↓7)向宜詠吟.2017/10/21
|手のひらの数グラムの蝉の抜け殻が我に教へる命の不思議を 富士市・富士川短歌会(10-14)
|空蝉や命の不思議数グラム 足跡ありき匠の手本
> 蝉の抜け殻にしろ、蝉の穴にしろ、蝉の声にしろ
> 蝉ってのは巧みだよね、もとい匠か‥
> 匠はその生き方に於いて、手本を残してあるものだ
> 空蝉(うつせみ)は、その精巧さに於いて‥まさに手本だな
1-7)1
|蝉時雨内まで透る図書館に鉛筆音たてて子ら宿題す 静岡市・SBS学苑パルシェ教室短歌塾(10-14)
|図書館の内まで透かる蝉時雨 ノートを開く若きらの影
*透く(すく・五段)、透ける(自下一)‥古語下二段傾向はありませんでした
ちなみに、ネタの音の端折りでは「とおる」とも読めそうです
> 図書館のなかがいくら静かとはいえ
> 蝉時雨の音は透けるほどには聞こえてくる
> 夏らしさを感じるには十分だ
> そして、夏の図書館に通い詰める学生の姿もまた夏の風物詩なことだよ
|この服で海に行くのとはしゃぐ娘をうらやましげに見るマネキン 掛川市・なでしこ短歌会(10-14)
|「この服で海に行くの♪」と夏マネキン 着飾る日々に埋もれ行くらむ
> 夏が近づいてくると、マネキンが薄着&水着を着飾りだす
> まるで、「この服で海に行くの♪」との様相だ
> そんな街で見るマネキンの着飾りに誘われようとも
> 事情はともあれ、マネキン同様に海に行くことも無く、雰囲気だけで埋もれていく日々の方が多い
> (まったくもって、ため息が出てしまうばかりだな)
1-7)2
|夏の日の雑草刈りの挑戦は歳経るごとにお日さまの勝ち 静岡市・SBS学苑パルシェ教室短歌塾(10-14)
|炎帝に挑む草抜き脇木闇 老いさらばえて負け戦
*脇小闇(わきこやみ)
> ‥今日は連日の暑さのさらに上かな
> こりゃしんどそうだ、しかし草抜きだ
> などと頑張ってみたものの、どうにも歳だな(老いたものだ)
> こうして、田畑の横に木陰があるという先祖の知恵にも‥負けた気がするな
> 思えば、機械化の時代とか騒いでみても、自らは何一つ知恵を絞っとらん
> おまけに跡継ぎをGETできとらんという不甲斐なさよの
|涼風の調べさらさら木陰より楓の葉音がささやく夏日 静岡市・SBS学苑パルシェ教室短歌塾(10-14)
|涼風や青の楓の葉音かな さらさらさそふ径に佇む
*径(みち)、佇む(たたずむ)
> 風が吹けば、青の楓だって悪くない
> 竹林と比べてどうかのところもあるにしろ
> ちょっとした間の広がりに独り誘われるなら、青の楓だろうな
1-7)3
|銭湯の夫を待つ間のラムネかな 沼津市・万年青大学「俳句A教室」(10-17)
|湯上がりやラムネ片手に夫待つ スーパー銭湯休憩所
> 私が先に上がったようで、夫の姿はまだ休憩場にはありませんでした
> ひとりのところ、夏気分に誘われてラムネを飲んでみました
> ‥かぐや姫「神田川」とは異なり、のんびりと待っていられるのはスーパー銭湯ならではですネ
|湯上がりやラムネ片手に夫待つ 夏の帰宅の遅き夜
> 夫の帰宅が遅くなると言うことで、先にお湯をいただきました
> 花火でものんびりみたい気分になりまして、ただの夏の夜空相手にラムネを開けてみました
> ‥まぁこんな日もありでしょヨ
1-7)4
|ラッシュ時のホーム残暑の人いきれ 沼津市・万年青大学「俳句A教室」(10-17)
|盆明けの駅に寄せ来る夕ラッシュ ほっとせずとも安堵感
> 実家に帰省する余裕もなく‥昨日まで人け少なめの新宿の駅構内だったが
> さすがに盆が明けては、夕方の時間帯はいつものラッシュだ
> ‥いつもならうんざりするばかりだが‥
> この日に感じる落差には、どうにも不思議と安堵感を感じざるを得ない
> (だからといって、お帰りとまでは思うまい‥俺よりゆとりある時間を過ごしてきたんだろうよ‥)
1-7)5
|朝顔の花を数へて登校す 静岡市・潮音木曜句会(10-13)
|朝顔が手招く夏の登校日 よそのお宅は涼しげに見え
> 夏休みの間に数日ぽっちだが、登校日が組まれているのにはどうにも納得ができない
> とはいえ、しぶしぶ出向くと、道途中に決まって朝顔をたくさん並べてあるお宅が必ず目に止まる
> 「夏休み」=「寝て曜日」体質の俺としては、実に新鮮だ
> 無駄にそこのお宅の暮らしぶりに興味が湧いてしまうものだよ‥
1-7)6
|砂ぼこり舞ふバス停や秋暑し 沼津市・万年青大学「俳句A教室」(10-17)
|バス停で無駄に残暑や砂ぼこり 影に張り付き冷房を待つ
> ‥この暑い中でバスを待つ
> 爽やかな風なら歓迎もするが
> どこから来るのか‥クソ砂混じりでは、ますますもって無駄な残暑と思わざるを得ない
> 「ああ、早う冷房来ないかな」‥もといバスか
|鳶職の屋根を早足秋暑し 沼津市・万年青大学「俳句A教室」(10-17)
|瓦照る夏の屋根葺きパワハラぞ 踏むも踏まぬも施主の差し入れ
*施主(せしゅ)
> 夏場の大工仕事の一番の敵は、そりゃ屋根葺きスよね
> あんな隠れるところの無い場所でのカンカン照り作業
> できればやりたくないっすよ
> ‥そんな日程ともなると、どう見たって、施主からのパワハラも同然っスよ‥
> そりゃまぁ、仕事ですからキッチリやりますけど
> 仕上がりが想定より塩梅良くなるかどうかは、施主からの差し入れ次第っすよね
> (無ければ無いで、何かトラブルした場合の仕上がりに関しては投げやりになると思います)
> その辺のねぎらいがあったかどうかの差が、その後のメンテナンスにも影響してくると思います
1-7)7
|川縁に並びしボート秋初 静岡市・潮音木曜句会(10-13)
|秋撒けばくれくれ顔の池の鯉 スワンボートに客影無くて
> 夏休みが終わると、必然的に客足が遠のく
> ボート乗り場なら尚更の初秋の到来だ
> 暇つぶしの相手といったら、池の鯉だよ
> 餌を撒くと、くれくれと詰めかけてくる
> (‥ここにも秋が差してるよ)
|風あれば風のかたちに芒原 静岡市・あけぼの句会(10-17)
|風吹けば風の形に芒原 影なら尚や善し悪しも無し
*芒(すすき)
> 風が吹くと風の形になびくのは、芒原ならの光景だ
> 思えば、風の吹くままに吹かれれば好い‥(だって芒なんだからな)
> 風が止めば元に戻る‥(芒だからな)
> そこに、それ以上の価値も評価も革新も関係あるめぇ
> 影なら尚更だろう‥影の塩梅を見て、善し悪しもクソも無い
> ‥時代にしたって‥
> 過ぎたれば、すべては影にしか見えてこない
> 余計な感情の一切が吹き飛んでいて、ただノスタルジックなだけだよ
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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