2017年07月10日

【勝手句帳】126 29-7-8 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/07/10

|梅雨晴れ間空色うつす葉の雫      静岡市・浅間神社句会

|葉のしずく梅雨晴間うつし青や赤 ひたぶる四片打たれて清し


 *ひたぶる‥ひたむきながらも向こう見ずな気骨。
 *四片(よひら)‥アジサイの異名。

> 今日は日曜、今はちょうど雨上がり所謂梅雨の晴れ間だ
> 暇つぶしにもアジサイを見やっていると
> 無駄に葉のしずくが気になって近寄って観察することにした
> 見ればどうか、葉のしずくには梅雨の晴れ間が映っているかのようだ
> いやいや、よく見ればアジサイの花だって透け込んでいる
> これほどに頼もしいしずくもあるまい‥どうにもアジサイという花は‥
> 雨に打たれて散りへこたれるどころか、尚、ひたぶる如く磨きが掛かるのだな



1-5)1

|無人駅子燕口を揃えをり        掛川市・句会あさかぜ

|無人駅子燕口を揃えをり ねだるる声に温度差もなく


> おや、田舎下りの駅で、早速、燕の巣を発見‥
> ピーピーよう鳴いておるわい、親が行ったり来たりだ
> それにしても、不思議よのう、死にものぐるいでエサを懇願する声を聞いた例しがない
> 片寄って与えていれば、ピーピーが常に一調子で有るわけが無いのだ
> 夫婦でやってるのにどうしてそんなにも上手く行くんだ??
> 偏りがあってもおかしくあるまい(きっと、声をきちんと聞き分けているんだな)




|改札をほつと笑顔の夏帽子       富士宮市・富士宮早蕨句会

|改札にぽつり笑顔の夏帽子 待ち合う黒髪白ワンピ居り


> 改札で待ち合わせているのだろうか‥夏帽子の女子が居る‥
> 黒髪に白のワンピが実によく似合っていて‥萌えだな‥
> 何気ににこにこしている気立てがまたええのう



1-5)2

|薄暗き籠屋の三和土梅雨に入る     静岡市・浅間神社句会


 *籠屋(かごや)‥旅宿の意。
 *三和土(たたき)‥三和土(たたき)とは、土間の床に使われる「敲き土(たたきつち)」の略。
           三種類の材料を混ぜ合わせることから「三和土」と書く。
           赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲き固めた素材。


|薄暗き籠屋の三和土江戸の夏 踏み入る涼しさ知恵と工夫


> ‥珍しく江戸風情な宿に泊まることにした
> 三和土の趣が実に塩梅良くひんやりとしてホッとする
> 江戸の頃の夏もさぞかしこんなだったのだろう‥
> 何事も身の丈に合わせて知恵に工夫を凝らすのが風合いとして良いと云うことよの



1-5)3

|緑蔭にひとり寝ころび深呼吸      静岡市・浅間神社句会


|林闇ベンチにごろりひとけなく 程よき風にぜいぜいの引き


> 何だよこの暑さ‥どこかに休む場所は‥
> おお、この先に林があるぞ‥とりあえずあすこの林闇に紛れよう‥
> おお、ベンチがあるぞ(人気無しと)‥よし、ごろりとするか‥
> おお、良い風来るっ最高っ(ぜいぜいぜい)
> ‥さてと、自販機は?(さすがに無理か、しょうがない)


|林闇地べたにごろり虫の息 自動運転感知できるの?


> 何だよこの暑さ‥どこかに休む場所は‥
> おお、この先に林があるぞ‥とりあえずあすこの林闇に紛れよう‥
> おお、もうダメだ‥もう入り口のこの辺の地べたでごろんして涼もう‥
> ‥ああ、疲れた、しんど‥
> (どうでもいいけど、今車が来たりしてもどく気にならないな)
> はて??、自動運転はどうだろう?、止まるだろうか?轢いて行くだろうか?
> (ははは‥)聞き及ぶ限りでは、盲点っぽいだろうな‥



1-5)4

|腰のばし婆見上げるや立葵       沼津市・沼津香陵句会

|腰のばし婆見上ぐるタチアオイ 青田の道に並ぶひときわ


> まぁまぁ立派な立葵だねぇ
> (どっこらしょっと)うーん、見上げるほどに見事だね
> 青田の道沿いにまだまだ並んであるねぇ
> でも、おらの見込んだのが一番に元気が好いかね、ほっほほほほ



1-5)5

|青田風茶の香を連れて渡り来る     掛川市・句会あさかぜ

|青田夢 減反だらけ農家鬱 思い返せばすっかり不動産業


> ‥デッカい青田が夢だった‥デッカい秋の田が夢だった‥
> それがどうよ、減反減反で、気がつけばすっかり本業が不動産業の片棒じゃねぇかッ
> 「副業が農業でしたね」‥そんな顛末じゃご先祖様に顔向けできねぇさ
> (‥うまいこと騙されてきて、今度は戦争担ぎだぁ‥ふざけた国家運営にはもう騙されねえぞッ)




|強かに拘わり続け風の中        島田市・川柳茶ばしら吟社

|したたかにかかわり続け崖っぷち 今や泥船されど見納めむ


> 若い頃に世話になり、この仕事一筋でやって来た
> しかしそれが、今や海外との価格競争に押されて衰退に喘いでいる
> このままでは泥船と共に沈みかねない、身の振り方の思案のときだ
> でも俺は、崖っぷちだろうと、最後の一人になっても踏ん張って見せるぞ
> (それが故郷に世話になってきた御恩返しってやつだろう‥俺は恩に生きるのだッ)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 18:32 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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