↓7)向宜詠吟.2017/08/10
|バラの香が人の渦よりあふれ出る 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|バラの香が渋谷交差点より溢れでる 誰が為にここを行くらむ
*誰が為に(たがために)
> おや?、どこからかバラの香りがしてくるぞ
> 誰かがバラの花束でも抱えているのかな?
> まぁ、こんなスクランブル交差点だし(そんな変わり者が一人ぐらい居ても不思議はない)
> ‥それにしても、毎日毎日誰の為にここを行くんだろうな‥
> そりゃ、こんな都会のど真ん中の象徴ともなれば
> 自分の暮らしを薔薇色に染めてみたいからだろうよ
> でも、実際は、他者の薔薇色にケチを付けんが為に奔走しているようなもんだからな
> (今だってそうだ、このバラの香りに対して、すでに攻撃的な構えだし‥)
1-7)1
|春風とランドセルが信号渡る 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|踏切や吹雪く春風ランドセル あの初恋はサクラと共に
> ああ、この踏切を通る度に思い出す‥まだランドセルだった頃の初恋‥
> サクラが満開で、いつの間にか、僕も彼女もふたりでの時間に夢中だった
> でも、あの時間がずっと続くほどに、人生も僕を単純じゃ無くて
> ‥思春期の頃にもなると‥どこか彼女への気持ちだけに夢中に成れない自分が居たよ
> (素直に)彼女に夢中だったランドセルの頃の自分に急き立てられるように
> もっと彼女のことだけに夢中になりたかったけど、もはやそんな時節は過ぎていた
> 気がついてみれば、彼女が僕から遠く離れてから、ずっと君のことで頭が一杯だ
> (これこそが僕の望みだったのだろうか?)
> (あれから、幾度ここで、ひとりのサクラを迎えただろうか‥まるで思い出に恋をしたままだ)
1-7)2
|びしょびしょの若者サーフィン真白き歯 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|日焼前 若きサーファー真白き歯 七転び八起きたのもしく
*日焼前(ひやけまえ)‥見事に日焼けした肉体。その立派な健康美を賛美した言い方。
> サーファーの笑顔には屈託がない
> どうしてああも軽やかに、白い歯を見せて笑えるのだろう?
> そういえば、七転び八起きのスポーツだったな
> 自然体でああなるということか、若い内からそれがモットーという事にもなると
> ‥相当なんだろうな‥たのもしく思えてくるよ
1-7)3
|短夜の明けに小雨の陽の匂い 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|夏の匂い 日・雨・土・潮・緑かな 風浴びずんば昂ぶるもなし
*昂ぶる(たかぶる)
> 「夏の匂い」について考えて見たよ
> すぐに乾く洗濯物の匂い、雨上がりの匂い、土埃の匂い、潮風の匂い、草むらの匂い
> 夏の匂いなんてとても一つに収まりきらないし
> 一つ一つに区切られているわけでも無い
> やはり、風を求めれば、そこに夏を感じ、夏の匂いが一緒にあるってことだよ
> 夏に風が無いとね、ほんと死んだみたいになっちゃうからね
> ‥風に匂いなんて無いだろうけど、夏の匂いと風は切っても切り離せない関係なんだよ
1-7)4
|バルコニー水平線は空の底 沼津市・潮音水曜句会
|ワープ顕る水平線はニアミス帯 君に寄るにも軌道から
*顕る(でる)‥とくに次元移動を介した別宙域への移動を指す。
> ワープ映像を見る度に疑問が募るよ
> 瞬間移動とどう違うのかって?
> ワープって言うと宇宙規模で仰々しいけど、瞬間移動だと日常のノリだからね
> 現象自体は同じ扱いなのに、ニュアンスが全然違うもんね
> ‥これを恋愛に例えると、なんとなく見えだしたよ‥
> ワープと言うことになると、規模もそうだけど、巻き込んでは申し訳ないので
> ニアミスなんてありえないわけで、星に距離を保って、軌道上から軌道上がお約束だよね
> ‥このワープ姿勢を恋愛で言うと
> 目立たないように、失礼の無いように遠巻きにて、ダイレクトに鷲づかみするような事を避け
> 殊更慎重な面持ちを味わおうって趣だよ
> ‥ここが瞬間移動ともなると
> 図々しくも、土足で乗り込んでくるようななれなれしさに映るよね
> ‥だから‥
> 誰かに会うにせよ、ワープの段取りを踏まえてなぞらえるべきであって
> 瞬間移動までを望むのは、相当のなれなれしさを相手にも許しているって事で危ういのさ
> どのような間柄にあろうとも、礼儀を怠るようでは、宜しくないと言うことになるからね
1-7)5
|ベランダや座する人なき椅子一つ 沼津市・潮音水曜句会
|教室や座する影なき席一つ 空気のままに据えおかれ
> クラスメイトの誰かが亡くなると
> 決まってその生徒の席がそのままに維持されるという光景には
> 如何ともし難い違和感を誘うものだな
> それが‥イジメが原因で自殺してしまったという話になると尚更だな‥
> その机だけがそのままに、空気の扱いが続いているみたいにも見えるからね
> ‥だからといって、そうなってしまった因果を早々に忘れてしまうのも申し訳ないわけなのだろう
> ‥一番にツラかったのは、亡くなった当人でもあるからな
> ‥のほほんと生きてた側にも選択支なんて「無い」と、問われてるみたいでもあるよね
1-7)6
|原発は万緑の中に眠ってる 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|311は万緑に眠りたり 目覚めのキッスぞ郷土愛
> 311以来、気がついてみれば
> フクシマの多くの街が、万緑に包まれて眠ったようになっている
> まるで、おとぎ話の眠り姫だ
> 故郷として再び目を覚ますも何も、郷土愛ということになるが
> さてさて、どうだろうね?
> やはり、王子に相当する実力者が出て来ないと、なかなか事は進まないだろうよ
1-7)7
|田植え済み月ひたひたと遊び居り 牧之原市・相良田沼塾俳句部
|植田清み月もひたひた戯るる蛙の宴や盛況の宵
*植田(うえた)、清む(すむ)、蛙(かわず)
> ご覧よ、田植えが済んだ途端にこれさ
> 農家のオヤジが、秋の実りを担保にツケで酒を飲もって面持ちだ
> どれだけの実りを勘定して、酒を飲むのかね?
> 旱や水害の心配なんてまるで知らねぇって顔だよ
> (田植えが済むってのはそれほどのインパクトがある)
> そんな万歳ムードを画に描いて教え諭しているかのような世界観が、カエルの晩餐会だよね
> あんな風にどんちゃん騒ぎの毎晩なら、お月さんもじっとなんてしていられないってもんさね
> そりゃ、覗いてもみたくなるだろうよ
> (何はともあれ、自慢の田んぼがあったればこその、そのゆとりすましだものな、うらやましい)
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
【名句にポン/2017後半の最新記事】
- 【勝手句帳】180 29-12-23/1..
- 【勝手句帳】179 29-12-23/1..
- 【勝手句帳】178 29-12-14/1..
- 【勝手句帳】177 29-12-14/1..
- 【勝手句帳】176 29-12-8/12..
- 【勝手句帳】174 29-12-8/12..
- 【勝手句帳】172 29-12-1/12..
- 【勝手句帳】170 29-11-28 其..
- 【勝手句帳】169 29-11-24/1..
- 【勝手句帳】168 29-11-17/1..
- 【勝手句帳】167 29-11-17/1..
- 【勝手句帳】166 29-11-17/1..
- 【勝手句帳】165 29-11-10/1..
- 【勝手句帳】164 29-11-10/1..
- 【勝手句帳】163 29-11-3/11..
- 【勝手句帳】162 29-11-3/11..
- 【勝手句帳】161 10-31(読者文芸..
- 【勝手句帳】160 29-10-27/1..
- 【勝手句帳】159 29-10-27/1..
- 【勝手句帳】158 29-10-20/1..