↓7)向宜詠吟.2017/07/26
|朝焼の七面がれ場赤燃ゆる 沼津市・裸子駿河句会
|尽きぬのかナナイタガレや夏至来光 赤く腫れたるナミダのような
> キミは知っているかね?、日本三大崩れに匹敵する七面山(ナナイタガレ)を
> その七面山は太陽の通り道と糸魚川・静岡構造線とがクロスする希に見る霊場だという
> その姿は朝日を浴びて赤く染まるまでも無く
> 赤くはだけた山肌が、いつの頃からかずっと崩れ続けているという
> まさに流し続けた涙の見せる赤くはれ上がった表情そのものに見えて来る
> (なにゆえに‥そこまでの悲しみに打ちひしがれているのだろう‥)
1-7)1
|夏の朝伽藍揺るがす大読経 沼津市・裸子駿河句会
|読経や朝から地鳴る夏伽藍 一息つく頃もう沢山
*伽藍(がらん)‥寺院の建物の総称。(僧侶が集まり修行する清浄な場所の意)
> いやぁいくら坊さん達が修行修行と朝のお務めに熱心でも
> 今時の夏場ともなりゃ、読経が終わる頃には
> もうこりゃたまらんと、ちりぢりにお堂から去るしかないっしょ
|ほうたるよ面影背負って舞ってこい 新俳句人連盟県支部創立30周年記念と漆畑利氏を偲ぶ句会
|ほうたるよ面影背負って舞いに来い 誰ぞの魂探したり
*背負って(しょって)
> ‥昔はよく云われてましたっけ
> 蛍には亡くなった人の魂が宿っているとか何とか
> そんなことを思い出すと、ついつい、懐かしい顔を思い描いて探してたりするものですよ
1-7)2
|夕凪や島の海原陽に染まり 新俳句人連盟県支部創立30周年記念と漆畑利氏を偲ぶ句会
|夕凪や島の里海照らされて 潮の匂い焼きつくせるらむ
> 故郷の海を小高い山から眺めたりすると随分とほっとするけど
> こと夕凪だけはどうにも暑苦しくたまらなく思うばかりだな
> その暑いのをやり過ごすと、次第に、海面が黄金色の様相を見せるのが圧巻だ
> それこそが里海の記憶ということになるけど
> それが潮の匂いと一体に記憶されているのも、云ってしまえば、夕凪があればこそだなあ
|慎ましく生きればそこに花が咲く 袋井市・袋井川柳吟社麦
|慎ましく生きて根づけよ夕野菊 お前の里は奥山の縁
> 都会の花に憧れたってね、お前は所詮、奥山の縁(へり)に咲く野菊なんだよ
> 秋にもなれば、夕日の光を浴びてほほ笑んでる慎ましさが一番にお似合いさ
> まぁそれにしたって、若い内はわからないだろうけどね
1-7)3
|踏み出した一歩へ山が近くなる 袋井市・袋井川柳吟社麦
|踏み出せば険しき山も一歩ずつ なにがよろしけれこの坂道は
> 人生何事も、如何なるトライも一歩からである
> とはいえ、実の登山ともなるといつも思うよ
> はじめの坂道ほど何がおもしろいのかってね
> ‥だってそこには
> 世俗にまみれた端境があるのみで、見映えの好い景色はまだまだ先なんだから
|ひざかりや川藻の隙間に鯉ねむる 新俳句人連盟県支部創立30周年記念と漆畑利氏を偲ぶ句会
|ひざかりや川藻の影にコイ隠る どうせ人妻 昼寝第一
> 暑いし暑いし、こういう時こそ羽を伸ばすに限りますけど
> どうせ人妻ですからね、独り勝手な行動をしても、間違い沙汰にしかなりえません
> どうしたって池の鯉さながらに自宅待機です
> ええええ、暑いですからね、昼寝第一にも成りますよ
> 旦那が疲れて帰ってくるのに、疲れた顔での出迎えもありえませんし
> 旦那の夜のお相手をそつなくこなすにしても、睡眠しておくことは欠かせませんから
1-7)4
|煩悩のおもむくままに靴を履く 袋井市・袋井川柳吟社麦
|煩悩や趣くままに草履履き 競馬パチンコ賭け麻雀
> 俺はギャンブル依存症だ
> 見よ、草履を履いて行くところなんざ
> 競馬、パチンコ、賭け麻雀だ
> 人はその姿に欲まみれのレッテルを貼るけどな
> 真面目な顔してる奴らのデフォルメされた姿こそ俺よ
> どいつも切った張ったの経済で同じことをしておる
> ‥それがどうよ、今や頑張り過ぎちゃって、地球が壊れそうとか騒いでやがる
> まぁなんだ俺のことをとやかく軽蔑する前に、菩提(ぼだい)を心掛けるべきだろう
> 俺がこの依存症を続けられてるのも、煩悩と菩提云々のバランスが保たれているからよ
|絵のような上手い話に乗せられる 袋井市・袋井川柳吟社麦
|夢見ればウマい話に乗せられて 工面に困り手口ぞ連鎖
> 夢を見るのは本能だろうが
> どうのように叶えるかという姿勢が安易では、どうにも嘘を見抜けずに泣きを見るものだ
> そして困った挙げ句、腹を決めて、やられた嘘を誰かに試していたりする‥
> それでは、腹の決めかね方がどうにもおかしい上に、皆で嘘を賞賛している様だな
> ‥どのような夢にも天敵(悪意)が忍び寄り、まずは、それとの対峙が訪れるのだ
> ‥人との付き合いほど骨の折れることもない
1-7)5
|トンネルを抜け出すペンをまた落とす 袋井市・袋井川柳吟社麦
|トンネルを抜け出すペンをまた落とし 闇に入るボツ転がるばかり
> アイデアに詰まっていて、一つの光明が見えたとしても
> ちょっと進んだ先で、何につまずくかなんてわからない
> 考える度にペンを放り出す物書きはまさにそれで
> トンネルを抜けても、またトンネルだ
> 迷いのトンネルの闇で思いあぐねている様はどうにも、心が散らかっていた恥ずかしさだよ
> こんなにも人間失格を味わうとは、まさに、ボツを丸めて転がした紙くずと同じだなぁ
|揺れながら答えが丸くなっていく 袋井市・袋井川柳吟社麦
|揺さぶられ答えの丸くなりにけり 因果の問いぞ深まりて濃き
> 自分の考えだけでは不十分で、他者と対峙しながら実用への完成を見るものだ
> 時には、高を括っていた所から、着想を得ることもある
> なにゆえに、こんなにも自分一人ではポンコツなのかと思い知る瞬間である
> 宇宙の斯様な因果の散りばめを味わうほどに、命のかかわりの謎は深まるばかりだなぁ
> 実に感心させられることの多く、してやられるばかりだよ
> (そこにある事実を‥公平と問わずして、なんと申せば良いのだろうか‥)
1-7)6
|石枕川のせせらぎ出で湯かな 新俳句人連盟県支部創立30周年記念と漆畑利氏を偲ぶ句会
|石枕湯気の川原にくつろいで 地獄に出で湯穢れ払えと
> 地獄になんて、穢れしか無いだろうと思っていたが
> こうして、石枕と出で湯につかりのんびりとしていると
> もしかしたらと思えてきた
> だってそれこそが、神らしき者らの気配りってことだろう
> ‥清まりたいと強く願えば、必ずしや導かれるに違いない‥
1-7)7
|生き様が柳のようでしなやかで 袋井市・袋井川柳吟社麦
|生き仏受け流すごと柳のよう 無口はダメと迫る平成
> 昔は無口でも、何事に対しても愚痴をこぼさず生真面目なら「仏」とか‥
> 斯様に賞め合っていたのが日本だと思っていたが
> 今やすっかり無口だけでは、及びでない時代に成ったなぁ
> そりゃもう、明石家さんまみたいにマシンガンのようにしゃべろとまでは、要求されないにしても
> タイミングがズレていると途端に槍が飛んでくるからなぁ
> (そんな空気もまた、効率主義のなれの果てってことなんだろうな)
‥坊主見て見ろよ、悟れていると自負できてる奴なんて居ねぇだろう
‥人類屈指の非効率だぞ
(真っ先にヤリ玉にされても善いのにな‥確かに檀家は危機的だよ‥)
‥で、巡り巡って、墓も持てない無縁仏に溢れかえっていると
‥それみろ、世界屈強の非効率ってわけさね
(見切る以前に代替を用意しとけってな)
‥目の前のことで手一杯で、誰も代替案を考えちゃいねぇ(くだらねぇほどに非効率だよ)
(まぁ俺的に言わせてもらえれば、墓なんてな‥手の届かない死後のマイホームだよ)
(そんなのいらねぇって、思うばかりだな)
(死体にしたって腐るままカラスの突っつくままが自然だろう、なんの躊躇も無い)
‥どうして、そうで無いかって辻褄をだな、もっとわきまえなぁダメってな
昔はそれを村八分って云ってたんだけど
平成の世の今時の「ハブられる」表現は、それこそ村九分、村十分で
火事の時しか面倒見ねえぐらいの様相だからな
(否、地震安否で渋滞になるぐらいだから、身内の心配だけで手一杯そうだよね)
効率も糞も何も、人の暮らしのそもそもの形に成ってねぇし
そんなんで「幸福の追求」とか、ほとほと非効率だよね
そんな世界でご厄介になりたいなんて、思える方がキチガイだっつうの
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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