていたのだろうか??
> 赤児を持つ茶摘女(ちゃつみめ)はたいへんだったろうね
> (そんな母ちゃんのおっぱいからは、さぞや茶葉の香りが漂ったのかも知れないな)


早乙女の乳含ませてちのみごに 母のたいへん泥のにおい


> 今はどうかは知らないが、昔はそりゃその辺に乳児を籠に寝かして
> 泣き出したら様子を見に行っていたのだろうか??
> 赤児を持つ早乙女(さおとめ)はたいへんだったろうね
> (そんな母ちゃんのおっぱいからは、さぞや泥の田のにおいが漂ったのかも知れないな)




|這ひ這ひの曽孫成長夏兆す       静岡市・船越俳句会

|ハイハイの赤児の元気夏兆す 暑さに負けず立っちするかも


> ‥いやぁ、赤ん坊の成長には目を見張るものがあるけど
> ハイハイから立っちの端境が暑い夏というのは、親ばかにも将来有望な流れだって思うよ
> へぇ、そうなんですか、それはさぞかし「夏兆す」心待ちってことですね
> そうなんだよ、うまいこと言うねぇ



1-8)5

|歌と笛園外保育若葉道         裾野市・寿大学俳句教室

|園児らの歌に笛かな若葉道 脇見ぞ増える遠出になるほど


> 遠足の道のり等で、園児が列を乱した場合
> 一クラス単位での移動ならともかく、複数のクラスの人数が列をなしていると
> 何かあった場合の先生(保育士)同士での阿吽が欠かせません
> そこで笛を使って先生同士に合図します(これは概ね止まれの合図です)
> 止まってもらわないと、列が混乱しかねないので、そういう事になると思います




子自慢が済めば始まる孫自慢      静岡市・しみず川柳かすが

|子自慢が済めば始まる孫自慢 順風満帆ほのめかし


 *順風満帆(じゅんぷうまんぱん)

> まぁ考えて見れば、子自慢&孫自慢のそれも近況報告に違いはないのだろうけど
> 裏返してみれば、自分の暮らしぶりが順調だって事をほのめかしているわけで
> だからといって自分のことを誉めてもらいたいわけでもなく
> 張り合いたいだけにあるのが‥どうにも厚かましく思えるわけだが
> どこまでが本当かの嘘&見栄&見下しも混ざってそうだから‥マジ勘弁‥



1-8)6

鷺草の鉢もろともに楽しめり      裾野市・寿大学俳句教室

|鷺草や群れども目立つ個のままに 勝手気ままの飛翔かな


> 鷺草(さぎそう)って花がある
> 見るからに鷺の飛んでる様に白い花を付けるんだけど
> 花としてはなかなか見事なんだけどね
> 鷺としてみると、これがまた鷺の生態そっくりで
> 渡り鳥に見られるような集団性なんてありゃしないのさ
> どの花も好き勝手な方角に向かって飛び立たんばかりよ




|万緑を走りたいまま走れない      島田市・主流社句会

|万緑を分けあうことの無理強いは 大地からして生かされており


> 分け合うって行為は、随分と見上げた行いに見えるけどね
> 所詮は、肝心要の大地からして、安定供給にも無ければ無尽蔵でも無い
> だから、それは私たちの基盤がどこまで行っても、命の都合や気まぐれの上にあるようなものだよ
> 万緑がどんなに果てしなく見えたってね、有限だってことを見落としちゃダメだね
> (大地だってね、今や人類の暴走抜きに語れないのだよ)



1-8)7

あいこのままでいい空が広すぎる    島田市・主流社句会

|お給金あいこのままでは増えるまじ 革新するほど減る雇用


> 競争が均衡した様は、ジャンケンで言う「あいこ」だよ
> つまりお互いにルーティンな意識では、給料は上がらないって事だけど
> 一気に勝敗が付くほどのブレイクスルーに見舞われては
> 抜け出せない連敗みたいで、お互いに仕事が無くなっちまうわけだよな
> それって給料どころの騒ぎじゃねぇって‥
> 革新狙ってもリスクが大きいだけで、ただ勝ちゃ好いってだけで考えていると
> 戦争と同じ結末にしかならないってことよ
> カネに飢えてる奴ほどそんなこと眼中にねえけどな
> ‥そこが、人道軽視の勝手自由が醸し出すどうしようもない混沌さだよ




|休憩に置き忘れたる登山杖       静岡市・船越俳句会

|バブル期に置き忘れたる地味真面目 バクチ打つ鬼溢るる欧米化


> ちょっとお金の蛇口を緩めると途端に経済がバブルるってわけだけど
> どいつもこいつもそのまま人生薔薇色だって思い込んでたな
> ‥臨界点が来るって解っていれば、誰もそこまでハメを外さなかっただろう‥
> 資本経済とはそういうものだって知れ渡って、ようやく警戒するようになったわけだな
> でも、反対に、バクチごとが次々に了解されてるってのは、どうにも目的が鬼畜だよね
> その推進の担い手が与党だってんだから、世間は鬼ヶ島って事にもなる
> いつからそんな鬼畜米英寄りに馴染んじまったかな??
> (ほんと、舵を放り出すのが革新と言わんばかりの連中ばっかだよ)



1-8)8

|一斉に夏服になる通学路        掛川市・いちご句会

|一斉に夏服になる通学路 纏い脱がぬ青春なんて


 *纏い(まとい)

> 夏服って奴は、ほんと身軽で気が楽になる
> まさに青春の季節の装いだと思うよ
> これが制服でなかったら、上着羽織ってる奴もまだ居たりと‥
> こう言うのは、やはり‥一斉ってのが清々しい



|一斉に冬服になる通学路 愁い纏わぬ学生なんて


 *愁い(うれい)

> 冬服ってのは、ほんと物思いに耽るのに格好のスタイルだよ
> 物思いに耽らない学生時代なんて、それこそ青春への冒涜だ
> しかし一斉にどいつもこいつも悩ましさを抱えてるってのも不可解極まりない
> だからこそだろう、四季の折り返す様は、思春期にメリハリを設けてるって事だよな




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:02 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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