2017年09月30日

【勝手句帳】148 29-9-22/9-23 其の3静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2017/09/30

|伊勢神宮すべて時空を網羅して神馬なにをか想い羨しむ      裾野市・石蕗歌会(9-22)
|本殿へ急ぐ権禰宜夏袴           静岡市・浅間神社句会(9-23)

|本殿へ急ぐ権禰宜夏袴 時空を越えむ神馬のような


 *権禰宜(ごんねぎ)、神馬(じんめ、しんば、かみこま)
  羨しむ(乏しむ/ともしむ)‥物足りなく感じさせる。

> ‥この暑いのに、あすこの権禰宜、本殿に急いでおるのう
> あれでは折角の装いも台無しじゃな
> どうにも今朝は腹の調子がよろしくなかったようじゃ‥
> あの慌てぶりよう‥使いに出した神馬の勢いよの(ほおほほほほ)



1-8)1

|もろ肌の太鼓打つ背に汗ながる       静岡市・浅間神社句会(9-23)

|もろ肌の太鼓打つ背や汗しぶく「よいさー」さ浴びよ里の祭夜


 *祭夜(まつりよ)

> 上半身はすっかり汗だらけ、祭はっぴなんざ着ちゃぁ居られないのが、地元祭りの太鼓打ちよ
> さぁさぁ、おらっちの「よいさー」聴いて、今宵の祭りを記憶に刻んで行きなぁさ




|大家族の網戸を抜くる笑ひ声        静岡市・遊史句会(9-23)

|大家族 網戸を抜ける笑い声 寄せて久しき盆の顔ぶれ


> 少子化傾向とはいえ、盆に親戚一同集まれば、まだまだ大家族の様相だ
> 久しぶりに合わせる顔ぶれに、話も弾むというもの
> 網戸を通り抜けてく‥たわいない笑い声が、これからもずっと続くと好いのう



1-8)2

|耳遠き母の気付ける蝉時雨         沼津市・裸子駿河句会(9-23)

|耳遠き母にも届く蜩雨 里の散歩は夏の夕暮れ


 *蜩雨(ひぐらしう)

> ‥母も老いて耳が遠くなった
> でも、蝉の声はまだまだ耳に届いているようだ
> なかでも蜩がお気に入りのようで、近所周りの散歩なら、夏の夕暮れが一番だという




緑陰の石段百余風清し           静岡市・浅間神社句会(9-23)

|命湧く石段百余小脇闇 蝉のがっしょう見つつ耳きつ


 *小脇闇(こわきやみ)、がっしょう(合掌、合唱)

> 百段程の石段を登るだけでも様々に命のドラマが繰り広げられておる
> 夏場のそれはとにかく活発よ
> ほれ、石段の小脇の陰で、蝉がひっくり返って‥(こっちはすでに逝っちまっておるのう)
> ‥まぁ、寿命の蝉より、今鳴き盛っておる方よのう
> 元気に共鳴するのが、自然体ということかの‥

 (はて?)

> そう考えてみると
> 蜩のそれが、死にゆく仲間を偲んでのレクイエムに聴こえなくもないか‥
> 偲び敬うのも自然体ということか‥共に「がっしょう」よのう



1-8)3

|梅雨晴れの青く繁れる葉の奥に堅く小さき柿の実の見ゆ      静岡市・静岡城東短歌会(9-22)

梅雨吸えば青づく枝の葉の陰に堅く小さき柿の実のぞく


> ‥梅雨の頃になると
> 柿の枝には、いつの間にか、堅く小さな柿の実が付いておる(*秋に大きく生る)
> 色づく葉に隠れて、気がつかないもんだてな
> (まさに、恥じらい見せたる和の心じゃて)





|梅雨吸えば柿の実のぞく葉の奥に 青づく枝ぞ子育ての葉々


> ‥梅雨の頃になると
> 柿の枝には、いつの間にか堅く小さき柿の実が付いておる
> その実を抱くように色づく葉々が、子を大事に守らんとする母の心よのう



1-8)4

|花合歓や泣く子笑ふ子母が好き       静岡市・浅間神社句会(9-23)

|合歓かほる泣くも笑ふも母の横 夢もいつしか入れ替はるらむ


 *合歓(ねむ)

> ‥合歓の周りでは良い香りが漂う
> 甘えて見たくなるその香りと共に大きくなって、気がつけばいつも母の横に居た
> そんな夢の時節も流れゆき、いつの間にか、今度は私が母だ‥母になったのだ‥
> この子にとって、私は、夢そのものなのだろうよ




|蚊帳の中母のとなりを競う子ら       静岡市・浅間神社句会(9-23)

|蚊帳の中母のとなりを競う子ら 下の娘がトイレに誘う


> 蚊帳の中が、こんなにも私の居場所甲斐のある催しだったとは‥
> 子に恵まれてみるのもまんざらでは無いのかもな
> ‥それはそうと‥
> 私の隣を取られたくないからと、私をトイレに誘う下のこの子は随分と目ざといというか
> したたかというか、ただの甘えん坊では無さそうだぞ



1-8)5

|思い出があふれてしまうおもちゃ箱      袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|思い出に溢れたる泥片付けど 浪の悲しみ募りきて無理


> ‥なんも無くなった(浪、超恐ー)‥
> 日が経てば立つ程、心の中はぐちゃぐちゃが溢れてきて
> どうにもならないのに‥まずは片付けないと生きていけないんだ‥
> (無理ゲーすぎる‥この先もずっと整理の日々っぽ‥)




|子等の声木魚かすかにあじさいの色あせて見ゆ梅雨晴れの墓参   浜松市・アカシヤ短歌会(9-22)

|あじさいの色あせて見ゆ墓参り 年ごと離る幼なとの歳


> ‥誰かしら、アジサイが添えられているわ
> それにしても、随分と色褪せたアジサイよね
> ただでさえ死んだあの子との歳の差が広がって、あれほど沢山に思えていた思い出が
> 一粒にあせていきそうなのに‥(やはり)添える花は、色鮮やかでなくては‥



1-8)6

|何事も聞き流すこと夏の雲         袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|ぶつかればそれだけ降れり夏の雲 イタチごっこにも為す術ぞ無し


> 雲が山にぶつかって雨が降るわけだが
> 今時の夏の雲は、その雲の量が半端ないそうで‥
> コンクリートで固めた洪水対策も形無しだ
> まるで時代は、明治の頃の水害に無防備な環境に逆戻りと思った方が良い
> ‥降れば流される‥
> 行政の敗北(科学の敗北)さながらなのだよ


 ‥ツールを駆使して自主避難しますか?
 ‥それとも、流されてお終いにしますか?

 明治との違いと言えば、早期自主避難環境群だけは、高めに用意されているということである
 そこはさすがに、明治とは違うと!(携帯端末必須)




|一つだけ良い事あればそれでいい      袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|一つだけ良い事あればそれでいい 生きていられたそれだけであれ


> どんなにみじめでも、どんなにツラくても
> 一つぐらいは良い事があるはずだ
> それにはまず、見つけられる心、気がつく心が必要だ
> ‥お節介にもそれは‥
> なによりも自分が、今、生きていられたというそれに尽きるだろう
> (そこに慣れきると、他の諸々の経過的比較的欲求は‥とりあえず雑音の如しだ)



1-8)7

|負け組になりたくないとひた走る      袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|負け組で安穏なんざと汗奔る 偏見有っては支え得ず


> 所謂、負け組には成りたくないと思ってる時点で
> 残念ながら、自分に強みが無い次第を自覚してしまっている
> そして、その現実に、素直に対処できないのだ
> ただがむしゃらに汗奔ってみようと、見えてこないうちはダメダメだ
> とくに、偏見を握りしめているうちはダメだね
> 負け組に成りたくない≒負け組の人生には価値が無い≒負け組は人間として下≒自分も想定内
> ‥という矛盾×ストレスから、どれだけ仕切り直せるかだね
> 矛盾をそのまま呑み込んで、奪い合っても、地に足立つ確かさ(これだ!)は得られないままだ





|五十年親しみし友の葬儀終え師走の風に押されて帰る       静岡市・静岡城東短歌会(9-22)

|五十年身近の友の葬儀終え 苦寒の風ぞ今も吹きけり


 *苦寒(くかん)‥@厳しい寒さ、それの苦しさ。A貧乏に苦しむこと。B陰暦12月の異称。

> ‥五十年の付き合いの友が逝っちまった
> この十二月の冷え込みが、どうにも、思い出すよな
> お互いに何も無くて、やり繰りしあった若りし日々が、次々に浮かんで来るよ





|付き合いの親しみ多き忘年会 師走の風に押されて帰る


> 佐藤先輩しっかりして下さいよ、こっちだって忘年会続きで一杯一杯なんすから
> ダメそうなら、その辺置き去りにして帰りますからね

 「鈴木くんはそれで良いの?」もし、ぼくが道端でヒキガエルに成っちまったら一生夢見悪いよ

> ‥先輩、ほんとに酔ってるんすか?
> 鈴木くん、酔い方も人それぞれだよ、キミだって何気にぼくを肩担いでるでしょ
> ‥まぁ、そういう事にしときますよ
> その代わり、適当に見つけたコンビニで放置しますから

 ‥ダメだよ、コンビニは‥

> どうしてです?、トイレ付きだし申し分ないでしょ
> もし、ぼくの目の前に、ブレーキ踏み違いが入って来たらどうするつもりだよ
> ‥佐藤先輩って、もしかして、心配上戸だっだんすか?(ほーへー)



1-8)8

|踏み出せば老いの一歩も視野新た      袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|踏み出せる老いの一手や視野新た 若りし頃の粗さが痛い


> 歳を経るほどに経験を重ねれば、それなりに学びが蓄積されて
> 物事への対処も、あるべき形への思慮も随分と改まるわけだが
> ‥いかに‥
> 若い頃が、いい大人だったはずの頃が
> 大ざっぱっで足りていなかったか‥恥ずかしさを覚えるばかりで、やんなっちゃうなぁ




|又ひとつ仕種がぬるくなる加齢       袋井市・袋井川柳吟社麦(9-23)

|又ひとつ仕事がぬるくなる加齢 ペースを落とすそれだけが口惜し


> ‥近頃、自分の衰えを感じてしまっている
> 意欲や気持ちに、肝心のカラダの方が付いてこないのだ
> どうしたって、ペースを落とさざるを得ない
> 荒削りで無駄も多かったが、若い頃の体力がどうにも懐かしい
> (やりたいことは、まだまだ山とあるのに‥)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 17:56 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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